今回は家のカスタマイズにオススメの素材や、道具を販売しているウェブショップである『R不動産toolbox』さんにお話を伺いました。同ショップが生まれた経緯や、DIY術を教えてもらいました!『R不動産toolbox』は商品の魅力やつくり手さんのこだわり、オススメの使い方にデメリットまで書かれた、商品に関するコラムがあることが特徴のひとつ。また『R不動産toolbox』がオススメする「レベル別カスタマイズアイテム」は必見です。
インテリア雑誌を眺めていると、自分で家をセルフリノベーション・プチDIYして楽しく暮らしている人が時々登場しますよね。ドアノブを個性的なものに交換していたり、季節ごとに壁を塗り替えていたりと、とっても楽しそう。でも、実際に自分でやってみようと思うと、「どこで工具やパーツを手に入れるの?」「どのくらいのお金と手間が掛かるんだろう?」と頭の中に「?」がいっぱい浮かぶのではないでしょうか?
そんな時に参考にしたいのが、『R不動産toolbox』。家のカスタマイズにオススメの素材やパーツ、道具を販売しているウェブショップです。
今回は『R不動産toolbox』の荒川公良さんと竹沢愛美さんに、『R不動産toolbox』で実現できる暮らしについて、お話を伺いました。
『R不動産toolbox』のサイトを開くと、「キッチン界のダークホース」「着替える家具」といった興味をそそられるキャッチコピーと共に、これまた素敵なドアやキッチン、ランプなどの写真がずらりと並んでいます。
カテゴリーは「床」「壁」「水廻り」「照明・電気」「建具・窓廻り」「収納・家具」「パーツ」「塗料」「リノベーション」「DIY・メンテナンス」「その他いろいろ」の11種。その中で更に床材や塗料、工事などに分かれています。センスのいいものばかりで、眺めているだけでわくわくしてきちゃう!
ウェブショップなので紹介されている商品は買うことができますが、購入ページの前に、商品に関するコラムがあることが特徴のひとつ。そこには商品の魅力やつくり手さんのこだわり、オススメの使い方にデメリットまで書かれていて、なんだか友人にイチオシされているかのよう。「こんな人には向かない」といったマイナス情報もちゃんと記載してある点が、誠実だなぁと思います。
ここ数年で、一般の人の住まいに関するリテラシーが上がってきていると思うんです。画一的な汎用品が溢れている時代なので、それに満足できない人が増えてきているんじゃないでしょうか。『R不動産toolbox』は、自分の空間を自分で編集したい人のための「道具箱」。内装を模様替えするように楽しむためのさまざまなアイデアやイメージをカタログ化しました。(荒川さん)
以前はインテリアデザインや設計の仕事をしていたという荒川さん。なぜ『R不動産toolbox』を始めようと思ったのでしょうか?
新築にしろリノベーションにしろ、普通は設計者主導でいろんなことが決まっていきます。たとえばトイレットペーパーホルダーひとつ選ぶにしても、設計者が「これが最適です」と提案すれば、お施主さんは大抵「わかりました」と言ってくれる。
でもある時、「僕が持っている知識や選択肢を共有したらどうなるんだろう」と思って、20種類ほどピックアップしたカタログのようなものを作ってお見せしたんです。そうしたらお施主さんはその中から選ばず、ネットで調べてきて「これでもいいですか?」と。「いろんなものから選んでいいんだ!」と気付いて、選ぶことを楽しんでくれたんです。(荒川さん)
設計者として最適解を提示するのは大事なことだけれど、ある意味では住まい手の自主性や想像力を奪っているのかもしれない。自分で選んで、「家をつくる楽しさ」を知ってもらうことも必要なんじゃないか。荒川さんはそう考えたと言います。
住宅産業って、「クレーム産業」と言われているんです。普通の人は家をつくることに馴染みがないから、たとえば棚を取り付けるだけでも、材料費がどれくらいで、どんな作業が必要なのか、見当もつかない。金額の根拠がわからないから、クレームも起こりやすくなる。もっとオープンにしていかないといけないんじゃないか、という問題意識も背景にありました。(荒川さん)
それらの想いが混ざり合って生まれたのが、『R不動産toolbox』でした。最初の1年ほどはウェブショップという形ではなく、荒川さんたちが「いい」と思った材料やアイデアを紹介する内容のサイトで、紹介している商品がほしい人にはメールアドレスで問い合わせてもらう仕組みだったそう。便利とは言いがたいサイトだったにも関わらずそれなりに問い合わせがあったため、2011年にウェブショップとしてオープンを果たしました。
