今春、cowcamoでは『RoomClip』とコラボして「中古の住まいで楽しむプチリノベ」コンテストを実施。230件を超える投稿の中から、特に素敵だったお部屋5軒を「カウカモ賞」に選ばせていただき、前4回に渡ってご紹介してまいりました。5回目となる最終回は「カウカモ賞」を受賞したtaruさんのお宅のご紹介です。

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今回伺ったのは、横浜市にお住まいのtaruさんご一家のお宅。

無骨でラフな空間は、さながら男の隠れ家、といった雰囲気ですが、なんと中学生から2歳までの3人のお子さんがいらっしゃるとのこと。

インダストリアルなテイストにとことんこだわりながらも、家族が自然にだんらんできる工夫を随所に詰め込んだというtaruさん邸。そのユニークなアイディアの数々をお教えいただきました!

taruさんのお宅は、築26年のマンションの1階。

前の住人の方が退去されたそのままの状態で購入し、リノベーション会社に全面リノベーション設計をしてもらったのだそう。

まず玄関扉を開けて驚くのが、正面の壁一面にずらりと並べられた靴の数々と、ひと部屋分は優にありそうな、広々とした土間の玄関!

軽くひと部屋分の広さがありそうな玄関。壁一面のシューズラックは、リノベーション設計を担当された方が、木材を叩いて古材風に加工してくれたもの。

その広さたるや、2歳のお子さんが写真のおしゃれな三輪車に乗って、ぐるぐると走り回れそうなほど。これはなんとも贅沢です!!

玄関のすぐ近くにあった1室を壊し、土間と収納スペースに。収納は扉をつけずにモノトーンのカーテンで仕切ってあるので、長い廊下も狭苦しく見えません。

しかも、土間の奥には大きな窓があり、玄関に明るい日差しが差し込みます。

築古のマンションだと特に、窓がない玄関も少なくないだけに、この明るさは本当に心地がよく、うらやましい限り。

玄関からリビングダイニングへと続く長い廊下の手前には、カーテンで目隠された収納スペースが。

もともと、玄関の土間の一部と収納スペースの部分に部屋があったのを、壁を取り去ってしまったのだそう。

玄関口からさっそく、潔いまでの男らしさにガツンとやられましたが、taruさんご夫妻がこちらの物件を購入したのは、2014年のこと。お子さんが3人になり、それまで暮らしていた60㎡台の賃貸マンションでは手狭になったことがきっかけだったと言います。

会社員のご主人と、看護師をされている奥さま。ダンディなお部屋づくりは、すべて奥さまのアイディアなのだそう!

上の子が中学生、真ん中が小学生なので、転校しなくて住むように、部屋探しはそれまで暮らしていた学区内にあって、かつ広い家、というのが第一条件でした。(ご主人)

主人はもともと、中古物件を買ってリノベーションする、という選択肢があることをまったく知らなくて、買うなら新築のマンションでいいんじゃない? という考えだったんです。でも、私は逆に、新築には興味がなくて、買うなら中古物件を自由にリノベーションしたいと思っていたんですね。そこで、主人にリノベーションというものを知ってもらいたかったので、リノベーション会社の「リノベる。」さんが行っている、物件見学ツアーに誘ったんです。(奥さま)

—なるほど。それで実際にリノベーションされたお部屋を見学して、「おお、かっこいいじゃん!」ということになったんですか?

なったの?(笑)(奥さま)

まあ、いいね、ぐらい。(ご主人)

—あ、あら??

はじめは新築でいいかなと思っていたのが、最近の新築の住宅だと狭い物件が多かったんです。築古の物件のほうが広かったので、じゃあ、まあ中古でもいいかなと。ここを見に来たときは、かなり中が傷んでいて、間取り的にも縦に長くて暗い印象だったんですけど、場所と広さが希望通りでしたし、全面リノベーションするなら、と決めました。(ご主人)

90㎡を超える物件はなかなかなくて、あまり物件数は見ていないんです。真ん中の子が中学校に上がる前のタイミングを逃すと、また数年は待たないといけない、そしていちばん下の2歳が小学校に入る年齢になると、また動けなくなってしまう、だから、買うなら今しかない、とほぼ即決しましたね。(奥さま)

—インダストリアルな内装は、おふたりで話し合って決めたんですか?

