足を踏み入れると「いいですね〜」という声が思わず漏れるこの空間。招かれるだけでもワクワクしてしまうのに、まさか住める機会があるなんて。おはようございます。カウカモです。今回は杉並の閑静な住宅街に立つ、まるで別荘地にいるような気分に浸れる建築家住宅のご紹介です。
杉並区松ノ木(新高円寺駅バス10分徒歩3分)
2LDK
/ 88.03㎡
/ 10,980万円
売主さまのご紹介
売主さま
ふたり暮らしのご夫婦。2005年に建築家 小井田康和さんとともにこちらの住まいをつくり上げました。この度はお仕事の都合で手放されることに。
cowcamo
建築家住宅にようこそ
やってきたのは杉並区の閑静な住宅街の一角。人通りの少ない袋小路にひっそりと佇む住まいです。周辺環境やアクセス面について、詳しくはのちほど。
売主さま
2005年に建築家に依頼して新築した一軒家です。
設計を手掛けた小井田康和さんは住宅作家として活躍されていた方で、神奈川の青葉台には小井田さん設計の家だけが建ち並ぶ「小井田通り」という通りがあることでも知られています。
門扉(左上)は現代芸術家の本間純さん作。小井田さん設計の住まいには揃って本間さんの門が付いているのだそう。外構には雑木が生い茂っています。壁の一部(左下)は門扉とお揃いの“松緑” のカラーリング。
それではお邪魔します
テラコッタタイル敷きのゆとりある玄関ホールがお出迎え。
cowcamo
互い違いに貼られた市松模様の障子、銀色の和紙で仕上げられたストライプの壁面、とさっそく玄関からこだわりがひしひしと伝わってきます。
まずは2階へ上がってみましょう。
光と風を感じるダイニング
2階に上がるとはじめに目に飛び込んでくるのが、こちらのダイニング。北西側に大きく設けられた窓から柔らかな光が差し込み、とてもさわやかな雰囲気です。天井高は最大約3.5mと開放感もたっぷり。
ナラのヘリンボーン張りの床は、大工さんの手仕事で一枚ずつ丁寧に納められたもの。ダイニング脇にある造り付けのカップボードの奥にはキッチンが。
売主さま
2024年5月に屋根や外壁の補修、構造面の点検などを済ませています。その際に壁も一部を除いて貼り替えたのできれいな状態です。
メンテナンスは、小井田さんのお弟子さんにあたる建築家の方にいつもお任せしているので、よろしければご紹介しますね。
豊かな家事空間
ダイニング奥のII型キッチン。二面に窓があり通気性はばっちり。冷蔵庫置き場は写真左側のスペースです。
夫婦ふたりで料理をしても余裕のあるサイズ感。
ガスオーブンコンロはフランスのロジェール社製。型は古いものですが、かわいらしいレトロデザインに惹かれます。オーブンやグリルでの料理も楽しめるので、取り替えずにこのまま使うのもアリかも。
売主さま
コンロはそのままでもよさそうですが、食洗機は交換した方がいいかもしれません。
冷蔵庫置き場の床には、少し跡が残ってしまっているのでご留意ください。
ダイニングを見渡して
室内を見渡すと、天窓からも光が差し込んでいることに気がつきました。その真下にはグレーチングがあり下階まで光が届く造り。続いては右手に見えるバルコニーへ出てみましょう。
売主さま
ガラス面が多いので、ダイニングに大きめのペンダントライトを吊るしてあげると、反射して夜もいい雰囲気になります◎
緑に囲まれるバルコニー
木々が目隠しになったバルコニー。こちらも2024年5月に床を張り替えています。
売主さま
家を囲む雑木は、水やりなどの日頃のお世話は特に必要なく、年2回植木職人さんに手入れしてもらうのみでした。
今は剪定してさっぱりしていますが、もっと葉が茂れば木漏れ日いっぱいの空間になります。
cowcamo
今の状態でも周辺からの視線は、ほとんど気にならなさそうです◎
室内に戻って
右側に見えるのは、にじり口のような窓から出入りできる三角形の小ぶりなバルコニー。続いては正面に見えるリビングをご案内します。
売主さま
バルコニーでは、へちまなどの植物を育てていました。
低重心のリビング
ダイニングとは打って変わって、天井高を約2.1mとぐっと低く抑えたリビング。壁際には和紙があしらわれた造り付けの収納が。
重心を低くした適度な “お籠もり感” が心地よい空間です。開放的なダイニングや窓に囲まれ、一部が吹き抜けになっているため窮屈な印象もありません。
cowcamo
正面に見えるハシゴが気になります。上ってみましょう!
