不動産売却には住民税がかかる?課税タイミングや支払い時期について解説
お金の話
不動産を売却すると、売却金額によっては住民税を納めなければならないことがあります。物件が高値で売れてほっとしていたら、思わぬ金額の納税通知を受け取って慌てた経験がある方がいるかもしれません。
不動産売却ではどのような場合に住民税の対象になるか、住民税の対象になるとすれば税額はどれくらいになり、いつ支払うことになるのか、あらかじめ基本を押さえておくと安心です。
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不動産売却時に住民税はかかるのか
住民税とは、ご自身が住んでいる都道府県や市区町村に納める地方税で、自治体が提供するサービスを地域住民のひとりとして負担するものです。
住民税には「個人住民税」と「法人住民税」がありますが、この記事では個人が負担する「個人住民税」の解説をします。
住民税は1月1日時点に住所地のある自治体に対して支払い、前年1月1日から12月31日までの所得に応じて税額が決まる税金です。所得に関わりなく対象者全員が一律に同じ金額を収める「均等割」と、前年の所得に応じて金額が変わる「所得割」から成り立っています。
所得割の税率は10%で、均等割は一般的に都道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円となっています。
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不動産売却時に利益が出れば住民税を納める
不動産売却をして収入を得たからといって、必ず住民税を課されるわけではありません。実際、土地や建物などの不動産を売却しても、住民税を納める必要がないこともあります。
先ほどお伝えしたとおり、住民税は前年1年間の所得に対して課税されます。ただし、この「所得」とは、不動産売却による収入そのものを意味するのではなく、売却にかかった諸経費などを差し引いた利益を指します。
不動産売却時に住民税の対象となる利益は「譲渡所得」と呼ばれ、「売却価格(譲渡価額) - 諸経費(不動産の取得費 + 譲渡にかかった経費) - 特別控除」で計算されます。
特別控除とは、一定の要件のもと適用される譲渡所得の特例のことで、例えばマイホームを売った際には最高3,000万円が控除されます。
つまり、諸経費が売却価格を上回れば利益はマイナスになるので、住民税はかかりません。
諸経費には不動産の取得費などの大きな金額も含まれるため、売却価格によっては住民税の課税対象外になることはおおいにありえます。
逆に、諸経費や特別控除を差し引いても利益が出ているのであれば、住民税を納めることになります。
不動産売却時にかかる税金は住民税と所得税
不動産売却時の利益(譲渡所得)が出たときにかかる税金には、住民税のほか、所得税(特別復興所得税)があります。
所得税は住民税と同じく、前年1年間に得た個人の所得に対してかかる税金です。また、2037年までは所得税額の2.1%が、東日本大震災の復興費用の財源を目的に「特別復興所得税」として加算されます。
不動産売却で利益が出た翌年には、確定申告を行う必要があります。不動産の譲渡所得を含む所得全般を明らかにして、決定した所得税を納付します。このとき、確定申告のデータが自治体と共有されるため、確定申告と同時に住民税の申告も完了します。
サラリーマンの給与所得は通常、会社が年末調整で申告と納税を個人に代わって行います。しかし、不動産売却で得た譲渡所得は給与所得や事業所得などとは区分されるため、年末調整では申告できず、確定申告が必要です。
また、分離課税の性質上、不動産売却で赤字が出ても譲渡所得とほかの所得とで損失を相殺できないので注意が必要です。
不動産売却時の住民税の税率
不動産売却時の利益(譲渡所得)が出たときに納める住民税は、一定の税率をかければ簡単に計算できます。
ただし、住民税の税率は物件を所有した期間によって、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2パターンに分かれることを覚えておきましょう。どちらの税率に該当するかは、不動産売却を行った年の1月1日時点で判断される点に注意が必要です。
それでは、住民税の計算に必要なふたつの税率をそれぞれお伝えします。
所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得)の住民税
