カウカモでまさに“一点もの”の住まいに出会い、新生活を始められた皆さまの暮らしを訪ねる「カウカモグラフ」。
今回はスケルトン状態の物件を、カウカモ提携の工務店とタッグを組んで、ご自身の設計でフルリノベーションしたファミリーのもとを訪ねました。
《プロフィール》
名前:まさとさん(旦那さま) / めぶきさん(奥さま)/ 娘さん
年齢:30歳 / 30歳 / 1歳
職業:会社員(建築設計) / 会社員(不動産開発)
趣味:旅行、ガーデニング、おいしいもの巡り
《この住まいについて》
場所:千歳烏山
間取り:1LDK
面積:52.8㎡
築年数:41年(取材時)
追加リノベ:フルリノベーション
支払い額(以前と比べて):広さは約2倍広くなり、約3万ダウン
家を探し始めたきっかけ:出産後、賃貸での住まいを手狭に感じたため
家探し期間:1ヶ月
内見数:4件
Q1:以前の住まいは?
まさとさん:「大田区」のデザイナーズ賃貸に住んでいました。お洒落な内装で気に入っていたのですが、段差の多いスキップフロアの間取りで、子どもがいる家庭には不向きな物件でした。
しばらく住んでから妻の妊娠がわかり、出産を見据えて、妻の実家の近くにある「渋谷区」の賃貸マンションに引っ越しました。
Q2:家探しのきっかけは?
めぶきさん:「渋谷区」のマンションは実家が近く、子育てには便利でした。ただ、家賃が高いうえに、子どもが生まれたら手狭になると感じていて。しだいにもっと広い家に引っ越したいと思うようになりました。
産休中で時間もあったので、とりあえず物件探しを始めてみようという気持ちで動き出したところ、この物件に出会ったことで一気に話が進みました。
引っ越しつづきにはなってしまいますが、思い切って住み替えることにしました。
Q3:この街《千歳烏山》にした理由は?
めぶきさん:実家と同じ沿線エリアで、特急停車駅ということもあり、実家や都心に通う際にも今までと比べて大幅に不便になることはないだろうと考えました。商店街が大きくて、子育て世代も多く、街に活気があふれていたことも決め手でした。
まさとさん:子育てをする上で、妻にとって暮らしやすい街がいいと思っていました。魅力的な個人商店が多く、まちの方々の温かさにも惹かれました。当時おなかの大きかった妻とバスに乗った際に、何人もの方にやさしく声をかけていただけたのが印象的でした。
Q4:《中古を買ってリノベーション》以外の選択肢は検討した?
めぶきさん:私たち夫婦は同じ大学の建築学科で出会い、私は不動産開発、夫は建築設計の仕事をしています。
本業ではオフィスビルや商業施設など大規模なプロジェクトに組織の一員として携わっているので、「いつか自分の作品も残したいよね」と話していて、リノベありきで考えていました。
Q5:この家に決めた理由は?
めぶきさん:ここはスケルトン状態※で売り出されていて、リノベを考えていた私たちにぴったりでした。スケルトン状態の物件は市場に出ること自体が少ないので、見つけたときに「これは……!」と思いました。
物件探しを始めた当初は、自分たちで情報を集めたり、地元の不動産屋さんを通じていくつか内見を重ねたりしていました。
そんな中でこの物件に出会い、「本当にリノベに向いているのか」を専門的な視点で確かめたくなり、リノベに強いカウカモさんに相談することにしました。
※内装や間仕切り壁などが撤去され、コンクリート打ちっぱなしで、配管や配線もむき出しになった状態
スケルトン天井を生かした内装。シンプルなグレーの躯体と温かみのある家具の色合いが調和している。
まさとさん:内見の時点で、天井が抜かれて構造体が見える状態でした。梁の位置や天井の高さも事前に確認でき、どこを開放的に見せるかという設計のポイントを、具体的にイメージできたのが大きかったです。
カウカモエージェントの丹治(たんじ)さんとも「水回りの位置はどこまで動かせるか」「換気はどう通すか」といった技術的な相談も早い段階でできたので、安心感がありました。また、提携している工務店さんをご紹介していただけたのも心強かったですね。
スケルトンだから解体費用がかからないこともメリットでした。設計の自由度が高いだけでなく、費用の見通しも立てやすいという意味で、理想的なスタートが切れたと思います。
小さなお子さんがいても、安心のカーペット。ウールの素材や色にもこだわったそう。
Q6:リノベーションでこだわったポイントは?
