
住宅購入を考え始めたとき、多くの人が気になるのが「自分はいくらまで借りられるのか?」という住宅ローンの借入可能額です。けれど、本当に大切なのは、無理のない範囲で返していける金額を把握すること。将来を見据えた資金計画を立てることが、安心して住まい探しを進める第一歩です。
この記事では、住宅ローンの借入可能額の基本から、年収別の目安、借入額を増やす方法、リノベーション費用との関係、そして注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。住まい選びを自分らしく、そして堅実に進めたい方に向けて、知っておきたい情報をまとめました。
借入可能金額とは?

借入可能金額とは、住宅ローンで金融機関が設定する、借入可能な上限金額のことです。ローン審査では、以下のような要素を総合的に見て判断されます。
- 収入:年収は返済能力の基準となる、最も重視される要素です。
- 返済負担率:年収に対する年間返済額の割合で、金融機関によって異なりますが、30~35%が目安とされています。
- 借入期間(返済期間):多くの場合、35年が上限となります。期間が長いと月々の返済額は抑えられますが、総返済額は増える傾向があります。
- 金利負担:固定金利か変動金利かによって、長期的な返済負担が変わります。
- 年齢:年齢が高いと返済期間が短くなるため、借入可能額に制限が出る場合があります。
- 勤続年数:一定の勤続年数があれば、安定した収入とみなされやすくなります。
- 他の借金:既存の借金がある場合、その返済負担も含めて審査されます。
金融機関はこれらの情報をもとに、「審査金利(審査時に想定される金利)」を使って返済能力をチェックします。たとえば、実際の金利が1%であっても、審査では2%以上の金利で計算する場合もあります。この審査金利が返済負担率に与える影響を理解しておくことが、計画的な資金設計につながります。
収入別の借入可能金額参考例

ここでは、年収ごとの借入可能額の一例をご紹介します。実際の金額は、年齢や勤務状況、他の借入状況、金利や返済年数などによって異なりますので、あくまで目安としてご覧ください。
住宅ローンのシミュレーションを行う際は、「みずほ銀行の住宅ローンAI診断」や「フラット35のローンシミュレーション」など、金融機関が提供するツールの活用がおすすめです。
※試算条件によって結果は大きく変わるため、正確な金額を知りたい場合は金融機関のシミュレーションをご活用ください。
購入可能な限度額をあげるには?

頭金を増やす
借入可能額を増やす方法だけでなく、借入額そのものを減らす工夫も有効です。たとえば、頭金を多めに用意することで、月々の返済額を抑えることができ、無理のない資金計画につながります。さらに、金融機関によっては頭金の額に応じて金利優遇を受けられる場合もあり、条件面でも有利になることがあります。
ペアローンを活用する
ペアローンは、夫婦やパートナー同士がそれぞれの名義で住宅ローンを組む方法です。2人分の収入を合算して借り入れができるため、単独でのローンよりも借入可能額が増える可能性があります。共働きで住宅購入を検討している方にとって、選択肢のひとつとなるでしょう。ただし、ローン契約が2本になるため、手続きや手数料が通常よりも増える点には注意が必要です。
リノベーション費用の計画

中古マンションの購入とあわせてリノベーションを検討している場合は、物件の購入費用に加えて、リノベーション費用も含めた総予算を考えておくことが大切です。たとえば、購入価格が3,000万円、リノベーション費用が500万円であれば、総額は3,500万円となります。
これらの費用をすべて住宅ローンに含めることも可能で、その場合は「リノベーション一体型ローン」の利用を検討してみるのも一案です。これは、物件の購入費用とリノベーション費用をまとめて借り入れ、一本化して返済できる仕組みで、資金管理がしやすくなるというメリットがあります。
借入の注意点

返済可能額
住宅ローンを検討する際は、「どれだけ借りられるか」よりも、「どれだけ無理なく返していけるか」を基準にすることが重要です。将来の収入や支出の変化も見据えて、余裕のある返済計画を立てましょう。
借入期間
借入期間を長く設定すれば、月々の返済負担は軽くなりますが、支払総額は増加する傾向があります。自身の年齢や退職時期とのバランスを考慮して、無理のない返済期間を選びましょう。
金利タイプ
住宅ローンには、変動金利型、固定金利型、固定期間選択型などがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ライフスタイルや将来の金利動向をふまえて、自分に合った金利タイプを検討することがおすすめです。
諸費用
住宅ローンの契約には、事務手数料・保証料・火災保険料などの費用がかかります。また、不動産購入時には登記費用や各種税金といった初期費用も必要です。こうした総費用を事前に把握しておくことが、資金計画の精度を高めます。
金融機関
金利や手数料、サービスの内容は金融機関によって異なります。複数の金融機関を比較検討し、自分にとって条件の良い金融機関を選ぶことが、安心につながります。
事前審査
住宅ローンの検討を進める前に、事前審査を受けておくと借入可能額の目安が把握できます。なお、事前審査を通過しても本審査で否決される場合があるため、余裕を持った資金計画を心がけましょう。
借入可能額よりも返済可能額に注意しよう

住宅ローンは、多くの方にとって大きな金額を扱う長期の契約です。そのため、不安を感じるのは自然なことですが、正しい情報をもとに、自分に合った条件で無理のない返済計画を立てることで、安心して住まい選びを進めることができます。
大切なのは、「どれだけ借りられるか」ではなく、「どれだけ返していけるか」という視点です。自分らしい暮らしのイメージを持ちながら、少しずつでも計画的に準備を進めていくことが、納得のいく住まい選びにつながります。
住宅ローンは、暮らしを支える心強い存在です。将来のライフプランもふまえながら、自分にとってちょうどよい選択を見つけていきましょう。
「カウカモ」では厳選した中古・リノベーション物件を紹介しています。ローンや資金計画に悩んでいる方に向けて「セミナーの開催」や「個別の相談」なども実施しています。住宅購入についてお悩みの方は、ぜひカウカモの利用を検討してみてくださいね。

中古・リノベーションマンションの流通プラットフォームに関する知識をわかりやすく提供するため、カウカモ(cowcamo)で日々勉強中。築古マンションの魅力とリノベーションのメリット・デメリットについて深く学び、読者の皆様が最適な選択をできるようサポートしたいと考えています。最新の住宅トレンドや資産価値の維持に関する情報も発信していくので、ご期待ください。

日本大学理工学部建築学科卒。大手住宅メーカー勤務を経て、外資系生命保険会社に転職。住宅購入に特化したファイナンシャルプランナーとして、多くのセミナーや個別相談依頼を受ける。2021年にはファイナンシャルプランナーの育成研修・派遣を行う会社を起業し、代表就任。住宅購入に関するセミナー年間50件、個別相談は年間150~200件、累計相談件数が2000件以上の実績がある。