今回は『cowcamo』と『RoomClip』とのコラボ企画「中古の住まいで楽しむプチリノベ」コンテストで選ばれた住まい手さんのインタビュー記事です。中古住宅を購入し、リノベーション。完成後も、暮らしながらDIYでお気に入りの空間に作り上げる住まい手さん。爽やかで居心地良さそうなお部屋に大注目です。「リノベーションは使いたいものを自分でゼロから選べるというところがいい。」と語るご主人の住まいづくりとはどのようなものなのでしょう。


今春、cowcamoでは『RoomClip』とコラボして「中古の住まいで楽しむプチリノベ」コンテストを実施。230件を超える投稿の中から、特に素敵だったお部屋5軒を「カウカモ賞」に選ばせていただきました。前3回に引き続き「カウカモ賞」を受賞したaaniさんのお宅のご紹介です。

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この日取材チームがおじゃましたのは、東京や横浜のベッドタウンと言われるエリアにお住まいの、aaniさんのお宅。

78㎡、1LDKという、ゆったりとした間取りで、ご主人とおふたりで暮らしています。

2013年の冬、リノベーション会社が開催する完成物件の見学会に参加したのがきっかけで、中古住宅を購入し、リノベーションをすることを決意。担当者と話すなかで、その日のうちに気に入った物件が見つかり、物件購入からリノベーションまで一貫して依頼。

リノベーション完成後も、暮らしながらDIYでお気に入りの空間に。どこを見てもDIYとは思えない "プロ仕様" で、編集部一同驚きの連続でした・・・。

さわやかな音楽が流れる、明るいリビングで休日を楽しまれていたご夫婦。会社員のaaniさんと、大工として家づくりに携わっていらっしゃるご主人は、ともにインテリアが大好き! 室内の多くの家具は、造作が得意なご主人が造られているそう。このダイニングテーブルもそのひとつです。

結婚後この家に住むまでは、同じエリア内で賃貸住まいをしていました。まだ家の購入を具体的に考えてはいなかったものの、購入するならば、私は一戸建てと考えていたくらいで、リノベーションの知識はほぼゼロでした。(aaniさん)

僕がリノベーションに関心があって。前から、リノベーション会社『リノベる。』の行う見学ツアーに興味があり、一度リノベーションのことを知らない妻を連れて行こうと思っていたんです。
実際に参加したツアー中にリノベーション事例を見た妻が 、「これならいい!」と惚れて。他の会社も見ずに、その日のうちにリノべる。のセットメニューでリノベーションすることに決めました。この部屋は、見学ツアー中に紹介してもらった、3物件の内のひとつでした。(ご主人)

LDK全景。天井はコンクリートのあらわしで、インダストリアルな雰囲気に。明るく心地よい空間には、趣味で集めた植物やこだわりの家具が並びます。ここに越してきて、リビングを中心とした暮らしを送っているそう。

自由が利く間取りにしようと、以前より明るいワイドスパンのリビングをつくれそうな物件を探していたのですが、なかなかしっくりくるものがなかったんです。でもここを見て、角部屋ということもあって、とにかく明るいリビングが気に入りました。(ご主人)

お互いの実家も近く、地縁もあるエリアを軸に考えていたところ、出会った築30年を超えるマンション。リノベーション会社に施工を依頼しつつも、自分たちの手でできそうなところはDIYすることを前提に、今回の物件に決めたと言います。

リノベーション会社に、好きな植物やインテリアのテイストを伝えたところ、「インダストリアルなテイストにしましょう。」といった提案をいただきました。その後、いくつか見せてもらった案がどれもよくて。センスがよくて信頼できるデザイナーさんにも出会えたと、夫婦ともに感激でした。(aaniさん)

ではさっそく、こだわりのお部屋をご紹介しましょう。

左・ゆったりとした土間。aaniさんが通勤で使うという自転車は、ディスプレイの一部のように壁に掛けられていました。ガラスブロックの壁の横に見えるドアは、ウォークスルークローゼットにつながっています。/右・玄関ドアは黒く塗装しクールな印象に。玄関の枝物は、花屋の友人に毎シーズン頼んでいるそう。写真に写っているのは、aaniさんのお気に入りのドウダンツツジ。

設計のときに、デザイナーさんが私たちの趣味をとても理解してくださったと同時に、暮らしやすさも考えてくださって。ガラスブロックも、壁で仕切るよりも明かりが取れて快適だと提案してくださいました。(aaniさん)

