吾輩はハコである 内装はまだない

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今回ご紹介するのは、多様な暮らし方を受け止めてくれる住まい。壁や収納を設けていない「素地の空間」を、暮らしに合わせて自分で編集できる、まっさらな箱のような物件です。その秘密とは……?

売主さま

木製の箱型モジュール「doredo(ドレド)」を使用し、暮らしに合わせて、空間をカスタマイズしながら住むしくみを考えました。このモジュールを自由に組み合わせることで、壁や収納・本棚・デスク・椅子などを、住まい手自身で作れますよ。

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未来のことなんてわからないのに、将来的に必要な部屋数や間取りを考えるのって、ちょっと大変…… それに、自分たちらしい暮らしの形は、日々変化しますよね。


この住まいではミニマルな空間を舞台に、“作る・作り直す” というプロセスが簡単にできるから、自分たちの手で家を編集しながら住み続けられます。「doredo」については、後ほど詳しくご紹介しますね。

深い緑を背負った ヴィンテージマンション

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緩やかな坂道の上に佇む、1988年竣工のマンション。広い敷地に堂々たる姿で建っている、総戸数120戸の建物です。

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どこから撮影しても、全貌を捉えきれないほどの大きさ…… 木々のトンネルの奥に、エントランスを発見しました。ご紹介する住戸が所在するのは7階。エレベーターを降りて右手に進んだ所に位置しています。

売主さま

桜の木も植わっているので、満開の時期はきれいだと思います。広大な敷地はちょっとした公園のような雰囲気があって、休日にはバドミントンをして遊ぶファミリーの姿も見かけましたよ。

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2021年5月現在、機械式駐車場(月額18,000〜20,000円)と自転車置き場(月額100〜200円)にはそれぞれ空きがあります。大通りまですぐに出られる立地なので、車を利用する方には便利そうですね。

ご覧ください この景色を!

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共用廊下から広がるビュー。あまりにも圧巻だったので、大きな写真でお見せすることにします!

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物件取材に伺った日は気持ちよく晴れており、遠くに富士山を望みました(写真では捉えきれず残念です)。そして眼下に広がる木々のあちこちからは、『ホーホケキョ』とウグイスの鳴く声が。のどかな空気に心が洗われるようです……

いよいよ住戸へ

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天井は躯体現し、床は下地でシンプルな印象。土間はギュッとまとめて、玄関まわりを広めに確保しています。

売主さま

素地の空間とはいえ、住まいとしての基本性能はしっかりと備えています。外気に触れる壁面には新たに断熱改修を実施したほか、給排水管も交換済みですよ。

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写真奥にある木の壁は、「doredo」で作ったもの。こんなふうに空間を仕切ることもできちゃいます。参考としてテーブルを置いてある辺りには、姿見やコートハンガーを設えて、身支度の場にするのもよさそう。

シンプルな ステンレスキッチン

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左・先ほどの玄関扉から視線を左へ振ると、壁付けのキッチンが。その奥にはリビングダイニング(LD)が続いています。/右・2口コンロ付きのキッチン。備え付けの収納を排した、ミニマル至極なデザインです。

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収納するモノにあわせて、キッチン下部のスペースに棚をDIYしたいですね!

リビングダイニングへ

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LDには参考として、「doredo」で作ったテレビボードや、収納を兼ねたパーティションをレイアウトしています。

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設置済みの照明だけでは、やや暗く感じる方もいらっしゃるカモ。お好みでスポットライトを追加したり、ブラケットライトやスタンドライトで照明の重なりを楽しんだりするのもいいでしょう。

もっと広々と 演出するなら

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パーティションを設けないと、こんな感じ。掃き出し窓が大きく見えて、開放感がありますね。

あなたの感性で 「doredo」を使いこなして

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モジュールは正方形だけでなく台形にも変形できるので、参考レイアウト以外にも組み合わせは無限大!

こんな組み合わせも できるんです

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こちらは、「doredo」を大胆に斜めに配置したパターン。壁でタテヨコに区切るだけでは表現できない空間が生まれ、間取りの可能性が広がります。

売主さま

「doredo」は、お子さまでも持ち運べる重さで設計しています。組み立てや分解も簡単にできるので、プロの手を借りることなく、思い付いたそのときに欲しい空間を作れますよ。

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無垢材が使われているので、空間全体が温もりのある印象になりますね。このままでも素材の味わいを楽しめますが、塗装してニュアンスを出してもよさそう!

