ひとつづきの空間に設けられたワークスペース

続いては、ひとつづきの空間でありながら、しっかりワークスペースと生活スペースを分けているケース。オープンタイプという点では先ほどの事例と同じですが、また一味違ったパターンをご紹介します。

1.取り払えない壁をうまく利用したワークスペース

数多の物件を見てきたカウカモ編集長・伊勢谷でさえ羨望の言葉を漏らした、日当たりと開放感。窓際のデスクで気持ちよく仕事ができそう。

こちらは、元ツクルバメンバーである建築家・日高さんの自宅兼オフィス。南向きにずらりと並ぶ窓際に、ご自身のデスクを配置しています。

壁を挟んで左手がオフィス兼リビング、右手がダイニングキッチンになっています。

今回注目すべきは、リノベーション工事の際に取り払うことができない躯体壁をうまく利用し、ゆるやかにワークスペースとダイニングを分ける “ゾーニング” のテクニック。ドアがないにも関わらず、ガラリと雰囲気が変わって見えます。来客時やミーティングの際に生活感を隠せるというメリットも。

ズラリと並ぶ南向きの窓に沿って、伸びやかに広がる約102㎡の空間をうまく活かした、建築家の腕が光るワークスペースですね。

▼記事はこちら(2018/01/16公開)
29歳の建築家が祖母から引き継ぎリノベーション! あえての “隙” を残す、富ヶ谷100㎡の家

2.クジラが横断する、生活空間との境目がない仕事場

クジラの絵は一枚一枚が扉になっており、水まわりやトイレにつながっています。仕事の来客も多いので、生活感が出るスペースをうまく隠す工夫が施されているんです。

インパクトがあるこちら空間は、建築家のご夫婦がお住まいの自宅兼オフィス。「仕事と暮らしをゆるやかにつなぎたい」という思いから、4LDKの間取りをワンルームへと生まれ変わらせています。

ご夫婦:この住まいの広さは約80m²。生活スペースとオフィスを二分割してしまうと、仕事も暮らしもそれぞれの範囲が狭まってしまいます。そのため、「暮らす」ためのスペースと「働く」ためのスペースの重なりを最大化できるプランを考えて、オフィスから寝室までゆるやかにつながるワンルームに行き着きました。

とおっしゃられているように、キッチンやダイニングは、来客時のミーティングスペースとしても使えるように設計。

北側のデスクスペースは、既存床を剥がした後のコンクリートのまま。「運河を見ながら仕事したい」という想いから、窓辺にカウンターデスクを造作したそう。

肝心のデスクスペースは北側の窓際に配置。空間同士はゆるやかにつながっているものの、仕事に必要な道具や収納はこちら側にぎゅっと詰め込んでメリハリを付けています。左手に設置されているカーテンは間仕切りの役割を果たしてくれるので、こもりたい時にも対応してくれますよ。

また、日光や風を感じられるだけではなく、大きな観葉植物を置いているのもポイント。グリーンは人の副交感神経を働かせ、リラックスさせてくれる効果があるんだとか実際に『オフィスに観葉植物を置くとストレスが減少し、生産性がアップする』という研究結果も報告されており、米大手企業Amazonのシアトル本社オフィスは、40,000本以上の植物が生息する空間になっているそう(笑)。そこまで増やす必要はないですが、デスクや書斎の近くに植物を置いてみるのもひとつのテクニックと言えるでしょう。

▼記事はこちら(2019/01/17公開)
ダイナミックなクジラが部屋を縦断! 建築家夫婦が自ら設計した、運河沿い約80㎡のワンルーム

3.男前な窓際のワークスペース

コンクリート現しの天井や壁、壁には黒いタイルを貼るなど、無骨で男前な内装。

こちらは、カウカモで物件を購入し、ツクルバの設計でリノベーションをされた男性のお住まい(現在は別のお住まいへお引越し済み)。左手の窓際に書斎を配置しています。

こちらは竣工時の写真。左手の窓際にワークスペースを配置。ワークスペース手前の壁や天井が境目になっているのがわかります。

一見、LDKの一角に設けられているだけのようにも見えますが、実は壁と天井を利用してワークスペースとLDKの境目を袖壁でゆるやかに分けているんです。ひとつづきの空間ではありますが、個室のような雰囲気になり、グッと目の前の仕事に集中できそうですね。

▼記事はこちら(2016/12/20)
黒タイルを使った大胆リノベ! ベンチャー企業で働く30代独身男性のお部屋は?

