中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。
今回は、郊外でマンションを購入し、フルリノベをしたご夫婦の住まいを訪ねました。
八王子駅から少し離れたエリアに建つマンションの一室で取材陣をあたたかく迎えてくれたのは、Tさんご夫婦と愛犬のモコくん。
こちらの住まいの主役は、二面に大きな窓がある角部屋のよさを生かした、伸びやかなLDKです。窓の外には隣地の緑の借景が森のように広がり、大通り沿いとは思えない気持ちよさ!
■二面の大きな窓 + 借景のぜいたくな緑に心を奪われて
奥さま:購入の決め手は二面採光の明るさと、このグリーンの借景でした。窓からの眺めは自分で変えられないから、こんなに恵まれた場所はなかなかないと思って。
ご夫婦がこの部屋をフルリノベーションして暮らし始めたのは2016年のこと。その後モコくんが家族の一員になり、ふたりと1匹の暮らしが始まりました。
ご主人の通勤に便利な八王子や日野エリアでのマンション購入を決め、当初は新築マンションも考えたというおふたり。
けれど奥さまが建築設計の仕事をしていたこともあり、『せっかく家を買うなら好きな空間にリノベーションしてみたい』と、中古マンションをフルリノベすることで意見が一致したそう。物件 探しにあたっては、購入から設計までワンストップで対応してくれるリノベ会社3社に相談をしました。
奥さま:依頼を決めたオレンジハウスはインスタグラムで知りました。施工事例に私たちの好きな雰囲気のものが多かったので、いいなと思って。
物件仲介もオレンジハウスにサポートしてもらって、4〜5軒内見させてもらったうちの1軒がここだったんです。窓の外の緑がきれいで、室内は光でいっぱいで。『ここにします』と、即決でしたね
専有面積は約80㎡で、販売価格は約2,400万円。当初は広さも価格も、もう少しコンパクトに収める予定だったそうですが、またとない環境に一目惚れして購入を決定。
最初から『スケルトンにしてリノベーションしよう』と考えていたため、販売時の間取りは気にせず、環境や立地を重視しました。
駅からは少し離れていますが、奥さまは車通勤、ご主人の職場も目の前のバス停から1本で通える立地だったため、問題にはならなかったそう。
ご主人:少し予算オーバーでしたが、広さと価格はこの立地ならでは。23区内などの都心ではきっと見つからないだろうし、同じ八王子でも駅前なら難しかったと思います。
この部屋の前オーナーがマンションの管理組合の理事長を務めていた方で、きちんと管理されていることが伝わってきたのも後押しになりました。
■「どこにいても気配が伝わるように」自分で作ったラフプラン
住まいづくりにあたり、たくさんの施工事例を見てイメージを膨らませていた奥さま。間取りはもちろん、使いたい素材や造作家具などの理想を実現すべく、ご自身でラフプランを作った上でリノベ会社のプランナーに相談をしました。
プランニングで大切にしたのは “ほどよい抜け感”。4LDKとして細かく仕切られていた住戸の壁をいったんすべて取り壊して、回遊できる動線の2LDK + WICに一新しています。
キッチンからリビングまで見通せるだけでなく、LDKに隣接するフリースペースはオープンな書棚でゆるく仕切り、奥の寝室も普段はドアを開け放して。住まい全体がゆるやかにつながった心地よさが魅力です。
インナーテラスのあるリビング、ランドリールームを兼ねた洗面室、自転車を置ける玄関土間、そしてご夫婦ふたりでゆったりと使える広いキッチン。どの空間も、面積のゆとりを生かしたプランです。
奥さま:とても広々と暮らせているので、『ぜいたくだなぁ』と思います。新築でこの広さは予算的に手が届かない。中古マンションならではのメリットですね。
■壁一面の本棚 + ワークスペースがテレワークで大活躍
必要な空間をゆったりレイアウトしても、さらにもう一部屋作れる余裕があったT邸。そこでLDKの東側に、用途を決めないフリースペースを設計しました。ご主人の希望で、その一角にパソコンを置くためのコンパクトなワークデスクを設けています。
目的を決めていなかったフリースペースですが、コロナ禍による在宅ワークで予想外に活用することになりました。ご主人はほぼ毎日、奥さまも週の半分ほど家で仕事をしています。
家族が同時に在宅ワークとなるとスペースに困りがちですが、ご主人はフリースペースの一角に設けたワークデスクが定位置。奥さまはダイニングテーブルを使い、適度な距離感を保って仕事をしています。
ご主人:ふたりで仕事していてもなんとなく相手の気配が分かるし、モコも寝室で寝ている姿が見えるから、みんないい距離感ですね。
在宅ワークに移行した最初のうちはペースをつかめませんでしたが、慣れたらすごく快適。今では必要なときだけ会社に出勤しています。
奥さま:まさかこのワークスペースが本格的に役立つ日が来るとは、という感じです(笑)。使い始めてみるとパソコンを置くだけでなく書類を広げる作業スペースもほしくなったりと、改善ポイントも見えてきました。在宅ワークは当面続きそうなので、少しずつ改良していけたらと思っています。
■DIYも取り入れて、理想を形に
オリジナルの本棚や小上がり、インナーテラスのアイアン製ガラスパネル、奥さまが仕事で惚れ込んだオーク材フローリングなど、ふたりの希望が細部まで形になった住まい。他社では『できない』と言われたものもあったそうですが、オレンジハウスでは『やりたいことを全部実現できました』と振り返ります。
それでも、やりたいことを全部やろうとするとどうしても予算オーバーしてしまって。予算調整のために壁は自分たちでDIYで塗装したり、キッチンはダイニングから見えないから割り切ってシンプルなものにしたり、あとは天井の塗装や小上がりの床下収納は諦めたりとメリハリをつけた結果、工事費は1,300万円に抑えることができました。
リノベーション完成後、縁あって奥さまはオレンジハウスのプランナーに転職。現在は同社でさまざまな住まいづくりをサポートする日々を送っています。
予想外のコロナ禍がきっかけとはいえ、暮らしと仕事がいいバランスで混じり合うことになったTさんの住まい。これからの暮らし方、働き方を考えるヒントをくれました。
ーーーーー物件概要ーーーーー
〈所在地〉東京都八王子市
〈居住者構成〉ご夫婦
〈間取り〉2LDK + WIC
〈面積〉80.15㎡
〈築年〉築20年
ーーーーー設計・施工会社ーーーーー
〈会社名〉オレンジハウス東京
〈WEBサイト〉https://orangehouse-tokyo.com/
取材・文:石井妙子/撮影・編集:中山宇宴