ルーフバルコニーとは
ルーフバルコニーとは、階下の住戸の屋根部分を利用して設置された屋外スペースのことをいいます。ルーフバルコニーには基本的に屋根がないため、開放感があり、日当たりが良好なのが特徴です。
また、ルーフバルコニーはリビングやダイニングと一体感を持たせる設計が可能で、部屋を広く見せる効果も期待できます。
ベランダ、テラス、バルコニーの違い
バルコニーと似ている「ベランダ」や「テラス」があります。それぞれどのような違いがあるのか疑問に思う人もいるかもしれません。ベランダもテラスもバルコニーも住宅に接した屋外スペースですが、それぞれ異なる特徴や用途があります。
ベランダ
ベランダは、建物の外壁から突き出した屋外スペースで、屋根と手すりが設けられています。一般的には2階以上に設置され、マンションやアパートでは上の階の屋外スペースが屋根代わりになることが多いです。
屋根があるため、雨の日でも洗濯物を干すことができます。また、外部からの視線を遮りやすいため、プライバシーの確保にもつながります。
ただし、ベランダはスペースが狭くなりやすいのがデメリットです。屋根がある分、構造上の制約を受け、広い空間をつくりにくくなるためです。スペースが狭い場合は、テラスやバルコニーと比べて活用方法が限られるかもしれません。
テラス
テラスは主に1階部分に設置される屋外スペースで、一般的には地面よりも一段高くなっています。タイルやコンクリートなどでフラットに仕上げられることが多く、リビングと一体化させて使うことも可能です。BBQやパーティーなどの場としても活用できます。
テラスは、ベランダやバルコニーと比べると、より広いスペースを確保できることが多いのが特徴です。テーブルや椅子などの家具を置いてアウトドアリビングにしたり、テラスを介して庭と室内をスムーズにつなげるといった楽しみ方もできます。
また、テラスには屋根がないか、あるいは屋根が付いていても部分的であることが多いため、日当たりがよく開放感もあります。一方で、屋根がない場合は雨天時に使いにくくなることがデメリットです。
バルコニー
バルコニーは、ベランダと似たような構造を持つ屋外スペースですが、大きな違いは屋根がないことです。一般的に2階以上に設置されており、屋根がない分、開放感があります。
日光を十分に取り入れられるため、家庭菜園や日向ぼっこに適しています。特に、広めのバルコニーはリラックススペースとして活用されるケースも少なくありません。
ただし、屋根がないため雨風の影響を直接受けやすく、こまめな掃除が必要になる場合もあります。
ルーフバルコニーのメリット
ルーフバルコニーには主に下記の4つのメリットがあります。
- 開放感と日当たり
- 広いスペース
- プライバシー保護になる
- 多様な利用用途がある
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
開放感と日当たり
ルーフバルコニーの魅力のひとつは、開放感と日当たりの良さです。
例えば、上階や屋根の下に設けられるベランダは、視界が遮られたり、日光が当たりにくかったりすることがありますが、ルーフバルコニーには屋根がなく上に遮るものがないため、空を見上げることができます。そのため、視界が広く、開放感を存分に感じることができるのです。特に都市部の高層マンションでは、よい眺望が期待できます。
また、ルーフバルコニーは直射日光をたっぷりと受けられるため、洗濯物も短時間で乾きやすく、家事の効率が向上するというメリットもあります。さらに、日当たりがよいルーフバルコニーで植物を育てるなら、植物の成長も促されるでしょう。
広いスペース
ルーフバルコニーのふたつめのメリットは、一般的なバルコニーと比べて広いスペースを確保できることです。下の階の構造がルーフバルコニーを支える造りになるため、下部が空間である一般的なバルコニーよりも大きく張り出しているのです。そのため、通常のバルコニーが1~2畳程度であるのに対し、ルーフバルコニーは5畳以上の広さを持つことも珍しくありません。
バルコニーの面積が広いと、家具を置いたり、アウトドア活動を楽しんだりなど、さまざまな用途に利用できます。室内だけでなく屋外にも十分なスペースを確保できる点が、ルーフバルコニーの魅力です。
