店頭でおむすび片手に、好きなだけ塩を振って食べる

solcoでは、カウンターにずらりと並べられた塩をひとつひとつテイスティングすることができます。

さらに、店内で販売されているおむすび(なんと1個85円!(税抜))やコロッケ(150円(税抜))に、好きな塩を振りかけて、その場で食べることも可能。これが楽しくておいしいんです!

こちらの「ソルトバー」で自由にテイスティング。ひとつひとつに丁寧な説明が添えられています。

奥にあるのがおむすび。手前には、田中さんのオリジナルレシピで作った塩スイーツが並んでいます。

おむすびは有機栽培のお米、コロッケも有機栽培のジャガイモを皮ごとマッシュし、無添加のパン粉をまぶして作っています。どちらも味が一切ついていません。お好きな塩をかけて、味の違いを楽しんでもらっています。週末の込み合う時間には、テイスティングのコーナーに行列ができるほどですよ。

さっそくおむすびを手に、塩を食べ比べてみると、あまりの味の違いにびっくり。しかも、塩ごとの味の違いを楽しむのはもちろん、同じ塩でも、ただ手にとって舐めてみるのと、おむすびやコロッケに振りかけて食べるのでは、また味わいが全然違うのです。筆者もたちまちおむすび2個を完食。これは止まりません!

塩の数だけストーリーがある

ところで、世界中で数千種類はある塩。お店で置いている塩はどのような基準でセレクトしたのでしょう?

もちろん私自身すべてを知っているわけではありません。約40種類にしているのは、私が知っている塩の中で「これはぜひ置きたいな」と思って選んでいったらこれぐらいになったということ。そして、店頭に100種類ぐらい並べられていたら、ちょっと多すぎて逆に選びにくいんじゃないかなと思ったんです。

国産の塩をできるだけ多く紹介したいので、約半分は国産のものを置いています。あとは、海塩と岩塩は同じぐらいの割合で選び、珍しいところでは温泉水から作った塩、湖の水から作った塩、そして調味塩、というラインナップになっています。

選び抜かれた約40種類の個性あふれる塩は、産地、材料、作り方、作り手、歴史と、それぞれストーリーがあります。そのひとつひとつが本当に奥深く、知るほどに塩が愛おしくなってくるのです。

それだけに、何を選んだらいいのか、どんなふうに使いわけたらいいのか、迷ってしまいそうですが、ご安心ください。田中さんがお客さんの好みや用途に合わせてアドバイスしてくれますよ。

「おすすめは? と聞かれると、全部がおすすめなんです(笑)」という田中さんに、「おむすびに合う塩を中心に、"これぞ" というおすすめを教えてください」とお願いし、とっておきの11品を紹介していただきました。

本ページの後半にずらりと紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

そしてsolcoでは平日限定でおべんとうも販売しています。おかずは毎日日替わり、しかもおかずによって数種類の塩を使い分けているという「solcoべんとう」はなんと680円(税抜き)!

有機野菜もふんだんに使っていながらこのお値段は、相当リーズナブルではないでしょうか。

おべんとうづくりは田中さんの妹さんが担当。ふたを開けると何種類ものおかずがぎっしりと乗っていて、ごはんが見えないほど! 毎日おかずが変わるのもうれしいですね。

材料はすべてオーガニックにこだわって、塩も何種類も使っています。

さらに、お店では月約1回、閉店後にワークショップを開催しているとのこと。

野菜編、お魚編、お肉編、と月ごとに素材を選んで用意したディナーに、いろんな塩を振りかけ、食べ比べるという内容です。同時に、私がこれまで学んできた塩に関する知識もお話ししています。お話しする内容はだいたい同じなんですが、リピーターの方が結構いらっしゃいますね。毎回食べる食材と食べる塩が変わるから、何回来ても飽きないからでしょうか(笑)。

いろんな食材といろんな塩の組み合わせを試せるとは、楽しそう! 開催の詳細はsolcoのサイトで告知しているので、チェックしてみてくださいね。

塩分摂取量は自分の身体に聞こう

昨今、「健康のために減塩をこころがけましょう」という呼びかけもよくされますが、塩の適量ってどれぐらいなんでしょう?

塩によって塩分濃度は違いますし、自分の体調によってもどれぐらいの塩分が必要かは毎日違うんです。たとえば、運動して汗をかいたら、塩を多めに摂る必要があります。もちろん、人によっては塩分の摂取をかなり厳密にコントロールしないといけない場合もありますが、基本的には自分の舌をバロメーターにしてほしいんです。

具体的には、いつもより少し多めに摂ってもおいしいと思うのならば、塩分が足りていないということ。しょっぱいなあと思ったら足りている証拠です。どれぐらいの塩分を摂ればよいのかは、自分のからだに聞く。最近、塩抜きダイエットなども流行っていますけど、塩には身体に必要なさまざまなミネラルが含まれています。塩を極端に抜くと、それらが不足してしまうのです。いくらビタミンや酵素などをサプリメントで摂取しても、ミネラルが不足していると、それらが身体の中でうまく働いてくれません。

solcoは、「カラダを海に」というのをキャッチフレーズにしているんです。生命は海から誕生しました。私たちの身体はミネラル豊富な海と同じ。でも現代人はミネラルが不足しています。ですからミネラルを豊富に含んだ塩を効果的に摂ることで、「カラダを海に戻していこう」と考えているんですね。

