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玄関の上がり框(かまち)の高さはどう決める?役割やメリットを解説

2025/10/17

 

もともと日本の住宅で上がり框(あがりかまち)は、床下を湿気から守ったり外からの汚れを防いだりするために設けられてきました。外と内を明確に区切る役目があり、住まいの清潔を保つためにもひと役買っています。

 

現在は住まいのスタイルが多様化し、上がり框の高さやデザインもさまざま。段差の設定には、暮らし方やバリアフリーの視点が求められるようになりました。たとえば、靴の脱ぎ履きがしやすい高さにしたり、子どもや高齢の方がつまずきにくいように配慮したりと、住む人の年齢や身体状況に応じた調整が大切です。

 

この記事では、上がり框の基本的な役割や一般的な高さの目安、さらに暮らしに合わせた選び方について、メリット・デメリットとあわせて紹介します。

 

 

上がり框とは

 

 

上がり框(あがりかまち)は、玄関の土間と室内の床との段差を調整する部材です。玄関は「家の顔」とも言われる場所であり、外と内をつなぐこの部材には、空間のつながりを整える役割があります。

 

玄関の段差は、靴やコートを脱ぐ場に加え、外からの汚れや水分が室内に入るのを防ぐ役目もあります。雨の日や花粉の時期など、外気の影響を受けやすい季節には、玄関段差により室内の清潔さを保ちます。

 

框の素材は、従来の日本家屋ではヒノキやケヤキといった木材が多く使われてきました。最近では、メンテナンス性やデザインの多様化に対応し、人工大理石や樹脂製、御影石や大理石など、選択肢が広がっています。

 

かつての日本家屋では、玄関段差はおおよそ30cm程度が一般的で、湿気対策や防寒、汚れの遮断を意識した設計でした。一方、現代の住宅では、高齢者の居住にも配慮されており、「高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則」において、戸建てでは18cm以下、集合住宅では11cm以下が推奨されています(詳細は後述)。

 

このように、上がり框は単なる段差ではなく、快適で清潔な暮らしを支える大切な存在であり、暮らし方に合わせた高さや素材を選ぶことが、心地よい住環境づくりの第一歩となります。

 

 

上がり框が果たす3つの役割

 

 

上がり框の高さを決める際は、その役割を理解することが大切です。ここでは、主に次の3つの視点から紹介します。

 

1. 室内と外の境界を示し、靴を脱ぐ位置を明確にする

 

上がり框は段差をつくるだけでなく、空間の切り替えをわかりやすくする役割も担っています。玄関に立ったとき、どこで靴を脱ぐべきかが自然とわかるため、家の中を清潔に保ちやすくなります。

 

2. 湿気対策や雨水の侵入防止に貢献する

 

木造住宅では、床下の換気が住まいの快適さに直結します。上がり框の高さがある程度確保されていることで、床下に空気の流れが生まれ、湿気がこもりにくくなります。換気が不十分だとカビが発生しやすくなり、建物全体に悪影響を及ぼすことも。段差があることで雨水や泥などの侵入も抑えられ、室内環境の維持に役立ちます。

 

3. 靴の脱ぎ履きをサポートする腰掛けとして使える

 

ある程度の高さがある上がり框は、腰掛けて靴を脱ぎ履きするのにちょうど良い位置にあります。特に高齢の方や小さなお子さんがいる家庭では、無理な姿勢を取らずに靴を扱えるため、安全性と快適さの両面で効果的です。

 

 

上がり框の標準的な高さ

 

 

現代の住宅では、上がり框の高さは戸建てで18cm以下、集合住宅では11cm以下が目安とされています。これは、靴の脱ぎ履きをしやすくし、室内への汚れや水の侵入を防ぐための配慮です。住まいの種類や使う人に応じて、適切な高さは異なります。以下で具体的に見ていきましょう。

 

使用する人に合わせた高さを選ぶ

 

戸建て住宅では、家族構成や暮らし方に合わせて柔軟に設定できます。18cm以下を目安に、使いやすさや清掃のしやすさなど、日常生活とのバランスを考えて調整するとよいでしょう。

 

集合住宅では、共用スペースや段差の少ない動線を考慮し、11cm以下の低めの設計が一般的です。特にバリアフリーを重視する場合は、高齢者や車椅子、ベビーカーの利用者にとっても負担が少ない高さになります。

 

上がり框を腰掛けとして使いたい場合は、ある程度の高さが必要ですが、小さなお子さんや転倒が心配な家庭では、低めに抑えることで安全性が高まります。誰がどのように使うかを考慮し、生活に合った段差を設けましょう。