プライバシー保護になる
ルーフバルコニーは、プライバシーの保護という点でもメリットがあります。ルーフバルコニーを設置すると、室内と外部との間に数メートルの距離が生まれるうえに手すりがあるため、外から室内が見えにくくなるのです。
例えば、1階に造るテラスの場合は隣人や通行人からの視線が気になりますが、2階以上なら道路からのぞかれる心配が少なくなります。特に屋上階のルーフバルコニーなら、より視線が届きにくくなるでしょう。さらに植物や家具を配置すれば、より外部からの視線を遮ることもできます。
多様な利用用途がある
広さを活かした多様な使い方ができるのも、ルーフバルコニーのメリットのひとつです。
例えば、子どもの遊び場やペットの飼育スペースとして活用することができます。また、自宅でのバーベキューやピクニック、天体観測や花火鑑賞といったアクティビティにも向いています。家にいながら気軽にアウトドアならではの楽しみを味わえる点は、都会の生活においては特に大きな価値を持つでしょう。
さらに、ガーデニングスペースとして植物を育てたり、家庭菜園で野菜を育てたりすれば、自然との触れ合いを日常に取り入れることができます。広いスペースと開放的な環境を生かし、住む人のライフスタイルや趣味に合わせた多様な楽しみ方ができるのがルーフバルコニーのよさです。
次の章では、ルーフバルコニーの具体的な活用方法の例を紹介します。
ルーフバルコニーの活用方法
前章でお伝えしたとおり、ルーフバルコニーには多様な使い道があります。ここでは、以下の5つの活用方法を紹介します。
- ガーデニングや家庭菜園
- アウトドアスペース
- リラックススペース
- 洗濯物干し場
- 子どもやペットの遊び場
ルーフバルコニーのある住まいを検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
ガーデニングや家庭菜園
ルーフバルコニーは、日当たりと風通しが良いため、ガーデニングや家庭菜園に最適な場所です。プランターを活用し、季節の花やハーブ、トマトやピーマンなどの家庭菜園を楽しむことができます。
特に都市部に住んでいる場合、自然との触れ合いを持つ機会が少ないため、このようにルーフバルコニーを活用することでストレス解消にもつながります。
また、食育の一環として子どもと一緒に野菜や果物を育てるのもひとつの手です。簡単に育てられる野菜やハーブであれば収穫の楽しみも味わうことができ、親子のコミュニケーションも深まります。
ただし、ルーフバルコニーでガーデニングや家庭菜園を楽しむなら、土や水が周囲に飛び散らないように、プランターの置き場所にも工夫が必要です。また、強風の日や日差しの強い日には植物が乾燥しやすいため、定期的な水やりや日よけ対策も忘れないようにしましょう。
アウトドアスペース
ルーフバルコニーに、テーブルやキャンプ用の椅子などを設置すれば、アウトドアのスペースとして活用できます。家族や友人と一緒に、屋外での食事やバーベキューを楽しみたい人にはおすすめの活用法です。
また、夜には星空の下でキャンプ気分を味わうこともできます。テントを張り、ライトアップすれば、まるでキャンプ場にいるかのような雰囲気を楽しめるので、通常の住宅地ではなかなか体験できないような特別なひとときを過ごせるでしょう。特に都市部ではアウトドアを楽しめる空間が限られているため、ルーフバルコニーを活用することで自宅でそういった気分を味わえるのは魅力です。
ただし、火の取り扱いや騒音には注意しなければなりません。特に火の使用はマンション規定で禁止されている場合もありますので事前に確認が必要です。バーベキューを行う際は、近隣住民への配慮として、煙が広がらないように風向きに注意するほか、煙や騒音の出にくい機材を使うことも重要です。
リラックススペース
ルーフバルコニーは、リラックスするスペースとしても活用できます。ルーフバルコニーで屋外の開放感を感じながらゆったりと過ごせば、心身ともにリフレッシュできるでしょう。
周囲の視線を気にせずリラックスできるので、ハンモックやデッキチェアを置いて、読書や昼寝をするといった楽しみ方もできます。