めぶきさん:大学時代にふたりともスイスに留学していたこともあり、ヨーロッパの建築を沢山見ている中で、私たちは「和」の要素と「西洋」の近代にみられるミニマルなデザインが融合した「和モダン」が落ち着くし、好きだと感じていました。
子どもが産まれることがわかっていたので、リノベのテーマは子どもと視線が合う「床座での暮らし」です。
まさとさん:床に座ったり、寝転んだりしながら、自然と居場所をつくれるような空間が理想で、床材にはあえてカーペットを選びました。
掃除がしやすいように一面貼りにせず、パネル式を選びました。汚れても部分的に交換でき、見た目にもあたたかく、子どもが走り回っても安心です。
下り天井・間接照明・キッチンの水平ラインが端正な美しさを演出する。配管などは、下がり天井の上部やキッチン飾り棚の裏にうまく隠されている。
まさとさん:僕が特に意識したのは、空間のひろがりとシンプルな美しさを表現することです。部屋の間仕切りや収納はあえて天井まで閉め切らずに欄間オープンとすることで、その先に空間が続いていくようにしています。メインとなるリビングは、もともと梁の高さがバラバラだったので、目線が整うように下がり天井を設けて、空間全体に統一感が出るように設計しました。庭に向かって自然と目線が外に向かうようにも意識しました。
「和モダン」の雰囲気を出すために、寝室の引き戸を最初はオリジナルで考えていたのですが、カウカモさんに相談したところかなり高額になることがわかりました。そこで妻がアンティークショップで古建具を見つけてコストカットを実現しました。結果的に印象的で部屋の雰囲気を作ってくれているのでとても満足しています。
工務店さんがとにかくリノベに慣れていて、間接照明や造作収納の詳細な収まり、タイルの目地にまでこだわって施工方法の相談に乗っていただきました。洗面台は作家さんの一点ものを施主支給するなど、普通の工務店さんであれば嫌がることも柔軟に対応してくれました。おかげで、仕上がりにはとても満足しています。
Q7: 売却・購入にあたって不安に感じたことや乗り越えたことは?
まさとさん:施主である妻を説得するのが大変でした(笑)
めぶきさん:なんとなくの役割分担があって、私が物件探しとコスト管理。主人は意匠的なデザインの提案と設計。お互いの強みを生かす形で進めていけたので、「我が家の一大プロジェクト!」という感じで、私は楽しかったです(笑)
私はコスト面とスケジュールを考えた時に、カウカモの「ライフカタログ」※を使うという手も考えていました。
※デザイン・家具・植物を好みに合わせて選べる定額リノベーションパッケージ(詳しくはこちら!)
寝室とリビングの間仕切りの一角は本棚に。
まさとさん:ただ、僕としてはやはり「作品を残したい」という思いが強くて、カウカモさんと工務店に相談したところ「ご自分で設計したほうがいいですよ!」と背中を押してくれました。スケジュール的にはかなり大変でしたが、設計にトライして良かったですね。
実作として初めて手がける住まいだったので、納まりや仕上がり、性能などには不安がありました。沢山サンプルを取り寄せたり、ショールームに何度も足を運んだりして、気に入った質感に辿り着けたと思います。
右側はパントリー兼洗濯室。生活感のあるものは、カーテンで上手に隠している。左側のニッチ下には隠し収納も。
めぶきさん:コスト面でいうと、家づくりではやりたいことを全部詰め込もうとすると、あっという間に予算オーバーになってしまいます。特に夫は設計のプロなので、気づけばどんどんやりたいことが増えていて(笑)
最初に「ここまでに収めたい」という予算の上限を決めて、そこから逆算しました。デザインと金額を擦り合わせる作業は、かなりがんばりましたね。
例えば、うちは建具がとても少ないです。「LDKと廊下の建具って、本当に必要なのか?」といった、一般的な住宅では当たり前とされている部分から考え直しました。それを無くしたことで玄関から庭まで視線が抜けて、魅力的なエントランス空間ができました。また、クローゼットやパントリーの仕切りはカーテンで代用して、コストを抑えました。結果としてこだわりながらも「ライフカタログ」とあまり変わらない金額感に収めることができました。
Q8:カウカモで家を買ってみてどうだった?
