築50年のヴィンテージマンションの一室を昨年11月に購入された東幸司さん、万里江さんご夫妻。
通称「インテリア通り」と呼ばれる目黒通りから横道に入った静かな場所にそのマンションはあります。「物件は出会い」とよく言いますが、購入までに関わる「人」との出会いも大切。
そんなことを教えてくれたおふたりの初のマンション購入までの経緯と今の暮らしについてご紹介します。
納得いくまで、じっくり、ゆっくり物件探し
結婚されてから8年目に決めた初のマンション購入。東さんご夫妻は最初から新築ではなく中古マンションを探していたといいます。
もともと不動産サイトを見るのがお互いに好きだったのですが、ちょうどそろそろマンションを買おうかというテンションになっていた時に、cowcamoで気になる物件を見つけて。最初から中古物件マンションで探していたのは、価格も手頃だし、リノベーション済みの物件だったらいいなと思っていて。(幸司さん)
うん、自分たちがピカピカの新築マンションで暮らすイメージが沸かなかったんですよね。(万里江さん)
当初気になっていた物件は契約には至らなかったものの、これを機に物件紹介の担当となったcowcamoの石川と二人三脚ならぬ、三人四脚で東さんご夫妻は本格的に物件探しをスタートさせました。
6月の半ばくらいに最初の問い合わせをいただいていました。一番最初のご案内は牛込柳町と自由が丘の物件で、その後いくつかご紹介をして、8月にこちらの物件に行き着きました。(石川)
それまでに相当いろんなパターンの物件を見させていただきました。その中で「どの辺が自分たちには合うんだろう」ということがだんだんわかってきた感じがありますね。もう見切ったという感じだったので、ここの物件を見た時は正直、もうこれで決められなかったから諦めてもいいか、くらいの感じだったんです。(幸司さん)
物件購入は「総合点」とリスクの低さで決定
初めて向き合うことになった大きな買い物です。東さんご夫妻は今の物件を見てから購入するまでにおよそ1ヶ月の時間をかけてじっくり検討していきました。
セキュリティ面や耐震強度など、築50年のヴィンテージマンションとなればいろいろと不安に思うこともあるのは当然のこと。東さんからの質問がくれば、それに石川が丁寧に調べたことを伝えて答える。一つひとつ目の前の不安を消すための大切な工程でした。
やっぱり大きな買い物なので、担当の方の存在はすごく大事だなって思いました。石川さんにピンと来たので、他に浮気もせずにお任せしていました。丁寧でレスポンスも早くって、本当に助かりました。建物のことにもすごく詳しくて、それがまたよかったんです。コンクリートのこととかマニアックで、自分的にはそこがツボでした(笑)。(万里江さん)
さらに、実はこの物件がある目黒は東さんご夫妻が当初希望していたエリアではありませんでした。
ふたりとも熊本(幸司さん)と北海道(万里江さん)と田舎出身なので、東京怖いって(笑)。それに以前、暮らしていた場所が井の頭公園の近くや上野毛など緑が多くて静かな地域に住んでいたので、目黒はどうかなと思っていました。(幸司さん)
エリアのことと建物自体のこと、大小さまざまな迷いを一つずつ解決し、結果的に今の場所を手に入れたおふたり。購入する「決め手」と言えるものはあったのでしょうか。
最初から雰囲気はすごく気に入っていましたが、「総合点」だと思います。 付け加えるとすれば、物件の価値が下がる可能性が低いというのもポイントかな。
将来的に子どもができるかもしれないし、お互いの両親は地方にいるのでずっと東京にいるとも限らない。ですからこの先住み替えもあると思っています。そうすると新築だと価値が下がらないところを探すのは見極めが難しい。
でも中古で、しかもこういうリノベーションされた物件だったらリスクは少ないのかなと思いますね。(幸司さん)
お気に入りはtoolboxで造った本棚
ここからは部屋の中を見ていきましょう。
玄関からの廊下を抜けて広がるリビング・ダイニング。そこで目を引くのが、壁に造られた本棚です。映画関係の会社に勤めている幸司さんと、本好きな御祖父さんの血を受け継いた万里江さんの本がすっきりと並んでいます。
