日々お客さまの家探しをサポートするカウカモエージェントにフィーチャー! 不動産のプロがオススメする、萌える街やマンションって? 実際に街を歩きながら、編集部がインタビューする企画です。


隅田川テラスにて。爽やかな風が吹き抜けます

こんにちは! カウカモ編集部の清水です。

雲ひとつない取材日和のこの日、私が降り立ったのは「蔵前」。玩具や革製品、服飾雑貨などの職人たちが多く住むこの街は、古くから “モノづくりの街” として知られてきました。

かつては特定の業種の人々しか立ち寄らない問屋街だったこの街。しかし近年では、街に根付くクラフトマンシップの精神が、“ていねいな暮らし” マインドの人々の琴線に触れ、たちまち人気のエリアに。

カウカモマガジン内の企画「街の先輩に聞く!」では、ホステル「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE(ヌイ ホステル&バーラウンジ)」のオーナーさんに、街の変遷や、今後に期待することをたっぷりとお聞きしました。(記事はこちらから!)

さて、そんな「蔵前」ですが、今回は幼少期よりこの地で暮らしてきたエージェントが、地元民ならではの目線で案内してくれるとのこと。隅田川テラスにいるらしいのですが……お、いたいた!

《プロフィール》廣瀬 亜希子(ひろせ あきこ、愛称アッコ)
蔵前生まれ蔵前育ち、生粋の江戸っ子。調理師専門学校卒業後、“食” を通じた感動をモットーにフレンチの料理人として仕事に励む。その後、投資不動産のコンサルティング営業を経て資産形成の大切さを学び、カウカモにジョイン。今までの経験をもとに、お客様に最適な “住” を届ける熱きエージェント。

廣瀬:おはよう! 実は私の家系、先祖代々この街に住んでいて、私で4代目なんだ。今日はこの街の魅力を思い出の場所とともに紹介していくね! 自然体な街の空気や、人の繋がりを感じてもらえたら嬉しいな。

社内ではアッコという愛称で皆に親しまれている廣瀬。親しみやすい人柄と、仕事に妥協を許さない職人気質とのギャップに、社内でもファンが多いんです。

それじゃあアッコさん、本日はよろしくお願いします!

クラフトマンシップを支えた、“台所” 的商店街

まずやってきたのは、総菜屋などの店舗が並ぶ全長約230mほどの商店街「おかず横丁」。

この辺りには町工場が集まり、寝食を忘れて長時間働く職人が多かったそう。そんな忙しい彼らが『ここの “おかず” さえあれば、おいしいご飯にありつける』と日々通っていたことから「おかず横丁」と呼ばれるようになったのだとか。

廣瀬:実家が近所にあったから、小さい頃は母とよく来たんだ。お買い物しつつお店のおじちゃんおばちゃんと話したり、散歩するのが楽しかったなあ。

左上・1952年創業の「郡司味噌漬物店」。足と舌で選んだ味噌は約80種、漬物は約100種にまでのぼる。/右上・創業160年を超えるお茶と海苔の専門店「老舗大佐和 鳥越店」。長い年月を重ねた風格ある建物に惚れ惚れ。/左下、右下・1935年創業の煮物屋「入舟屋」。店頭にはショーケースが並び、煮物をはじめ、梅干、佃煮などのおかずが大皿に盛られている。お子さんからご年配の方まで食べられるよう、市販の佃煮より優しい味わいで飽きがこないそう

廣瀬:メディアでは隅田川沿いのカフェや飲食店が取り上げられることが多いけど、蔵前には昔ながらのこういった商店街もあるの。

駅から少し距離があるぶんゆるりとした空気が流れていて、常連客が店主さんと長時間話し込んでいることもしばしば。

蔵前といえばおしゃれな飲食店が多く “お出かけに行く場所” なんて印象がありましたが、こういった親しみやすい商店街がひとつあるだけで、暮らしのイメージが少し湧いてきますね。

廣瀬:ここ最近の盛り上がりで蔵前には華やかなイメージがついているけど、もともとはこじんまりしていて、住民同士のつながりが深い、下町らしい街だと思うんだ。

それじゃ、他にも連れて行きたいお店があるから行ってみようか!