掃き出し窓から バルコニーへ

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窓の外には、溢れんばかりの緑が。風が吹くと、波立つように木々が揺れてざわめきます。

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室外機は上部に設置されているため、バルコニーはすっきりと使えそう。

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手すりが前に迫り出すように備わっているせいか、隣戸との距離は少し近く感じました。丸見えになるほどではありませんが、お互いに配慮は必要かもしれません。


また、時間帯によってはバルコニーに日が差しづらいかもしれないので、日当たり重視派の方は午後の様子もご覧いただくことをオススメします。

室内に戻って

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左手奥に見える開口の奥へ進み、玄関横のスペースと水まわりを見てみましょう。

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左・ちなみに水まわりは、すべて住戸の中央に集約。ココを囲むように空間があるため、間取りの自由度が高いんです。扉を開けると……/右・手洗い器付きのトイレが。

どのスペースも アレンジ無限大

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「doredo」を使用して、玄関横のスペースにベッドルームを作るとこんな感じ。

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ちょっとモジュールを移動するだけで、玄関からアクセスできるようにもなります。

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カウカモアプリでご覧の方は、そのほかの写真もチェックしてみてくださいね!

洗面室と浴室をチェック

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左・シンプルな洗面台。キッチンと同じく下部がオープンになっているので、自分が使いやすいように収納をアレンジできます。/右・1216サイズの浴室。追焚き機能・暖房換気乾燥機付きです。

「大倉山」にある ふたつの商店街

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「大倉山」は、駅の東西にふたつの商店街が延びています。ひとつはご紹介した物件までの途中にある「レモンロード」(写真上)で、もうひとつは「大倉山エルム通り」(写真下)。ちなみに「大倉山」はギリシャ・アテネの姉妹都市で、商店街の建物にはギリシャ様式を意識した意匠が表れているんですよ。

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最寄りの「大倉山」から物件まではどのルートでも最短距離ですが、筆者は行き帰りで異なる道を歩いてみました。住宅街の中を歩くとかなり起伏のあるエリアですが、駅前の商店街と大通りを通るルートなら疲れませんよ。


また、物件から徒歩3分の停留所「仲谷戸」からは、「新横浜」や「鶴見」方面へ向かうバスが発着しています。徒歩や自転車だと乗り越えられそうにない方は、バス利用を検討してみてくださいね。

周辺を歩いてみました

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左上・東急東横線「大倉山」駅。改札近くにはスーパー「東急ストアフードステーション 大倉山店」があります。(徒歩15分)/右上・世界各国のコーヒー豆が揃う「TERA COFFEE(テラ コーヒー)大倉山店」。一杯ずつ丁寧にドリップするコーヒーは絶品!(1.1km 徒歩14分)/左下・「トツゼン・ベーカーズ・キッチン」は、地元で大人気のベーカリー。目玉商品は「幸せのバナナぱん」で、サクサクのクッキー生地とバナナを練り込んだやわらかなパンのハーモニーが堪らないのだとか♡(1.3km 徒歩17分)/右下・天然温泉と岩盤浴を楽しめる「綱島源泉湯けむりの庄」までは徒歩19分。フラットな道のりなので、自転車で走るにはちょうどいい距離ですね。(1.5km)

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ちなみに物件から徒歩10分の所には、ショッピングモール「トレッサ横浜」があります。スーパーやドラッグストア、書店や飲食店のほか「無印良品」や「ユニクロ」なども入っており、便利にお買い物を楽しめそうですよ!

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カウカモ編集部より

ご紹介したのは、「大倉山」の緑豊かなエリアにあるヴィンテージマンションの一室。あえて壁や収納などを設けていない「素地の空間」を、簡単かつ自由に組み合わせられる木製の箱型モジュール「doredo」で、住まい手自身が編集できる住まいです。


「doredo」は、売主さまと建築テック系スタートアップが共同開発したプロダクト。ひとりで簡単に扱えて、繰り返し使えるのがスゴいところ(ぜひ、現地で実際に触ってみてくださいね)! 内装工事をしようとすると、細部までこだわれる一方でお金や新たな建材がかかりますが、これなら経済的でサスティナブルです。


もちろん、部分的にリノベーションを加えてもOK。壊すコストが必要ない分、自分好みにする予算を多めに割けるカモ?


マンションは「大倉山」からは徒歩15分とやや距離がありますが、『歩いてよかった!』と思わせてくれる素敵さがあります。特に共用廊下から眺める緑と富士山は圧巻で、毎朝、玄関扉を開ける瞬間は爽快だろうなぁ…… と想像しました。


2017年に大規模修繕工事を実施済みで、それでもマンション全体の修繕積立金には1億4,000万円以上もの貯蓄があるというのもgoodなポイント。これからも長きにわたり、適切なメンテナンスを重ねられそうですね。


間取りに暮らしをあわせるのではなく、暮らしにあわせて間取りを考える。そして住み始めたあとも、欲しいときに欲しい空間を作って、作り直せる…… 自分の手で空間を作ることにワクワクする方や、お金や資源を大事にしながら家を育てたい方に、ぜひご検討いただきたい新しい住まいの形です。

writer / editor : 軽部 優海(一部画像提供:リビタ)