自分の舌をバロメーターにして、身体に必要な塩分量を自分の身体に聞く。それは自分の健康と向き合うことでもあります。

そのために、自分の味覚に敏感でいたいですね。

シンプルなお料理に、さまざまな塩を合わせて、丁寧に味わってみる。すると、自分の味覚が研ぎすまされ、「おいしさ」の基準が自分の中で変わってくるはずです。

人が生きていくために欠かせない塩。田中さんのお話を聞いて、改めてその奥深さに気づかされました。みなさんもぜひ、さまざまな塩を知り、味わってみてください。

田中さんとっておきのおすすめ!
塩セレクション for cowcamo MAGAZINE

※以下写真:国兼貴也

左:001 ローソク島 藻塩(島根県)
ローソク島は、島根県隠岐諸島の島後島沖に突き出た奇岩です。その名前を冠したこの塩は、島根県出身の方が脱サラして作り始めました。黒い色合いは、アラメという黒い海藻と一緒に煮詰めているため。少し酸味がある香ばしいキャラメルのような香りがあり、お豆腐にかけると大豆の甘みが際立ちます。お魚に振って焼くと身がしっとりと仕上がりますし、こんがりと焼いたステーキにもよく合います。

右:004 うるわしの花塩(沖縄県)
沖縄県与那国島産のサンゴカルシウムがたっぷりブレンドされた、とても粒子が細かい塩。カルシウム分による甘みとミルキーな色で、女性に特に人気があります。素材のもとの味を変えないので、素材そのものの味が生きます。

左:012 あまみ(高知県)
日本の気候は一般的に天日塩づくりには不向きとされていますが、高知県では天日塩づくりがさかんです。この塩は、高知県でいちばん最初に作られた天日塩。この塩で塩むすびを作ると、おばあちゃんが握ってくれた昔ながらのおむすびの味がします。

右:013 山塩小僧(高知県)
海水をあえて四万十川近くの山間に運び、高地の低い温度を利用してゆっくりと結晶させた塩。012番と同じ海水を使っていますが、まったく違う味がします。塩は粒が大きいほど甘みを感じますが、こちらも甘みや苦みをしっかり感じます。粒が大きい分食感も特徴的なので、お魚やお肉にふりかけても。

左:017 青ヶ島の塩(東京 伊豆諸島 青ヶ島)
伊豆諸島の最南端にある青ヶ島は二重式カルデラ火山の島。島内には火山からの蒸気が吹き出ている「ひんぎゃ」と呼ばれる噴気孔がいくつかあり、その熱を利用して作られているのがこの塩です。黒潮の深い旨みが感じられます。

右:200 バリ島天日塩(インドネシア)
ピラミッド型の結晶が美しい、バリ島の塩。solcoのロゴにもなっています。口の中に入れるとシャクッと崩れる食感が魅力です。ぜひ野菜やステーキにトッピングして、その形をじっくりと眺めてから召し上がってください。また、そのまま日本酒やワインのアテとしても楽しめます。

左:202 アドリア海ニンの塩(クロアチア)
古代ローマ時代から「白い金」として珍重されてきた塩。粒が大きく、マイルドな甘みと旨みを感じます。お刺身や牛肉に載せて、しゃりっとした食感を楽しんでください。

右:301 雲仙の温泉塩(長崎県)
長崎の温泉水を100%使って作られた塩。カリウム分がとても多く含まれ、ナトリウムは驚くほど少ないため、しょっぱさが弱いのが特徴です。塩そのものはとても個性がある味で、脂身の多いお肉や揚げ物によく合います

左:405 インカ 天日塩(ペルー)
天空の塩と呼ばれる、淡いピンク色の塩。アンデス山脈の岩塩層が溶け出した地下塩水を、高度3000mの塩田で、風と太陽の力だけで塩にしています。インカ文明のころから600年間変わらない製法で作られています。ごはんを炊く際に加えるとおいしく炊きあがります。

右:701 ブラウンシュガーソルト(沖縄)
久米島産の海洋深層水で作られた塩に、サトウキビの糖蜜を加えた、黒糖の香りがする塩。卵かけごはんにかけると、黄身の甘さが引き立ちます。こんがりと炒めた玉ねぎやにんじん、あるいはソテーした豚肉にかけてもおいしい。

703 とごしぎんざのソルト/カレー塩
戸越銀座商店街では、ワインやソースなど、戸越銀座ならではのオリジナル商品を出しています。この塩は、コロッケに合うオリジナルの塩を、というコンセプトで、有機栽培のスパイスを独自にブレンドし、仕上げました。白身魚のムニエルや、白いごはんにそのまま振ってもおいしい!

※ 記事内(写真も含む)の価格表記はすべて税抜きです。
※ また、11月より原料の値上がり等により、塩商品については値上げされています(デリは含まない)。
 10月に取材を行ったため、記事内の価格と店頭での価格が異なりますが、ご了承ください。

取材協力:solco
東京都品川区豊町1-3-13 モアビル1F
TEL/03-6426-8101
営業時間/11:00〜19:00
定休日/火曜
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