カウカモでまさに “一点もの” の住まいに出会い、新生活を始められた皆さまを撮影させていただく「カウカモグラフ」。

今回は設計事務所で働く奥様が手掛けた住まいで、自分たちらしい暮らしを楽しむご家族のもとを訪れました。

《プロフィール》
お名前:Mさん(旦那さま)  / Rさん (奥さま)/ Nちゃん(お子さま)
年齢:30代中盤 / 30代前半 / 3歳
職業:会社員(研究員)  / 建築家
趣味:食べること  / 人と会うこと  / 旅行

《この住まいについて》
場所:東京都板橋区(大山)
間取り:2LDK(和室含む)+WIC+DEN
面積:71.42㎡  
築年数:22年(取材時)  
リノベーション:未改装物件を購入し、奥様の従事する設計事務所(株式会社SNARK)でフルリノベーション
支払い額(以前と比べて):20㎡広くなり、月支払いは3万円アップ

家を探し始めたきっかけ:子どもが生まれたこと
家探し期間:8ヶ月
内見数:40件程度

Q1:以前の住まいは?

Mさん:以前は夫婦で駒込の賃貸マンションに住んでいました。約50㎡の2DKで、築60年を超えるかなり古い建物でしたが、風通しと景色が良くて気に入っていました。線路沿いだったので電車の音は聞こえましたが、その分眺望が開けていて気持ちよかったですね。

Rさん:私も風通しの良さや景色は好きでした。ただ、建物がとても古かったので、地震が来るたびに少し不安だったんです。

私はフランス出身なのですが、フランスでは古い建物を長く使うことが一般的です。ただ、日本では地震があるので建物に対する考え方が少し違いますよね。私自身、地震に慣れていないこともあって、次に住む家は、新耐震基準に適合した建物にしたいという気持ちはずっとありました。

Q2:家探しのきっかけは?

Mさん:やはり子どもが生まれたことが一番大きなきっかけです。住んでいた家が定期借家だったので、いずれ引っ越さなければならないことも分かっていました。

それまでは家を購入すると決めていたわけではないのですが、子どもが生まれて「しばらくは東京で暮らしていくだろう」と考えるようになり、それなら家を買うという選択肢も真剣に考えてみようとなりました。

現在、お子様のプレイルームとして使用しているお部屋。将来的にはご夫婦の寝室に、お子様が巣立った後はホビールームとして使用することまで想定したフレキシブルな空間

Rさん:私は建築設計の仕事をしていることもあって、だんだん賃貸住宅の制約に物足りなさを感じるようになっていました。家族が増えて暮らし方も変わる中で、自分たちのライフスタイルに合わせた空間をつくりたいという気持ちが強くなったんです。

間取りや素材、過ごし方まで含めて自分たちらしい住まいを考えたいと思い、購入とリノベーションを前提に家探しを始めました。

プレイルームの隣は、緩やかに仕切られたMさんのワークスペース

Q3:この街《板橋区(大山)》にした理由は?

Mさん:最初からこのエリアに決めていたわけではなく、神奈川方面や大田区なども含めて幅広く探していました。

その中で条件として大事にしていたのは、商店街があること、ハザードマップ上のリスクが低いこと、そして子どもが将来通う可能性のあるフランス人学校へアクセスしやすいことでした。

いろいろな街を見ていくうちに、「家の広さよりも街の魅力の方が大事だ」と感じるようになり、最終的に大山駅周辺が候補として残りました。

Rさん:同等の価格でより広い物件もたくさん見ましたが、近所に何もない場所だと魅力を感じなかったんです。私たちは家の中だけで暮らすわけではないので、歩いていて楽しい街であることがとても大事でした。

街が魅力的なら外で過ごす時間も増えるので、広さは少し妥協してもいいんだって気づいたのはこの時だったと思います。

Q4:この家に決めた理由は?

Mさん:最大の決め手は風通しの良さでした。この家は東・北・西の三方向に窓があり、初めて訪れた時に風が気持ちよく抜けていたんです。

それまでは南向きの物件にこだわっていましたが、6月の暑い日に内見したにもかかわらず室内がとても涼しくて、「東京では北向きも悪くないかもしれない」と考え方が変わりました。

また、70㎡以上という条件を満たしていたことに加え、商店街が身近な活気ある街で暮らせることも大きな魅力でした。広い物件もたくさん見ましたが、最終的には家の広さよりも街の豊かさの方が、自分たちの暮らしには大切だと感じたんです。

Rさん:私は建物そのものの耐震性や管理状態も重視していました。このマンションは新耐震基準に適合していて、共用部もきれいに管理されていたんです。

内見した物件の中には管理状態が気になる建物もありましたが、ここは外観や共用部分からも丁寧に維持されていることが伝わってきて、「ここなら安心して暮らせそう」と感じました。

Q5:《中古を買ってリノベーション》以外の選択肢は検討した?

Mさん:実は、戸建ても検討していました。実際にいくつか中古戸建ての内見にも行きましたし、土地を買って注文住宅を建てる可能性も考えていたんです。

ただ、希望する条件や通勤とのバランスを考えると、戸建てはどうしても都心から離れてしまう。また将来的に売却する可能性も考えた時に、マンションの方が柔軟性が高いと感じました。

Rさん:フランスではリノベーションはとても一般的ですし、建築家としても既存の建物を活かす方がサステナブルだと思っています。

新築マンションも選択肢としてはありましたが、既成の間取りではなく、自分たちのライフスタイルに合わせて自由に空間をつくりたかったので、中古マンションを購入してリノベーションするのが私たちにとっては一番自然な選択でしたね。

Q6:リノベーションでこだわったポイントは?