屋根裏部屋が
ハシゴを上ると、子ども部屋や収納スペースとして活用できそうな屋根裏空間が現れました。
売主さまは机を置いて書斎として活用されていたそう。窓が多いので風通しは良好ですよ。
屋根裏部屋からダイニングを覗いてみました。いいですね〜。
1階へ下りてみましょう
ダイニングを出たすぐ左手にトイレがあります。
階段踊り場から見るガラス越しのダイニングの風景が売主さまのお気に入りなのだそう。
売主さま
昔は犬と暮らしていたので、廊下や階段の床は犬の足にやさしいコルク敷きにしました。
再び玄関ホールへ
天井にご注目を。2階の天窓真下のグレーチングはここにつながっているんです。
売主さま
1階には床暖房を付けているので、テラコッタタイルが夏はひんやり冬はあたたかく感じられます。
天井に穴が空いているのは、床暖房で温めた空気を2階へ上げるためでもあるんですよ。
cowcamo
なるほど、見目も素敵な住まいですが快適性までしっかりとデザインされているんですね!
優雅なバスタイムを
ゆったりとした洗面脱衣スペース。こちらも床暖房付きです。奥の浴室とはガラス引き戸で区切られています。
売主さま
以前はトイレも付いていたのですが、撤去して洗濯物を干すスペースとして活用しています(写真左側あたり)。
浴室は外構に直接出られる開放的な造り。通気性ばっちりです。植栽がある程度目隠しになってくれますが、適宜ブラインドを下ろして入浴するとよさそうですね。
cowcamo
こんなに爽やかな環境でバスタイムを過ごせるなんて憧れます……
洗面台はゆったりとした造りなので、アイロンがけもできそうです。袖壁の裏は洗濯機置き場。
個室をチェック
売主さまが寝室として使われていた広さ約7帖の洋室A。
左側の壁一面には造作収納が。右側の扉の先はWIC(ウォークインクローゼット)です。
階段裏を利用したWIC。
広さ約4帖の洋室B。三角形に近い形で、写真には写っていませんが、コーナーにちょっとした作業台が設けられています。
cowcamo
お邪魔しました。それでは最後に周辺環境についてご案内しますね。
バスと車を使いこなして
左上・最寄りのバス停「松ノ木住宅」(徒歩3分)から丸ノ内線「新高円寺」駅・京王井の頭線「永福町」駅方面のバスが発着しています。/右上・左下・バスが走る「松ノ木八幡通り」の風景。道すがらお魚屋さんや八百屋さん、ドラッグストアを見かけました。/右下・通りを北上すると交わる「旧五日市街道」沿いには大型スーパー「サミットストア 成田東店」(徒歩8分)が。
売主さま
日頃のお買い物は近所のサミットストアか「新高円寺」や「永福町」の駅周辺ですませていました。
週末はよく車で「荻窪」や「新宿」方面へも出かけていましたよ。
緑豊かな環境に惹かれて
善福寺川に沿って広がる「善福寺川緑地」と「和田堀公園」がご近所。帯状に続くふたつの公園の全長は約4.2km。整備された遊歩道を歩けば、春の桜から秋の紅葉まで、四季折々の変化を楽しめます。写真は「善福寺川緑地」の風景。
売主さま
この環境に惹かれて、この街に家を建てました。春は桜が綺麗ですし、犬の散歩コースにもぴったりなんです。
カウカモ編集部より
今回は杉並区の閑静な住宅街に立つ、建築家 小井田康和さんが手掛けた戸建住宅をご紹介しました。
取材に訪れると、某建ものの探訪番組気分で『いいですね〜』という心の声が止まりませんでした……緑に囲まれたダイニング、低重心で落ち着きを感じるリビング、開放的で明るい浴室 etc. どの空間も居心地がいい。互い違いに貼られた一松模様の障子や和紙を使った壁の仕上げ、丁寧に納められたヘリンボーンの床といったディテールにもこだわりを感じます。
2005年の竣工から20年近くの月日が経っていますが、その佇まいは古びているというより、歳月を経たからこその味わいを感じるもの。というのも、良質な素材が使われていることに加えて、売主さまが小井田さんのお弟子さんや植木職人さんに定期的なメンテナンスをお願いしながら丁寧に住まわれてきたからでしょう。
こうした人の繋がりとともに住まいを引き継げるこの機会。ぜひお見逃しなく。
今回はカウカモでは珍しい戸建住宅のご紹介です。雑誌でもたびたび特集されてきた、こだわりあふれる空間をじっくりご案内しますね。