今回は『cowcamo』と『RoomClip』のコラボ企画である「中古の住まいで楽しむプチリノベ」コンテストで選ばれた住まい手さんの、インタビュー記事です。リノベーション会社・ゆくい堂とともに、中古マンションをおしゃれな空間に生まれ変わらせました。アンティーク調のインテリアや見せる収納、小物使いなど、住まい手さんのセンスが光っています。「中古物件を購入し、買い替える」という住まい選びのスタイルについてもお話を伺いました。


暮らしをもっと楽しくするツールとして、 こちらの記事でご紹介しました『RoomClip』は、お部屋の写真を投稿して交流するインテリア専門SNSです。『cowcamo』では今春、そんな『RoomClip』とコラボして「中古の住まいで楽しむプチリノベ」コンテストを実施。230件を超える投稿の中から、特に素敵だったお部屋5軒を「カウカモ賞」に選ばせていただきました。こだわりの光るお部屋はどんな風に生まれたのでしょうか。そして、どんな人がどんな風に暮らしているのでしょうか。これから全5回に渡って、住まい手さんにインタビューしていきます!

今回ご紹介するのは、阿佐ヶ谷の築39年マンションでご主人と暮らしているkurobarさん宅。『RoomClip』に投稿された写真を見ると、海外のお部屋のようにとってもお洒落です。広さは約38㎡。賃貸ではないことを考えると少々コンパクトですが、上手にリノベーションされていて、ゆとりある空間が広がっていました。

ファッション関係の仕事をしているkurobarさんと料理関係の仕事をしている旦那さん。『RoomClip』にはkurobarさんが投稿しています。「家を人に見せる機会ってあまりないから張り合いが出るし、写真を撮るために片付けるから部屋を綺麗に保てる」のだそう。

2012年からこの部屋に暮らしているというおふたり。その前はご主人が持っていた古いマンションに住んでいましたが、建物が老朽化して水漏れが起こったこと、震災時にかなり揺れたことから、買い替えを決意。阿佐ヶ谷で物件を探しているうちに、このマンションに出会ったと言います。

一軒家も考えたんですが、なかなか条件が合わなくて。普通の分譲マンションよりもリノベーションしたほうが面白いし、価格のことを考えても中古マンションのほうがいいなと思いました。(kurobarさん)

床は味のあるテラコッタの素焼きタイル。足場板を積んでシューズラック代わりに使っています。

現在の姿からは想像がつきませんが、内見したときはお世辞にも綺麗とは言えない状態だったそう。部屋は畳でお風呂は古めかしい石のタイル。あまりのボロさに閉口したと言います。それをお洒落な空間に生まれ変わらせたのが、cowcamoでもよく登場するリノベーション会社・ゆくい堂です。

ネットで調べて「こんな会社があるんだ」と興味を持ち、話を聞きに行きました。そうしたら、社長さんにいきなり熱く語られて(笑)家づくりに対する熱い想いを感じて、お願いすることにしました。古いマンションなので配管や水まわりを全部交換してもらったんですが、ゆくい堂さんはもともと工務店なので、安心して任せられました。(旦那さん)

リノベーションのポイントは、「狭い空間を、いかに有効活用するか」。キッチンの位置を少しだけ移動し、通路兼調理場として使えるようにしました。天井は躯体を出して高くしています。壊せない壁もあったので苦労したそうですが、工夫の結果、無駄のない造りになっています。

調理スペースを広くとったキッチン。リビングに接する部分のカウンターは料理を置いたり、友人が来たときにテーブル代わりにしたり。吊り下げ棚にはファイヤーキングなどの食器が飾られています。
 

ぽってりとした丸みのあるKOHLER製のシンクにタイルの調理場。収納は吊り下げ棚とシンク下のみですが、デザイン性のある食器や調理器具で揃えているので、インテリアとしても魅力的。これぞ「見せる収納」ですね!