めぶきさん:担当の丹治さんがとてもフレンドリーで、他の物件を内見した際にも「こういう造りのベランダは、老朽化しやすいですよ」など、ネガティブな面も正直にお話しいただけるところに安心感がありました。
気になることはアプリを使って気軽に連絡が取れるので、産前・産後の忙しい時期でも、スムーズにやりとりができました!
まさとさん:カウカモさんは中古マンションやリノベに特化しているのが印象的で、丹治さんは「どういうところで設計上つまづきそうか」といった細かい部分まで相談に乗ってくれました。
工務店さんも「こういう事例や素材がありますよ」と、こちらの悩みに対して積極的に提案してくださって、すごく頼りになりました。
本業でも設計はしていますが、中古マンションならではの規約やむずかしさもあり、中古マンションのリノベに特化したカウカモさんや提携の工務店さんとご一緒できて本当にありがたかったです。
リビングはカーペット。窓まわりやキッチンの床はタイルに切り替えて、ゆるやかにゾーニングしている。
めぶきさん:あと、実はすでにこの家の売却を検討していて、それもカウカモさんにお願いしています。この家は「作品を残す」という意味で、もともと一時的な住まいとして考えていたので、資産性も意識してマンションを選びました。
思っていたよりも早く、次の戸建て住宅の計画が進んでいて、土地探しから動き出しています。
たった1年ほどの暮らしでしたが、思っていた以上に快適で、正直手放すのが惜しいくらい。でも、次のステップに進むためのポジティブな決断だと考えています。
Q9:この家のお気に入りの場所は?
まさとさん:やはり寝室とリビングですね。限られた50㎡ほどの面積をどう広く見せるかを常に意識して設計していました。
寝室とリビングを仕切る建具を格子にして、光と風が通り抜けるように。欄間をオープンにすることで、天井の繋がりや奥行き感を出しています。
既存躯体や新設の配管など、見せる・隠す、の選択もかなり工夫しました。
まさとさん:リビングの家具には友人の家具デザインスタジオ(GHOST FURNITURE)と共同制作したローチェアとダイニングテーブルを採用しています。家具の高さを低くすることで、空間がひろく感じられるとともに、子どもとの生活にもなじむデザインに仕上げました。
ローチェアに座っていると、娘がすっと近くに寄ってきて、膝をポンポンと叩き「ごはんちょうだい」と伝えてくれるんです。自然と家族の距離が近づく設計にできて、本当によかったと思っています。
ご夫婦が友人(GHOST FURNITURE)と共同でつくったローチェアは、座椅子とローテーブルに2分割することができる。
めぶきさん:どこでも居場所になる、リビングのカーペットが気に入っています。ソファがなくても、好きなところに、ごろんとできるのは小さな子どもと過ごすうえで安心感がありますね。
友人が遊びに来ても、それぞれが好きな場所にゆったり座って話ができるので、「帰りたくなくなっちゃう」と言われることも。最近は、お客さんを招く機会も増えていて、みんなでこの空間を囲む時間がとても楽しいです。
Q10:これから家探しをする人にアドバイスがあれば
めぶきさん:私たちは、最初にこの物件を見たときに「いいな!」と直感がはたらきました。その後も一応いくつか内見しましたが、やはりここの印象がいちばんで。
初めての家探しでは迷うことも多いと思いますが、「好き」と思った気持ちは、大事にしてよいと思いました。
まさとさん:設計者目線では、「実際にどう暮らすか」をできるだけリアルに想像してみることが大切だと思います。素材の選び方や納まりについて、住んでみてから気になることも多いです。
たとえばクロスの質感ひとつとっても、見た目と機能性が両立しているかどうかで満足度が変わってきます。コストやデザインのバランスを取りながら「家族がどう過ごすか」をいちばんに考えて選ぶと、後悔しない家になると思います。
砂利で仕上げた玄関の三和土(たたき)。ベビーカーが収まるように、ゆったりとスペースを確保。
■リノベーションマンションで暮らしたいと思ったら
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取材・文・撮影:アカセ ユキ/編集:本多 隼人