「保管のプロ」寺田倉庫だからできること
「保管のプロ」である寺田倉庫が、個人でも気軽に預けられるminikuraを始めたのには、どのような背景があるのでしょう?
1950 年創業の寺田倉庫は、「物を預かる」という従来の倉庫業の枠組みを超え、保管するものの本質を学び、極めて最適 な条件で「保管・保存する」事業を展開、スペースを活用するノウハウを駆使し、積極的な設備投資を行っています。
一口に「保管」と言っても、対象となる物を最適な状態に保つにはさまざまな技術や設備が必要。いろいろな分野で培った「保管のノウハウ」が、minikuraに生かされているというわけですね。
minikuraがスタートしたのは東日本大震災の翌年の2012年です。被災地で多くの人が家や大切な持ち物を失う現実に「大事な物を、誰でも簡単に預けられる仕組みを作りたい」との思いから、minikuraが生まれました。
オークションやレンタルにも応用できるから、モノとの関わり方が多様に
minikuraで驚くのが、オプションの豊富さです。一例を挙げると、「保管中の衣類をクリーニング」、「保管しているVHSをDVDに、写真をスキャンしてデータに」など。中でも注目したいのが、minikura MONOで撮影したアイテムを、マイページから「ヤフオク!」に出品できるサービス。
これは、ヤフオク!とのコラボレーション事業なんです。ヤフオク!に出品する時の一番大きな壁が「撮影やアップ作業が面倒」ということ。さらにただ撮るのではなく、魅力的に見えるよう撮る必要があります。「minikura MONO」ならスタッフが一点一点きれいに撮影するから、ユーザーはオンラインで出品作業を行うだけ。オプションで360度ぐるっと撮影するサービスも用意しています。さらに成立した場合、倉庫から品物を発送するので梱包の手間がいらず、自宅の住所が明かされないからセキュリティ面も安心なんです。
確かに、こんなにきれいに撮ってもらえるならオークションに出してみようかな?という気持ちになりますね。他にも、minikuraのサービスを生かしていろいろなコラボレーションが続々登場しているとか。
バンダイとコラボして生まれた「魂(たましい)ガレージ」は、フィギュアに特化したお預かりサービス。バンダイの商品「魂ネイションズ」の箱がぴったり収まるボックスを使っていて、側面と底面を二重にして強度も高めています。他に、今話題のファッションレンタルサービス「airCloset」や子供服のシェアリングサービス「mycle」も展開しています。「商品を保管し、写真を撮り、画像をWeb上にアップしてユーザーが閲覧する」という一連のサービスを応用して、今後も色々なコラボレーションに挑戦したいですね。
持ち主とモノの関係には、一つひとつストーリーがある。だから、それぞれに合ったサービスが生まれるんですね。
今、minikuraチームの有志で「人とモノの関係性」を考えるラボを作っています。僕たちがお預かりするのは、大量生産される「顔のない商品」じゃない。人の想いも一緒に預かっているんです。だからこそ、ユーザーの暮らしがもっと豊かになるようなサービスを提供していきたいです。
住まいから荷物が減れば、インテリアや暮らし方の可能性は広がります。それだけでなく、minikuraは閉じた箱の中身を「見える化」することで、中身をもっと大切に感じたり、不要になっても他の誰かにつながっていく可能性を生み出してくれるのですね。
この春は「捨てる」だけでなく「預ける」も選択肢に入れて、住まいを整理整頓してみませんか?
■取材協力:寺田倉庫株式会社
WEBサイト:http://www.terrada.co.jp/
minikuraサービスサイト:https://minikura.com
取材・文:石井妙子/撮影:cowcamo/写真提供:寺田倉庫株式会社