日々お客さまの家探しをサポートするカウカモエージェントにフィーチャー! 不動産のプロがオススメする、萌える街やマンションって? 実際に街を歩きながら、編集部がインタビューをする企画です。
こんにちは、カウカモ編集部の中山です。今回、街とマンションの案内をしてくれるのは、カウカモエージェントの日野岡。集合場所に指定され向かったのは、今回が “人生初下車” となる東京メトロ銀座線「外苑前」駅です。
学生の頃からもっぱら「秋葉原」と「中野」界隈のニッチなトレンドを追いかけてた僕にとって、このエリアはまったく未知の街。一方日野岡は、以前 “表参道エリア” に建つシェアハウスに住んでいて、当時からよく散策をしていたそう。はたして、どんな街なのでしょうか?
《プロフィール》日野岡 美帆(ひのおか みほ)
社内では ”ヒノちゃん” の愛称で親しまれているカウカモ・エージェントチームのムードメーカー。前職のブライダル業界では、フラワーやグリーンを用いた式場の空間装飾を手がけていた。悲しいかな花粉アレルギーを発症したため、個人のお客様にライフスタイル提案ができる職業を求めてカウカモエージェントに。前職での経験から観葉植物やお花にはめっぽう詳しく、社内外の ”緑の相談窓口” としても活躍中。
魅力的なお店を眺めつつ
まずは外苑西通りを北西へ
日野岡:駅前は賑やかなオフィス街。でも外苑西通りを進んでいくと、だんだん家具屋さんやインテリアのお店が増えてきて、雰囲気がガラリと変わってくるんですよ。
中山:ホントだ。なんだか気になるお店がたくさんあって、キョロキョロしてると目が回りそう……
“お上りさん” のように視点の定まらない筆者を連れて最初に案内をしてくれたのは、フラワー&プランツショップ「FUGA」。日野岡がこの街に来たら、必ず訪れるスポットなのだそう。
日野岡:このお店は、ホームセンターや安売りの生花店では買えないような、ちょっと珍しい品種も取り揃えているのが特徴なんです。幹が長い状態でお花を売っているので、背の高い花瓶に飾りたい場合でも大丈夫。用途やイメージに応じたアレンジメントも作ってくれますよ。
中山:(女性にお花をプレゼントするときは、ここに来ようっと)
日野岡によると、前職のウェディング業界では、新郎新婦にその人らしいお花やグリーン装飾を提案してきたのだとか。そこで、自宅のインテリアに上手にグリーンを取り入れるコツを聞いてみると……?
日野岡:植物やお花はそれぞれ個性がまったく異なるので、内装や家具とのマッチングを考えて選ぶといいと思います。例えば、つややかな内装であれば葉に光沢感のあるもの、淡い色を中心としたお部屋なら、柔らかい印象の葉のものが似合います。一点注意しておきたいのは、たとえ同じ品種であっても、産地によってまるで表情が違うこと。こうしてお店に足を運んで、自分らしいグリーンに “出会う” ことがなによりも大切なんです。リノベーション住宅と同じ、 “一点もの” ですね。
グリーンにそこまで思考を巡らせたことがなかった筆者のなかで、赤い実がはじけたような思いがしました。今、自分のライフスタイルに足りないもの。それはグリーンだ、と(笑)
外苑西通りを「オリンピックスタジアム」方面へ歩きます
周囲は人通りもまばらで、さらに落ち着いた雰囲気になってきました。次に到着したのは、セレクトショップ「ロンハーマン千駄ヶ谷店」。アメリカ・西海岸に本拠地を構える同ブランドの国内第一号店で、ショップ内にはカフェも併設されています。こちらも日野岡の巡回ポイントなのだそう。
日野岡:このエリアまで来ると、「外苑前」の駅前とはぜんぜん違う雰囲気ですねー。洗練されたショップがたくさんあるので、ウィンドウショッピングをしているだけでもいろんな刺激をもらえて、歩くのが楽しいんです。このお店では、センスのいい品々を眺めて、最新トレンドをインプットしています。
まるで巨大な芸術作品!
マンション「ビラ・シリーズ」へ
ビラ・フレスカ(フレッシュな館)
日野岡:このビラ・シリーズが誕生したのは、前回のオリンピックが開催された1964年。当時は郊外の大型団地が集合住宅のスタンダードで、都心居住型の集合住宅がまだ珍しい時代だったそうですよ。
そんななか、このシリーズのデベロッパーである興和商事の故・石田鑑三会長が「20年先のことをやろう」と、各マンションに明確なテーマを与えて、自ら設計者を選定したといいます。
日野岡:ビラ・シリーズは1980年までに8棟が完成していて、そのうち最初の3棟がここ神宮前に隣接して建てられたんです。ほかの2棟も見てみましょ!
