コンセプトは “街とつながる” 小さな住まい

写真

今回ご紹介する物件は、ちょっと個性的なコンセプトから誕生しました。それは、街の個性や機能を積極的にライフスタイルの一部に取り入れることで、コンパクトながら、より豊かな生活を叶えるということ。内装でキーワードとなるのは「一点突破」「ダブルミーニング」です。上のプラン図に描かれた、独創的なデザインを取材してきました。

交通利便性◎ 市ヶ谷&四ツ谷の街

写真

上・ご紹介する物件の最寄りとなるのは、中央・総武線のほか、地下鉄3路線が乗り入れる「市ヶ谷」駅で徒歩5分。「曙橋」や「四谷三丁目」駅も徒歩圏内にあり、都内のどこへでもひとっ飛びで行けちゃいそうな立地です。/下・JR線と丸ノ内線が乗り入れる「四ツ谷」駅から物件までは、徒歩7分という距離。

グルメには困りません

写真

左・細い路地に粋なお店がひしめく魅惑の飲食街 “荒木町エリア” がマンションから徒歩12分(950m)の位置に!/右上・なかでもおすすめなのが「とんかつ 鈴新」。定番のカツ煮はもちろん、乗せカツやソースカツなどの、ひとひねり効いたメニューも大人気です。(1km 徒歩13分)/右下・もう少し近場でさくっと食事を済ませたいときは、「四ツ谷」駅前から続く飲食街「しんみち通り」へどうぞ。こちらにも和洋中、さまざまなお店が揃っています。(550m 徒歩7分)

靖国通り沿いにそびえる ペット可マンション

写真

「四ツ谷」駅から外堀通り沿いを進み、細い道に折れてゆるい坂を下ると、靖国通り沿いに建つ目的地のマンションが見えてきました。1971年に竣工した地下2階付き地上14階建て・総戸数55戸の建物です。5階まではテナントとしてオフィスや店舗などが入居していて、6階以上が住居専用フロアになっています。

cowcamo

2019年7月現在、築47年になる建物です。長期修繕計画書がしっかりと作成されていて、資料によれば2020年の2月に大規模修繕工事を実施予定とのこと。その際に借入れを行う予定ですので、ご留意くださいね。こちらのマンションでは、ペットの飼育ができますよ♡(細則あり)

写真

左上・エントランスは靖国通り沿いに二箇所。写真のメインエントランス右手にはコンビニが入居しています。/右上・エントランスホールには、集合ポストと管理人室の窓口が。エレベーターは2基備わっていて、それぞれ事務所フロア専用と住居フロア専用に分かれています。出入りする際は、オフィスにお勤めの方と顔を合わせることがありそう。/左下・ご紹介する住戸の所在する9階に上がってきました。窓の面格子や手すりはレトロなデザイン。/右下・共用廊下の途中でパシャリ。右手、緑が茂っている場所は日本の国防の中枢「防衛省市ヶ谷地区」の敷地です。交通量の多い国道側に面しているため、ここでは賑やか。

cowcamo

オートロックは備わっていませんが、共用部の各所に防犯カメラが設置されていて、監視の目を光らせています。管理人さんは月〜金曜日の8:00〜17:00に勤務されていますよ。

お邪魔します!

写真

左・玄関ドアを開けると、清楚な印象の廊下が。正面のドアの先にはリビングダイニング(LD)があります。壁のブラケット照明が可愛い♪/右・廊下に上がって振り返ったところ。シューズボックスの左手には、大容量のウォークインクローゼット(WIC)があります。ちょっとのぞいてみましょう。

写真

WICには、ハンガーパイプと可動棚が備わっています。ちょうど真ん中でふたつに分かれているので、おふたり住まいでもきっちりと使い分けられそう。

光に満ちたワンルーム!