Rさん:我が家のテーマは「Separate, but together(別々だけど一緒)」。家族や友人がそれぞれ違う場所で過ごしていても、お互いの存在を感じられる空間を目指しました。
そのため、壁で細かく区切るのではなく、空間同士がゆるやかにつながるレイアウトになっているんです。
また空間を完全に仕切らないことで、この家の魅力だった三方向からの光や風を住まい全体に取り込めるようにしています。

洋室とワークスペースは、一枚の大きな引き戸によって仕切られる。リモートワークや来客の状況に合わせて、プライバシーの度合いを調節することが可能だ

Mさん:僕たちにとっては、人が集まることが前提の家でもあるので、家族だけでなく友人が来ても自然につながれる空間にしたかったんです。限られた面積の中でも、閉塞感のないレイアウトは大きなこだわりでしたね。

Rさん:素材選びにもこだわっています。設計当初、畳以外の箇所は無垢フローリングを使いたかったのですが、予算やマンションの規約を考えると難しくて。それでも、木や石を模した素材は使いたくなかったので、素材そのものの魅力があるリノリウムを選びました。

キッチンの床材は、壁面と同じく朱色のタイルを使用。タイルを水まわりの床材に使用するのは、Rさんご出身のフランスではポピュラーなスタイルだとか

リノリウムだからこそ表現できる鮮やかな青い床は、私の故郷である南フランスの街並みから着想を得ています。

Mさん:造作部分にもこだわっていて、特にキッチンや洗面まわりの取手は、妻がデザインしたオリジナルです。既製品ではなく、大工さんや職人さんが無理なく製作できることも考えながら設計しています。シンプルですがこの家らしさが表れているポイントだと思います。

収納扉のハンドルは、Rさんがデザイン。現場施工を容易にするための気遣いが詰まっている

カラフルなディスプレイ用の棚は、Rさんの設計会社が金物屋さんに制作依頼しているものを採用した

Q7:購入にあたって不安に感じたことや、乗り越えたことは?

Mさん:私たちは物件探し自体にかなり苦労しました。実は、この家を契約する前に3件申し込みをしたものの、すべて他の方に買い負けてしまったんです。

かなり落ち込んで一度家探しを休憩した時期もありましたが、その経験があったからこそ、自分たちが本当に重視したい条件を整理できたと思っています。

Rさん:おかげでエリアを広げて検討することができたし、結果としてこの家に出会うことができました。

あと、最初にお話しした通り、フランスで暮らしていた私にとっては地震への不安が一番大きかったですし、長く住むことを考えると水害などの自然災害も心配だったので、立地や建物の安全性にはこだわりました。なので内見の際はそのエリアのハザードマップも必ず確認していましたね。

Q8:カウカモで家を買ってみてどうだった?

Rさん:私の母国であるフランスでは、エージェントを挟まずに自分たちだけで家探しを進めることも多いんです。そのため、日本の複雑な家探しのステップの中で、最初の条件整理の段階から一緒に深く考えて伴走してもらえるスタイルは、とても新鮮で助かりました。

なにより担当エージェントの吉田さんは、単なる物件探しだけでなく「購入後にどんな生活が待っているか」という視点で相談に乗ってくれていました。私たちが自分たちで設計をすることや、商店街や街の雰囲気を重視していたことも理解したうえで進めてくれたので、とても信頼感がありましたね。

Mさん:本当に長い期間お付き合いいただきました。途中で希望条件が変わったり、予算を見直したり、何度も申し込みに失敗したりしたのですが、そのたびに丁寧にサポートしていただいてとても感謝しています。

それだけ長く一緒に家探しをしていたので、最後の頃には子どもも吉田さんにすっかり懐いていました(笑)

Q9:この家のお気に入りの場所は?

Rさん:私はやっぱり畳スペースです。ソファを置く代わりに畳を選んだのですが、本当に良かったと思っています。

家族みんなで昼寝をしたり、子どもの遊び場になったり、友人が来た時にはみんなで座ったりと、使い方が決められていないところが好きなんです。日本の伝統的な建築には、障子や畳によって空間をフレキシブルに使う文化がありますが、その考え方をこの家にも取り入れられたと思っています。

家族の時間も、友人が集まる時間も自然に受け止めてくれる場所になっていて、この家の象徴的なスペースだと感じています。

Mさん:僕はキッチンのカウンターがお気に入りです。リモートワークが多いので料理をよくするのですが、作業をしながらでも家族の様子が全部見えるんです。妻や子どもが畳スペースで過ごしていたり、友人が遊びに来ていたりしても、自然と会話に参加できるので、この家らしい過ごし方ができているなと思います。

ホームパーティーを開くこともあるのですが、料理をしながらゲストと話せますし、できあがった料理をカウンターに並べてみんなで囲めるのもいいですね。

Q10:これから家探しをする人にアドバイスがあれば

Rさん:まずは、自分たちが「どんな暮らしをしたいのか」を整理することが大事だと思います。

私たちも最初は広さや方角を重視していましたが、たくさん物件を見る中で、本当に大切なのは街の雰囲気や、家族や友人とどんな時間を過ごしたいかだと気づきました。

また、中古マンションの購入やリノベーションに不安を感じる方もいると思いますが、建物の管理状態や予算をしっかり確認しておけば安心材料になると思います。

Mさん:僕もリノベやお金では変えられない部分をよく見ることが大事だと思います。

間取りや内装は変えられますが、立地や周辺環境、マンションの管理状態はそう簡単には変えられません。僕たちも共用部やゴミ置き場、自転車置き場などをよく見ていました。そういう場所を見ると、暮らしている人やマンションの雰囲気も見えてくるんです。

あとは、家そのものだけでなく街も含めて考えることですね。僕たちも最終的には広さよりも街の魅力を優先したわけですが、実際に住んでみてその選択は正しかったと実感しています。


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