お惣菜屋の良い匂いが僕を引き留めますが、我慢我慢(笑)。次へと向かいます。

地域に長く愛されているお店たち

左上・1887年創業の、蔵前で130年以上続く老舗和菓子店「菓匠 榮久堂(えいきゅうどう)」。ケーキ生地にバタークリームがサンドされた「ソフトバター」は、浅草銘菓として幅広い世代に人気。/右上・アッコさんがご家族で気分転換でときおり訪れているという銭湯「三筋湯」。こちらは1951年創業。/左下・ご近所の酒屋「フタバ」は、地元のクラフトビールや日本酒も取り扱う。店内には角打ちスペースも。/右下・地元の酒屋が集まって造りあげた、地域限定で発売の日本酒「鳥越」

ここ、榮久堂、三筋湯、フタバの3店は、アッコさんが小さい頃から家族で行きつけのお店だそう。

廣瀬: 特にフタバさんなんかは、私か兄がよく父の代わりに新聞を買いに行っていたお店。最近代替わりをして、息子さんが継いだそうで。

ショーケースに並ぶ豊富な種類のお酒を前に、どれにしようかと悩む我々。店主の方に相談したのですが、話すうちになんとアッコさんのお兄さんの同級生であることが判明。

まさに、地元だからこそのサプライズ。

店主の関さん:今でもお父さんが新聞を買いに来られますよ(笑)。このあたりは小さい頃から家族ぐるみの付き合いが多いので、毎日のように知った顔を見かけます。

へえ〜。ご近所同士の繋がりが感じられるエピソードです。

廣瀬:地域の人同士のつながりが深いのは、蔵前の特徴だと思う。それにはきっと “お祭り” が関係していると思うな。そしたら今度は、鳥越神社に行ってみようか!

関さんとの思い出話をひとしきり楽しんだアッコさん。そして我々は、鳥越神社へ。

人と人とを繋げる “お祭り” の存在

境内にて。外周が緑で囲まれているために車の走行音などが緩和され、都会なのにここだけのどかな時間が流れています

蔵前橋通り沿いに鎮座する鳥越神社。緑が多く大きな銀杏もあり、落ち着いた雰囲気です。

廣瀬:ここ鳥越神社は、毎年6月に行われる例大祭が有名! 神輿が街中を練り歩く姿は壮観そのものなんだ。

お祭りの当日は自宅の軒先に机と椅子を出して、お客さまをもてなすためのごちそうをたくさん作るんだよね。

廣瀬家も以前は毎年家族総出で料理を作っていたから、私のウェルカム精神はここで培われたのかも(笑)。

・例大祭の最中に撮られた、ひいお祖母さまと幼少期のアッコさんの貴重な1枚。/右・境内に植えられたイチョウの樹から採れる銀杏は、毎年初詣の参拝客に配られる縁起物

ご近所の人たちが一同に集まり、お祭りの賑やかな様子を見ながら語らう。

1年のなかにこうした行事があることで地域の人同士が繋がり、日々顔なじみとして交流が生まれるきっかけになっているんですね。

廣瀬:そうだね、お祭りはきっかけとして大きいと思うな。ちなみに、このお祭りのシンボルである「千貫神輿(せんがんみこし)」の重さはなんと約4トンあって、しかも狭い路地でも曲がれるように担ぎ棒が短いの。

だから持つ人への負担がかなり大きいんだよね。でも、重さに関係なくみんな嬉々として大声を張り上げながら担いでいて。

きっと、蔵前で生まれ育った人は小さい頃からこのお祭りを見てきているから、大人になってこの神輿を担ぐことが、地元を誇りに思う象徴のような存在になっているんだと思うな。

倉庫のなかに「千貫神輿」が格納されている

なるほど。アッコさんのエピソードからは、家族だけでなく、地域のなかで育っていく感覚を覚えます。

廣瀬:うん。自然といろんな世代の方とコミュニケーションする機会が作られていたから、街の中にたくさんの居場所がある感覚で過ごしてきたかも。

例大祭だけでなく年中街のいたるところで行事があって、きっと老若男女が交流する機会が他の街よりも多いんだよね。

・千貫神輿の実物。江戸神輿の中でもっとも華麗と言われていて、その彫金は必見。/右・神輿の様子を見ようと人だかりが。この賑わいは夜まで続く(左・右の画像ともにアッコさんが2019年6月9日に撮影)

なるほど。アッコさんのオープンマインドな人柄には、そういった背景があったんですね。

さて、ここからは仕事観や、街の移り変わりについて迫りたいのですが……。

廣瀬:それを話すには、ぜひうちのお父さんにも話を聞いてみてほしい。近くの作業場にいると思うから寄ってみよう!