実は全面的に私の好みなんです(笑)。
小学生の頃からお部屋の模様替えが大好きでした。おこづかいでペンキを買ってきて、社宅なのに自分の部屋の壁をピンクに塗って怒られたりするくらいだったんですね。本当はインテリアコーディネーターになりたいぐらい、お部屋づくりが好きだったんです。ここ数年はインダストリアルなテイストが気に入っていて、今回はすべて私の思惑通りに仕上げました。でも主人は、「なんか錆だらけだ。古くて汚くないか?」って言うんですよ!(奥さま)

石タイルを敷き詰め、モノトーンで統一されたダイニングキッチン。リビングを見渡せるアイランドキッチンは、奥さまのアイディア。

—なんと! あまりにオトコマエな空間なので、てっきりご主人の趣味かと...(笑)。

リノベーション会社に設計をお願いするにあたって、具体的にはどんなオーダーをされたのでしょう?

妻は、アイランドキッチンは絶対つくりたいと。(ご主人)

子ども達になるべくリビングにいてほしいと思ったんです。年頃になってくると、自分の部屋にこもりがちじゃないですか。なのでLDKを充実させて居心地のいい空間にしたかったんですね。逆に子ども部屋は勉強するのと寝るだけの空間と考えて、最低限の設備にしました。結局勉強もリビングでしているので、この間取りは大成功でしたね(笑)。(奥さま)

子ども部屋は、中学生の長女と小学生の長男がカーテンで仕切って使っています。壁面に取り付けられている木の棚は、子どもたちが自身で植物性の天然ワックスを塗って仕上げたそう。

子ども部屋は、中でどうしているのかわからないのがいやだったので、ドアにチェッカーガラスを入れて、あかりがついているのか消えているのかわかるようにしました。LDKに面した主寝室にも窓を入れてあります。今はいちばん下の子を主寝室に寝かせているんですが、子どもを寝かせてキッチンにいても、すぐ中の様子が覗けます。でも、寝室にガラスを入れるのも、主人は反対してたんですよ(笑)。(奥さま)

いや、それは、子どもがまだ小さいから、ガラスを入れたら絶対割るんじゃないかと思ったんですよ。私は木のブラインドを取り付けようと主張したんですけど、どうしても木枠の窓がいいと譲らなくて。(ご主人)

主寝室からはリビングをパノラマで見渡すことができます。

リビングと寝室のあいだの壁には、窓が大きく取られ、リビングをより広く見せています。

—でも、寝室に窓があるおかげで、寝室の壁の圧迫感がなく、LDK全体が広がりある空間になっていますよね。寝室からリビングが見渡せるのもステキです。

それに、1階でもLDKが明るいですね。風通しもよくてとても気持ちがいいです。

風通しはすごくいいですよ。うち、クーラーがないんですけど、この夏もクーラーなしで過ごせました。(奥さま)

って言いますけどね、実際暑かったですよ! 今年の夏は後半涼しかったじゃないですか。買おうと主張していたんですけど、涼しくなってきたからって却下されまして。(ご主人)

—結局奥さまの主張が通ると(笑)。ではご主人が「ここは絶対譲れない」と主張したのはどの部分だったんでしょう?

狭くてもいいので、自分の書斎スペースをつくってほしいと希望しました。趣味のものはすべてここに置いて、こもって楽しんでます。(ご主人)

主寝室はカーペット敷き。現在は布団を愛用していますが、奥さまは目下パレットベッドの導入を検討中。青い壁の奥は、ご主人の趣味のスペース。

ご主人の趣味のアイテムがぎっしり詰まった一角。

—ほかに、リノベーション会社に造作してもらったのはどの部分でしょう?

