
ユニットバスは、新居の購入や浴室リノベーションを考えるときによく目にする言葉です。名前は知っていても、実際にはどんなものなのでしょうか。本記事では、在来工法との違いやメリット・デメリット、選び方のポイントを整理し、検討を進めやすくします。
ユニットバスの定義

ユニットバス(システムバス)は、工場で作られた浴室のパーツを、現場で組み立てる方式の浴室です。防水パン(床)と壁・天井が一体で防水性を確保しやすく、換気・浴室乾燥機・断熱・手すりなどのオプションも組み合わせる事も可能です。
在来工法との違い
| 比較項目 | ユニットバス | 在来工法 |
| 施工方法 | 工場製パーツを現場で組み立て | 現場で下地・防水・仕上げを個別施工 |
| 工期の目安 | 短め(2~3日程度が多い) | 長め(1~2週間になることがある) |
| コストの傾向 | グレード・サイズで増減 | 仕上げ材・職人工数で増減 |
| デザイン | 規格サイズ中心で選択式 | 細部まで自由設計しやすい |
| 耐久・更新 | パーツ交換で更新しやすい | メンテ状況により長期使用もしやすい |
| 防水 | 床・壁で一体防水になりやすい | 施工品質に左右されやすい |
※日数・費用は住戸条件(間取り、配管位置、下地状態、マンション規約など)で前後します。現地調査を行うと見積が精緻になり、計画を固めやすくなります。
ユニットバスの種類

ユニットバスには大きく3つのタイプがあり、住まいの広さや使い方に応じて選ばれています。以下ではそれぞれの特徴とメリット・デメリットを整理します。
1点ユニットバス
浴室のみで構成される最もシンプルなタイプです。浴槽と洗い場だけの構造で、戸建やマンションなど幅広い住宅で採用されています。最近では収納棚や手すり、浴室暖房乾燥機、ミスト機能などを追加できるモデルもあり、快適性を高めやすくなっています。サイズや設備の選び方によって、家族構成や利用頻度に合わせやすくなります。
2点ユニットバス
浴室と洗面所が一体化したタイプです。スペースを効率的に使えるため、マンションや小規模住宅でよく導入されています。動線が短くなることで身支度をしやすく、脱衣所との温度差が小さい分、冬場のヒートショックリスクを抑えやすい点もメリットです。
一方で、浴室と洗面所を同時に使えない、湿気が広がりやすいといった面もあるため、利用人数や換気方法を考慮して選ぶと使いやすくなります。
3点ユニットバス
浴室・洗面所・トイレをひとつにまとめたタイプで、ワンルームマンションやホテルなど限られたスペースで多く使われています。移動が少なく、身支度を1か所で完結しやすいため、コンパクト住宅や介護を想定する家庭にも向いています。
ただし、トイレと浴室を同時に使えないため、複数人で暮らす場合には不便になることがあります。最近ではプライバシー性や機能の独立性を高めた設計も登場しており、以前よりも使い勝手を改善しやすくなっています。
ユニットバスのメリット

ユニットバスは在来工法の浴室と比べ、施工性・清掃性・防水性などが良いとされています。以下では、よく挙げられるメリットと留意点などを整理します。
在来浴室と比べて工期が短い
工場であらかじめ製造されるため、現場での施工時間が短縮されます。標準的なリフォームでは2~3日程度で設置が完了し、在来工法の浴室と比べて短い工期で完成します。ただし、配管工事を伴う場合や間取り変更を伴う場合は、1週間以上かかることもあるので注意しましょう。
メンテナンスが容易
床・壁・天井の継ぎ目が少ない構造のため、汚れがたまりにくく、拭き掃除や排水口まわりの手入れが行いやすいです。抗菌・防カビ仕様や、目地の少ないフラット意匠を選べるモデルもあり、日常清掃の手間を減らし、換気性能や乾燥機能を組み合わせると、湿気のこもりを抑えやすくなります。
水漏れの心配が少ない
ユニット化された防水構造により、施工品質のばらつきによる漏水リスクを抑えやすくなります。ただ、給排水まわりや接合部の不具合、経年劣化が起点となるケースはゼロではないため、定期点検やコーキングの打ち替えも場合によっては必要になります。
断熱性能が高い
保温浴槽や断熱ふた、断熱床、浴室暖房乾燥機などを組み合わせやすく、冬場の温度差を緩和しやすくなります。結果として、湯温の低下を抑えやすく、入浴時の負担軽減や光熱費の抑制につながります。断熱効果は選ぶ仕様と窓周り(内窓・ガラス性能)にも左右されるため、住戸条件とあわせて最適な組み合わせを検討すると効果を引き出しやすくなります。
コストパフォーマンスがよい
規格化された部材と工法により、工期・工数を見通しやすくなります。価格帯は本体グレードやサイズ、解体・下地・配管・電気などの付帯工事で幅が出るため、「本体価格+付帯工事+諸経費」で見積比較しましょう。エントリーモデルから高機能モデルまで選択肢が広く、希望の機能に合わせて無理のないプランを組みやすくなります。
ユニットバスのデメリット

ユニットバスには扱いやすさがある一方で、計画時に把握しておきたい制約もあります。主な留意点と対策を整理します。
サイズの制約がある
代表的な規格は0.75坪(約1.2m×1.6m ※1216サイズ)、1坪(約1.6m×1.6m ※1616サイズ)、1.25坪(約1.6m×2.0m ※1620サイズ)などで、既存の間取りや梁・配管位置によっては収まりにくい場合があります。
※最近では「オーダーメイドユニットバス」という選択肢も増えており、多少の調整であればカバー出来たりもします。新しくユニットバスを導入する際には、どのような選択肢があるか、施工会社に確認しましょう。
部分修理の制約が出やすい(ユニット構造のため)
ユニットバスは床・壁・天井・浴槽などを規格化したシステムとして成り立つため、一部のみの交換でも、気密・防水・意匠の連続性や品番適合をそろえる必要があり、作業が大きくなりやすくなります。
換気に注意が必要
気密性が高いぶん、換気量が不足すると湿気がこもりやすく、カビ発生の一因になりやすくなります。
デザインの自由度が低い
規格化されたパネル・浴槽を組み合わせる方式のため、タイル目地や造作棚など細部の自由設計は在来工法に劣る場面があります。
まとめ

ユニットバスは、工場で成形した床・壁・天井・浴槽を現場で組み立てる一体型の浴室です。短工期・清掃のしやすさ・防水性の高さなどのメリットがある一方で、規格サイズの制約や部分修理の難しさといった注意点もあります。
導入を検討する際は、希望する広さや機能、予算に加えて、将来的なメンテナンスのしやすさを含めて比較すると選びやすくなります。導入後は換気や排水口清掃、コーキングの点検などを定期的に行うことで、快適性と耐用年数を保ちやすくなります。
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琉球大学大学院理工学部卒。環境建設工学を専攻し、大学院卒業書、建築設計事務所に勤務し、住宅や公共施設など様々な建物の設計に携わる。現在は建築デザイナーとして不動産開発の企画・設計から運営まで行うコンサル会社にて、オフィス設計やリノベーションなどを中心に手がける。趣味は街歩きと珈琲焙煎。空き家を活用して設計事務所と珈琲屋さんを開くことが目標。
