玄関からLDKにアクセスする廊下。天井まで高さのあるシューズラックが圧巻です。このシューズラックの間から水まわりに通じます。

左・白い清潔感のある空間の中に、黒い床が引き立ちます。洗面台は壁固定型の陶器製をチョイス。/右・洗面台まわりの壁には、aaniさんがこだわったという6角形タイルをあしらって。収納は造らずスッキリと見せました。

先ほどの廊下から、キッチンや洗面スペース、バス・トイレなどの水まわりはひとつなぎにし、回遊できる間取りに。ご友人が遊びに来られたときも、動線が多ければご友人の目の前を行ったり来たりすることもなく、快適なんだとか。

II型の緑豊かなキッチンは、風も入ってきて、とっても気持ちいい空間! 当初からアクセントのタイルを貼りたいと思っていたという壁面には、ヨーロッパの地下鉄に使用されているサブウェイタイル調の白いタイルを採用。シンク台にも収納がたっぷり用意されています。

キッチンには、まるでインテリアショップのような植物! 形の珍しいサボテンや、可愛い花が咲く球根類、"砂漠のバラ" と呼ばれるアデニウムなど、あまりお目にかかれないようなものもたくさん。おふたり曰く、どんどん集め出したら止まらなくなったとのこと。

僕がひとり暮らしのときは数点だけだった植物が、ふたりで買い集めていたら今ではこんなに。オークションなどを活用したり、インテリアショップや園芸店に買いに行くことが多いです。グリーン好きに人気が高いSOLSO FARMには世界の多種多様な植物があっていいですよ。(ご主人)

家を買ったら大きな植物を置くのが夢でした。特にこの家に住んでからは、洋服を買うよりも植物を買う方が多いくらいです(笑)。(aaniさん)

左・ご主人も料理をされるため、たっぷりとしたスペースを確保。調理台とシンクの間は1mの幅があり、ふたりでキッチンに入っても料理がしやすいそう。ワークトップはご主人の希望でモルタル仕上げに。/右・ご主人が吊り戸がお好みではなかったとのことで、オープン棚を採用。ワークトップ下の奥行きたっぷりの収納は、収納家具として大工さんが造った完成品を、ベランダから搬入したそう。ガス台まわりは調理のしやすさを考え扉は付けず。使い勝手も計算されています。

おふたりはこのキッチンについてこんな風に語ってくださいました。

はじめは、オープン棚ではなく扉を付け、生活感を出さない方向で提案していただいたのですが、私、実は隠すのが苦手なんです。隠すと、物を詰め込んでしまう習慣ができあがってしまうので・・・。扉があると見た目はスッキリと見えますが、扉を開けた時に生活感が見えるのが嫌で、あえて見せておきたいんです(笑)。(aaniさん)

たまに友達がくると、みんなで自然な感じでアイランドを囲んで作業するのが楽しいです。(ご主人)

左上・オープン棚は、ご主人が前々から使いたいと考えていたtoolboxのもの。/右上・業務用の大きなシンクに合わせたのは、GROHE(グローエ)の美しいスワンヘッドの蛇口。「ヘッドに隠れているホースで蛇口が伸びるので、掃除がしやすいです。」とaaniさん。/左下・玄関からウォークスルークローゼットに続くドアには、デザイナーさんおすすめの「KAWAJUN(カワジュン)」のドアノブでアクセントを。/右下・スイッチに貼られたステッカーにもオリジナリティを感じます。

おふたりの好みがぎっしり詰まったお部屋を拝見させていただく中で、驚いたのは、リノベーション会社の施工とご主人が造作されたところとの境界が分からないほどの完成度の高さ。

左・エアコン下の壁は、白の壁におふたりで塗ったというアートな一面。色の切り替えは、マスキングテープを使って。マスキングテープを剥がしたままのラインが素敵だったので、一部地の白のまま残しました。植物を乗せた台はご主人のDIY。/右・最近造られたというテーブル。「木材や黒板塗料などの材料はホームセンターで揃えました。これは3時間で作れました。(ご主人)」冬から春に掛けてはエアコン下に並べられていた植物を、夏の間エアコンの冷風から守るためにこのテーブルにディスプレイして、キッチン横に移動してきたそう。これから使い方を変えて楽しむ予定とのこと。

