フローリングは、住まい全体の印象を大きく左右する重要な要素のひとつです。フローリングの経年劣化やダメージが目立つようになったら、定期的なメンテナンスや張り替えを検討することで、家の美観を保ち、居住空間の快適さを維持することができます。
ただし、フローリングを張り替える場合、選択する床材の種類や施工方法によって張り替えにかかる費用や工期が大きく異なるため、事前に知っておく必要があります。
本記事では、フローリングの張り替えに関する基本的な情報から、具体的な費用の内訳、施工にかかる日数、さらには施工時に気をつけるべきポイントまでを詳しく解説します。
フローリング張り替えにかかる費用
フローリングを張り替える場合、費用面が特に気になるという方も多いでしょう。フローリングを張り替える際にかかる費用の内訳は下記の通りです。
- 材料費
- 施工費
- 撤去・処分費(4~10万円程度)
- 下地補修費用(1~3万円程度)
特に材料費と施工費は、使用する床材の種類や施工方法、部屋の広さによって大きく異なります。例えば、無垢フローリングや複合フローリング、さらにクッションフロアやカーペットなど、それぞれに応じてかかる費用が変わります。
ここでは、日本の住まいでよく使われる無垢フローリングと、複合フローリングの張り替えの費用について詳細を解説しましょう。
無垢フローリング
無垢フローリングは、ヒノキやスギなどの天然木材をそのまま使用したフローリングであり、自然の風合いと木の温もりを肌で感じられるのが魅力です。調湿作用があり、湿気が高い部屋では湿気を吸収し、逆に乾燥した日は湿気を放出するといった特徴があります。
一方で、自然素材ゆえに湿気や温度変化によって膨張や反りが生じやすいのが欠点です。そのため、施工には繊細なハイレベルな技術が求められており、その分、施工費用も他の床材に比べて高くなる傾向にあります。
例えば、6畳の部屋を張り替える場合、全てのフローリングを剥がして新しいものに交換する張り替え工法では12~21万円程度の費用とされています。また、既存のフローリングの上に新たなフローリングを貼る重ね張り工法では、9~18万円程度が目安です。
また、吉野ヒノキや吉野材などいくつかの無垢材は、コンクリートに比べると音の振動を吸収してくれるので、生活するうえで周囲に配慮をしなくてはならない集合住宅でのリフォームに適しています。無垢材のフローリングは、見た目だけでなく機能面でも快適な住まいを実現するための優れた選択肢といえるでしょう。
複合フローリング
複合フローリングとは、表面にスライスされた天然木材の薄い板を使用し、内部は合板や人工素材で構成された床材です。スライスされた木材が見た目に自然な木の質感を保ちながら、合板によって耐久性や安定性が強化されています。見た目の美しさと機能性を両立した床材なので、台所や洗面所など水滴がよく飛び跳ねる水まわりや頻繁に使用される部屋で採用されることが多いのも特徴です。
複合フローリングは機能性やフローリングの厚みによって費用が異なり、部屋の広さや選ぶ仕様によって総費用が変動します。6畳の部屋で複合フローリングを使用した場合、既存のフローリングを剥がして張り替える方法では9~18万円程度、重ね張り工法を選んだ場合は6~14万円程度が目安です。
無垢材の風合いを踏襲しながら、湿気や変形にも強く、長持ちもしやすく、かつ価格も抑えられるため、コストパフォーマンスに優れたフローリング材といえるでしょう。
フローリング以外の床材の張り替え費用
フローリング以外の床材には、クッションフロア、カーペット、畳などがあり、それぞれ特徴や張り替えの費用が異なります。そのため、用途や部屋の機能に合わせて、適切な床材を選ぶことが重要です。
ここでは、クッションとカーペット、畳の3つの張り替え費用の金額を詳しく説明します。
クッションフロア
クッションフロアは、塩化ビニル素材で作られたシート状の床材で、耐水性やメンテナンスの容易さが特徴です。防水性に優れているため、特にキッチンや洗面所、トイレなどの水まわりに適した床材として人気があります。柔らかな感触が足元に心地よく、歩行時の音も軽減されるのも特徴です。