夜には、星空を眺めながらお酒を楽しむこともでき、日常とは違った特別な時間を過ごすことも可能です。キャンドルやライトを使ってライトアップすれば、より落ち着く雰囲気を作り出せます。家族だけでなく友人などを呼んで同じひとときを楽しむのもひとつの手です。
ただし、風が強い日や天候が悪い日は、配置しているハンモックやデッキチェアなどが倒れたり、物が飛ばされたりするリスクがあります。しっかりと固定するか、使用後は室内に収納するなどの対策が必要です。
洗濯物干し場
ルーフバルコニーは、洗濯物干し場として実用的に使えるスペースにもなります。屋根がないため日当たりが良く、広い空間で多くの洗濯物を一度に干すことが可能です。
特に家族が多いと洗濯物の量が多いため、衣類やシーツなどを一度に干せる広さがあると、家事の効率が向上するでしょう。風通しがよいため湿気がこもりにくく、洗濯物が早く乾きやすいという利点もあります。
ただし、雨の日には当然ながら洗濯物干し場として使えません。室内干しや乾燥機と組み合わせて利用することが推奨されます。また、風が強い日には洗濯物が飛ばされないよう、クリップで固定するといった対策も必要です。
子どもやペットの遊び場
ルーフバルコニーを子どもやペットの安全な遊び場として活用するのもひとつの手です。
フェンスや手すりなどを設置して十分に安全対策をしておくことで、子どもが走り回ったり、ペットが自由に遊び回ったりすることができます。外出せずに自宅で自然光を浴びながら遊ぶことができ、親も安心して見守ることが可能です。水道が設置されているなら、夏場に小さなプールを設置して水遊びを楽しむこともできるでしょう。
また、屋外の新鮮な空気を感じながら遊べるので、子どもやペットにとっても運動不足の解消にもつながります。
ただし、ルーフバルコニーで遊ぶ際は、転落防止のためにフェンスの高さや強度を事前に確認しておくことが重要です。
ルーフバルコニーの注意点
ルーフバルコニーを設置したり、活用したりする際には、注意すべきポイントがあります。
天候による制約
ルーフバルコニーは屋根がないため、天候の影響を受けやすいです。悪天候時には設置した物が飛ばされるリスクもあるため、事前に片付ける必要があります。
メンテナンスと掃除
屋外にあるため、定期的なメンテナンスや掃除も不可欠です。特に排水口が詰まると下の階への雨漏りの原因になります。月に一度は点検し、ゴミや葉っぱなど取り除くことが必要です。
近隣住民への配慮
また、近隣住民への配慮も欠かせません。騒音や煙が周囲の迷惑になる場合もあるため、バーベキューや大人数での集まりを行う際は特に注意が必要です。また、マンションの場合は管理規約でバーベキューが禁止されていることもあるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
ルーフバルコニーは、階下の住戸の屋根部分を利用して設置された屋外スペースです。ガーデニングやバーベキュー、子どもの遊び場などに活用できます。日当たりがよく開放的な空間で、楽しいひとときを過ごせるでしょう。
ルーフバルコニーのある部屋に住みたいと考えている場合、現在の自宅をリノベーションする以外に、ルーフバルコニー付きの中古物件を購入する方法もあります。
カウカモでは「一点もの」の住まいを求める人に向け、厳選した中古・リノベーション物件を紹介しています。条件を絞って物件を検索することも可能なので、ルーフバルコニーのある暮らしに興味のある方は、ぜひご利用ください。
中古・リノベーションマンションの流通プラットフォームに関する知識をわかりやすく提供するため、カウカモ(cowcamo)で日々勉強中。築古マンションの魅力とリノベーションのメリット・デメリットについて深く学び、読者の皆様が最適な選択をできるようサポートしたいと考えています。最新の住宅トレンドや資産価値の維持に関する情報も発信していくので、ご期待ください。
琉球大学大学院理工学部卒。環境建設工学を専攻し、大学院卒業書、建築設計事務所に勤務し、住宅や公共施設など様々な建物の設計に携わる。現在は建築デザイナーとして不動産開発の企画・設計から運営まで行うコンサル会社にて、オフィス設計やリノベーションなどを中心に手がける。趣味は街歩きと珈琲焙煎。空き家を活用して設計事務所と珈琲屋さんを開くことが目標。