 

 

上がり框の高さを決める際の注意点

 

 

上がり框の高さを設定する際は、以下のようなポイントに注意すると、暮らしやすさにつながります。

 

床下構造や換気とのバランスを確認する

 

床下換気が不十分だと湿気がこもり、カビや部材の劣化を招くおそれがあります。特に木造住宅では、床下に空気がしっかり流れるよう、換気システムとあわせて適切な高さを確保することが大切です。

 

玄関収納や下駄箱との干渉を避ける

 

玄関収納の配置や扉の開き方によっては、上がり框の高さが使い勝手に影響します。開閉スペースや動線を妨げないよう、設計段階で収納とのバランスを見ながら調整しましょう。

 

将来のバリアフリー化を見越しておく

 

高齢の家族と暮らす予定があったり、将来的なリフォームを想定している場合は、段差を抑えた設計にしておくと安心です。上がり框が高すぎると、改修の際に費用や工事範囲が大きくなる可能性もあるため、柔軟に対応できる高さを選んでおくとよいでしょう。

 

 

こうした点をふまえて計画を立てることで、今の暮らしにも将来の変化にも対応しやすい玄関空間がつくれます。

 

 

上がり框の高さによるメリット・デメリット

 

上がり框の高さは、使い勝手や安全性に大きく関わります。ここでは、高め・低めそれぞれの特徴を見ていきましょう。

 

高め(18cm以上)の場合

 

メリット 

ある程度高さのある上がり框は、腰をかけやすく、靴の脱ぎ履きが楽になります。特に、足腰に不安のある方や杖を使う方にとって、立ち座りの補助として役立ちます。また、雨水や泥などの侵入を防ぎやすく、防水性の面でも安心です。

 

デメリット

段差が大きいため、小さなお子さんや高齢者にとっては昇り降りが負担になることがあります。転倒リスクもあるため、手すりを設置したり、滑り止めマットを敷いたりと、安全対策が欠かせません。一度設置すると高さの調整が難しい点にも注意が必要です。

 

低め(15cm以下)の場合

 

メリット

段差が小さいため、車椅子やベビーカーでも出入りしやすく、バリアフリー性が高まります。室内との移動がスムーズになり、年齢や体力に関係なく使いやすい設計が可能です。

 

デメリット

屋外との区切りが緩やかになる分、土やほこりが室内に入りやすくなり、掃除の手間が増えることがあります。また、腰掛けとして使うには高さが物足りず、靴の脱ぎ履きがしづらいと感じる場合も。清潔さを保つには、玄関マットを活用したり、定期的な掃除を心がけるとよいでしょう。

 

 

まとめ

 

上がり框は、住まいの使いやすさや安全性に関わる重要なパーツです。その高さをどう設定するかによって、毎日の動作や室内の清潔さに影響が出てきます。

 

ある程度高さがあると腰掛けやすく、雨水や泥の侵入を抑える効果が期待できますが、小さなお子さんや高齢の方にとっては昇り降りが負担になることも。一方で低めの設計にすれば段差が少なくなり動きやすくなりますが、室内に汚れが入りやすくなったり、靴の脱ぎ履きがしづらく感じるケースもあります。

 

どの高さが最適かは、家族構成やライフスタイル、将来的な住環境の変化などに合わせて考えることが大切です。新築やリフォームの際は、日々の動作や快適さ、安全性をイメージしながら、高さを慎重に検討してみてください。

 

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初回投稿日
2025/10/17
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執筆者
カウカモジャーナル編集部

中古・リノベーションマンションの流通プラットフォームに関する知識をわかりやすく提供するため、カウカモ(cowcamo)で日々勉強中。築古マンションの魅力とリノベーションのメリット・デメリットについて深く学び、読者の皆様が最適な選択をできるようサポートしたいと考えています。最新の住宅トレンドや資産価値の維持に関する情報も発信していくので、ご期待ください。

監修者
1級建築士、宅建士、FP2級Yang

琉球大学大学院理工学部卒。環境建設工学を専攻し、大学院卒業書、建築設計事務所に勤務し、住宅や公共施設など様々な建物の設計に携わる。現在は建築デザイナーとして不動産開発の企画・設計から運営まで行うコンサル会社にて、オフィス設計やリノベーションなどを中心に手がける。趣味は街歩きと珈琲焙煎。空き家を活用して設計事務所と珈琲屋さんを開くことが目標。

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