両親の背中を見て培った、職人気質

帽子製造業を営むお父さんは3代目

鳥越神社にほど近い作業場に行くと、そこには黙々と布地の裁断をしているお父さんが。お仕事の合間に、少しお話を聞かせてもらうことに。

アッコさんの職人気質な仕事のスタンスは、ご両親の影響だそうで。

廣瀬:私の家は父が帽子製造業、母がカバン製造業と、モノづくりの職人が多い家系なの。ひいおばあちゃん、おばあちゃん、お父さんまで、みんなが私の見えるところで仕事をしていたんだ。

お父さん:当時は仕事場と生活する場が一緒でしたから、私たちが作業をしている横で娘はおもちゃで遊んでいたんです。逆に言うと、それ以外の記憶があまりないかもしれませんね(笑)。

廣瀬:そうだね(笑)。でもだからこそ、いいものを作って納めるとか、仕事の内容に一切妥協をしないことを親の背中を見て自然と学べたかな。

左上・布地をなめらかに裁断するお父さん。型の点線通りに寸分の狂いもなく、流れるように手を動かしていくプロの技を見て、思わず息を呑みこみました。/右上・これまでに作ってきた型は壁沿いにストック。新規の依頼にも、今までの知識を活かして新しい型に取り組むそう。/左下・かつては多くの職人がいて分厚かった帽子協会の会員名簿も、年々薄くなっていると話すお父さん。/右下・話を聞かせてもらった最後に、親子でパシャリ

近年、付き合いの長かった地元の職人さんたちの廃業が相次いでいると言います。ただ、そこで空いたテナントに若い人が入居してお店を開いたりと、面白い変化も。

お父さん:数十年前は、このあたりは帽子屋村と言われるほど帽子製造業が多かったんです。でも、10〜15年ほど前から生産基地が海外に移って。問屋さんや同業の職人たちの引退が増えましたね。

だけどそこからかな? もとは空き倉庫だった場所におしゃれなカフェが入ったり、街の雰囲気が変わってきたと思いますね。

廣瀬:やっぱり「Nui.」を筆頭に感度の高い人たちを集めるお店が増えて、街を歩く人も、住む人も若くなった印象はあるかな。

ただ、昔ながらのご近所付き合いの文化があるから、新しい人が入ってきてもみんな一様に声をかけて受け入れてくれるんだよね。ただ、仲良くはなるけど、ちょうどよい距離感でほったらかしてくれる感覚というか。

だからこそ、移り住んできた人も窮屈さを感じずに暮らしているように思う。蔵前の人気が定着したのには、そういう街の土壌が関係している気がする。

やっぱり人は、人との繋がりのなかで生きるものだと思うから。きっとみんな、自然と感じられる居心地のよさを気に入って、この街に暮らしているんじゃないかなって。

街の空気感は、街を形作る最小の単位である、人と人との関係性が色濃く出るもの。

蔵前の伸びやかで大きく息を吸い込みたくなるような爽やかな空気には、ひとりひとりの生きやすさが反映されているのでしょう。

最後に、アッコさんがお気に入りのマンションを紹介してくれるとのこと。

廣瀬:蔵前は、人気になった今もまだ物件の供給量がそこまで多くないんだよね。ただ、そのなかでもおすすめしたいところがあるからぜひ紹介させて!

