
「自宅を売却して手に入ったお金、これって税金が引かれるの?」
「確定申告って難しそうだけど、どう計算すればいいんだろう…」
不動産売却を進める中で、このような「お金と税金」の不安を抱える方はとても多いです。
不動産を売って「利益」が出た場合には税金がかかりますが、マイホームの売却であれば、特例を活用することで税金を大幅に減らす(あるいはゼロにする)ことも十分に可能です。
だからこそ、事前にしっかりとした税金シミュレーションを行っておくことが、後悔しない売却のために欠かせません。
この記事では、不動産売却にかかる税金の基礎知識から、2026年最新の税制に基づく「譲渡所得税」の具体的な計算方法まで、プロがわかりやすく解説します!
不動産売却でかかる税金の基礎知識
土地や建物といった不動産を売却して「利益」が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」という税金がかかります。この税金は、物件を売却した翌年の2月16日~3月15日までの間に、ご自身で「確定申告」を行って納付する必要があります。
普段、会社員の方は年末調整で済んでしまうため確定申告に馴染みがないかもしれませんが、マイホームの売却では「3,000万円の特別控除」という強力な節税メリットが使えるため、申告手続きは絶対に忘れないようにしましょう。
税金シミュレーションは譲渡所得税に注目
「譲渡所得税」とひとことで言っても、実は「所得税」と「住民税」の2つから成り立っています。
これらは、売却して得た利益(譲渡所得)から各種控除を差し引いた金額に、一定の税率をかけて計算されます。
支払い時期にもタイムラグがあり、所得税は翌年の確定申告時(2~3月)に納めますが、住民税は少し遅れて翌年の6月以降に通知が来てから支払うことになります。忘れた頃に請求が来るので、お金を使ってしまわないよう注意が必要です。
不動産売却でかかるそのほかの税金
譲渡所得税のほかにも、売却の手続き自体に以下のような税金がかかります。
不動産売却でかかるそのほかの税金
- 印紙税(売買契約書に貼る収入印紙)
- 登録免許税(住宅ローンの抵当権を消すための税金など)
- 固定資産税(引き渡し日までの日割り精算)
- 消費税(不動産会社へ支払う仲介手数料などにかかる税金)
最近ではオンライン上で手続きを完了させる「電子契約」も普及してきており、電子契約を利用すれば契約書の「印紙税」は非課税(0円)になります。ちょっとした節約ポイントですね。
不動産売却による譲渡所得税の計算方法

それでは、メインとなる譲渡所得税の具体的な計算方法を見ていきましょう。計算の基本となる数式は以下の通りです。
譲渡所得税の計算
【ステップ1】 譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額
【ステップ2】 譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
難しく見えますが、要するに「売れた金額」から「家を買った時の費用」と「売るためにかかった経費」、そして「国が用意してくれた割引枠(特別控除)」を引き算して、残った利益(譲渡所得)に税率をかける、というシンプルな仕組みです。
取得費を計算
まずは「取得費」です。これは、その不動産を過去に買った時にかかった費用のことです。土地・建物の購入代金だけでなく、購入時の仲介手数料や税金なども含めることができます。
相続した家の場合は、購入した時の価格を引き継ぎます。それでも買った時の価格がわからない場合は、売却価格の5%を『概算取得費』として計上できます。
ここで一番注意したいのが、建物の価格は買った時の値段をそのまま使えるわけではないという点です。建物は経年劣化していくため、使った期間分の価値の目減り(減価償却費)を差し引く必要があります。
減価償却費の計算
減価償却費 = 建物の購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
※償却率とは、建物の構造(鉄筋コンクリート造か、木造かなど)によって法律で定められている数値のことです。
※経過年数は、6か月以上の端数は1年に切り上げ、6か月未満は切り捨てます。
- ※土地と建物をまとめて購入して建物価格がわからない場合は、購入時の契約書にある消費税額から逆算する方法などで建物価格を出します。
譲渡費用を計算
次に「譲渡費用」です。これは、今回不動産を売却するために直接支払った諸経費のことです。
譲渡費用にできるもの
- 売却時に不動産会社へ支払った仲介手数料