造ってもらったのはキッチンと床貼り、寝室の窓の取り付け、扉の取り付けぐらいなんです。予算が限られていたので、あとから自分で付け足したものが多いですね。(奥さま)

すっきりと片付いたキッチン。壁に取り付けられたパイプ製の棚と、天板の下のキッチンワゴンは奥さまが自ら造作したもの。

—ええっ!? ではこのキッチンの背面のパイプ製の棚とか、下のキッチンワゴンとかは?

私が自分で買ってきて付けたり、作ったりしたものです。(奥さま)

—なんと、キッチンはシンプルな "見せる収納" ですっきりと片付いていて、かっこいいなあと思っていたのですが、収納をDIYされていたとは!

左・ダイニングスペースはもともと和室だったそう。/右・ベランダに通じる掃き出し窓の手前は、モルタルで仕上げてインナーバルコニーに。

やりたいことがもっといっぱいあるんです。キッチンと寝室の間の壁の上部に吊り棚を付けたいなとか、今は布団を敷いて寝ていますが、パレットベッドを入れたくて。パレットを注文しているところなんですけど、色を何色に塗ろうかなとか。
いつもまず、私が主人に、どんなふうにしたいってプレゼンするんです。「なんのためにつけるの?」「どんなものを? 施工事例を見せて」というので、ネットであれこれ探してきて、せっせと送るんですね。毎回そうなんですけど(笑)。(奥さま)

吊り棚は私は反対してるんです、圧迫感が出てキッチンが暗くなりそうなので。でも基本的に、だめだって言ってるのにもかかわらず付けちゃうんですよ。家具とかも、見に行って、ちょっと安いからこれ買いたいんだけどって言うから、「今じゃなくていいでしょ」って却下したのに、なんか届いてるんですよ。
私は、こうしたいっていうよりも、こうしてほしくないっていうところを、妻は聞き入れない。インテリアショップを一緒にめぐったりするのは嫌いじゃないんですよ。ベッドも、私は下に収納が欲しかったんです。パレットにすると収納できないでしょう。ベッド下って隠せる収納じゃないですか。それが無くなるのでいかがなものかと。でももうこの人、見積もり出しちゃってますからね。(ご主人)

—あはははは! 奥さまのひとり強行採決なんですね(笑)、これは新しいパターンで面白いです!! お子さんたちは、新しいお家についてなんて言っていますか?

友だちが集まるようになりました。このあいだは長女の部活のお友達が15人ぐらい来て、たこ焼きパーティをしました。来週もカレーパーティをする予定です。真ん中の子も友だちを5,6人連れてくるようになりましたね。前は60㎡台の広さしかなかったので、連れて来ても1人か2人だったんです。今はほんとに大勢来ますね。(奥さま)

ーそれはすばらしいですね。どこで何をして遊んでるか分からないよりも、お互いの親御さんたちも安心されていることでしょう。

素敵なお住まいを拝見させていただき、ありがとうございました!

家族が集まるリビング。お子さんのお友だちが大勢遊びに来ることも。

一見無骨でありながら、お子さんやそのお友だちがわいわい賑やかに過ごせるあたたかな空間。

ご自身の趣味を貫き通す奥さまと、辛口のツッコミを入れるご主人の掛け合いは、夫婦漫才のようで、おふたりの仲のよさがひしひしと伝わってきました。

これからもお住まいは奥さまの主導できっとどんどんバージョンアップしていくことでしょう。

ぜひ、今後もRoomClipにアップロードされる写真をチェックしてみてくださいね。

RoomClipサイト内、taruさんのページは こちらからご覧いただけます。

ーーーーー物件概要ーーーーー

〈所在地〉神奈川県横浜市
〈居住者構成〉ご家族(ご夫婦、長女、長男、次男)
〈面積〉約98.13㎡
〈築年〉築26年
〈設計〉リノべる。

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