蔵前では珍しい、ゆとりある敷地のマンション

蔵前エリアを南北に併行して走る江戸通りと国際通り。そのふたつの通りに挟まれた区画にあるのが「秀和ホワイトレジデンス」です。1982年竣工、総戸数55戸の建物

廣瀬:このマンションは45〜60㎡のお部屋がメインで、単身層やお子さまの誕生を控えているようなプレファミリー層におすすめ。

“蔵前エリア” はJR・東京メトロ・都営地下鉄と利用できる路線が多いから、働き盛りでアクティブだけど、古き良きと新しい文化の新旧両方を感じられる場所がお好きな方にとっては、とても居心地のよいエリアだと思う。

あと “秀和レジデンスシリーズ” といえば、青い瓦屋根に白い塗り壁、鉄製柵のバルコニーが特徴なんだけど、ここ秀和ホワイトレジデンスは白いタイル貼りのデザインなんだよね。

他にも共用エントランスには御影石や大理石が使用されていたりと、従来のシリーズとはちょっと違うのもポイントで。そんな建物の造りの違いにもグッとくるんだ。

・外から見ていると、とても “秀和レジデンスシリーズ” には見えません。/右上・マンションの館名板のフォントがかわいいですね。/右下・エントランスは広々。植栽も綺麗に手入れされているようでした

廣瀬:“蔵前エリア” は戦争のときに戦火を逃れた建物が多くて、古くからの戸建てがぎゅっと建ち並んでいることが多いんだ。だからこのあたりの築浅マンションは、わずかに空いた土地の狭さを最大限使おうと、上へ上へと高く建てているケースがほとんど。

だからこそ、1980年代にこうやって敷地を広く構えてマンションを建てられたこと自体がなかなか珍しいの。ヴィンテージマンションが少ないこのエリアでは、それだけでも貴重なマンションと言えると思う。

加えて魅力的なのは、管理良好なところと、ゆとりあるエントランスかな。ほど近い場所にある「蔵前神社」は四季折々に花が咲く癒やしのスポットだし、「浅草」駅にも「蔵前」駅にもアクセスしやすい立地だから、暮らしのバランス感がちょうどよくて。

たしかに何気なくこの辺りを歩いていると、突如背の高いマンションが現れたりして驚くことがあります。そういう理由だったんですね。販売している物件にはどういったものが多いんでしょうか?

2002年竣工、総戸数31戸の中規模マンション「グランシティ鳥越」。2階部分の庇(ひさし)がネイビーブルーになっていて、建物裏には平置き駐車場があるなど、ホテルライクな雰囲気

廣瀬:そうだね、たとえば「グランシティ鳥越」のような築浅マンションが分かりやすいかも。築浅で60㎡以下、共用部に大理石を使っているような高級感のある物件が多い印象かな。

1980年竣工、江戸通りからやや奥まった場所に建つ「柳恵(りゅうけい)キングハイツ」

廣瀬:他にも、ペットを飼える「柳恵キングハイツ」もおすすめ。隅田川テラスを散歩する毎日なんて、とっても気持ちよさそうだよね。

なるほど。築浅の物件が多いため中古物件が市場に出ていなかったりと、そもそもの供給量がまだ少ないかもしれませんね。今後に期待です。

編集後記

現在蔵前1丁目では、日本郵政不動産が再開発事業を進行中。高齢者住宅を含め、下町文化と新しい文化が交流できる施設ができるんだとか◎ 『古きよきを大切にしながら、今の空気を取り入れた施設を造るみたい。想いがカウカモのサービスと似ていて、とっても心温まる再開発になりそうなんだ』とアッコさん

これにて取材は終了。

今回一緒に街を歩いてくれたアッコさんは、もともと人の幸せに直結する “衣・食・住” の分野のなかで、 “食” のスペシャリストになることを夢見て料理人に。お祭りで料理を振舞ってきたお祖母さん、お母さんに憧れたのが料理を始めたきっかけなんだとか。

怪我をきっかけに料理の世界を引退したものの、人の笑顔に貢献することが自身の幸せと考える彼女は、今度は “住” の分野にシフト。

職人の背中を見て培った仕事への妥協を許さないこだわりや、蔵前で育まれた誰に対してもウェルカムな精神は、料理でもマイホームの提案でも変わらず、お客さまから好評を得ています。

蔵前の地域性を、アッコさんはまさに体現している人と言ってよいでしょう。

『蔵前に住んでみたい!』という方はぜひ、ただお出かけ先として街を歩くだけでなく、お店のオーナーさんと話してみたり、地域のイベントに参加して交流してみたり、一歩踏み込んで街の空気を感じてみてください。きっとこの街の魅力に取り憑かれてしまうはずです。

引き続き、カウカモ編集部では街とマンションの魅力をお伝えしてまいります。次回もお楽しみに!