- 売買契約書に貼った印紙税
- 賃貸物件を売るため、居住者に支払った立ち退き料
- 売却のために建物を壊した場合の解体費用
- より有利な条件で売却するために支払った違約金
- 借地権を売るために地主へ支払った名義書換料
なお、引っ越し代や、きれいにするためのハウスクリーニング費用、部分的な修繕費などは「譲渡費用」には含められないので注意してくださいね。
特別控除額を引く
ここで大きな味方になるのが、マイホームの売却で使える「3,000万円の特別控除」という特例です。
これは、売却利益から最大3,000万円を差し引くことができる制度です。つまり、利益が3,000万円以下に収まれば、課税される所得がゼロになり、結果的に税金は1円もかかりません。
この特例を使うためには、主に以下のような要件を満たす必要があります。
3000万円の特別控除を受けるための要件
- 自分が住んでいる家であること、または住まなくなってから3年が経つ年の12月31日までに売却すること
- 前年・前々年にこの特例や、買い替え時の特例を利用していないこと
- 売り手と買い手が「親子や夫婦」などの特別な関係(親族間売買など)ではないこと
住み替えで新居に住宅ローン控除(住宅ローン減税)を使う予定の方は注意が必要です。
新居に入居した年とその前2年・後3年の間に3,000万円の特別控除を使うと、新居で住宅ローン控除を受けられません。
どちらが有利かは事前にシミュレーションしましょう。
譲渡所得税を計算
特別控除を引いてもなお「プラスの利益」が残った場合、いよいよその金額に税率をかけます。
実はこの税率、その不動産を「どれくらいの期間所有していたか」によって、以下のように約2倍も変わってきます。
【短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率】
| 区分 | 所有期間 | 所得税(復興特別所得税を含む) | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
ここで一番間違いやすいのが、所有期間は「売却した日」ではなく「売却した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかで判定されるという点です。売り急いで税金が倍にならないよう、タイミングには十分注意してくださいね。
不動産売却時の税金シミュレーション
それでは、実際にどれくらいの税金がかかるのか、具体的な例を挙げて計算してみましょう。
【前提条件】2,500万円(建物2,000万円・土地500万円)で購入したマンションが、4,500万円で売れたケース
シミュレーション条件
- 特別控除(3,000万円)を利用するケースで計算
- 仲介手数料は法律で定める上限額(消費税10%)
- 印紙税は軽減措置を適用(1万円)
- 登録免許税(抵当権抹消)は2,000円、ローン一括返済手数料は1万円を想定
まずは、今回売却するためにかかった「譲渡費用」を計算します。
4,500万円で売却した場合の譲渡費用の計算
・仲介手数料:4,500万円 × 3% + 6万円 = 141万円(税込1,551,000円)
・印紙税:10,000円
譲渡費用合計 = 1,561,000円
※抵当権抹消の登録免許税(2,000円)や住宅ローンの繰上返済手数料(10,000円)も売却時にかかる費用ですが、税金の計算上は譲渡費用に含められません。
鉄骨(骨格材の肉厚が3mm超4mm以下)構造のマンション購入から30年の例
鉄骨造(肉厚3~4mm)で、購入から30年が経過している場合のシミュレーションです。この構造の償却率は「0.025」として計算します。まずは建物の減価償却費を出します。
建物部分の減価償却
・減価償却費:2,000万円 × 0.9 × 0.025 × 30年 = 1,350万円
・償却後の建物価格:2,000万円 - 1,350万円 = 650万円
この償却後の建物価格に土地代の500万円を合わせた「1,150万円」が、現在の物件の価値(取得費)となります。
ここから、売れた金額に対して課税される利益(譲渡所得)を計算します。今回は3,000万円の特別控除を利用する設定で計算します。
譲渡所得の計算
売却価格 4,500万円 -(取得費 1,150万円 + 譲渡費用 1,561,000円)= 31,939,000円
ここから特別控除3,000万円を引くと、課税対象となる譲渡所得は「1,939,000円」となります。
