素材たちが呼んでいる

写真

ご紹介する物件は、専有面積約51㎡の大胆なワンルーム。玄関扉を開けると、土間なしで南向きのバルコニーまでつながる間取りです。なんだか、海外映画に出てくる屋根裏部屋みたい!

cowcamo

既製品にはない魅力がいっぱい詰まっていて、筆者がこれまでに見てきたどんな物件にも似ていません。天井から鎖で吊り下げた流木にソケットランプを巻き付けているのって、DIYっぽいアイデアですね。

内装担当

『工場で大量生産されたものを置いて終わり』ではなく、ひとつひとつ現場で作り上げて、コツコツDIYしたような素材感を大事にしました。ちょっと奇抜な印象を受けるかもしれませんが、プライベートな空間や暮らしの動線も考えて設計していますよ。

窓辺のキッチン

写真

壁に沿って設けられた大きなキッチンは、オリジナルで造られたもの。既存の窓の内側には、さらにデザインガラスを施した窓が取り付けられています。形の異なるふたつのランプは、工業用っぽい見た目で可愛い。

内装担当

モルタルの天板を支えるフレームは無垢材、シンクや収納の扉はステンレス製です。

cowcamo

天板下のスペースを覗き込んでみると、4口コンセントが隠れていました。出しておくと生活感が溢れがちになる調理家電も、見えづらい位置に収納できますね。

奥へ進んで

写真

リビングダイニング(LD)とベッドスペースをゾーニングするのは、ガラス建具で囲われた浴室。右手奥には洗面台があります。

写真

掃き出し窓を背にしたカット。写真右手の壁はニュアンスのあるブルーで塗装されていて、ブリックタイルのゴツゴツした雰囲気に和らぎを与えています。

惚れる水まわり

写真

左・風合いを感じる水栓やハンガーバーに、脚付きのバケツみたいなブリキの洗面ボウル。配管のセレクトにもこだわりが見えます。/右・足を放り投げて入浴できそうな、オーバルのバスタブ。手持ちシャワーのほかに、憧れのオーバーヘッドシャワーも付いています。追焚き機能もしっかりと完備(重要です)。

内装担当

もともと家ではなかった場所に住みついて、あれこれと材料を寄せ集めて改造したような雰囲気をイメージしました。洗面ボウルの内側には、錆び付かないように防水加工を施していますよ。

cowcamo

洗面台の蛇口が可愛くてついひねってみたくなりましたが、販売中の物件ですのでもちろんグッと我慢。でも、ぜひ現地でご覧いただきたいポイントです〜。

眺望はこんな感じ

写真

左・眼下には穏やかに流れる善福寺川と、駅前から続く「西荻北銀座商友会」が。/右・バルコニーはお洗濯物を干すには十分な大きさです。

内装担当

雲がない日には、バルコニーから富士山が見えますよ。

cowcamo

通りは交通量が多くバスも走っているため、外に出ると車の走行音が大きく聞こえてきます……が、窓を閉めた室内はそんなことを忘れるほど静かです。きっと、インナーサッシが設置されているおかげですね。

室内に戻って

写真

ベッドスペースの広さは約5.7帖。自然光に包まれた、窓際の特等席です。明るい!

cowcamo

写真ではちょっと見えづらいのですが、上部には梁(はり)を利用した棚が。普段あまり使わないアイテムや、読み終えた本などを収納しておきたいスペースです。

内装担当

キャスター付きのハンガーラックと姿見、キッチンまわりに置いてあるダイニングテーブルとワゴン収納は、こちらの住まいにあわせてオリジナルで造りました。すべてお付けした状態で販売します。

写真

剥き出しの天井に這わせたダクトレールが、これまた可愛い。床は段差を境にフローリングの張り方が切り替わっていて、建具がなくとも空間が緩やかに分かれています。

cowcamo

靴を履こうとして、まだ見ていない場所を発見! どこだかわかりますか?