写真

LDに入ると、格子入りのガラス戸からまばゆい光が差し込む空間が現れました! 左手には独立式のキッチン、右手には棚が置かれ、ゆるくゾーニングされています。

写真

部屋の中ほどまで進むと、正面のガラス戸の先がサンルームになっているのがわかります。左手にも大きなガラス引き戸があり、その先にはなんと水まわりが。床には足ざわりのいい織物状のフロア材が使用されています。

写真

室内全体を見たところ。LDの広さは約12.4帖で、左手の奥にはセミダブルベッドが置かれています。家具はディスプレイ品とのことですが、照明は物件に付属しますよ。

売主さま

こちらの住戸では、内装や設備をまるごと新しく造り直すスケルトンリノベーションを実施しました。コンパクトですが、おふたりでも快適に暮らしていただけるデザインです。最大の特徴は、 “リフレッシュの拠点” となるお風呂と洗面脱衣室です。

リラックスできる ゆったり “ラバトリー”

写真

それが、こちらの “ラバトリー” 。壁や建具に木目を用いた、約2.1帖のゆとりある洗面脱衣室です。

写真

床材はLDと同様で、続き間のような一体感があります。奥には、椅子を置いてお風呂上がりのセルフメンテナンスなどをするのにちょうどよさそうなスペースが。ガラス戸の手前にはブラインドが設置できますよ。

写真

左・主張を抑えた木目調の引き戸を開くと、トイレが現れます。壁上部には高さを調節できる棚板が設置済み。/右・洗面台はスマートなデザインの洗面ボウル一体型。左手の壁にはタオルウォーマーが備わっています。

売主さま

洗面台下にミニ冷蔵庫が置けるように、コンセントを配置しました。

cowcamo

それって、風呂上がりに気軽に “プシュッ” っとやれちゃうってことじゃないですか!

街を見渡すバスルーム

写真

左・戸建住宅にも使われる、ゆとりある1616サイズです。バスルームの扉と仕切りもガラス張り。/右・バスタブで中腰になると、窓の外には四ツ谷の街を見渡すビューが! 隣接するサンルーム側にも開閉可能な窓が備わっています。

売主さま

「一点突破」とは、お風呂と洗面脱衣室を特に充実させて、家でのリラックスタイムやセルフケアの時間を豊かにする、ということなんです。その反面「食」については、飲食店が充実した街で楽しむことを念頭に、キッチンをコンパクトな仕様としています。

cowcamo

なるほど! 大事にしたいことと、そうでないことのメリハリを利かせているんですね。

LDに戻って

写真

ディスプレイの家具のように、背板のないラックをパーティション代わりに使えば、圧迫感なくゾーニングできますね。続いて、右手のサンルームへ。

写真

左・サンルームは約2.1帖のスペースで、床には水や汚れに強い塩ビタイルが採用されています。ほぼ真南向きなので、グリーンを置けばすくすくと育ってくれそう。/右・猫ちゃんを飼う場合にも、閉め切れば植物がかじられたり、いたずらされたりする心配はありませんね。

cowcamo

あれ? そういや玄関側に廊下とWICがあって、こちら側にサンルームって、まるでLDの両サイドを空間がサンドイッチしているみたいですね。

売主さま

はい、そこが「ダブルミーニング」なんです。屋外が少々賑やかなので、緩衝地帯を設けてLDの遮音性・断熱性の向上を目指しました。WICやサンルームとしての実用性と、二重サッシのような機能性。そのふたつを兼ね備えているんです。

南向きのバルコニーへ

写真

眺望は、オフィスビルと住宅街のハーフ&ハーフ。奥に向かってなだらかな丘になっていて、なんだかジオラマを見ているような迫力ある景色です。これは夜景にも期待大!

cowcamo

夏季は「神宮球場」でのナイターで打ち上げられる花火を、ここから眺められるんですって! ヤクルトスワローズ主催戦の5回裏終了時に300発の花火が上がるそうですよ。

写真

幅も奥行きも必要十分な広さ。物干し金具がないので、自立式の物干しスタンドを用意しましょう。天気の悪いときは、浴室乾燥機も活用できますよ!

写真

室内に戻ってきました。閉め切ると、確かに外の喧騒は大きく抑えられるように感じられました。音については、現地で効果をご体感くださいね。 続いて、キッチンをチェックしましょう。

写真

左・キッチンはクローズド式。奥には追加で棚を設置できるスペースが用意されています。左手には開口があり、その先に洗濯機置き場があります。/中央・必要な機能をギュッと詰め込んだミニマル仕様。LDとの間に低い段差があるのでご用心を。/右・洗濯機置き場には開閉できる窓が。採光・換気性よし!