袖壁やカーテンを利用することで、半個室のような空間になり、適度なおこもり感と開放感を享受できるこちらタイプ。ご紹介したのは、設計段階から計画しないと難しいものでしたが、市販のパーテーションや合板を使って間仕切りをDIYすれば、お手製の半個室ワークスペースを室内に設けることも可能です。実際に、筆者もOSB合板と2×4サイズの木材を使って間仕切りを作ったことがあるのですが、意外と簡単にできちゃいます。ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。

さて、次はどんなワークスペースでしょうか?

土足でそのままアクセス! 玄関横のワークスペース

読んで字のごとく、玄関土間から土足でそのまま入ることができるワークスペースをご紹介! これ、意外と利便性が高いんです。

1.オンとオフを切り替えられる、土間仕様のワークスペース

イタリアを旅した時に見たマテーラの洞窟をイメージし、日当たりのよくない個室をムーディーで落ち着きのある寝室に。

『な、なんだこのセクシーすぎる空間は。イケメンはベッドで仕事をするのか?』と思った方、すみません(笑) こちらは弊社ツクルバの設計部門「architecture室」のチーフアーキテクトを務める松山の自宅にある寝室です。

一級建築士である彼が設計したワークスペースがこちら。

左・天井もコンクリート表でソリッドな印象に。/右・珪藻土仕上げの壁に、間接照明が美しい影を落とす玄関。土間の左手に見える開口から、ワークスペースにアクセスします。

室内の間仕切り壁や仕上げを全て取り払ったスケルトン状態にし、住戸の北側にワークスペースをレイアウト。玄関からつながるワークスペースは、靴のまま入れるよう床を洗い出し仕上げの土間仕様にしています。靴を履くことでオンとオフを切り替えられるんだとか。

▼記事はこちら(2020/02/12公開)
寝室のイメージはイタリア・マテーラの洞窟。陰影・素材感を活かした、ツクルバ建築士の住まい

2.お子さまを見守りながら仕事ができるワークスペース

左・L字型にデスクを造作し、ご夫婦ふたり分の仕事場を確保しています。/右・こちらも土間からそのままアクセスするプラン。

お子さまの誕生を機に、ご自宅をリノベーションされたご夫婦のお住まい。ジュエリー製作をされている奥様が作業に集中できるよう、土間続きのワークスペースを造ったそうです。

ワークスペースにある室内窓の向こう側は寝室、左奥に見えるのがLDK。

こちらの面白いところは、ワークスペースと寝室の間に室内窓を設けている点。お子さまが寝たあとに仕事をしていても、寝室の中の様子が見えるので安心なんだそうです。また、ワークスペースの窓と室内窓を開ければ、LDKまで光と風が吹き抜けるユニークな造りになっています。

小さなお子さまがいらっしゃる方や、玄関側にある窓を活かしたい方におすすめのワークスペースですね。

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長年の不満はリノベで解消!光と風の通る、家事効率が抜群な家

3.玄関横に発見! 男の憧れ “ガレージ風ワークスペース”

壁はラーチ合板を貼ったままの状態にとどめ、ラフ&シンプルな仕上げに。

設計士の旦那さまが、ご自身でリノベーション設計をしたお住まい。玄関土間からそのままつながる空間は、旦那さまの書斎兼趣味部屋になっています。写真には写っていませんが、掃き出し窓からは大きなルーフバルコニーに出ることができ、日曜大工なども可能な “男のガレージ” 的ワークスペースです。自転車置き場として活躍してくれるのも、土間仕様のいいところですね。

このパーテーションも旦那さまの手作りなんだそう。

また、このお住まいで気になったのが、LDKにある手作りのパーテーション。こちらのご家庭では、お子さまの遊び場を設けるために仕切っているようですが、ワークスペースの仕切りを手作りするのもひとつの手段です。こちらのお住まいの最大の見所は大きなルーフバルコニーですので、記事もチェックしてみてくださいね。

▼記事はこちら(2017/09/09公開)
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とても理にかなっていて、個人的にもおすすめな土間仕様のワークスペース。靴を履いていることで、オンとオフの切り替えができるのが大きなポイントです。実際、リラックススタイルのまま仕事ができてしまうというのが、リモートワークのデメリットとして上げられます。身支度をしなかったり、パジャマを着た状態では脳がオフモードのままになってしまうというデータもあるんだとか。

オフィスに出勤するような気持ちで、仕事場へ向かえるのはこのタイプの強みと言えるでしょう。また、靴を履いているので、急な仕事の用事があればそのまま現場へ直行することもできちゃいますね。

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