6畳の部屋でクッションフロアを張り替える費用の目安は、既存のフローリングを剥がして新たに施工する場合は4.5~10万円程度、重ね張り工法では4~5.5万円程度です。比較的手頃な価格でありながら、機能性に優れた選択肢として、多くの家庭で採用されています。
カーペット
カーペットは、程よい柔らかさと快適さが特徴の床材です。防音性や保温性に優れているため、特にリビングや寝室での使用に適しています。
寒い季節にも足元を温かく保ち、静かな環境を維持する効果があります。しかし、花粉やハウスダストがたまりやすく、これらがアレルギーの原因となることもあるため、掃除機などで定期的なクリーニングが必要です。
6畳の部屋でカーペットを張り替える場合、張り替え工法では5.3~12万円程度、重ね張り工法では4.5~6.5万円程度の費用がかかります。快適さと静音性を重視する家庭におすすめですが、メンテナンスやクリーニング面も考慮して選ぶことが重要です。
畳
畳は、和の風合いを保ちながら、断熱性や調湿効果にも優れ、日本の住宅に適した床材です。一般的な住宅で使用される畳には、天然のい草を使用した畳のほか、和紙を細かく加工した和紙畳、ポリプロピレンを使用した樹脂畳の3種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
畳の張り替えには、新調、表替え、裏返しの3つの方法があり、使用する畳の枚数や選ぶ方法によって費用が変わる点に注意です。新調は畳を全て交換する方法で、6畳の部屋の場合、6~20万円程度の費用がかかります。表替えは、畳の表面のみを新しくする方法で3~12万円程度、裏返しは畳の裏側を表に返して再利用する方法で約2.5万円が目安です。
フローリング張り替えの施工方法
フローリングの張り替えには、「張り替え工法」と「重ね張り工法」の2種類があります。ここではこの2つの方法について詳細を解説しましょう。
張り替え工法
張り替え工法は、既存のフローリングを全て剥がしてから新しいフローリングを貼る工法です。
張り替え工法を採用すると、シロアリ被害や腐食、劣化があれば修復でき、住宅全体の耐久性を高めることができます。また、古いフローリングを完全に取り除いた状態で新しいフローリングを貼るため、仕上がりが非常に美しく、段差が生じにくいのも魅力です。特に長期的な耐久性を重視する場合に向いています。
一方で、張り替え工法の場合は工期が長くなる傾向があります。既存のフローリングを撤去する作業や廃材処分に伴う費用がかかるため、総費用が高くなる点がデメリットです。また、比較的大規模な工事となるため、事前の準備やスケジュール調整も必要になります。
重ね張り工法
重ね張り工法は、既存のフローリングの上に新しいフローリングを重ねて施工する方法です。古いフローリングを剥がす必要がないため、工期が短く、施工も比較的容易です。解体や廃材処分の費用もかからないため、リフォーム全体のコストを抑えられ、コストパフォーマンスに優れた選択肢といえるでしょう。
また、二重にフローリングを張ることになるため、防音効果も期待でき、特に近隣の騒音を考えて暮らす必要がある集合住宅では大きな利点となります。
ただし、重ね張り工法の場合、下地の状態を確認できません。そのため、シロアリ被害や腐食を見逃すリスクがあります。また、二重にフローリングを張ることで床の高さが上がるため、場合によっては敷居やドア、クローゼットとの調整が必要です。さらに選ぶ床材によっては仕上がりの厚みに差が出る点も、前もって理解しておかなければなりません。
フローリングの張り替えにかかる日数
フローリングの張り替えにかかる日数は、施工する部屋の広さや選択する施工方法によって異なります。
6畳程度の部屋であれば、通常2~3日で作業が完了するのが一般的です。ただし、重ね張り工法を選んだ場合、既存のフローリングを剥がさずに施工するため、部屋の広さが狭い場合は1日で終わることもあります。
一方で、フローリングの張り替えの日数は、季節的な要因によって変動する可能性も否定できません。例えば、湿度が高い梅雨の時期や冬の寒冷期は、施工時の接着剤の乾燥時間が長くなることで工期が延びます。また、特に湿気の多い時期には床材自体が膨張しやすく、施工の進行に多少なりとも影響を与えるので、天候や時期をふまえてフローリングの張り替えを行うことも大切です。