答えは 板張りの壁に

写真

左・壁をよく見ると、うっかり見落としてしまいそうなほど馴染んだふたつの扉が。左側はトイレです。/右・そして、もう片方はウォークインクローゼット(WIC)。洗濯機置き場もこちらにあります。

ディテールを じっくりと見つめて

写真

左上・キッチンから掃き出し窓までの壁一面に、手仕事で一枚ずつ敷き詰めたブリックタイル。あえて所々を打ち砕き、表情をつけてます。/右上・こちらの柱は獣が爪で引っかいたような、それとも波間のような……/左下・玄関扉の横にあるガラスブロックは、共用廊下の光を連れてきます。/右下・床はオイルステイン塗装で仕上げたオークの無垢材。経年変化する味わいを楽しんで。

目立たないけれど ニクいヤツ

写真

この空間に隠されたいくつかのスイッチとコンセントは、ただ照明のオンオフや電源供給の機能を担っているわけではないようです。目立たない場所で、それでも素敵な存在感を放っていて、キュン。

cowcamo

ご内見のときは、ぜひあちこちのスイッチに触れてみてください。『パチン』と心地いい手応えがあって、照明と一緒に胸までパッと明るくなるような気がしました!

善福寺川沿いに佇む レトロなマンション

写真

1974年に竣工した、総戸数17戸のこぢんまりとした建物。最寄りの「西荻窪」駅からは、賑やかな商店街を歩く平坦なアプローチです。

写真

エントランスはオートロックと宅配ボックス付き。ご紹介した住戸は4階に所在する角部屋です。ちなみにエントランス左脇にある緑色の扉の先は、テナントとして入っているインドカレー屋さん(ランチタイムには美味しそうな匂いが)。

売主さま

建物の裏手に駐車場がありますが、2021年9月現在は満車です。駐車場の脇のスペースには、自転車(月額500円)とバイク(月額3,000円)を駐輪できますよ。

cowcamo

こちらのマンションでは自主管理体制を採用しており、管理会社に委託しないで住民たちが組織する組合が管理を行なっています。共用部の清掃が週3回、各戸の当番制で回ってくることについては、事前にご留意くださいね。

「西荻窪」駅の北口を出て

写真

左上・最寄りはJR中央・総武線と東京メトロ東西線の「西荻窪」駅(徒歩7分)。ご紹介した物件へ向かう北口側には、24時間営業のスーパー「西友 西荻窪店」(550m 徒歩7分)があります。/右上・緑が覆う純喫茶「どんぐり舎」。落ち着いた雰囲気の店内で味わえる、自家焙煎のコーヒーが評判です。(400m 徒歩5分)/左下・客足が途絶えない食パン専門店「進藤製パン」。ずっしりと重たい生地にバナナを練り込んだ「バナナ食パン」、オススメです!(200m 徒歩3分)/右下・洋服店の2階にある、ギャラリーを併設したコーヒースタンド「HATOBA(ハトバ)」。不定期で出店する「ヴィカのかき氷」も人気です。(80m 徒歩2分)

cowcamo

カウカモ編集部より

『奇抜に見えるけれど、それだけじゃない魅力があるんです』と語ってくれたのは、こちらの物件の内装を担当したMさん。筆者も玄関扉を開けた瞬間は驚きましたが、全体や細部をじっくりと眺めるうち、不思議と落ち着きを感じました。あれ? 意外と暮らしやすいかもしれないぞ。


まるで屋根裏部屋のような広いワンルーム。くの字に折れ曲がった形をしているため、玄関まわりからベッドスペースはほとんど見えず、プライバシーを守れます。また、ベッドスペースとリビングダイニングの間には浴室(ガラス張り!)と洗面台が。これ、ちょっと大胆でびっくりしますよね?


でも、暮らしの動線を考えてみると実際すごく合理的な気がします。朝はベッドから起き上がったら洗顔や歯磨きをしてからキッチンに向かうし、夜はその反対。外から帰宅してパッと手を洗えるのも、このご時世ではGoodです。奇抜に見えるけれどそれだけじゃないとは、まさに。


それなりに築年数が経過している建物であることや、総戸数が少ない自主管理体制のマンションならではのハードルは越えなければいけないと思います。それでも、ここまでの世界観を感じる物件とはなかなか出会えないはず!


住みこなせるかどうか不安な方こそ、ぜひ現地で体感してみてください。

writer/editor : 軽部 優海