忘年会にクリスマスパーティーに、とイベントが多くなる季節。ホームパーティーを開いたり、お呼ばれしたり、という機会も多いのでは?

この時期、みんなでシンプルに鍋を囲む、というのももちろん楽しいけれど、ほんの少し工夫を凝らして、ワンランク上のホームパーティーをしてみませんか?

今月は、"食" をテーマにフードコーディネートから、商品やレシピの企画・開発、フードスタイリング、イベント運営、PRなどなど、幅広く手がけているEAT TOKYOさんに、ひと味違うホームパーティーの楽しみ方をご提案いただきました。全2回に渡ってお届けするホームパーティー学入門講座、第1回目はコーディネート編です!

EAT TOKYO 代表取締役の齋藤 優さん。カリフォルニアキュイジーヌのお店の料理長として経験を積まれた後、飲食店コンサルタント会社、カフェ経営の後にEAT TOKYOを設立。フードを専門とするチームに加えて、グラフィックデザイナーやプロデューサーなど、広告系のクリエイティブチームがタッグを組み、飲食店や食品メーカーの企画、プロデュース、メニュー開発、広告、クリエイティブ分野のディレクション、フードスタイリングなどなど、"食" をテーマに多岐に渡って活動しています。

色をテーマにすると、ホームパーティーはぐんと楽しく華やかになる

ホームパーティーには憧れているけれど、いざ自分で開催するとなると、なかなか踏み切れないという方は多いのではないでしょうか。あるいは、実際に開催しても、あまりにはりきりすぎて、準備が間に合わなかったり、ホストに負担がかかりすぎたり、ということも少なくなさそうです。ちょっとした工夫で上手にホームパーティーを楽しむ方法を教えてください。

一から全部手作りせずに、売っているものをうまく使うことと、スタイリングにちょっとこだわってみることがポイントですね。スタイリングと言ってしまうと、少し面倒に思えるかもしれないですが、一例として、料理もテーブルも、テーマカラーをひとつ決めると、雰囲気がつくりやすいんです。

たとえば、僕らが1年を通して企画したアイディアで「バースデージュエルパーティー」というプロジェクトがあるんです。その月に誕生日を迎える人の誕生石の色をテーマに、テーブルコーディネートとお料理でパーティーをするというもの。バースデーパーティーでなくても、なにか1色選んでテーマにすると楽しいですよ。今回は赤、紫、青をテーマにしたパーティーシーンを考えてみましょう。

なるほど、色をテーマにするというのは盛り上がりそうですね! 参加者も、当日、そのテーマカラーを取り入れた服装で参加すれば、さらに楽しいかも。でもお料理をひとつの色でまとめるって難しくないのでしょうか? それぞれの色別のコーディネートやお料理の例を教えてください!

おいしそうな色といえばやっぱり赤! 情熱的な色に心も温まります

赤い食材は揃えやすく、料理をよりおいしく見せる効果もあります。お料理だけでなく、キャンドルなどの小物も手に入りやすそうです。

色をテーマにしたパーティーは、実は簡単なんです。テーマカラーを決めたら、買い出しに行ったときに、その色のものをどんどん選んでいくと、それだけでかなりコーディネートされた感じになりますよ。赤なら、ベリー系のケーキを買ってきたり、トマトソース系のお惣菜を購入したり、飲み物もロゼワイン、サングリアなどを中心にする。サラダはだいたい緑がベースになりますが、ベーコンをトッピングすればそれだけで赤い差し色になりますから、統一性が出ますね。あとはキャンドルホルダーやテーブルクロスを赤にすればもうできあがりです。

全体的に赤が多ければ、多少別の色が混ざってもさほど気になりません。たとえば「大好きなコーンスープは外せない」というのなら、そこに無理矢理赤を持ってこなくてもいい。スープも器も赤は使っていないですけど、全体としてはまとまっているでしょう?

本当ですね。かなり簡単にできそうで、しかもとってもゴージャスに見えます。

盛りつけ用の器として重宝するのが、カッティングボード。この上に食材を置くだけでたちまちおしゃれに見える、お役立ちアイテムです。レーズンがぎっしり入ったバゲットに、赤いざくろを添えて。

ほどよく手抜きをするのも、パーティーを楽しむコツでもあるんです。バゲットはチーズなどとともにそのままカッティングボードに乗せて、各自が切り分けて食べるようにすれば、準備もそれだけラクだし、それぞれが自由に食べられます。テーブルクロスも、ちゃんとしたものは高いし、何枚もそろえられるものではないですよね。それなら生地屋さんで布を数メートル分買ってくればいい。使う前に、衣類用の防水スプレーを吹き付けておけば、うっかり飲み物をこぼしたときも慌てずに済みますよ。

そうそう、盛り上がってくると、ついグラスを倒してしまいがちですよね。あらかじめ防水スプレーを吹き付けてからテーブルクロスにするというのは、かなり役立つアイディアです。これはぜひ取り入れたい!