家選びの中で広さ、収納、といろいろな条件がありましたが、壁に本棚を作りたかったので、それができる環境がいいなと思っていました。これはR不動産 toolboxにお願いして造った本棚です。希望を伝えてぴったりのものに仕上げもらいました。(万里江さん)
他にも万里江さんが「助かっている」というのが、収納の多さ。
洗面所まわりの収納が多くて助かっています。廊下の収納も本当に便利で、掃除道具はあそこに全部入れています。前の家では縦型の掃除機をしまう場所にすごく困っていたのですが、それが今の収納にぴったりはまったのでラッキーでした(笑)。(万里江さん)
欲しいところに収納があるというか。隙間なく造ってありますよね。(石川)
築50年とは思えないほど美しくリノベーションされたお部屋は全体的に落ち着いた雰囲気。前の家から持ってきたというカリモクの家具にもぴったりマッチしています。
そうなんです。この物件が持っている雰囲気が今持っている家具に合いそうだったのも購入する際の決め手のひとつになりましたね。(万里江さん)
部屋のレイアウトはもともとイメージがあって、持っている家具はここにおいて、本棚は向こうに造って、そこでごろごろ読めるような感じにしようって話し合っていました(幸司さん)
理想の物件に出会うためには、おふたりのようにどのくらいリアルに暮らしをイメージできるのか、というのも大事なポイントのようです。
住み始めてから「暮らし」をより意識するように
今住む目黒は、もともと東さんご夫妻が希望していた場所ではなかったものの、住んでみると意外にも静かで気に入っていると口を揃えて言います。
もっと大井町線沿いとかその辺の雰囲気が好きだったのでそのエリアで探していたんですけど、住んでみると通りから一本入っただけですごく静か。さらに今のほうが会社に近くなったので、僕としては結果的によかったですね。(幸司さん)
私も想像しているよりものんびりした雰囲気で気に入っています。(万里江さん)
この場所で生活を初めてから3ヶ月あまり。今まさに「ここでの暮らし」という真っ白なキャンバスに絵を描いているおふたりですが、特に万里江さんは新しい興味がいくつかある様子。
家のことをするのが楽しくなってきました。前は賃貸だったし、あんまり物を持ちたくなかったんですけど、だんだん家の中に何か飾ってみたり、「ああしたい、こうしたい」と思うことが多くなりました。手をかけて生活を作っていくのがおもしろくなりましたね。(万里江さん)
「家具や照明を選ぶ際に気をつけている点は『飽きないこと』。シンプルで物自体がしっかりしているものを選んでいます」と万里江さん。特に照明はこの物件に引っ越してからこだわるようになったのだそう。
私は蛍光灯のあかりが苦手なのでもともと備え付けの照明を早く替えたくて。旦那さんは蛍光灯がいいみたいなんですけど、これはわがまま言って替えてもらいました(苦笑)。寝室にあるランプはたまたま実家近くのアンティークショップで見つけたものなんですけど気に入っています。やっぱり照明を変えると家の中の雰囲気がぜんぜん違ってきますね。(万里江さん)
さらに万里江さんの興味はDIYへと広がっています。
寝室の棚はりんご箱でできているのですが、これに柿渋を塗りたいと思っていて。私自身はDIYに詳しくないんですけど、同僚に詳しい子がいてその子に私のイメージを伝えたら「柿渋がいいよ」って教えてもらったんです。(万里江さん)
新たな家は居心地のよさだけではなく、暮らしを自分たちでつくりあげていく楽しみもおふたりに与えたようです。
中古物件と一言で言っても、今回のようなリノベーション済みの物件、自分でリノベーションできる物件などいろいろあります。
何を選ぶかで一番大事なのは自分たちが「どのような暮らしをしていきたいか」ということです。それは購入する側の頭に初めからある場合もあれば、物件仲介の担当者と一緒に考えていくという場合もあります。
「物件は出会い」であるのは事実ですが、これから家を探す方・すでに探されている方は「人とのご縁」という部分にも意識を向けてみるといいかもしれません。
ーーーーー物件概要ーーーーー
〈所在地〉東京都 目黒区
〈居住者構成〉ご夫婦
〈面積〉82.63㎡
〈築年〉築50年
〈仲介〉 cowcamo
取材・文:坪根育美/撮影:cowcamo編集部