
はじめに:建築士との初回打ち合わせが大事な理由
建築士との初回打ち合わせは、理想の住まいづくりに向けた最初の一歩です。この時間を通じて、あなたの思い描く暮らしや住まいの課題を建築士と共有し、リノベーションの方向性を一緒に描いていきます。
打ち合わせを充実したものにするために、事前に以下のような内容を把握しておくと安心です。
本記事では順を追って説明するので、是非参考にしてください。
準備フェーズ:考えておきたいこと

理想の住まいを形にするには、あなたの要望を、建築士がイメージのしやすい形で伝える必要があります。「なんとなくこうしたいけど……」という漠然としたものでも打ち合わせは進められますが、具体的なイメージを持って伝えられると、さらにスムーズになります。
現状の課題を整理しておく
リノベーションを進めるにあたっては、まず「今の住まいで感じている不便さ」や「改善したいポイント」を整理しておくことが大切です。アイデアが漠然としていてまとまらない方は、以下のように部屋ごとに課題をまとめておくのがおすすめです。
また、伝えにくい内容がある場合は、住まいの写真や間取り図を用意しておくと、イメージを共有しやすくなります。
理想の暮らしを具体化する
現状の課題を整理できたら、次は「どんな暮らしを実現したいか」を考えてみましょう。リノベーション後の理想像をできるだけ具体的にイメージすることで、プランづくりがぐっとスムーズになります。
優先順位をつける
すべての希望をかなえるのが難しい場合もあるため、「絶対に実現したいこと」と「できれば取り入れたいこと」を分けておくと、設計士との打ち合わせがスムーズになります。
予算や物件の制約を踏まえた柔軟な相談ができるように備えておきましょう
マンション特有の制約を理解する
中古マンションでは「専有部分」と「共有部分」の制約があり、たとえば窓サッシや玄関ドア、構造壁の変更には制限があります。
設計士と話す前に、管理規約や建物の構造に目を通しておくと、リノベーションの自由度を正しく理解できます。
打ち合わせで伝えること

打ち合わせの際には、好みの雰囲気が伝わる画像や写真を用意しておくのもひとつの手です。(インテリアに限らず、好きなイメージの共有で大丈夫です)
素材や色の好みについてもあわせて共有しておくと、理想のイメージをより具体的に伝えられるでしょう。
また、各部屋の用途や希望する広さ、家族構成、ペットの有無など、生活スタイルに関する情報も検討する際の参考になります。
デザインや間取りのイメージ
インテリア雑誌やSNSで見つけたお気に入りの事例を共有するのもおすすめです。
たとえば、「このリビングの開放感が好き」「このキッチンのレイアウトが理想」といったポイントをピックアップしておくと、細かなニュアンスまで伝えやすくなります。
必要な機能性・家族構成
「リビングは20㎡以上ほしい」「在宅勤務用に静かなワークスペースが必要」など、各部屋の用途や広さに関する希望も具体的に伝えておきましょう。
また、ご家族の人数や年齢、ペットがいる場合はその情報も共有しておくと、将来を見据えた間取り提案がしやすくなります。
「子どもが成長したときに対応できるようにしたい」や、「猫がのびのび遊べるスペースを作りたい」など、日常の暮らしに直結する希望を伝えておくとよいでしょう。
すべての希望が必ず反映できるとは限りませんが、優先順位を整理しておくことで、設計士との打ち合わせがより実りあるものになります。
どんな小さなことでも構いませんので、「これが叶ったら嬉しい」という思いを気軽に共有してみてください。
実務面の確認

リノベーションのプランを考えるうえで、物件の状態や法的な制約は重要な要素です。
中古マンションを購入してリノベーションを行う場合、こうした情報は通常、不動産会社や施工会社が整理してくれますが、施主としても 「どこが変更できて、どこができないのか」 といった基本的な内容を知っておくことで、打ち合わせがよりスムーズになります。
以下のような項目に、ざっくり目を通しておくのがおすすめです。
補足・チェックポイント
間取り図
壁の位置や設備の配置が記載された現状の間取り図。希望する変更箇所を図面にマークしておくと、打ち合わせ時にイメージが共有しやすくなります。
物件の写真
室内や外観、敷地の状態がわかる写真。特に老朽化が気になる箇所や改修希望の部分には、簡単な補足メモを添えると効果的です。
共用部・管理規約(マンションの場合)
管理規約により、窓サッシや玄関ドア、配管スペースなどの改修に制限があることがあります。共用部分に関わる工事は、事前に管理組合への確認が必要です。
予算感とタイムライン
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建築士との初回打ち合わせでは、予算や工期に関する希望をあらかじめ整理して伝えておくと、スムーズに計画を進められます。
情報を具体的に共有することで、理想の住まいづくりの方向性が明確になり、打ち合わせもより実りあるものになります。
予算の上限
「トータルで1,000万円以内に抑えたい」といった目安でもかまいませんので、あらかじめ予算感を伝えておきましょう。
この情報をもとに、設計費・施工費・諸経費(仲介手数料、登記費用など)を含めた全体の予算案が調整され、現実的なプランを検討しやすくなります。
希望の工期
「いつまでに完成させたい」「どのタイミングで入居したい」といったスケジュールも、早めに相談しておくと安心です。
たとえば、「子どもの新学期までに引っ越したい」「半年以内に引き渡しを希望する」など、具体的な事情がある場合は、設計や工事スケジュールの調整に役立ちます。
将来的なプラン

