
都会的で洗練された印象のコンクリート打ちっぱなしの家は、木造の家には出せない風合いと魅力があり、そのデザイン性の高さから一定層からの人気が高いです。外観だけでなく、高い耐震性や防音性など機能面でも優れた特徴があります。
しかし、コンクリート打ちっぱなしの家は「夏は暑くて冬は寒い」「カビや結露が発生しやすい」などといった声もあります。適切な設計と対策により解決できるものですが、住宅購入に失敗しないために、住む前に十分な理解が必要です。
本記事では、コンクリート打ちっぱなしの家でのメリット・デメリットをはじめ、主なメンテナンス方法や快適に住むポイントについて解説します。
コンクリート打ちっぱなしとは?

コンクリート打ちっぱなしは、建物の構造がRC(鉄筋コンクリート造)やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)の場合に選択できる仕上げ方法のことです。一般的な建物では、外壁に塗装や外壁材を施し、内装には壁紙や塗装で仕上げを行いますが、コンクリート打ちっぱなしの場合は、これらの仕上げを行わずコンクリートをそのまま見せる手法を採用します。
外壁や内壁の一部、または両方をコンクリートのまま仕上げるケースがあります。特に外壁では、断熱性能を考慮した施工が求められるほか、耐水性を高めるために撥水剤を塗布することが一般的です。
この仕上げ方法は、マンションや戸建て住宅はもちろん、商業施設や美術館など、デザイン性の高い建物にも広く採用されています。
コンクリート打ちっぱなしの家のメリット

コンクリート打ちっぱなしの家のメリットや魅力を3点ほど解説します。
無機質な質感を活かしたデザイン
コンクリート打ちっぱなしの魅力のひとつは、なんといっても無機質な質感を活かしたデザインでしょう。
コンクリートの素材感がもたらす都会的でスタイリッシュな雰囲気は、木造や内装仕上げされた家では表現できない洗練された空間を演出できます。自分の好みの空間を実現できるほか、家具や照明、アートワークなどのインテリアと組み合わせやすいのも特徴です。
個性的でありながら洗練された空間を演出できるコンクリート打ちっぱなしの空間は、生活そのものをアートとして楽しむこともできます。
空間を有効に使えて開放的
空間を広く使えて解放感があるというのも、コンクリート打ちっぱなしの特徴です。
コンクリート打ちっぱなしの家はRC(鉄筋コンクリート造)やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)の場合に選択できる仕上げ方法ですが、いずれの場合も木造や鉄骨造に比べて柱と柱の間のスパン(距離)を長く取ることができます。柱の少ない広い空間設計が可能になり、開放的なLDKなど自由度の高い間取りを実現できるのです。
また、壁や天井がフラットなので、家具を自由に配置しやすいのも魅力です。
木造に比べて耐震性・耐火性が高い
コンクリート打ちっぱなしの家は、RC(鉄筋コンクリート造)やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)構造なので、高い耐震性と耐火性を誇ります。引っ張りに強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートでできていることから、地震による揺れにも強く、安全性が高いといえるでしょう。
また、不燃材料として認定されているため、火災時にも安心です。「耐火建築物」として認定されることも多く、高い安全性が求められる地域でも選ばれています。
コンクリート打ちっぱなしのデメリット

メリットがある一方で、コンクリート打ちっぱなしの家には、いくつかの課題もあります。これらの問題点を事前に理解し、適切な対策を講じることで、快適な住まいづくりが可能になります。主な課題と対策について見ていきましょう。
外気の影響を受けやすい
コンクリートは木材に比べると熱伝導率が高く、適切な断熱処理がされていない場合は外気温の影響を受けやすい特徴があります。夏は外の熱がこもりやすく、冬は冷えやすいため、季節による温度変化が大きくなります。そのため、室内の温度管理が難しく、光熱費が高くなる可能性もあります。
結露やカビが発生しやすく対策が必要
コンクリートの熱伝導率と気密性の高さにより、結露やカビが発生しやすいのもデメリットのひとつです。空気中の水分がコンクリート打ちっぱなしの冷たい壁に触れると、水蒸気が水に変わり結露が生じやすくなります。湿気が溜まりやすい壁と家具の間や、クローゼット、押し入れなどでは、特に注意が必要です。
汚れがつきやすく目立ちやすい
コンクリート表面は多孔質であるため汚れが付着しやすく目立つ特性があります。コンクリートの微細な穴は、ほこり、泥、こけ、カビなどの汚れを捕捉しやすく、一度付着すると水洗いのみでは簡単に取り除くことは困難です。
特に建物の外観に面する部分は、環境条件や周辺の緑の状況によって汚れの程度が大きく異なるため、美観を保つのに苦労する可能性があります。
コンクリート打ちっぱなしの家に快適に住むためのポイント