このケースでは、マイホームを10年を超えて所有しているため、「10年超所有軽減税率の特例」を3,000万円の特別控除とあわせて使えます。課税対象となる譲渡所得のうち6,000万円以下の部分には、通常の長期譲渡所得の税率(20.315%)より低い「14.21%(復興特別所得税を含む)」がかかります。
譲渡所得税の計算
・所得税(10.21%):197,971円
・住民税(4%):77,560円
譲渡所得税合計 = 275,531円
この例では、約28万円の税金がかかることがわかりました。軽減税率の特例を使わず、通常の長期譲渡所得の税率(20.315%)で計算すると約39万円になるため、特例によって約11万円の節税になります。
鉄筋コンクリート構造のマンションの20年の例
つづいて、より頑丈な鉄筋コンクリート造(RC造)で、購入から20年が経過している場合のシミュレーションです。この構造の償却率は「0.015」として計算します。
建物部分の減価償却
・減価償却費:2,000万円 × 0.9 × 0.015 × 20年 = 540万円
・償却後の建物価格:2,000万円 - 540万円 = 1,460万円
建物価格に土地代500万円を合わせた「1,960万円」が取得費となります。これをベースに譲渡所得を計算してみましょう。
譲渡所得の計算
売却価格 4,500万円 -(取得費 1,960万円 + 譲渡費用 1,561,000円)= 23,839,000円
この時点で利益が「23,827,000円」となり、3,000万円の枠内にすっぽりと収まります。つまり、特別控除を適用すれば課税対象となる所得はゼロになり、このケースでは譲渡所得税は1円もかからないということになります!構造や築年数によってこれほど違いが出るのですね。
ただし、税金がゼロになる場合でも、特例を使うには確定申告が必要です。
税金シミュレーションのQ&A
ここで、税金の計算にまつわるよくある疑問にお答えしておきます。
減価償却って何?
建物というものは、新築時から時間が経つにつれて壁や設備が劣化し、少しずつ価値が減っていきますよね。
この「使った年数分だけ価値が減ったことにして、購入価格から差し引くルール」のことを減価償却と呼びます。なお、土地は時間が経っても劣化してなくなるものではないため、減価償却の対象にはならず買った時の値段がそのまま使われます。
不動産売却をしたときに使える特例や控除はある?
はい、マイホーム(居住用財産)の売却にはとても手厚い特例が用意されています。
今回シミュレーションで利用した「3,000万円の特別控除」のほかにも、売却した年の1月1日時点で10年を超えて所有していた場合に、さらに税率が安くなる特例や、逆に売却して損(赤字)が出てしまった場合にほかの所得税を減らせる特例などもあります。
ただし、いずれの特例も「自動的に適用されるわけではない」という点に注意してください。特例を利用するには、必ず翌年の2~3月にご自身で確定申告を行う必要があります。
不動産売却時には税金のシミュレーションを
今回は不動産売却の「税金とシミュレーション」について解説しました。
計算式を見ると難しく感じるかもしれませんが、要は「手元にいくら残るのか」を事前に把握しておくための大切な作業です。特例を賢く使えば税金がゼロになるケースも多いので、ぜひ一度ご自身の物件でシミュレーションしてみてくださいね。
とはいえ、「自分一人で計算して間違っていたら怖い…」「特例が使えるかどうかわからない」と不安に感じる方もいらっしゃると思います。
私たちカウカモでは、お住まいの売却サポートはもちろん、「税金や諸経費を引いて結局いくら手元に残るのか?」という資金計画のシミュレーションから丁寧にお手伝いしております。提携する専門家と連携したサポートも可能ですので、お金や税金にまつわるご不安があれば、ぜひお気軽にカウカモまでご相談ください!


中古・リノベーションマンションの流通プラットフォームに関する知識をわかりやすく提供するため、カウカモ(cowcamo)で日々勉強中。築古マンションの魅力とリノベーションのメリット・デメリットについて深く学び、読者の皆様が最適な選択をできるようサポートしたいと考えています。最新の住宅トレンドや資産価値の維持に関する情報も発信していくので、ご期待ください。

中古・リノベーション住宅の専門エージェントチームとして顧客の理想の暮らしを実現するため、物件選びからリノベーション、インテリアまで幅広く提案。ITツールを活用しつつ、一人ひとりに寄り添ったコンサルティングで、住まい探しから購入後までを一貫してサポートします。顧客志向と専門性を重視し、理想の住まいとの出会いをプロデュースします。
















