
タンクレストイレとは?特徴と仕組みを解説

タンクレストイレとは、その名の通り水を貯めるタンクがないトイレのことを指します。従来型のトイレでは、水を一度タンクにためてから流しますが、タンクレストイレでは水道から直接水を供給して流す仕組みになっています。この構造によって、タンクを設置するスペースが不要になり、トイレ空間をよりスッキリと見せることができます。
また、トイレがスタイリッシュに見える事で人気が高く、リノベーション物件や新築マンションなどで採用されることが増えてきています。「狭いトイレ空間を広く見せたい」「掃除を少しでもしやすくしたい」と考えている方は、採用を検討すると良いかもしれません。
タンクレストイレのメリット・デメリット

タンクレストイレには、どういったメリットとデメリットがあるでしょう?それぞれについて具体的にご紹介します。
メリット | ・スッキリしたデザインでトイレが広く見える ・掃除がしやすい ・連続で使える |
デメリット | ・手洗い器が別に必要 ・水圧や電源など設置に条件がある ・初期費用が高め |
メリット1. スッキリしたデザインでトイレが広く見える
従来のトイレと比べ、マンションやアパートのコンパクトなトイレでも、広々した印象になります。デザインもシンプルなため、理想の空間が作りやすいです。
メリット2. 掃除がしやすい
タンク部分がないことで、ホコリが溜まりにくく、掃除がしやすいです。。構造がシンプルなため、汚れがついても拭き取りやすく、従来のトイレと比べ、日々のメンテナンスが比較的簡単に行えます。
メリット3. 連続で使える
タンクレストイレは、タンクに水を溜める時間がいらないので、連続で使うことが出来ます。使用する水の量も従来型と比べ少ないことが多いので、水の節約にも繋がります。
デメリット1. 手洗い器が別で必要
タンク付きトイレのように、手洗い器がないので、手を洗うことが出来ません。トイレ内で手洗いまで済ませたい場合は、別途手洗い場などの設置が必要です。
デメリット2. 水圧や電源など設置に条件がある
タンクレストイレは、多くの機種が電動式となっているため、電源が必要になります。また、水圧が足りないと流れが悪くなるため、築年数の古い建物の場合、設置可能かどうかの確認が必要です。電動式ゆえ、停電時の利用が出来ない場合もあるので、手動レバーなどがあるかも確認しましょう。
デメリット3. 価格が高い
タンクレストイレは、一般的に従来型のトイレと比べて商品単価が高めです。また、故障した際の修理費用や、設置費用も従来型と比べると高額になるケースが多いです。
タンクレストイレの設置条件をチェック!事前に確認すべきポイント

タンクレストイレを設置する前に、以下の条件を確認する必要があります
水圧の条件
タンクレストイレは、水道管から直接水を流す仕組みのため、一定以上の水圧が必要です。
注意点として、マンションの高層階や築年数が古い建物では、水圧が不足する場合があります。特にポンプ式の給水設備が設置されている場合には、希望する設備に対応できるかどうか、事前に確認するとよいでしょう。もし水圧が不足している場合には、加圧ポンプを設置することで対応する方法もありますが、その場合は追加のコストがかかる点に注意が必要です。
水圧の調べ方としては、水道業者やリフォーム業者に依頼して実際に測定してもらう方法があります。また、導入を検討している設備メーカーが推奨している水圧をカタログなどで確認し、自宅の状況と照らし合わせることも大切です。
電源の条件
タンクレストイレは、電動で水を流す仕組みのため、一般的な家庭用の100Vコンセントが必要です。特に安全面を考慮して、アース付きコンセントが推奨されています。これは漏電による事故を防ぐための対策です。また、安定して使用するためには専用回路が望ましく、ほかの家電と共用するとブレーカーが落ちるリスクがあるため注意が必要です。
さらに、いくつかの注意点もあります。たとえば、停電時には設備が作動せず水が流れない場合がありますが、そうした事態に備えて「乾電池式の手動レバー」が付いたモデルもありますので、必要に応じて検討するとよいでしょう。
もし設置予定の場所にコンセントが無かったり、遠くて届かない場合には、新たに電源を増設するための工事が必要になることもあります。事前に電源の有無や位置を確認し、必要な準備を整えておくことが大切です。
排水の仕組み
タンク付きトイレと同様、「床排水」と「壁排水」の2種類があります。
もし既存の排水方式と異なるタイプの設備を選ぶ場合は、排水経路の変更が必要になり、リフォーム工事が発生することがあります。そのため、あらかじめ現在の排水芯の位置と、新しく設置する設備の排水位置が合っているかを確認しておくことが大切です。
事前にチェックを行うことで、不要な工事や予期せぬ追加費用を避けることができます。設備の選定時には、排水方式についても忘れずに確認しておくと安心です。
設置にかかる費用感と施工時の注意事項

タンクレストイレを新規で導入する場合の費用を解説します。
本体価格
おおよそ10万円から50万円程度とされています。価格はメーカーや搭載されている機能によって異なるため、予算や必要な機能を考慮しながら選びましょう。
施工費用
取り付け工事費用の目安は通常、3万円から10万円程度とされています。ただし、電気工事や排水工事が必要な場合には、費用が高くなる可能性も考えられるので、業者に確認しましょう。
タンクレストイレを提供する代表的なメーカーと人気シリーズ

現在、さまざまなメーカーがタンクレストイレを製造しており、それぞれ独自の特徴を持つシリーズを展開しています。以下に、代表的なシリーズをいくつかご紹介します。
LIXIL サティスシリーズ
- 特徴的なコンパクトデザインで、限られたスペースでも設置可能。
- 節水性能に優れ、1回の洗浄水量が少ない。
- 「お掃除リフトアップ機能」で便座を簡単に持ち上げて掃除可能。
Panasonic アラウーノシリーズ
- 独自の「有機ガラス系素材」を採用し、汚れが付きにくい仕様。
- バブルでトイレを洗浄するなど、さまざまなおそうじ機能が人気。
- 手洗い機付きモデルもあり。
TOTO ネオレストシリーズ
- 高い清掃性能と節水力・節電力が特徴。
- TOTO独自の3つの「びっくリーン技術」。
- シンプルで洗練されたデザインが魅力。
まとめ:タンクレストイレの導入で理想の住まいを実現しよう

タンクレストイレは、見た目がすっきりとして空間を広く見せられるだけでなく、最新機能を備えたモデルも多く、暮らしを快適にしてくれます。ただし、設置を検討する際には、事前に水圧や電気配線などいくつか確認しておきたいポイントがあるので、後悔のない選択をするため、よく確認して設置しましょう。
リノベーションを予定している方は、施工業者に導入を検討している旨を伝えてみましょう。よりよい提案が受けられるはずです。

中古・リノベーションマンションの流通プラットフォームに関する知識をわかりやすく提供するため、カウカモ(cowcamo)で日々勉強中。築古マンションの魅力とリノベーションのメリット・デメリットについて深く学び、読者の皆様が最適な選択をできるようサポートしたいと考えています。最新の住宅トレンドや資産価値の維持に関する情報も発信していくので、ご期待ください。

琉球大学大学院理工学部卒。環境建設工学を専攻し、大学院卒業書、建築設計事務所に勤務し、住宅や公共施設など様々な建物の設計に携わる。現在は建築デザイナーとして不動産開発の企画・設計から運営まで行うコンサル会社にて、オフィス設計やリノベーションなどを中心に手がける。趣味は街歩きと珈琲焙煎。空き家を活用して設計事務所と珈琲屋さんを開くことが目標。