現在のスタッフ数は9人。古民家再生に取り組んでいた人、映画のバイヤー、不動産屋、設計士兼イラストレーター、編集者、居酒屋でアルバイトをしていた人など、異なる出自を持った個性豊かなメンバーが集まっています。それぞれが惚れ込んだ商品をそれぞれの目線で紹介しているので、「道具箱」の中身にも多様性が生まれています。
スタッフのひとり、竹沢さんも面白い経歴を持っている女性です。インテリアショップやゼネコン、カーテンメーカーに勤め、営業や接客、ウェブショップの運営を経験してきました。プライベートでは不動産投資に興味を持ち、中古マンションを購入し、リノベーションして賃貸に出しているのだそう。
『R不動産toolbox』なら今まで培ってきたスキルや経験が活かした仕事ができるし、プライベートな面でも自分で家を編集する力がつきそうだと思って、1年半前に入社しました。中古マンションを購入した時は業者さんにリノベーションをお願いしたんですが、入社半年後に改装OKな賃貸に住めることになり、『R不動産toolbox』を駆使してリノベーションしてみたんです。大変でしたけど、楽しかったですよ!(竹沢さん)
築40年超の薄暗かった和室が、インテリア雑誌に出てきそうなお洒落な部屋に変身! 個人でも、ここまでできるものなんですね。
時々、お客さまから「私でもフローリング貼れますか」といったDIYの相談メールをいただくんです。まずはスキルがどの程度なのか聞いてみるんですが、何の経験もない、工具ひとつ持っていないと言う。でも、こちらが説明をしているうちに、「やってみます」と。「やるんだ!?」って、こちらがびっくりしてしまって(笑)。
心配だったので、『DIYサポート』というサービスの利用も提案しましたが、その後、「無事に貼れた」という報告をいただきました。やってみればできるものなんですよね。(荒川さん)
そもそも、家に手を加えるという発想自体がない人、無理だと思っている人も多いんですよね。それが、『R不動産toolbox』を見ているうちに「あ、家って自分の好きなようにつくり変えてもいいんだ」と気付く。家づくりに関する知識も増えていくから、だんだんと「私でもできるんじゃないかな?」「やってみよう」となるみたいです。(竹沢さん)
少しずつ家に手を入れていくうちに、家に対する思い込みや固定概念がなくなっていって、設計者さんや職人さんなどのプロにお願いするようなカスタマイズにもチャレンジしてみよう、という風にレベルアップしていくわけですね。うーん、話を聞いているうちに、我が家も手を加えてみたくなってきました。でも、どんなアイテムを使ってカスタマイズしていくのがいいのでしょう?
・・・というわけで荒川さん&竹沢さんに「レベル別カスタマイズアイテム」をピックアップしてもらいました!
R不動産toolbox オススメ!レベル別カスタマイズアイテム
【初級編】
●付け替え可能なんです!「照明」
「備え付けの照明が、なんかダサくて好きじゃない」・・・なんて思いつつ、仕方ないとあきらめている人って、案外たくさんいるんじゃないでしょうか。でも、実は照明って、付け替えることができるタイプも多いらしいですよ!
灯りが変わると、部屋の雰囲気も変わります。職人の技が光る『真鍮鎚目シェードランプ』、スポットライトや複数灯が設置できる『取付式配線レール』、素朴なフォルムの『ソケットランプ』や『ガラスボール照明』・・・。お気に入りの家具に合わせて、照明選びを楽しんじゃいましょう。
●自分で好きな色に塗っちゃおう!「塗装」
DIY初心者でも比較的チャレンジしやすい「塗装」。壁の一部分だったり、トイレなどの狭い空間からトライしてみるといいかもしれません。
3652色もある『ベンジャミンムーアペイント』で色を塗るもよし、『DIY珪藻土』を塗って味を出してもよし、塗るとホワイトボードになる『スケッチペイント』や黒板になる『水性カラー黒板塗料』で楽しい壁にしてもよし。「大きな塗り絵だと思えばいいんです」と荒川さん。
自分で塗るメリットは、気になるところが出てきた時に自分で直せるところ。おなかが空いたら料理をつくるし、気に入っている服の裾がほつれてきたら繕うでしょう。それと同じで、自分の家もある程度自分で補修できたほうが、早いし楽ですよ。(荒川さん)
●貼り替えにトライ!「壁紙」
『R不動産toolbox』にはクラシカルな花柄、北欧テイスト、古材風プリントなどが豊富な壁紙が揃っています。『輸入壁紙施行道具セット』も一緒に購入すれば自分で貼り替えが可能!