フローリングを張り替える際の注意点
では、フローリングを張り替える際、どんなことに注意すればよいでしょうか。主な注意点についてまとめました。
信頼できる施工業者を選ぶ
フローリングの張り替えをスムーズに進めて、満足のいく仕上がりにするためには、信頼できる施工業者を選ぶことが不可欠です。施工の質はもちろん、アフターサービスの充実度にも直結するため、業者選びは慎重に行いましょう。
そのためには、まず複数の業者から見積もりを取得し、価格だけでなく、施工内容や保証の充実度も比較することが大切です。また、業者の過去の実績や評判も確認し、口コミや実際の施工実績を参考に判断することも重要なポイントになります。
信頼できる業者に依頼することで、長期的に満足のいくリフォームが実現し、将来的なメンテナンスに対しても安心できます。信頼性とコストパフォーマンスを両立する選択が重要です。
マンションの場合は防音性のあるものを選ぶ
マンションでは、住民間の騒音トラブルを防ぐために、防音性に関する規約が設けられている場合が多く、その規約に沿った床材や施工方法を選ばなければなりません。
特に防音性能のあるフローリングが推奨されますが、防音仕様のフローリングは、通常のものよりもコストが高くなる傾向にあります。事前にマンションの管理規約をしっかり確認し、予算と防音効果のバランスを見ながら最適な床材を選びましょう。
また、選定の際には、専門業者と相談し、防音性能の確認を行うと、安心で確実な結果が得られます。
メンテナンス性や耐久性を考慮する
フローリングは、耐久性やメンテナンス性もふまえて選ぶことも重要です。特に小さな子どもやペットがいる家庭では、傷がつきにくく、汚れに強いフローリング材を選ぶことで、日常的な掃除やメンテナンスが格段に楽になるでしょう。
また、フローリングを張り替えた後は、業者とメンテナンス方法について相談し、どの範囲まで自分たちでケアできるのかを確認しておくことも大切です。適切なフローリング材を選び、正しくメンテナンスすることで、長期間にわたって満足のいく状態を保つことができ、住まいの快適さや機能性を高く維持できます。
まとめ
フローリング張り替えの費用は、選ぶ素材や工法によって異なります。無垢フローリングや複合フローリング、クッションフロアやカーペットなど、それぞれの素材の特徴と価格帯を事前に把握しておくことで、予算に合った選択が可能です。
また、フローリングを張り替える方法には、張り替え工法と重ね張り工法があるので、それぞれの違いを理解して、適切な工法を選ぶようにしましょう。施工業者選びや防音対策、メンテナンス性など、リフォームを成功させるためには事前の準備も重要です。
ただし、自分でフローリングの張り替えを手配するのは手間も時間もかかるだけでなく、理想の部屋にするためにどういったフローリング材や工法を選べばいいのか分からないという方も多いかもしれません。自分にとっての理想の住宅を実現したいと考えている方は、中古物件を購入してリノベーションするという選択肢も検討してみるのもひとつの手です。
「カウカモ」では、「一点もの」の住まいを求める人に向けて、厳選した中古・リノベーション物件を紹介しています。自分が求める理想の部屋に住みたいと考えているなら、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
中古・リノベーションマンションの流通プラットフォームに関する知識をわかりやすく提供するため、カウカモ(cowcamo)で日々勉強中。築古マンションの魅力とリノベーションのメリット・デメリットについて深く学び、読者の皆様が最適な選択をできるようサポートしたいと考えています。最新の住宅トレンドや資産価値の維持に関する情報も発信していくので、ご期待ください。
琉球大学大学院理工学部卒。環境建設工学を専攻し、大学院卒業書、建築設計事務所に勤務し、住宅や公共施設など様々な建物の設計に携わる。現在は建築デザイナーとして不動産開発の企画・設計から運営まで行うコンサル会社にて、オフィス設計やリノベーションなどを中心に手がける。趣味は街歩きと珈琲焙煎。空き家を活用して設計事務所と珈琲屋さんを開くことが目標。