中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。
今回は、カウカモの「売却サポート」を通してリノベ済みの中古マンションを売却し、住み替えを果たした吉川さん夫妻(ご主人・和志さん:コピーライター/30代、奥さま・未来[みき]さん:デザイナー/30代)のご自宅を訪ねました。
昨年結婚した吉川さん夫妻。夫・和志さんはコピーライター、妻・未来さんはグラフィックデザイナーで、同じデザイン会社で働く仕事仲間でもあります。結婚前は勤務先の渋谷に通いやすい東横線沿線でそれぞれ暮らしていましたが、ふたり暮らしに選んだ街は少し離れた荻窪。築43年のマンションの一室をリノベーションして暮らしています。
■条件は「好きな飲み屋がある街」
和志さん:立地よりも、物件の良さと価格を重視して探しました。東横線沿線は通勤には便利ですが人気エリアなので、いい物件は値段が張る。納得いく家に出会いにくいんです。
と言ってもどの街でも良かったわけではなくて、荻窪や新丸子、二子玉川などピンポイントで探しました。どれも好きな飲み屋がある街で(笑)。
そろって食べ歩き・飲み歩きが趣味のふたり。荻窪を住まいの候補に入れたのも、西荻窪にある焼き鳥の名店に通っていたからなのだとか。街の落ち着いた雰囲気、吉祥寺まで2駅と便利なことも後押しに。
何より決め手になったのが、この物件との出会い。1階にあるこの部屋には緑が茂る約45㎡の庭があり、不動産サイトで写真を見た瞬間「素敵な家!」と直感したと振り返ります。
和志さん:1階の物件はセキュリティや日当たりが心配だったので、むしろ避けていたんです。でもこの庭は広くて気持ちよくて、いい感じだな、とワクワクしました。
未来さん:この庭は専有スペース(区分所有者が完全に所有物として扱えるスペース)なので、ある程度自由に使えるんです。好きな植物を植えたり菜園にしたりしたら、楽しそうだなと思いました。
建物は築43年。外観やエントランスからもレトロな雰囲気が漂ってくる2階建ての低層マンションです。
さらにこの物件は、敷地や共用部の管理業務を管理会社に委託せず、すべて管理組合で行う「自主管理」という管理方法を採用している点が特徴。その分価格は安いですが、住み手の役割も比較的大きくなります。
和志さん:たとえばゴミ出し当番が回ってきたり、共用部を集まって掃除したり。前のマンションも自主管理物件でしたがそこまで負担ではなかったし、自然と近所付き合いが生まれるのは、むしろいいところだと思います。
■人生2度目のリノベーションへ
実は家探し開始当初は、リノベーション済みの部屋を購入し、工事せずそのまま暮らそうと考えていたふたり。しかしいざ内見してみると、リノベ済み物件は個性豊かな反面、しっくりこない部分も多かったと言います。
和志さん:以前の住み手のこだわりが詰まっている分、例えば「どうしてここに棚を作ったんだろう?」など気になるポイントが多くて。やっぱり思い通りにリノベした方が楽しいだろうな、と思うようになりました。以前リノベした時も、すごく楽しかったから。
28歳の時に中古マンションを購入・リノベして暮らしていた和志さん。今回が人生で2回目のリノベーションなのです。
こちらが以前住んでいた祐天寺のマンション。窓が多く、風が吹き抜ける環境がとても気に入っていました。
和志さん:当時は、雑誌などで少しずつリノベーションが紹介され始めた頃です。僕は学生時代から「東京R不動産」が好きで、更新されるたびチェックするのが習慣になっていたんですが、ある日たまたま見つけた祐天寺の物件が、当時28歳の僕でも買えるような価格で。「ひょっとしたら」と問い合わせたらトントン拍子で進んでいって、リノベに至りました(笑)。
人生初の家購入、そして初リノベ。そんな思い入れの詰まった住まいは最上階の角部屋で、窓の外には気持ちのいい眺望が広がっていました。
玄関を入ってすぐの位置にキッチン。スチールサッシも気に入っていたポイントでした。「古くてボロボロだったけど(笑)、新しいマンションにはない味わいがありました」
この時リノベーションのディレクションをしたのは、toolboxの一杉伊織さん。二人三脚でイメージを形にしていく過程は、「ものすごく楽しかった」と和志さん。完成時には「あのマンションがこう変わるのか!」と感動したそう。
和志さん:進め方も建築のことも何ひとつ分からない状態でしたが、プロにおまかせでなく、力を貸してもらいながら僕が好きなものをコラージュしていった感覚です。テーマは「独身最後の家」(笑)。すごく楽しくて、一杉さんとの出会いは運命だったと思いますね。
■住み替えは「先に売却」が鉄則だった!
