気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の違いを「街の先輩」に聞いてみました! 「街の先輩に聞く!」、 第67弾は「上野」です。


何本もの鉄道と新幹線、多くの国道や高速道路が交わる上野。誰もが認めるハブの都市でありつつ、アメヤ横丁の大衆文化、貴重な西洋美術が所蔵される美術館たち、桜や蓮など季節を感じさせる自然、と様々な表情を持ちます。

常に新しい楽しみ方が発見できる「カオスな街」上野。こんな魅力が詰まった刺激的な街は他にないでしょう。

上野恩師公園に、アメヤ横丁に、上野動物園に……と上野はたくさんの魅力がぎゅっと詰まった刺激的な街。

上野はここ半世紀で新幹線が開業し、新しい商業施設が生まれ、アメヤ横丁のお店が入れ替わり、時代に合わせて変化してきました。今回は、新幹線が開通するより前の1964年から、アメヤ横丁の傍で時代を歩んできた純喫茶「丘」の三浦哲男さんに、この街の変化と魅力についてお伺いしました。

独特の昭和の香りからメディアのロケでもよく使われるという「丘」のエントランス。

■喫茶店が大ブームだった時代にタイムスリップ!

アメヤ横丁の雑踏から1本入った場所にある純喫茶「丘」。地下の店内は、昭和の香りいっぱいのレトロな空間が広がります。もともとは三浦さんの親戚が御茶ノ水で開いていた喫茶店から名前やコンセプトを引き継いで、お父様がここにお店を開かれたそう。今では三浦さんとお姉様が中心に、お店を営んでいます。

丘があるのは、この階段を降りた先。

地下にあるのに「丘」なんて名前なのは、御茶ノ水のお店の名残りです。僕は昔からずっと上野に住んでいるので、自然とこの場所になりました。

なぜ喫茶店かというと……当時は喫茶店が大ブームだったんです。今では、チェーンのカフェやコーヒーショップがたくさんありますが、そんなものはない時代。ちょっとした待ち合わせや、午後ののんびりする時間など、たくさんの人が喫茶店に集まっていました。

店内に広がる、昭和な香り。ナポリタン、ハヤシライス、サンドイッチなどの定番メニューが食べられる。

喫茶店のブームは去りましたが、「丘」はオープンした頃から変わらないまま、ここにあります。

インテリアはほとんど変えていなくて、壁紙が汚れたら張り替えるぐらいです。メニューもほとんどそのまま。多少メニューを増やして、ビールを出すようになったぐらいです。

暗めの店内を照らす大きなシャンデリア、昭和の喫茶店を象徴するステンドグラス製の壁やランプ、テーブルとして使用できるゲーム台。まるで外の世界からタイムスリップしてきたような空間は、今ではなかなか見られません。

緑色のクリームソーダは、昭和の喫茶店を知らない人でもどこか懐かしさを感じさせる。

昭和の空間が時代を超えて残る珍しさから、今では多くのメディアのロケでも利用されるそうです。そのため、以前は上野に住む常連さん、アメ横で働くお客さまが多かった「丘」ですが、ネットで調べて訪れる若者が増えたとのこと。それもまた、多様な人が集まるカオスな街、上野らしいですね。

■カオスな文化の交錯が人を惹きつける

この街はいろいろな文化が交わるところが魅力です。美術館の方に行けば文化に触れられるし、アメヤ横丁のような商店街があって、昼から飲めるような場所もある。「大統領」を始めとするガードレール下の飲屋街なんて、午前中から皆が飲んでいます。あれは昔からずっと変わらない風景ですよ(笑)。

いつ足を運んでも、大賑わいのアメヤ横丁(アメ横)。

上野の公園側は、都内屈指の美術館・博物館が集まる場所。西洋の名画が常設され、著名画家の企画展が絶え間なく開かれ、子ども達にも嬉しい科学博物館も並んでいます。さらに歩けば動物園やボートに乗れる上野恩賜公園もあり、知的好奇心がそそられるエリアです。

「国立西洋美術館」に「国立科学博物館」、「東京国立博物館」、球体が目印の「東京都美術館」と多くの美術館・博物館が集まる。また「上野動物園」もいつも大人気。

一方で三浦さんのお話にも出てきた飲み屋街は、朝から飲みたい大衆が集まる場所。夕方にはすでに出来上がっている人がちらほら見られます。昔から変わらないというこの風景には、大衆文化の味わい深さがあります。

上野でも有名な「大統領」には、平日の昼間から飲兵衛が集まる。この風景を見て、吸い込まれるようにお店に入ってしまう人も少なくないのでは……。

1950年創業の老舗「大統領」。もつ焼きや煮込みが名物。

以前と変わったことはドラッグストアと外国人が増えたことですね。見所が多い街というだけでなく下町文化に触れられるので、上野を観光して周辺に宿泊する人も増えているんです。特に桜の季節は年末年始以上に多くの人で賑わうので、うちのお店も忙しくなります。

海外からの観光客が増えたため、高架下の商店街にも両替施設が設置された。

上野の桜は「日本さくらの会」の「さくらの名所100選」にも認定されており、どこからもアクセスが良いため海外の人からも人気があります。

また上野は桜だけでなく、6月の紫陽花、7月後半から8月にかけての蓮も非常に美しく、写真撮影スポットとして認知度が上がってきています。都心にいながら四季の美しさを魅せてくれるところも、上野のひとつの表情です。

「不忍池」の蓮は7月下旬から8月上旬が見頃。午前中で蕾が閉じてしまうため早朝から午前中にかけてカメラを持った人が集まる。

■「いつでも」「何度でも」素敵な刺激をくれる

上野は楽しいだけでなく、住むのにもとても便利な場所です。まずは、どこでもアクセスしやすいですし、上野から出なくても魚で有名な「吉池」さん、なんでもあるディスカウントストアの「多慶屋」さん、昔からある八百屋さんから、「丸井」のような商業施設やドラッグストアなど生活に必要なものは何でも揃っています。

昔からこの土地で暮らす三浦さんはこう語ります。観光のイメージが強い上野ですが、生活をする視点でもとても便利な街なんですね。

芸術、大衆・下町文化、歴史、四季が感じられる自然……。上野は、ひとつの街でありながら多様すぎる表情を持つ街です。素敵な刺激が溢れるこの街なら、何回遊びに行っても、ずっと住み続けても、私たちのことを楽しませてくれるでしょう。

お話を伺った三浦さんは顔出しNGだったため、今回は特別にカウカモ編集部のメンバーがトップ写真のモデルとなりました。ちなみに、浴衣を着ているのはとある企画のため。まもなく公開予定の街歩き記事もどうぞお楽しみに◎

純喫茶 丘
住所:東京都台東区上野6丁目5−3
TEL:03-3835-4401
営業時間:[火~金] 9:30~17:30、[土・日・祝] 9:30~17:00
※ モーニングは11:00まで
定休日:月曜(祝日の場合は翌日休)・元日

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