自分で貼るのは大変って思うかもしれませんが、ちょっと大きい紙を糊で貼るだけですよ。適当にやってもガラっと印象が変わるから、満足感は高いと思います。(荒川さん)
確かに、多少ヨレたりはみ出したりするかもしれませんが、きっと自分で貼ったと思うと愛着が湧くんだろうなぁ。こちらも塗装と同様、面積の少ない壁からやってみるのがいいかもしれません。
ちなみに、賃貸暮らしの方にはビニールクロスの上から貼って剥がせる『壁紙テープ』がおすすめ。壁の一部にアクセントとして使ってもいいし、気軽に「壁紙の模様替え」が楽しめそうです!
【中級編】
●夢の書斎が完成!「造り付け本棚」
中級編はDIYからレベルアップ。お部屋のワンコーナーなど、ちょっとした規模の造作工事をプロにお願いするカスタマイズです。我が家のここをもうちょっとなんとかしたい。そんな悩みのタネになりがちなのは、やっぱり「収納」ではないでしょうか。
『造り付け本棚』は、奥行きが薄く、壁を本で埋め尽くすことができるアイテム。「文庫本用4段タイプ」「中型本3段タイプ」など4種類があり、組み合わせることも可能です。工事は提携会社が1〜2日で行ってくれます(対象エリア:東京・神奈川)。
ついでに『カウンターデスク』を組み合わせれば、あっという間に手軽に憧れの書斎が手に入ります。
●リビングをブックカフェに。「古材本棚」
収納力はもちろん、お部屋のインテリア性もグンとアップしてくれるのが、古材加工した米松と鉄板で作られた『古材本棚』。
ブックコーディネーター・内沼晋太郎さんのために作られた、検索しやすいように本を「ずらり」と並べることを考えた本棚です。棚板を支える縦の板が薄ーい鉄板でできており、本の並びを邪魔しません。本棚のみのベーシックモデルもありますが、写真のようなカウンター付きのモデルを取り入れて、お茶を飲みながら読書や仕事をするスペースにしてみるのもオススメです。
【上級編】
●最終的には丸ごと!「家づくり」
初級・中級で知識やスキルを身につけたら・・・。最終的には、家全体のカスタマイズに挑戦!『R不動産toolbox』のコンテンツのひとつ『imagebox』には、内装の事例やアイデアなど、空間づくりのヒントが紹介されています。
家全体のプランニングをするのって、とても難易度の高いこと。『imagebox』を眺めながら、「無垢の床にもいろいろあるんだな」とか「畳ってこんな風に取り入れるとかっこいいんだ」とか、妄想してほしい。誰がつくったという情報のほかに、どんな素材を使っているのかも記載しているし、イメージだけでなく『家づくりの言語』も備わっていくと思います。(竹沢さん)
家をつくろうとするお施主さんの大半は、家がどうやってつくられるのかをあまり知らなかったりする。いざ家をつくる段階になって初めて調べ始めるわけですが、家をつくる期間は大体3ヶ月〜半年。じっくりゆっくり考えて、とはなかなかいきません。だから何も知らずに臨むのは危険だし、せっかく家づくりするのにもったいないですよね。
一番いいのは、家を買う、建てる時点で、ある程度の知識や経験があること。素材を選ぶ時の基準ができるし、作業にどれくらいの時間や手間が掛かるかがわかるから、プロに頼んだ時の金額にも納得感が出る。仕上がりも満足度も、かなり変わってくると思います。(荒川さん)
中古物件×R不動産toolboxで、あなたらしい家づくりを
家づくりについて、さまざまなエピソードを披露しながら楽しそうに語ってくれた荒川さんと竹沢さん。最後に、中古物件のオンラインマーケットであるcowcamoとして、「R不動産toolboxから見た、中古物件の魅力ってなんですか?」と聞いてみました。
中古物件の魅力は、ある程度の制約があること。ゼロから何かを想像するのって、実は大変。「ここはデッドスペースになるから棚をつけよう」とか、制約があったほうが想像って膨らむし、有効活用できたときに満足感があります(笑)
住みながら変えていってもいいと思います。暮らしはじめてからのほうが、「本棚ってもっと必要だな」とか「ここに色がほしいな」とか、わかるでしょう。そうしていくうちに、どんどん自分らしいオリジナルな家になっていくんじゃないかと思います。(竹沢さん)
家というものは、「買ったときが最高の状態で、どんどん劣化していくもの」と捉えられがちです。でも、自分で手を加えていけば、どんどん住み心地のいい家になっていくのでしょうね。
住まいをもっと楽しくしたいと思っているみなさん、『R不動産toolbox』であなたらしい家づくりに挑戦しませんか?
【取材協力】R不動産toolbox
取材・文:飛田恵美子/写真:cowcamo(一部toolbox提供)