売却する物件の所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得になります。
税率は、住民税9%(都道府県民税3.6%、市町村民税5.4%)、所得税30%、復興特別所得税として所得税額の2.1%です。
例えば、物件を売却して500万円の短期譲渡所得を得た場合、住民税は「500万円 × 9%= 45万円」で計算されます。
所有期間が5年以上の場合(長期譲渡所得)の住民税
売却する物件の所有期間が5年超になると、長期譲渡所得に該当します。
税率は、住民税5%(都道府県民税2%、市町村民税3%)、所得税15%、復興特別所得税として所得税額の2.1%です。
先ほどと同様、500万円の利益があったときに長期譲渡所得で計算すると、住民税は「500万円×5%=25万円」となります。
所有期間によって税率が大きく変わる点に注意
上記のとおり、短期譲渡所得と長期譲渡所得は、住民税の税率に4%、所得税の税率に15%の差があります。つまり、5年超の所有期間なら約20%で済む税率が、5年以下だと約40%となり、支払う税金がおよそ2倍になります。
物件を売却した年の1月1日が基準となるので、実際には売却までに5年以上の所有期間があっても、税法上は5年以下と判断されることがあります。
極端な例でいえば、売却日が12月31日か1月1日かどうかで、税率が20%も変わる可能性も考えられます。
不動産売却で得た利益が大きければ大きいほど、支払う税額も増えます。たった1日の売却日の違いで、税金の支払いが困難になる可能性もあるので、短期譲渡所得か長期譲渡所得のどちらになるのか売却前に確認しておきましょう。
不動産売却時の住民税が課税されるタイミング
先ほどもお伝えしましたが、確定申告をすると前年の所得とそれに応じた所得税が決まり、申告期間中に所得税の納付(あるいは還付)も行うことになります。
また、自治体とのデータ共有から住民税の金額も同時に決定され、各自治体から住民税額が通知されます。
確定申告は、不動産売却で利益が出た年の翌年、原則2月16日から3月15日までの1か月間に行います。
前年の何月に物件を売ろうとも、所得税の申告時期は変わらないため、売却時期によっては1年以上たってから税金を納付する方もいるかもしれません。
住民税も所得税も不動産売却の翌年に納付とあって、収入を得てから税金を支払うまでにタイムラグが生じます。忘れた頃に請求されると慌てたり戸惑ったりする原因にもなるので、納税を終えるまでは課税のタイミングをしっかり把握しておきましょう。
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不動産売却時の住民税の支払い方法・時期
所得税は確定申告の期間中に納付しますが、住民税の支払い方法と時期は2パターンに分かれます。
会社から給与を受け取っている会社員は、「特別徴収」によって住民税を支払います。
特別徴収は、個人に代わって会社が住民税を納める方法です。毎年5~6月頃に会社から住民税額が通知され、その後、毎月の給料から12回に分けて住民税が天引きされます。
一方、給与所得のない個人事業主などの場合は、「普通徴収」で住民税を納付します。
普通徴収は、5月頃に送られる納税通知書に税額が記載されており、1回で全納あるいは年4回の分納のいずれかの方法で支払います。
1回あるいは4回で納める普通徴収のほうが、ある程度まとまったお金を用意しておく必要があるといえます。また、確定申告にあわせて納付する所得税より、さらに数か月遅れたタイミングでの納税となるので、手元に納税用の現金を残しておくと安心です。
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不動産売却にかかる住民税は支払い時期に気をつけて
不動産売却では、物件が売れて実際に手にした収入ではなく、諸経費などを差し引いた利益に対して住民税や所得税がかかります。
通常、住民税の申告は不要です。不動産売却の翌年、所得税の申告と納付のための確定申告をすると、同時に住民税の申告も終わります。
住民税は地方自治体から課される税金なので、各自治体から税額の通知書が届いたあとに納税します。
ここで注意したいのが、住民税を支払う時期です。所得税は不動産売却で利益を手にした翌年の2~3月ですが、住民税の税額通知はさらにその2~3か月後と時期が大きくずれます。住民税の支払いをすっかり忘れていたとならないように気を付けましょう。
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