コンクリート打ちっぱなしの家で快適に暮らすためには、いくつかおさえておきたいポイントがあります。これらの対策を講じることで、デメリットを最小限に抑え、快適な住まいを実現できるでしょう。
断熱対策の徹底
コンクリート住宅の最大の課題は温度管理です。外気の影響を受けやすいため、断熱対策が特に重要になります。
具体的な対策としては、まず外断熱工法の採用がおすすめです。コンクリートの外側に断熱材を設置することで、室内温度を安定させることが可能になります。窓には複層ガラスや断熱サッシを使用することで、熱の出入りを抑えられます。
こういった対策を施すと、夏は涼しく冬は暖かい快適な空間を維持できるため、光熱費の削減にもつながります。さらに断熱対策を徹底すると、外部からの騒音が軽減され、より静かな住環境が実現するでしょう。
適切な換気と除湿
結露やカビの発生を防ぐためには、適切な換気と除湿が重要です。24時間換気システムを導入することで、新鮮な空気を常に取り入れつつ湿度をコントロールできます。
また、除湿機の効果的な使用やこまめな換気も大切です。特に湿気がこもりやすい場所では、定期的に窓を開けて新鮮な空気を入れる工夫をするとよいでしょう。
湿度は、湿度計を設置して40~60%を目安に管理することをおすすめします。特に梅雨時期は注意が必要で、除湿機の使用頻度を増やすなどの対策が効果的です。
表面処理による汚れ防止
コンクリートの表面は、適切な処理を施すことで美観を保ちやすくなります。特に撥水性の高い保護材を塗布することで、雨筋や汚れの付着を防ぐことができます。
加えて年2回程度の定期清掃を行うと効果的です。清掃の際は、強すぎない水圧で洗い流し、必要に応じて中性洗剤を使用します。ただし、硬いブラシや高圧洗浄は表面を傷つける可能性があるため避けましょう。
また、定期的な点検も大切です。小さな汚れやひび割れを早期に発見することで、大がかりな補修を防ぐことができます。
インテリアデザインの工夫
コンクリートの無機質な印象は、適切なインテリアの選び方で大きく変わります。
まず、床材には木材を使用するのがおすすめです。木の温かみがコンクリートの冷たさを和らげ、心地よい空間を作り出します。ソファやカーペットには、柔らかな素材を選ぶことで、より居心地のよい空間になるでしょう。
照明は、直接照明と間接照明を組み合わせるのが効果的です。特に間接照明は、コンクリートの質感を柔らかく演出し、落ち着きのある空間を作り出してくれるでしょう。
まとめ

コンクリート打ちっぱなしの家は、コンクリートならではの質感を活かしたデザイン性と、高い耐久性が特徴的な住まいです。それらのメリットを持つ一方で、外気の影響を受けやすく、温度管理の難しさや結露・カビへの注意、定期的なメンテナンスも必要になります。
コンクリート打ちっぱなしの家に住みたいと考えている方は、本記事で紹介したメンテナンス方法なども把握しておくことをお勧めします。
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琉球大学大学院理工学部卒。環境建設工学を専攻し、大学院卒業書、建築設計事務所に勤務し、住宅や公共施設など様々な建物の設計に携わる。現在は建築デザイナーとして不動産開発の企画・設計から運営まで行うコンサル会社にて、オフィス設計やリノベーションなどを中心に手がける。趣味は街歩きと珈琲焙煎。空き家を活用して設計事務所と珈琲屋さんを開くことが目標。