中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。
今回は、ホームパーティーとリモートワークができる住まいを北欧テイストで造りあげたファミリーのもとを訪ねました。
やってきたのは3人家族が住む築21年(取材時)のマンション。北欧家具の似合う温かみのあるリノベーションが施された住まいだ。
左からつよしさん、はんなちゃん(2歳)、しょうこさん。以前はインテリア会社の同僚だったというおふたり。その職業柄、住まいへの関心が昔から高かったのだとか。
■新たな住まいを求めて
リモートワークをきっかけに家探しを始めたご一家。しょうこさんの実家が近い「調布」で、約92㎡の広々としたこの住まいを見つけ出した。
つよしさん:コロナ禍前からリモートワークが始まっていたんですが、当時は書斎らしい書斎がなかったのでなかなか仕事がしづらくて。
しょうこさん:この子(はんなちゃん)が動き回るようになって、仕事してるところに入ってきてたしね。将来的に手狭になるとは感じていたので、とりあえず家を探してみようって動き出しました。
『このあたりはお店が充実してるし、いい具合に緑も残ってるので、子育てにいい環境かな』としょうこさん。京王線で新宿へアクセスしやすいのはもちろん、三鷹や吉祥寺へ出るバス便も便利なのだとか。
家探しにはカウカモを利用したおふたり。しかし、当初つよしさんが “中古マンションのリノベーション” 派、しょうこさんが “新築マンション・戸建て” 派と意見がわかれていたそうだ。
つよしさん:昔テレビの特集で興味が湧いて、中古マンションのリノベーション住戸を内見したことがあるんです。
リノベーションなら現実的な予算で自分たち好みの住まいを造れると知ってからは、新築のマンションを見ても『こんなにお金を出しても、この内容かぁ……』と感じてしまって。
しょうこさん:私は漠然と新築に憧れがあったんですけど、実際に探し始めると希望の間取りやテイストを叶えられるものになかなか出会えなくて……段々リノベーションもありかなって考えになってきました。
『中古マンションって耐震性はどうなの?』といろいろ不安はあったのですが、カウカモさんには色々調べていただいたり、管理状態がよい物件を探してもらったので、そういった懸念はなくなっていきました。
この物件を選んだ決め手は、広さと金額、資産性。新耐震基準の建物であること、共用部の状態のよさ、管理人さんが常駐していることもメリットだったそう。
■わが家で仕事もホームパーティも
新居に求めたものは、リモートワークに適したワークスペース、そしてホームパーティーが開けるような空間だと話すおふたり。
まず玄関扉を開けば、人を招くのにぴったりな広々とした土間が現れる。
かつて洋室だったスペースを玄関土間とウォークスルークローゼット(WTC)に造り替えた。
しょうこさん:お友達をたくさん呼んでホームパーティーを開くのが好きで。子ども連れも多いから、ベビーカーも置きやすいように土間は広く造ってもらったんです。3台は入るかな?