室内も、パーティーモールなどで賑やかに。これなら100円ショップでも手に入ります。

グラタンやドリアなどのオーブン料理はホームパーティーにおすすめの一品。オーブンに放り込んでおけば、焼きあがるまでの間、ホストもゲストと一緒に食卓が囲めて、しかも焼きたてを提供することができます。トマトソースを使えば、たちまち赤い料理のできあがり!

女子会にオススメ! 紫の食卓でおとなっぽさを演出

続いては、紫、ですね。わあ、なんてシックかつ華やかなんでしょう! こんなパーティーが本当に自宅でできちゃうんですか!? しかも紫の食材というとそろえるのがかなり難しそうですが・・・。

こちらのお料理も、出来合いのものをうまく取り入れているんですよ。ケーキはスーパーで買ってきたチョコレートマフィンに、紫芋のペーストを絞りました。さらにダークチェリーやアラザン、キャンドルで飾るとぐんとおしゃれになりますよね。

ケーキはこんな風に高さがあるケーキ台に載せると、とてもゴージャスに見えます。この時は、ワイヤー製のカップケーキタワーを使いました。輸入雑貨を扱っているお店やネット通販などで手に入りますが、専用の器をわざわざ買わなくても、伏せたマグカップの上に両面テープを貼って大皿を固定すれば、それだけでケーキ台になります。高さがある台にケーキやお料理を載せると、メインとしてとても見映えがするんです。

マグカップとお皿を両面テープで貼って台にしてしまうとは! このような凝った器は購入するにはハードルが高いですが、大皿とマグカップなら、すぐに取り入れられますね。

紫づくしのスペシャルカップケーキ。女子たちの歓声が聞こえてきそうな素敵な仕上がりです!

お口が真っ黒に染まるのが怖くて、デートではなかなか食べられないイカスミのパスタも、女子会なら思いっきり味わえそう!?

赤ワインで煮込んだ肉料理は、デパ地下のデリなどでも手に入りそう。こっくりとした色合いがたまりません。

生のニンジンも、バルサミコ酢を使ったソースを添えるだけで見映えがアップ!

お料理だけでなく、紫色のドライフラワーを器に入れて、さりげなく室内にディスプレイしてみても。雰囲気がいっそう盛り上がります!

他のメニューは、イカスミのパスタや、紫キャベツを添えた赤ワイン煮込み、バルサミコ酢ソースを添えた野菜など。飲み物は赤ワインをたくさんそろえれば、かなりそれらしくまとまります。

イカスミソースや紫キャベツの瓶詰め、バルサミコ酢などは、大きめのスーパーに行けば揃いますね。

これはがぜんやる気が出てきました!

クリスマスやお友達の結婚祝いパーティーに、個性あふれる青の食卓はいかが?

最後に青ですが、こちらは12月の誕生石であるターコイズにちなんでコーディネートした例です。12月なので、クリスマスを意識してみました。

青く染めたアイシングクッキーは、クリスマスツリーのオーナメントとして飾れるように、クッキーを焼く際にリボンを通す穴を開けてあります。飲み物はリキュールのブルーハワイを牛乳で割った「ブルーハワイミルク」、ケーキのクリームはもちろん、メインディッシュのチキンの丸焼きも、青の食用色素で染め上げています。ここまでやるのはさすがにやりすぎですが(笑)、このときは、一般には食欲を減退させるという青をとことん使って料理を作ったらどうなるだろう、という遊び心から、こんなコーディネートにもチャレンジしてみたんです。

ブルーハワイミルクにブルーのデコレーションケーキ、ブルーのアイシングクッキー・・・。青にこだわった食卓で、ブルークリスマスをどうぞ。

穴をあけたクッキーを焼いて、クリスマスオーナメントに。アイシングは水で溶くだけでかんたんにペースト状になる "アイシングシュガーパウダー" を使うと便利です。

これはかなりインパクトがありますが、クリスマスパーティーなら楽しそう! そして、結婚式のときに身につけると幸せになれるという「サムシングブルー」にあやかって、お友達の結婚を祝うホームパーティーにも使えそうです。

ケーキは、スポンジの土台のままでテーブルに用意して、みんなでわいわいと飾り付けを楽しむのもいいですし、カップルでこんな個性的なパーティーを催してもいいですね。

色をテーマにするというのは、意外に簡単にできて、しかもとても見映えがするものなんですね。齋藤さん、ありがとうございました!

年末だけでなく、一年を通してさまざまにアレンジできそうな "テーマカラーパーティー" 。

ぜひ気軽にチャレンジしてみてください!

さて、次回は、齋藤さんが指南するホームパーティー演出術。「思い立ったら即パーティー!」をテーマに、ホームパーティーの裏ワザをお送りします。

お楽しみに!

■取材協力:EAT TOKYO