外国の部屋のようなテイストで、アンティークっぽさを出したいと思いました。通路から洗面室につながる木のドアもアンティークです。ネットで見つけたんですが、1900年代のものだそうです。
洗面室はドアの雰囲気に合わせてつくってもらいました。白い磁器のペデスタルシンクに真鍮の蛇口がお気に入りです。好みを伝えたら、ゆくい堂さんが探してきてくれました。(kurobarさん)

脱衣所を兼ねた洗面室は、通路を削ってスペースを確保しました。構造の制約からスペースを四角に取れず壁がアールになっていますが、それがまた良い雰囲気。

寝室は壁の2面を爽やかなミントブルーに塗装。窓枠やリネンは白、家具は木で統一しているので、全体にまとまりがあります。背の高い家具を置くと圧迫感が出てしまうので、天井から木の棚を吊り下げ、小さな収納スペースを造りました。

明るい光の入る寝室。風通しや開放感を優先し、扉はあえて付けていません。本や小物の収納には、古いベジタブルボックスを使っています。
 

kurobarさんのセンスが光るリビング。リノベーションはミリ単位でこだわったそう。「こちらの要望をしっかり聞き取った上で、更にプラスαの提案もしてくれるのがゆくい堂さんのいいところ」と旦那さん。

家具は、この部屋に合わせてほとんど買い替えました。アンティークっぽいことと長く使えることを意識して選んでいます。素材で言うと、木・革・アイアンですね。布は長く使うと汚れたりほつれたりするけど、革は味になっていくでしょう。(旦那さん)

リビングの鏡とテーブル、棚はオーダーメイド。テーブルはソファの高さに合わせて造ったとのこと。

あちこちに飾られた植物も印象的。生きた植物がたくさんあると、リビングが華やぎますね。少し変わったもの、ワイルドなものがお好きなようで、花屋で見つけては買って来るそうです。

とても素敵な部屋ですが、おふたりはここで一生暮らすつもりはないそう。次は猫を飼うことができて、庭で野菜を育てられる家に住みたいのだと話してくれました。前のマンションも賃貸ではなく購入したものとおっしゃっていましたが、おふたりはなぜ「中古物件を購入し、買い替える」というスタイルをとっているのでしょうか?

小さなベランダにも植物が生い茂っています。

一生の家を一度で決めてしまうのは、ちょっとリスクが高いなと思うんです。飽きちゃうかもしれないし、のちのち何か問題が出てくるかもしれない。それに、長く住んだらその分だけ、家も一緒に年を取っていきますよね。築30年の家に20年住んだら築50年の家になります。老朽化していろいろなメンテナンスが必要になってくるでしょう。でも、例えば5年後、10年後に買い替えれば、また築30年の家に住めるんです。 (kurobarさん)

賃貸は大家さんにずっと家賃を払い続けるだけで、何も残りませんよね。購入して自分のものにすれば好きに改装できます。新築を建てるのと比べると制限はあるけど、それが味にもなって面白いんです。
人気のある駅など立地を選べば買い手はつくし、賃貸で家賃を払うよりも結果的に安くなるんですよ。(旦那さん)

6〜7人入るリビング。友人を呼んで宅飲みすることもあるそう。

賃貸で暮らしてお金を貯め、一念発起して "終の住処" を手に入れる。家を購入すると言うと、そんなイメージを持っている人も多いと思います。でも、条件のいい中古物件を自分たち好みの空間に変えて心地よく暮らし、生活環境や趣味の変化に応じて買い替えるという選択肢もあるのですね。

世界観のあるkurobarさんご夫婦のお宅には、インテリアだけではなく、住まい方に関するヒントもたくさん詰まっていました。

RoomClipサイト内、kurobarさんのページは こちらからご覧いただけます。

ーーーーー物件概要ーーーーー

〈所在地〉東京都杉並区
〈居住者構成〉ご夫婦+インコ
〈面積〉38㎡
〈築年〉1976年
〈設計〉 ゆくい堂

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