ビラ・セレーナ(静寂な館)
地下1階付き地上7階建ての建物は、上部にいくほどにセットバックした採光性重視の構造。中央を貫く吹き抜け部分の壁には、黄色の塗装が用いられています。『静寂な館』の名に相応しい凛とした佇まいに、ふたりとも絶句。そのディティールを写真でご紹介しましょう。
ビラ・ビアンカ(白い館)
日野岡:この外観を生み出している独特の構造からは、1960年代から70年代にかけて最盛を極めたモダニズム建築の思想が見てとれますね。竣工時には、世界的なグラフ誌「LIFE」にも掲載されるほど注目を集めたんですよ。すでに半世紀以上の年月が経過した建物ですが、管理組合では建築当時のデザインを損なわせないように修繕を行っているんですって。
中山:オリジナルの状態に価値あるのって、まさにヴィンテージバイクと同じだ! でも、ただ古い建物が維持されているだけではその価値は生まれないよね。ヴィンテージって、今も昔も優れたデザインだからこそ評価されるのであって。
日野岡:そうなんです! このシリーズは現在でも都内屈指の人気ヴィンテージマンションなので、販売待ちをしている方もいらっしゃるようです。そうそう、この一帯にはデザイン性の高いマンションがたくさん建っているので、ちょっと散策してみましょ♪
“ただの不動産屋” にはなりたくない
雑談をしながら散策していると、ふと仕事の話題に。日野岡いわく、日々お客様と接していると、世間一般の不動産会社に対するマイナスイメージを感じることがあるそう。
日野岡:現地をご案内していると、 “押し売りでもされるんじゃないか” って、なかには警戒されるお客様もいらっしゃって。そんなときは喫茶店に入って、そのお客様が今どんなライフスタイルを望まれるのか、将来はどんな暮らしが理想なのか、じっくりとお話を伺うようにしています。
中山:なんかそれって、接客というより、だんだん人生相談みたいになっていきそうだね。
日野岡:そうですねぇ。でも、お客様がよくないイメージを持たれているような “普通の不動産屋” にはなりたくないから、なるべくお客様と同じ目線を持たなきゃって。
お花とリノベ物件って、“一点もの” であることや、理想の暮らしを叶えるためにあるもの、っていう点では共通しているんですけど、大きく違うのは、住まいは夢だけでは決められないところなんですよね。生活利便性や周辺環境がお客様のニーズに合うことはもちろん、購入後にライフスタイルや家族構成が変化していくことも考えなきゃいけない。だから、お客様の現在と将来の夢をしっかりお聞きしたうえで、現実的な最適解に収束できるようなご提案を心がけています。
ここは出会いのある街「千駄ヶ谷」
“深イイ” 雑談をしていると、いつのまにか細い路地にアパレルメーカーの事務所が多くある “千駄ヶ谷エリア” へ。すると理容室の店先に何かが……。ん?「三丁目のメダカ」?
日野岡:わぁ〜、可愛いですねえ!
店先でテンションが上がっているふたりを見て、「理容ムラヤマ」のご主人が声を掛けてくれました。聞けば、小学校が近くにあり、子どもたちがメダカを可愛がってくれているのだそう。
ご主人:よかったら、エサあげてみる?
せっかくなので、この街についてお話を伺いました。
ご主人:このあたりは文教地区に指定されているから、駅前にもパチンコ屋さんとかはなくて、落ち着いた雰囲気なんだ。少し前まで、そこの交差点のところに八百屋さんや魚屋さんがあったんだけど、なくなっちゃってね。でも、最近また若い人が新しいお店を開いたりもしていて、オリンピックを前に外国人のお客さんもたくさん見かけるようになったんだよ。
日野岡:アパレルメーカーをたくさん見かけましたけど、なぜなんですか?
ご主人:ああ、以前はもっとたくさんあったんだよ。昔からこの周辺の会社で作られた服を竹下通りに運んで売っていて、それがどんどん集まっていったんだよ。
ふたり:へーーー!!
ご主人に商店街の案内マップをいただき散策を再開すると、 何やら交差点の向こうから日野岡を呼ぶ声が……
???:日野岡さーん。おーい、日野岡さーん。
なんとそこには、前職で長く仕事を共にしてきた元同僚の方が。まさかの再会で会話に花を咲かせていると、そこへ店長さんも戻ってきて、しばし歓談。
店長さん:ここに出店をして、今年で7年になります。オフィス街が近く、昔ながらの街でもあるので、時間ごとに色んなお客さんが来てくれるのが面白いんですよ。朝は出勤前のビジネスマン、お昼には地域の方、夕方にはこの街に帰ってきた方って感じで。
『また近いうちにね!』とお店を後にし、青山キラー通り商店街を進んで最終目的地へ。アメリカンダイナー「San Francisco Peaks (サン フランシスコ ピークス)」です。
編集後記
僕にとってまったく未知だった “外苑前エリア” は、洗練されたマンションやショップが様々な刺激を与えてくれる街でした。といっても、ハイソすぎて近寄りがたいような雰囲気はなく、ウィンドウショッピングをしたり、今なお輝き続けるヴィンテージマンションを眺めながら、目的なく歩くのも楽しいという印象でした。“千駄ヶ谷エリア” まで足を延ばせば、人情味溢れる商店街という魅力もあります。
帰りがけに日野岡と話したのは『学ぶ姿勢を持てば、日々の暮らしのどんなことからも気づきは得られるよね』ということ。そのインプットソースが洗練されたものであればあるほど、きっと自分の成長も早いはず。それが、 “自分を磨いてくれる街” に住むことの大きな魅力なのではないでしょうか。
今後も、街とマンションとエージェントの素顔にフォーカスした本企画は続きます。どうぞご期待ください。
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取材・文・撮影:中山宇宴