
住宅ローンの事前審査(仮審査)とは?

本審査との違い
住宅ローンを利用する際には、まず「事前審査(仮審査)」を行う必要があります。事前審査は、購入希望者の収入や返済能力、信用情報を基に、融資が可能かどうかを金融機関が判断するためのものです。
事前審査は購入予定の物件の契約が決まっていない段階で行われますが、購入計画を進める上で重要なステップです。事前審査に通過すれば本審査に進みやすくなりますが、もし通過できない場合、本審査を受けることができないため、しっかりと準備をしておくことが大切です。
なぜ購入前に事前審査が必要なのか?
物件の申し込み契約時に「購入可能な予算」の確定が求められる点が挙げられます。購入者にとっても、事前審査を受けることで購入可能な物件の範囲が明確になり、無理のない資金計画を立てやすくなるというメリットがあります。
事前審査の流れ

事前審査の大まかな流れ
事前審査は以下のステップで進められます。
審査期間の目安と注意点
事前審査の期間は、通常は数日から1週間程度ですが、金融機関や申込状況によって前後することがあります。購入スケジュールに締切がある場合は、余裕を持って申し込みましょう。
スムーズに審査を進めるためには、必要書類を事前にそろえ、正確な情報を提出することが大切です。特に収入証明や信用情報に関する書類に不備があると、審査が長引く可能性があるため、事前確認をしっかり行って準備しておくと安心です。
事前審査に必要なもの

必要書類の一覧
事前審査には、いくつかの基本的な書類が必要です。代表的なものは以下の通りですが、詳細は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
- 本人確認書類:運転免許証やパスポートなどの身分証明書
- 収入証明書:給与所得者の場合は源泉徴収票、個人事業主の場合は確定申告書など
- 物件情報:購入を検討している物件がある場合は、概要資料や売買契約書の写し
- その他:既存の借入がある場合は、その明細書や返済計画書
これらを早めに準備しておくと、審査をスムーズに進めやすくなります。
審査に通るためのコツ

安定した収入の証明
住宅ローンの審査では、収入の安定性が重視されます。勤続年数が長いほど信頼性が高いと評価されやすいため、転職を検討している場合はタイミングに注意が必要です。
個人事業主やフリーランスは、過去数年分の確定申告書や収入の継続性を示す資料を準備しておくと安心です。収入証明が難しい場合は、ペアローンを利用したり、夫婦・親子で収入を合算する方法もあります。
クレジットカードや借入の整理
住宅ローンの審査では、他の借入状況も重要な判断材料となります。クレジットカードのリボ払いや分割払いの残高、マイカーローンや教育ローンなどの返済額は、返済負担として計算されるため注意が必要です。
特にカード利用残高が多いと「返済余力が少ない」と判断される場合があるため、審査前に可能な範囲で清算しておくと良いでしょう。リボ払いや分割払いを完済して返済比率を下げれば、審査の印象が改善される可能性があります。
複数のローンを抱えている場合は、残高を整理したり、一部を早期返済して借入総額を減らすことで、信用評価を高めやすくなります。
自己資金(頭金)の準備
自己資金が多いほど、借入金額が抑えられ、金融機関にとってリスクが低い申込者と見なされやすくなります。一般的には物件価格の10~20%が目安とされており、例えば5,000万円の物件なら500万~1,000万円程度が望ましいラインです。
頭金を用意することで審査を有利に進められるだけでなく、毎月の返済額や総返済額の軽減にもつながります。ただし、全てを頭金に充ててしまうと、引っ越し費用やリノベーション費用、生活予備資金が不足するリスクもあります。購入後の出費や万が一に備え、バランスの取れた資金計画を立てることが大切です。
マンション購入時のリノベーション費用も考慮しよう