住まいを計画する際は、将来のライフステージの変化や物件を売却する可能性も視野に入れながら、設計を考えてみるのも一つの方法です。
家族構成や生活スタイルの変化に対応できる工夫や、普遍的なデザイン・柔軟なレイアウトを取り入れることで、住み心地を高めると同時に資産価値を維持しやすくなります。
ライフステージの変化
住まいの設計では、将来の家族構成やライフスタイルの変化に柔軟に対応できるプランを検討してみましょう。
家族の形や暮らし方は時間とともに変わることが多いため、今だけでなく未来を見据えた設計を取り入れておくと、長く快適に暮らせる住まいになります。
このような視点を持つことで、家族の変化に合わせた暮らしを楽しみやすくなります。
売却を視野に入れる場合
将来的な売却も想定しながら住まいを計画する場合は、資産価値を意識したデザインや仕様について建築士に相談してみましょう。
長期的に物件の魅力を保ちながら、選択肢を広げるためのヒントをご紹介します。
こうした「自由にアレンジできる設計」は、多様なニーズに応えられるため、物件の魅力を高める可能性があります。
その他確認事項

初回打ち合わせでは、住まいの快適性やメンテナンス性にも目を向けておくと、建築士からより具体的な提案を受けやすくなります。事前に整理して共有しておくことで、理想の住まいづくりに一歩近づけるでしょう。
断熱性や素材選びを具体的に伝える
断熱性
「冬は暖かく、夏は涼しい家にしたい」といった希望を伝えると、断熱性能の高い壁材や窓材などの提案を受けやすくなります。
※ただし、マンションの構造上、大幅な断熱改善が難しい場合もあるため、希望の優先順位を整理しておくとスムーズです。
素材選び
床材などは、耐久性が高く汚れにくい素材を選ぶと、日々の使いやすさだけでなく、将来的なメンテナンス負担も軽減できます。
たとえば、無垢材ではなく傷のつきにくい複合フローリングを選ぶなど、ライフスタイルに合った選択肢を検討しましょう。
設備の使いやすさとメンテナンス性を意識
設備選び
- 部品交換や修理がしやすい設備を選んでおくと、長期的なメンテナンスコストを抑えやすくなります。
- 日常的な手入れがしやすい設計かどうかも、チェックポイントの一つです。
疑問や要望はリスト化して整理
打ち合わせを効率よく進めるため、「吹き抜けの断熱性能は?」「水回り設備の交換時期は?」といった疑問や要望をリストにまとめておくのがおすすめです。
事前に整理しておくことで、もれなく確認でき、具体的なプラン検討にも役立ちます。
まとめ
建築士との初回打ち合わせは、あなたの理想の暮らしをかたちにするための大切な第一歩です。 事前に希望や課題を整理し、ライフスタイルや将来の変化も見据えておくことで、打ち合わせの時間がより実りあるものになります。
特別な準備が必要なわけではありませんが、「伝えたいことを整理しておく」「実現したい暮らしのイメージを持っておく」といった基本的な準備をしておくと、対話がより実効性のあるものになります。
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中古・リノベーションマンションの流通プラットフォームに関する知識をわかりやすく提供するため、カウカモ(cowcamo)で日々勉強中。築古マンションの魅力とリノベーションのメリット・デメリットについて深く学び、読者の皆様が最適な選択をできるようサポートしたいと考えています。最新の住宅トレンドや資産価値の維持に関する情報も発信していくので、ご期待ください。

琉球大学大学院理工学部卒。環境建設工学を専攻し、大学院卒業書、建築設計事務所に勤務し、住宅や公共施設など様々な建物の設計に携わる。現在は建築デザイナーとして不動産開発の企画・設計から運営まで行うコンサル会社にて、オフィス設計やリノベーションなどを中心に手がける。趣味は街歩きと珈琲焙煎。空き家を活用して設計事務所と珈琲屋さんを開くことが目標。