思いが詰まった住まいで5年ほど暮らした和志さん。未来さんも遊びに訪れるうちリノベ空間に惹かれていきましたが、ワンルームゆえ、ふたりで暮らすにはやや手狭。住み替え前提で物件探しをスタートしましたが、祐天寺のマンションが気に入っていたため「いい物件が見つかったら引っ越そう」とのんびり構えていたそう。
和志さん:物件を探しつつ、今のマンションを売るなら「カウカモ」がいいのかな、と連絡してみたんです。リノベ済み物件に特化しているし、物件を素敵な記事にしてくれるのも興味があって。するとカウカモの営業担当の方に『先に今のマンションを売却しましょう!』と言われ、あ、そういうものなのか!と(笑)。
安定を求めると「いい物件が見つかってから売却に取り掛かろう」と考えがちですが、ローンなどの資金計画上、売却のめどが立っていた方が有利。売却による利益を見込んだうえで、購入計画を立てるのが理想的です。不動産購入は流動的でスピードが求められるため、物件が見つかってから売却を始めても、めどが立つ前に物件が他の人に取られてしまう可能性も大。
和志さん:すぐにカウカモ取材チームが取材に来てくれました。素敵な記事のおかげで、掲載から2週間で売却ができたんです。
カウカモ担当エージェント・大川:記事公開後すぐに問い合わせが続いて、週末5~6組を内見にご案内しました。最終的に10組ぐらいが購入を検討された人気物件でしたね。
売却と並行して、カウカモを窓口に物件探しも続行。ふたりの条件や好みを分かっている担当の大川に売買を一任することで何度も説明する手間が省け、情報も管理しやすかったそう。
新しい物件は時間をかけて探したいと考えていましたが、予想より早く現在の物件に出会い、購入を決断します。
和志さん:2017年の4月末に前の家の売却が決まり、1ヶ月以内にこの物件を契約しました。その間は本当に慌ただしくて、大川さんとのチャットでのやり取りも膨大でしたね。「今は売却の話をしてるのか? 購入の話をしてるのか?」と混乱するぐらい(笑)。綱渡りのような状況がうまくいったのは、大川さんの柔軟でスピーディーな対応のおかげです。この家も、大川さんの交渉のおかげで安く買えました。
カウカモエージェントの大川とのやり取りでは、カウカモオリジナルアプリのチャット機能が役立ちました。「これがなければ短い期間での売買は厳しかったでしょうね」とおふたり。
■リノベは「優先順位をつけること」がカギ
祐天寺の家の売却で利益が出たため、リノベ費用に充てることにしたふたり。物件費用とリノベ費用を足しても、ほかで検討していたリノベ済みマンションより安く、月々のローン支払い額も以前より下がったのだそう。
キッチンは移設し、料理しながらダイニングの人と会話できる配置に。
寝室はクローゼットの扉を生かし、床は足音が立ちにくく落ち着けるサイザル麻敷きに。
和志さん:リノベは『ここはこだわる、ここは変えない』と線引きすることで、コストを抑えることができると思います。たとえば家具のランクは多少落としてもそこまでかっこ悪くならないし、下駄箱もシンプルなデザインにして、家具専門業者でなく現場の大工さんに作ってもらうことでコストを下げるなど工夫しました。
奥に見えるのが玄関。もともと廊下だった部分を土間に変更し、自転車を入れられる広い玄関に。下駄箱はリーズナブルな合板を使い、シンプルなデザインでコストカット。玄関ドアは共用部のためそのままですが、レトロなデザインが味わいに。
今回もリノベは一杉さんに相談。もとの間取りは1LDKでしたが、将来の子ども部屋を考えて2LDKに変更しています。
個室のひとつは現在ゲストルーム兼ゲーム用のこもり部屋に。イエローのカーペットが鮮やかです。