リノベーション費用を住宅ローンに組み込む方法
中古マンションを購入する際、リノベーション費用をあわせて借りられる「一体型ローン」を利用できる場合があります。
このローンを使えば、物件購入資金とリノベーション費用をまとめて融資を受けられるため、手続きがシンプルになり、返済計画も立てやすくなります。
ポイント:
- リノベーションのプランや見積もりを事前に作成し、金融機関へ提出する必要があります。
- 購入費用とリノベーション費用の合計が、借入上限額の範囲内であることが条件です。
メリット:
- 別途リノベーションローンを組むよりも金利が低くなる場合がある。
- 融資が一括のため、資金計画を立てやすく、予算オーバーを防ぎやすい。
事前審査が通らないケース

収入に対して借入希望額が多すぎる
あたり前のことですが収入に比べて過大な借入を希望すると、審査に通りにくくなります。一般的に住宅ローンの返済負担率(年間返済額 ÷ 年収)は30~35%程度が目安とされており、これを超えると金融機関からリスクが高いと判断されやすくなります。無理のない借入額を把握し、計画的に進めることが大切です。
信用情報に問題がある場合
過去の返済遅延や債務整理の記録が残っていると審査で不利になります。事前に信用情報を開示して確認し、未払いがあれば解消してから申請すると安心です。
物件の担保価値が低い場合
住宅ローンは物件を担保に融資されるため、担保評価が低いと希望通りの融資が受けられない場合があります。物件選びの際には担保価値も意識しましょう。
年齢による制約
住宅ローンは完済時年齢に上限(例:80歳未満)が設定されていることが多く、年齢が高いほど返済期間が短くなります。その結果、月々の返済額が増え、審査が厳しくなるケースがあります。対策としては、返済期間を短く設定する、頭金を多めに入れる、配偶者とのペアローンを活用するなどがあります。
年齢による制約
住宅ローンは完済時年齢に上限(例:80歳未満)が設定されていることが多く、年齢が高いほど返済期間が短くなります。その結果、月々の返済額が増え、審査が厳しくなるケースがあります。対策としては、返済期間を短く設定する、頭金を多めに入れる、配偶者とのペアローンを活用するなどがあります。
住み替えの場合
すでに住宅ローンを返済中で、新たに住み替え用のローンを組む場合、二重ローン状態になるため審査が厳しくなります。対策としては、既存のローンを繰上返済して残債を減らす、または「住み替えローン(買い替えローン)」を活用して既存ローンをまとめる方法があります。ただし、利用条件や金利は金融機関によって異なるため、事前に確認が必要です。
審査通過に向けた事前準備のポイント
これらを準備しておけば、審査をスムーズに進めやすくなり、希望条件に近いローンを組める可能性が高まります。
プロのサポートで安心の住宅購入を
住宅ローンの審査には専門的な知識が必要になる場面も多く、一人で判断するのは不安を感じやすいものです。プロに相談すれば、複雑な手続きや条件の比較をスムーズに進められ、自分に合った選択肢を見つけやすくなります。迷ったときや不安があるときは、不動産会社や金融機関の担当者に相談してみると安心です。
「カウカモ」では、中古・リノベーション住宅の中から、“あなたらしい暮らし”を叶える「一点もの」の住まいをご紹介しています。お金周りの不安を解消するセミナーなども開催しているので、住まい探しの際はぜひご活用ください。


中古・リノベーションマンションの流通プラットフォームに関する知識をわかりやすく提供するため、カウカモ(cowcamo)で日々勉強中。築古マンションの魅力とリノベーションのメリット・デメリットについて深く学び、読者の皆様が最適な選択をできるようサポートしたいと考えています。最新の住宅トレンドや資産価値の維持に関する情報も発信していくので、ご期待ください。

日本大学理工学部建築学科卒。大手住宅メーカー勤務を経て、外資系生命保険会社に転職。住宅購入に特化したファイナンシャルプランナーとして、多くのセミナーや個別相談依頼を受ける。2021年にはファイナンシャルプランナーの育成研修・派遣を行う会社を起業し、代表就任。住宅購入に関するセミナー年間50件、個別相談は年間150~200件、累計相談件数が2000件以上の実績がある。