細部にズームイン

写真

左上・洗面台に設置されたタオルウォーマーは、タオルを掛けておくだけで、ふかふかの心地いい状態がキープできるスグレモノ。ドライな状態を保ってくれるので、湿気の多い季節も衛生的です◎/右上・コンロはシンプルなドロップインタイプ。/左下・LDの中央に走る梁の両サイドには、ライティングレールが設置されています。/右下・LDと洗面脱衣室の床には、商業空間などにも使われる独特の風合いをもつ繊維状のビニル系フロア材を採用しています。お手入れは掃除機やモップでOK。

最後に 周辺環境をチェック

写真

左上・普段のお買い物は、マンションから徒歩6分(450m)の「マルエツ 市ヶ谷見附店」へ。24時間営業の頼もしい存在です。/右上・「四ツ谷」駅前にある「上智大学 四谷キャンパス」では、社会人向けに各種公開講座が開催されています。ビジネスマンや主婦にも人気なのだとか。(800m 徒歩10分)/左下・皇居ランナーの方にとっても好立地。写真の「千鳥ヶ淵」までは約1.8kmの距離なので、一周して戻れば約8.6kmと、ほどよいトレーニングコースになります。/右下・「四ツ谷」駅近辺でどうしても筆者がおすすめしたいのが「たん焼 忍」。夜の店内は名物のゆでたんや牛タンシチューを求める人で、いつも満員に。近さを活かして、一番乗りしちゃいましょう。(650m 徒歩8分)

cowcamo

カウカモ編集部より

あえて交通利便性◎な都心に、コンパクトで、しかし豊かに暮せる住まいを選ぶ。今回ご紹介したのは、そんな新しい選択肢となりそうな物件です。


住戸内で重視するのは「とことんリラックスできること」と、明確な目的から設計がなされている点が大きな特徴。バスルームや洗面脱衣室に空間と予算を充てた分、キッチンは必要最小限のコンパクト仕様です。でもご安心を。マンションが建っているのは、飲食店がとっても充実した街。外食中心の生活なら、疎かになるどころか、むしろ豊かな食生活を送ることができそうな周辺環境なんです。


そんな「一点突破」なコンセプトゆえに、様々な設備をバランスよく充実させた、オールラウンダーな住まいをお求めの方にとっては、ミスマッチかもしれません。しかし、「街と住まいがシームレスにつながるような生活が実践できる」のは、都心という立地ならではの大きなメリットでしょう。


反面、都心には「賑やか」というデメリットも。こちらの物件では、生活空間と屋外との間に緩衝地帯を設けることで、その問題の解決を図っています。WICとサンルームがそれで、実用的なだけでなく、遮音・断熱という機能性も持ち合わせているんです。


蛇足ですが、コンパクトな家に住み、従来家の中だけで賄ってきた機能の一部を、家の外にあるコミュニティや街に頼るという考え方は「タイニーハウス・ムーブメント」とも共通しているのが興味深いところ。


さて、約47.2㎡という専有面積は、ふたり暮らしには向かない広さだと捉えられがち。しかし、この住戸ではおふたりでも十分快適に暮らせるワンルームの間取りで設計されています。実際、取材をしていても『WICやお風呂、サンルームが付いた約12.4帖の “個室” だと思うと、十分な広さだなぁ』と思いました。


住宅を購入する際、理想を求めるあまり、コストという現実とのギャップを埋めるのに苦心することもしばしば。しかし、あえて街に拓かれた「都心×コンパクト」な住まいを選択すれば、通勤など移動にかける時間的な制約や、家の中の設備を充実させなければならない空間的な制約から開放され、さらに資金的な余白が生まれる場合もあるでしょう。


足るを知る者は富む。その余白は、ひょっとしたら “多拠点居住” や、家のような車を持って気ままに移動する “バン・ライフ” のような夢にもつながっていくかもしれません。

writer / editor:中山 宇宴