***価格を変更しました!***

「私、ここに住みます!」

思わずそう大きな声で宣言してしまいました。

100㎡越え(!)のスケール感に合わせたゆったりとした空間使い。広々としたLDK、玄関から直接アクセスできる土間床のシューズインクローゼット、各個室ものびのびサイズで収納もたっぷり! 外国のホテルのようなバスルームなど、見所が満載の今回の物件。

LDKをバルコニー側からみた様子。深いブラウン色の無垢フローリングが部屋の味わいを演出しています。

この物件は、すでにcowcamoではお馴染み、リノベーション会社のゆくい堂が手掛けたもの。物件の仕入れからリノベーションまでを一貫して行うゆくい堂のリノベーション済み物件「ORIGINAL」は、プランニングも、内装のディレクションも、そして現場監督も、同じスタッフが一貫して担当するスタイルでつくられています。

左上・最上階の青い屋根が特徴的な外観。/右上・マンションの目の前に広がる公園では、近所の子どもたちがたくさん遊んでいました。/左下・渋めゴージャスな内装の建物エントランス。管理人さんは常駐です。/右下・南欧風の青い瓦屋根と白い塗り壁が印象的。ヴィンテージマンションとして人気の高い物件です。

今回の物件はゆくい堂の「ORIGINAL」の中の「ROOST」というシリーズ。「このまんまでいいじゃん」をベースに、「ごっつい」という言葉が似合う、シンプルな内装にしました。リビングの壁はコンクリートの躯体を見せ、床はラフな無垢のフローリング。金物の見せ方や扱いといった細かいところは暮らしを想像しながら、つくる過程でだんだん決めていった感じ、かな。

そう話すのは、この部屋のリノベーションを担当した田所次朗さん。

休日はハーレーに乗って楽しんでいるという田所さん。豪快なようでいて、実はとってもシャイな方でした。

プランに込めた想いや、素材の選択理由、つくる際にこだわった部分。常に現場にいる"つくる人"だからこその説得力のあるお話を、わくわくしながら聞かせていただきました。

左・エントランスを入って正面にある引き戸の中は、靴のほかにゴルフクラブなどもしまえるたっぷりサイズの収納。/右・土間エントランスの正面にある廊下の先には個室が並ぶ。LDKへは土間を渡って行く仕組み。

玄関を入ってすぐ現れるのは、黒皮仕上げのアイアンと木材で作った靴棚。広い土間玄関の右手には土間床のシューズインクローゼットがあり、玄関土間から左手にはLDK、正面には2つの個室があります。

田所さんが「ごっつい」と称する、白く塗り上げたコンクリートブロックの壁や木毛セメント板の天井、モルタルの土間床、ところどころに用いられたアイアンなど、荒々しくて武骨な素材たちで構成された空間。

玄関に入るなり、「カッコイイ!」「住みたい」「素敵~!」と、取材チーム一同のテンションはマックスへ。

左上・玄関土間には田所さんお手製の足場板&アイアンのベンチ。/右上・5畳の広さがある、玄関から土足のままアクセスできるシューズインクローゼット。/左下・6.3畳のフローリングの個室。ハンガーラックは備え付け。/右下・バルコニーに面した10畳のカーペットフロアの個室。

この家に住む人が、自分流にカスタマイズして使っていけばいいんじゃないですかね?

そう田所さんが話すのは、玄関横にあるシューズインクローゼット。玄関土間から室内窓越しに覗く土間床の部屋は、まるでショップのような存在感です。

"クローゼット"と称しつつも、フリーに使えるこちらのお部屋。お気に入りの自転車を置いてもいいし(住戸の位置はエレベーターを降りてすぐ)、日曜大工をするDIY部屋にしてもいいし、ハンドメイドを楽しむミシン部屋にしても、趣味のアートや本を飾る書斎にするのも素敵です。私だったらこの部屋をどう使おう? と妄想が膨らみます。

オーバーヘッドシャワーと造形的なバスタブが、海外のホテルを思わせるバスルーム。水栓がなくてもバスタブにお湯がたまる仕組みになっています。

玄関からLDKに入り、どどんと現れるオープンキッチンの左手にあるのは、ガラスドアで仕切られたサニタリー。4畳はあろうかというバスルームは、まるで海外のデザインホテルのよう。

ガラス張りのバスルームなので、「裸が見えちゃうんじゃないの?」なんてご心配をされる方もいるでしょうが、ちゃんとシャワーカーテンが取り付けられるようになっています。

それから、洗面台の壁の裏にはランドリースペースがあって、そこで着替えて洗い物はその場で洗濯機へイン、という、実はとっても生活しやすい動線になっています。洗面台もファミリーに使いやすいダブルシンク。

