カウカモショールーム池袋のオープンを記念した特別インタビュー。 前編に続く後編では、本プロジェクトの企画・インテリアを担当した原田にスポットを当てます。 池袋ショールームの空間に込めた意図や、日々の暮らしに取り入れられるインテリアの考え方について深掘りしました。
お話を伺った人
・原田(はらだ): サービスディレクター 兼 スタイリスト。LifeCatalogのサービス企画立案とプロデュースを担当。池袋ショールームでは、企画とインテリア・プロップのスタイリングを務めた。

設定から生まれる「混ぜる」楽しさ
今回は「ヴィンテージ好きの旦那様と、動物好きの奥様」という設定にしました。だから有効ボードにシロクマがいたり、リビングにブルーナボンボンがいたり、ちょこちょこ動物たちを散らしています。
空間としては、素材感を感じるインテリアと「ショップライク」の掛け合わせ。ヴィンテージライクが中心ですが、ゴリゴリのヴィンテージだけ集めるのも気分じゃないし、今っぽくない。そこで、VitraやHAYのようなモダンなものと本物のヴィンテージを、ちょうどよく混ぜることをテーマにしています。


迷わないためのセオリー:大きい方から小さい方へ
コーディネートは、家の間取りを考えるのと一緒で「大きいところから決める」のが基本です。まずはソファやダイニングテーブル。その2個が決まれば、大きい方から小さい方へと進めていけます。
カラーコーディネートも同じで、メインカラーなどの大きいところがブレなければ、小さなところでアクセントをつけても空間がガチャガチャすることはありません。色は基本の3色。今回はキャメルから茶系を通って黒にいくグラデーションでほぼ揃えています。

視線を誘導する「フォーカルポイント」
空間を魅力的に見せるには、店舗設計でも使われる「フォーカルポイント(注視点)」の考え方が欠かせません。 部屋の入り口から入ったとき、人は無意識に対角線上に目を向けます。そこに主役となるアイテム(今回はvitraの壁付ランプと吊るしたアフリカンインディゴ)を配置するのです。視線を奥へと誘導することで、部屋を広く見せるだけでなく、空間全体の印象をグッと引き締めることができます。

空間の価値を高める「リノベと家具」の投資バランス
リノベだけで空間を作り込みすぎてしまうと、あとで引き返せなくなるし、数年後に気分が変わったときに変えるのがめちゃくちゃ大変です。例えばですが、凝った壁に30万使うんだったら、その30万でいい照明を一つ買った方が、空間としての印象が良くなる場合もあるし、後から変更も容易に出来たりします。
だからカウカモの「ライフカタログ」の空間は、リノベだけだと「あえて少し余白がある」くらいの仕上がりを狙っています。そこに家具やインテリアを加えることで、今の空気感にぴったりの「ちょうどいい空間」になる。考える余白がなくなると「自分の家じゃない」と感じてしまうので、住む人が「私だったらこう使おうかな」と想像できるバランスを大事にしています。
Before

After

素材感と「さりげない」こだわり
カーテンなどの布ものも、素材感にこだわっています。今回は「natsusobiku」というブランドのリネン100%のカーテンを合わせました。
あわせて使っているレザーのマグネットタッセルや、木のリングのタッセルでさりげなく束ねているのが、実は個人的な推しポイントです。

実寸図面から作り込んだ「有孔ボード」の提案

ここだけはしっかり作り込んだのですが、壁面の有孔ボード(オプション仕様)は、実は最初にIllustratorで実寸の設計図を描いてから配置を決めました。折りたたみ傘やエコバッグ、エプロンなどのシルエットを実際にくり抜いて、図面上でパズルみたいにはめてみたんです。
ここは「生活の中であったら便利な、ちょっとしたものの居場所」になっています。届いた郵便物を突っ込んだり、鍵を置いたり、コロコロや工具、文房具を可愛く集めておく。そんな使い方の提案です。

小物も「ヴィンテージ×モダン」の共通テーマで買い集めました。Vitraのツールボックス、ドレッセンのエプロン、HAYやアムステルダム美術館のエコバッグ、シンクオブシングスの今っぽいデザインのコロコロ……。

「こういうのあったらいいな」「私だったらこうしたいな」と、暮らしのイメージを膨らませるきっかけになったら嬉しいです。
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中古マンション購入の基礎がわかる人気セミナーを、今回は池袋ショールームにて出張開催します。
これから物件探しを始めたい方はもちろん、リノベーションに興味があり、実物を見てイメージを広げたい方は、ぜひこの機会にご参加ください。
取材・文・撮影:cowcamo
