中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。
今回は、大人数でのホームパーティーをリノベで実現させた秋吉さんご夫婦の住まいを訪ねました。
室内の大部分を解体して造り直す、フルリノベーション。自由な発想で住まいを “再編集” し、理想のライフスタイルを叶えられるのが大きな魅力だ。
ここでご紹介する秋吉邸は、「ゲストを招く家」というコンセプトでフルリノベーションを行った事例だ。
秋吉さんご夫婦が新居の購入を決めたのは、2017年の夏のこと。以前借りていた約40㎡・1DKの住戸では、6帖の個室に防音室を設置し、残された狭い空間でふたり暮らしをされていたそうだ。
ご主人:防音室を置ける広い部屋に引っ越そうと賃貸を探したんですが、いずれの物件もオーナーさんに難色を示されてしまって。
奥さま:それに、一枚で10kg近い重さがある絵画をどうしても飾りたかったんです。壁に補強をしなければ無理だそうで、不動産屋さんには「もう家を買うしか無いですね」と言われてしまいました。
そこで、自分たちで未改装の中古マンションを買って、フルリノベをすることにしたんです。
購入の動機は防音室と絵画というマスト条件の解決だったが、海外生活の長いご主人には、どうしても叶えたい夢があった。それが、「大人数でホームパーティーを開催できる家」だ。
ご主人:海外で生活していた頃は、毎月2~30人規模のホームパーティーを開催していたんです。夫婦そろって人を自宅に招くことが大好きなので、それが実現できる住まいをコンセプトにしました。
フルリノベーションを前提に物件を探し、築35年(購入時)になる大規模マンションの一室を購入。設計・施工は、リノベーション会社「ゼロリノベ」に依頼した。
防音室を置くこと、絵画を飾ること以外でご夫婦が出した希望は「大面積の机」「ベンチソファ」「キッチンテーブル」の3点。いずれも、“パーティー仕様” の設備だ。
ご主人:僕が海外で住んでいたシェアハウスには大きな出窓部分にベンチソファとテーブルがあって、大勢が座れたのでそれをヒントにしました。キッチンテーブルも同様で、大人数の食事を一気に作れるし、そこで立食もできます。
さらに、この住まいのアイコン的存在として、電動スクリーンを備えたホームシアターも取り入れた。
奥さま:なにか他の家には無い特徴がひとつ欲しいと思ったんです。シアターがあれば、『ああ、あの大画面がある家ね』って、記憶に残りそうじゃないですか(笑)
落ち着いて食事や会話を楽しめるテーブル席、気軽に立ち話ができるキッチンテーブル、映像や音楽を満喫できるシアター。秋吉邸には、バラエティ豊かな「居場所」が用意されているのだ。
もうひとつの特徴が、来客を飽きさせず、快適に過ごしてもらうための細やかな配慮だ。壁にはそれぞれのスペースに異なるクロスが貼られていて、洗面台は2名が同時に使用できるワイド仕様。個室のドアにはなんと、ロッカールームとして使えるよう、番号プッシュ式の鍵まで設けられている。
奥さま:担当してくれたゼロリノベの設計士さんが店舗設計の経験も豊富な方だったので、基本的なコンセプトをお伝えして、細部の仕様や仕上げについてはご提案いただきました。
日常生活でも使いやすいような配置やサイズは、『さすがプロの技!』という感じですね。生活導線で不満に思ったことは一度もありません。
ご主人:家を買うこともリノベをすることも初めてでしたが、最初から最後までリノベ会社がエスコートしてくれてとても助かりました。
僕たちのリノベの目的は好きなパーツを使うことではなく、理想のライフスタイルを実現すること。この住まいのすべてがお気に入りです。
ご夫婦が今後楽しみにしていることはもちろん、コロナ禍収束後のホームパーティー再開だ。ゲストの方々にとっても、そしてこの住まいにとっても、その日を待ちわびる想いは同じだろう。
―――――物件概要―――――
〈所在地〉地下鉄赤塚
〈居住者構成〉ご夫婦
〈間取り〉1LDK+防音室
〈面積〉72.83㎡
〈築年〉築38年(取材時)
―――――設計・施工―――――
〈会社名〉ゼロリノベ
〈WEBサイト〉https://www.zerorenovation.com/
撮影:沢崎 友希 / 取材・文:中山 宇宴