奥さまのaaniさんが、こんな家具が欲しいと希望すると、すぐにDIYに取り掛かってくれるというご主人。もともとインテリアショップ巡りが好きで、休日にはおふたりで、都内のさまざまなショップに足を運ぶそうですが、この植物を乗せたテーブルが生まれたきっかけとなったのも、そんなお出かけの最中でした。

インテリアショップのCIBONE(シボネ)に行ったとき、私が気に入った家具があったんです。それを主人によーく見てもらって、覚えてもらいました。すると、翌日には完成! いつも、「こんなの造って」と軽めに言うのですが、現場でこれを3時間で造ったと聞いたときには、改めて尊敬しました。(aaniさん)

aaniさんが好きなものを伝え、それを形にしてくれるご主人。大工さんならではの技術に、センスのよさも加わって、お部屋の中がどんどん素敵な手づくり家具でいっぱいに。

LDKへのメインアプローチには、おふたりがこだわったという業務用のドア。鹿のオブジェはご主人のチョイス。ご主人がひとり暮らしをされていた頃から愛用しているNOYES(ノイズ)のソファも存在感がありかっこいいですね。

鮮やかな青い間仕切りを隔てた奥には寝室が。はじめは壁を立てて、内窓を取り付けることも提案のひとつだったとのことですが、空間に抜けを持たせた方が風の通りもよいと思い、間仕切りにしたそうです。

寝室にはクールなアクセントウォール。WALLTZ(ウォルツ)でaaniさんが選んだこだわりの一枚。柄合わせにもこだわって、壁の大きさに合わせてオーダーしたそう。写真以上の迫力があります。壁の向こうはウォークスルークローゼット。

テレビ台も、寄せ植えをしようと考えて造ったというプランターも、ご主人作。

実はフローリングは一番こだわったところです。どうしても無垢にしたくて、中でも「シベリアンウォールナット」という濃すぎないシックな床を選びました。さらに、ツヤのあるウレタン処理された感じではなく、オイル仕上げにしたんです。このこだわりには、リノベる。の方も驚かれました。こんなにいい素材を選ぶ方もあまりいませんよ、と(笑)。(ご主人)

左上・寝室の床は下地のみリノベーション時にお願いをして、フローリングはご主人が施工。/右上・コンクリートと配管をそのままに仕上げた天井は、今後もう少し手を加えたい場所なんだそう。/左下・テレビ裏の壁のアクセントウォール。こちらもtoolboxで見つけた古木のタイルをアレンジして貼っています。/右下・トイレの天井クロスもDIYで。独特な空間が広がります。

こだわりの室内をひととおりご案内していただいたあと、おふたりはこんなことを語ってくださいました。

リノベーションって、いいよね。(aaniさん)

もっと、みんなもリノベーションしたらいいのに、と思いますよ。(ご主人)

リノベーションについて、はじめは知らなかったというaaniさんも、その楽しさを体験しながら感じていったそうです。

好きに、暮らしやすくつくれること。これがリノベーションの最大の魅力でした。自分たちの家ができていく過程はすごく楽しくて。リノベーションしたら満足される方が多い中で、住んでからこんなにいろいろ手を加える方も少ないとよく言われます(笑)。正直、工事が終わるのが寂しかったです。これからリノベーションする人が、うらやましくも思えます。(aaniさん)

リノベーションは、「カタログの中から選ぶ」のではなく、使いたいものを自分でゼロから選べるというところがいい。夫婦で打ち合わせすると趣味が異なって、描いていた家が変わってしまうとよく聞きますが、うちは趣味が合ったのも楽しめたポイントですね。(ご主人)

リノベーションしているときが本当に楽しくて、その後も少しずつ手を加えていったおふたりの住まい。

これからは、ベランダでハーブを育てたり、家庭菜園もやってみたいです。これまで手付かずだった、桜が美しく見えるベランダを造り込んでみたいと思います。(aaniさん)

こんなに素敵なお住まいを手に入れても、"まだどこか手を加えられないか" と探されているかのようなご夫婦。ずっと暮らす家だから、その時々に欲しいものをひとつひとつつくりながら、心地よい暮らしを高めていく。そんな空気が見て取れました。

RoomClipサイト内、aaniさんのページは こちらからご覧いただけます。

ーーーーー物件概要ーーーーー

〈所在地〉神奈川県横浜市
〈居住者構成〉ご夫婦(40代)
〈面積〉約78㎡
〈築年〉築34年
〈設計〉リノべる。

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