和志さん:初めてリノベした時は勢い重視でしたが(笑)、今回はあらかじめ細部まで詰めて考えました。自分たちでtoolboxのショールームに足を運んだり、デザインソフトで平面図を作って家具を置いてみて、壁を作るならここまでかな? と検討したり。
キッチンは、一杉さんのアイデアで通常はテーブルに使うtoolboxのアイアン製脚部にステンレスの天板を組み合わせました。
祐天寺の家で「いつかキッチンにDIYでタイルを貼ろう」と思いつつ実行に至らなかった反省を踏まえ、toolboxのタイルをセレクト。「あえて売れ筋ではない色を選びました」。目地の色はシックなグレーに。
和志さん:以前の家は僕の「好き」満載の空間でしたが、そこに妻の「好き」が入ってきた感じです。
未来さん:家づくりの中で、お互いのこだわりが見えてきたのが印象的でした。私が譲れなかったのはフローリングです。夫は家具に予算をかけたい派でしたが、床は後からなかなか変えられないし、いいものにしたくて。『床は投資』が合言葉でした(笑)。
フローリングはビンテージ加工のオーク材。「ショールームで実際に見たらすごく良くて、ほぼ即決しました」と和志さん。
ゆったり広い洗面脱衣室。「テーブルやカウンターの天板は住まいの顔になる」との一杉さんの助言で、カウンターには無垢材を使用。
カーテンレール上に合板を乗せるのは一杉さんのアイデア。ものを飾るスペースになるだけでなく、低めのサッシに対し視覚的なバランスも良いのです。
ふたりがこだわり、「一番のお気に入り」と話すのが、LDKの一角の書斎スペース。普段から家で仕事することがあるほか、将来的にリモートワークも考えて作ったスペースです。
壁面の棚も左が未来さん、右が和志さんでゆるく使い分けているそう。未来さんの椅子は、会社から結婚祝いで贈られた「PACIFIC FURNITURE」のもの。飾り棚に並ぶレコードは「ジャケ買いが多い」そう。
和志さん:前面の壁はDIYでペイントしました。どこかに自分の手を入れると愛着がわくよ、と一杉さんにアドバイスされたのもありましたが、やっぱり一番好きな場所になりましたね。以前の家もペイントしてみたかったけれど忙しくてできなかったので、すごく嬉しい。
使ったのはオーストラリアの塗料メーカー、ポーターズペイントの製品。DIY向けの講習を受けてふたりで塗りました。
■リノベを考えている人へアドバイス
最後に、30代にしてリノベを2回(!)経験している和志さんにアドバイスをもらいました。
「好きな飲み屋がある街」に住みたいだなんて、家を買う理由としては不真面目に聞こえるかもしれませんが(笑)、きっかけにはなると思います。一生に一度の住まいだからと考えすぎず、時にはえいっと買ってしまうノリも大切なんじゃないかな。善は急げ、です。ただ、将来売却する可能性を考えて、売れやすい立地を選んだ方がいいと思います。
情報をきちんと集め、信頼できる不動産や設計のパートナーに任せつつ、時には勢いも大切に。住み替えは、まさに一人ひとり違うドラマなのかもしれません。
ーーーーー物件概要ーーーーー
〈所在地〉東京都杉並区
〈居住者構成〉ご夫婦
〈間取り〉2LDK
〈面積〉69.72㎡ + 庭 45.12㎡
〈築年〉築42年
〈リノベーションディレクション〉toolbox
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リノベ済みマンションを売却して目黒から世田谷へ。縁とタイミングを引き寄せた愛ある住み替えプロジェクト
取材・文:石井妙子/撮影:廣川かりん・國保まなみ/編集:國保まなみ
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