室内窓の奥はリビングまで続くWTC。『とにかく収納を増やして、人が来た時にすぐ物を隠せるように』としょうこさん。
パステルカラーの突起は、コートやカバンをかけるフック。将来的に子ども部屋や書斎へ転用する可能性も加味して、WTCには室内窓を設けたそう。
リビングに入ると、壁に沿って延びる全長約7.5mのベンチが目に入る。ホームパーティーの際、ゲストの居場所としてはもちろん、荷物置きとしても使えるように造り付けたものだ。日用品やはんなちゃんのおもちゃがたっぷり入る収納付き。
照明は玄関のフックとデザインを合わせた。
つよしさん:LDKが広くなって、うちの子がのびのび遊ぶようになりました。いつもストライダーで家中走り回ったりしてますよ。
実は下の階が住戸じゃないので、騒音をあまり気にしなくていいんです。だからここにしたってわけじゃないんですけど、結果的にはすごくよかったですね(笑)
続いてリノベーションのもうひとつの目的、つよしさんのワークスペースはこちら。ガラス戸で仕切られた明るく開放的な造りになっている。
デュアルディスプレイやマイク、オーディオスピーカーにデスクチェアと充実のリモートワーク環境。
つよしさん:リビングの扉もガラス戸にして視線が抜けるようにしました。やましいこともないので、別に透けててもいいかなと(笑)
本当に快適でストレスなく仕事ができているので、もうオフィスにいきたくないくらいです(笑)
■お気に入りのテイストで
しょうこさん:実はここに引っ越してきて新しく買った家具は一個もないんですよ。昔からこういうテイストの家に住みたいと思っていて。
と話す通り、今回のリノベーションはしょうこさんの好きな北欧家具がマッチする温かみのある内装が特徴的。もともと所持していたお気に入りの家具たちを活かした住まいづくりは、インテリアに詳しいおふたりだからこそ。
リノベーション設計を手掛けたのは、知人の紹介で知ったstudio niko。『過去の実例を見て好みのテイストに仕上げてくれそうだと感じて依頼しました』と話すおふたり。
天井の一部は、友人たちと協力してDIYで塗装。『2、3時間で終わったんですけど、養生テープを貼るのが結構大変で(笑)』とつよしさん。
床や天井にもこだわりが光る。窓際は一段下がった木質天井に仕上げ、落ち着いた印象に。床はオーク材のヘリンボーンフローリングを張り、温かみと高級感を演出した。
つよしさん:床をどうするかは結構悩みましたね。ヘリンボーンにすると、床暖房を入れるかどうかでコストが大分変わってしまって。
しょうこさん:私は寒がりだから床暖房も欲しいところだったんですけど、見た目にこだわりたいという思いが捨てきれなくて、結局ヘリンボーンを選びました(笑)
つよしさん:寒さ対策は二重サッシである程度できてるからって割り切ったんだよね。
既製品と造作棚を組み合わせて造ったオープンキッチン。『ふたり並んでお料理ができる広さがほしくて』としょうこさん。お気に入りの食器やカトラリーをしまう収納もたっぷり確保。
■リノベーションを終えて
『自分たちで一からつくれることが何よりよかった』と語るおふたり。その一方で、限られた予算の中で何を実現させるか、取捨選択を迫られる場面も多々あったそう。LDKを理想の空間にするために、ベッドルームは比較的簡素に仕上げるなど、大事にしたいポイントを整理しながら家づくりを進めていったのだとか。
更新されてから日が浅く、状態のよかったバス・トイレ等の設備をそのまま活用してコストダウンに繋げたそう。洗面所はIKEAの棚が納まるように寸法を合わせて設計。
しょうこさん:やりたいことを全部詰め込もうとすると、理想と現実のギャップに悩まされますよね。優先順位を付けて、こだわりたいところはとことん、そうでないところはそこそこに、と決めていくといいリノベーションになる気がします。
どちらかといえば私が『あれもやりたい、これもやりたい』って要望を出していて(笑)、現実派な夫が予算を鑑みながらちょうどいいバランスをとってくれたんです。
つよしさん:そうそう。お互い住まいにはこだわりがある方なので、納得いくまでじっくり話し合いながら家づくりをしたと思います。
新築とは違って、そのあたりに労力や時間がかかるので、家族みんなが作る過程を楽しめるかどうかが大事ですよね。
理想の家づくりがスムーズにできたのは「リモートワークとホームパーティーができる空間」という目的が明確だったからと話すおふたり。今後家に求めるものが変わったときには、再びリノベーションに挑戦したいとも語っていた。
―――――物件概要―――――
〈所在地〉調布
〈居住者構成〉3人家族
〈間取り〉2LDK+WTC
〈面積〉91.28㎡
〈築年〉築21年(取材時)
――――――設計――――――
〈会社名〉studio niko
〈WEBサイト〉http://www.studioniko.jp/
担当エージェント:小池 萌 / 撮影:沢崎 友希 / 取材・文:本多 隼人