
インテリアはテーマを決めて取り入れていくと、統一感が出ておしゃれに見えるようになります。この記事では、カフェのようなスタイルで人気の高いインダストリアルインテリアについて解説していきます。機能美と武骨さがあるインダストリアルインテリアの起源や実現するためのポイントを抑えましょうよ。
インダストリアルデザインとは

「産業」や「工業」を意味するインダストリアル(Industrial)をコンセプトにしたデザインスタイルを「インダストリアルデザイン」と呼びます。これを取り入れた内装は「インダストリアルインテリア」とされ、金属や古材などの工業的な素材感を活かした無骨な雰囲気が特徴です。無機質さの中に独特の味わいを生み出せる点が魅力とされます。ここでは、発祥や定義、似たテイストとの違いを整理します。
発祥と定義
インダストリアルデザインは、1919年にアメリカのデザイナーであるジョーゼフ・サイネルによって提唱されたデザインです。もともとは、大量生産可能な工業製品で、機能美を重視したデザインを指していました。
その後、時代とともに意味合いが広がり、現在では20世紀初頭のアメリカを思わせる古い工場や倉庫をイメージした、実用性を重視するインテリアスタイルとしても用いられています。金属や木材の質感を前面に出した空間演出が人気を集め、カフェやショップなどにも取り入れられています。
ブルックリンスタイルや男前インテリアとの違い
似たインテリアに「ブルックリンスタイル」や「男前インテリア」がありますが、それぞれに特徴があります。
ブルックリンスタイル
アメリカ・ニューヨークのブルックリン地区にある倉庫街をモチーフにしたスタイルです。レンガ壁や金属素材を多用し、ヴィンテージ感とカジュアルさを組み合わせた雰囲気をつくります。
男前インテリア
インダストリアルやブルックリンスタイルと組み合わせられることも多いですが、無骨で「かっこいい」印象を演出するインテリア全般を指す表現として使われます。黒やグレーを基調に、アイアンやレザーを取り入れることで、力強い雰囲気を出しやすくなります。
なお、家具販売では「インダストリアル」「ブルックリン」などの名称が商品に付けられることは少なく、実際にはそれぞれを自由に組み合わせて使われるケースが多くあります。相性の良いスタイル同士を取り入れることで、生活に合わせた個性的な空間をつくりやすくなります。
インダストリアルインテリアに使われる素材

インダストリアルインテリアでは、金属やレザー、ウッドといった武骨で素材感のあるマテリアルが多く使われます。壁面は打ちっぱなしのコンクリートなど、冷たさや重厚感のある素材をそのまま生かすのが特徴です。
硬質で色味の少ない印象になりがちな素材でも、組み合わせ方を工夫することで、無機質さと落ち着きの両方を感じられるインテリアに仕上げやすくなります。それぞれの素材の役割を見ていきましょう。
金属
スチールやアイアンなどの金属は、無骨さと機能美を表現できるインダストリアルの象徴的な素材です。一般的なインテリアでは隠されがちなパイプや金網、フレームをあえて見せることで、工場や倉庫を思わせる表情を出せます。配管やダクトを隠さず見せる手法も同様に雰囲気を高めます。さらに、錆や塗装のムラといった経年変化もヴィンテージ感をもたらし、味わいとして楽しまれます。
レザー
レザーは金属やコンクリートと相性がよく、柔らかさと高級感を空間に加えやすい素材です。ブラウンやブラックの革座面とアイアンの脚を組み合わせた家具は、インテリアのアクセントとして効果的です。本革は手入れが必要ですが、使い込むほどに風合いが増し、空間に深みをもたらします。サイズや予算の都合で大型家具の導入が難しい場合は、クッションカバーなど小物にレザーを取り入れる方法も有効です。
ウッド
木材は冷たさを感じやすいインダストリアル空間に温かみを加える役割を担います。加工された高級木材よりも、節や傷のある古材や濃色の無垢材などを使うと、無骨さを強調できます。ダイニングテーブルや棚板に取り入れれば、手軽に居心地のよい空間をつくれます。さらに、木材には音や光を和らげる効果があり、硬質な素材が多い空間をバランス良く整えるのに役立ちます。
インダストリアルインテリアを取り入れるポイント

ここからは、実際に部屋へインダストリアルインテリアを取り入れる際に押さえておきたいポイントを紹介します。家具・照明・壁紙といった大きな要素を工夫するだけで、雰囲気をつくりやすくなります。
大型家具で空間の印象を決める
ソファやダイニングテーブルなど、部屋の中心となる家具をインダストリアルテイストに変えると、空間全体の雰囲気が大きく変わります。レザーや木材とアイアンを組み合わせた家具は代表的なアイテムで、導入するだけで無骨ながらも本格的な印象を出せます。まずは大きな家具から取り入れると効果的です。
照明はペンダントライトでアクセントをつける
工業的なデザインのペンダントライトは、部屋のアクセントとして取り入れやすい要素です。LED電球でも裸電球風のものや、金属シェードの照明を選ぶと雰囲気が出ます。フリルのあるかわいらしいデザインや、モダンすぎるシンプルなものは避けると、よりインダストリアルらしい空気感を出せます。また、照明は明るさを抑えて陰影をつけると、立体感のある空間づくりにつながります。
壁紙で雰囲気をまとめる
部屋の面積を大きく占める壁紙を工夫すると、全体の印象を手軽に変えられます。コンクリート調やレンガ調の壁紙はインダストリアルと相性がよく、グレーやブラウン系で統一すると落ち着きが出ます。一面だけを変えるアクセントウォールや、腰から下の部分だけを変える方法もおすすめです。施工範囲が少なく済むため、コストを抑えながら雰囲気を加えやすくなります。
まとめ

インダストリアルインテリアは、工業的なデザインと機能美を重視したスタイルです。金属・レザー・木材といった素材の質感を活かし、無骨さとヴィンテージ感を組み合わせることで、倉庫や工場を思わせる雰囲気をつくれます。さらに、照明や壁紙を工夫すると、空間全体の印象を高めやすくなります。例えば、ペンダントライトを取り入れたり、コンクリート調の壁紙を一部に貼ると、手軽に雰囲気を強調できます。
理想の住まいにこのスタイルを取り入れる方法としては、現在の部屋をリノベーションするほか、中古物件を購入して自分好みに改装する、あるいはリノベーション済みの物件を選ぶといった選択肢もあります。ライフスタイルや予算に合わせて取り入れる方法を検討すると、長く心地よく過ごせる空間につながります。
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琉球大学大学院理工学部卒。環境建設工学を専攻し、大学院卒業書、建築設計事務所に勤務し、住宅や公共施設など様々な建物の設計に携わる。現在は建築デザイナーとして不動産開発の企画・設計から運営まで行うコンサル会社にて、オフィス設計やリノベーションなどを中心に手がける。趣味は街歩きと珈琲焙煎。空き家を活用して設計事務所と珈琲屋さんを開くことが目標。