一見、ワイルドでかっこよさ優先の空間に見えますが、暮らしやすさにもきっちり配慮がなされているなんて、心憎いじゃありませんか。

左上・キッチン上の吊棚もアイアンと木で作ったオリジナル。/右上・ところどころに現れる荒々しい素材がクール。/左下・パチッという操作音が心地よいメカチックなスイッチ。/右下・立体感があるLDKの床板。

そしてメインルームであるLDKへ。床板をよーく見ると、1枚1枚、木の表情が違ってリズムがあります。あまり見たことがないものだったので「珍しいものですか?」と田所さんに聞いてみると。

床に貼ってるのはアメリカ産の無垢のオーク材なんだけど、実はこれ、土足用の木材なの。広い空間はのっぺりした印象になっちゃいがちだから、あえて荒い表情のものを使うと、かっこよくなるかなと思って。ただ、そのままだと荒過ぎてささくれに引っ掛かっちゃうから、1枚1枚研磨したんだよ。

キッチンから見たLDK。窓の先は公園。日差しが燦々と注ぎます。

「え? 1枚1枚を手作業で? 大変じゃないんですか?」とお聞きすると、「うん、16時間ぐらいかな。そんなに時間掛かってないよ」とのご回答。

いやいや、すごく手が掛かってます!

選んできた照明についても「そのまま使うと部屋にマッチしない」と、わざわざ剥離材で塗装をはがして味わいを出したり、レンジフードもキッチン上で存在感が出過ぎないように極力薄いものを、露出させた電気の配管もやたらに見せるのではなく、空間の凹凸に沿って配線するなど、とにかく細かいところまで心配りがなされ、手間ひまが掛けられています。

コンクリートブロックで作られた、まるでカフェのカウンターのようなオープンキッチン。ガスコンロは料理に便利な4口、収納も背面とシンク台の下にもたっぷり。

その他にも、田所さんのこだわりはあそこにもここにも、至るところにあるのですが、残念ながらここではお伝えしきれません・・・!

ぜひ、実際にこの部屋を訪れて、細部にも目を配ってみてください。ワイルドなだけじゃない、住まいのありとあらゆる箇所に込められた、田所さんの深い愛情が感じられるはずです!!

周囲には高い建物が多いのに、エアポケットのような公園の存在のおかげで抜群の開放感と空の眺めを楽しめるバルコニー。

ちなみに、駅周辺の雰囲気はというと。

大森駅の西口は、駅の目の前に緑もっさりの神社があって、通りには個人商店が並びます。西口側はかつては多くの文化人が住んでいたという馬込・山王エリアに続いており、大正末期からの高級住宅地の貫禄が漂います。

一方、今回の物件がある大森駅東口の風景は、西口とは一変。高度経済成長期以降に開発された湾岸エリアに続いており、駅上にはアトレ、駅前の広場の先には西友もあり、周囲には大型商業ビルがそびえます。素朴さ、知的さ、現代的な便利さも、すべて味わえてしまう何ともバラエティに富んだ街です。

左上・駅に併設されてるアトレ。/右上・階段を上ると天祖神社があり、その向こう側には山王・馬込エリアが広がります。/左下・多くの文士、芸術家が関東大震災後に移り住み、「馬込文士村」と呼ばれている山王・馬込エリア。/右下・なんだか懐かしさをおぼえる商店街。

物件だけでもお腹いっぱいだったのに、街までこの充実度! 魅力たっぷりの街に、つくり手の思いが詰まった住まい。本気で引越したくなってきました。
「こうやってつくり手さんのお話を聞いてから住むと、この家での暮らしがさらに好きになれそうですね」とお話したら、顔をクシャっと笑顔にしながら田所さんがこう教えてくれました。

自分で暮らしをつくっていくと、もっと、好きになっちゃうよね。
このマンションは、ご近所さんもいい人ばっかりでね。工事の時も「今から外出するから、ガンガン音だしていいよ」って言ってくれたりね。

左上・アトレの前に広がる広場。/右上・大森駅東口を出て、今回の物件へと向かう道上にある西友。日常のお買い物には困らなさそう。/左下・物件から大森海岸駅方向に行くとイトーヨーカードーも!/右下・物件からは京急の大森海岸駅までも徒歩6分。

この住まいにしっくりくるインテリアをひとつひとつ集めていって、自分流にカスタマイズしていく。休日は近所でゆっくりお買い物して、お気に入りのカフェでひと休み。家の前の公園で子どもと遊んでいれば、ご近所さんと出会って井戸端会議が始まって・・・。

そんな風にだんだんと、この家だけでなく、大森に暮らすことも好きになるんだろうなぁ。ごっついけど、気配り上手で大らか。そんな住まいで送る愛おしい日々をご堪能あれ。


取材・文:杉本綾弓/撮影:cowcamo