都心の便利な立地にありながら、窓を開けると心地よい風が吹き抜ける。

今回訪ねたのは、約9年前にカウカモで住まいを購入されたYさんのお宅。以前、「夜風に吹かれて」という記事でご登場いただきました。

▶当時の取材記事はこちら

「9年かけて、やっとできあがってきた感じです」と笑うYさんのお部屋は、インテリアのお仕事をされているご自身のこだわりがぎゅっと詰まった、洗練されつつも温かみのある空間になっていました。

長い時間をかけて少しずつ完成へと近づいていった住まいへの思いや、これからの暮らしの展望を伺いました。

《プロフィール》
・お名前:Yさん
・年齢:40代前半
・職業:会社員(家具メーカー)
・趣味:低山ハイク、金継ぎ

《この住まいについて》
・間取り:1DK
・面積:40㎡
・築年数:築54年(取材時)

「ストーンときた」運命の出会い

9年前、数々の物件を見て回ったものの、なかなか心に響くものに出会えなかったというYさん。

実はこの物件も、最初は予算を少しオーバーしており、内見予定日に体調が悪くなってしまったこともあって、一度はキャンセルしたのだそう。
でも1週間後に「お加減いかがですか?まだあの物件出ているので見てみませんか?」と連絡をもらって。その時、なんと価格も下がっていたんです。

当時仕事が忙しかったので、20時頃に内見させてもらったんです。真夏だったんですが、担当の方が窓を全部開けて待っていてくれて。部屋に入った瞬間、その風通しの良さに『すごい!』って、ストーンときたんです。

夜の内見で感じた心地よい風とインスピレーション。色々と迷っていた気持ちが晴れ、ここで暮らす覚悟が決まった瞬間でした。

愛着のある名作家具と、長く使い続ける豊かさ

デンマークの老舗家具メーカーにお勤めのYさん。お部屋には、自社の名作家具が美しく配置されています。

「最初は間に合わせの部分もあったんですが、数年前にこのダイニングテーブルを迎えて、照明の真下に配置して。今の形に完成するまで、本当に9年かかった感じです。今が一番ベストな状態ですね」

仕事柄、家具の歴史やデザイナーのこだわりに触れる機会が多いYさん。「例えばこの椅子、一見高く感じるかもしれませんが、しっかりメンテナンスをすれば100年、200年と使い続けられるんです。そう考えると、決して高くないんですよね」

その言葉通り、Yさんの趣味は「金継ぎ」。割れてしまった器を漆と金や銀で修復し、新たな美しさを吹き込む手仕事です。「最近は合成漆を使ったモダン金継ぎもありますが、私は伝統的な本漆のやり方を習っていて。半年くらいかけて1つの器を仕上げていくんです」

家具も器も、良いものを手入れしながら長く大切に使い続ける。Yさんのそんな素敵な価値観が、お部屋全体の空気感を作り出しています。

都会の真ん中で、静けさと風を楽しむ暮らし

9年住んでみての感想を伺うと、「めちゃくちゃ利便性がいいのに、すごく静かなところ」と大満足のご様子。

「風通しが良いので、窓を開けていても静かなんです。休日は、お気に入りの音楽が邪魔されずに聞こえてくるのが心地よくて」

暮らしの中で、少しずつ手を加えた部分もあります。例えばクローゼット。「元々は黒い扉がついていたんですが、奥行きが足りなくて服がまっすぐ掛けられなかったんです(笑)。なので扉を思い切って外して、自分好みのカーテンに変えました」

ちょっとした不便も、自分らしくカスタマイズして楽しむ。住みながら家を育てていくお手本のような暮らし方です。

納得がいくまで、自分の直感を信じて

これからの暮らしについて伺うと、少しずつ変化の兆しが。

「実は最近、田舎に住みたい願望があって。長野の方とか、自然が豊かな場所への移住も少し考えているんです。でも、この家と空間がすごく好きなので、他の誰かが住むというのは今はちょっと考えられなくて(笑)」

いずれは自然の中へ、という思いを抱きつつも、今は手塩にかけて育てたこの家での時間を大切にされています。最後に、これから住まいを探す方へのアドバイスをいただきました。

「家探しって、無理やり進める必要はないと思うんです。きちんと『ストーン』と来るまで、自分が納得するまで探せばいい。私も色々見ましたが、迷っているうちは違うんだなって、ここに出会って実感しました」

最後に

「9年かけてやっと完成した」という言葉通り、Yさんの住まいは、時間とともに味わいを増すヴィンテージ家具のように、美しく育っていました。

ライフステージや価値観の変化に合わせて、住まいのあり方も少しずつ変わっていくもの。それでも、「ストーン」と直感で選んだ自分だけの空間は、いつまでも心地よい拠り所であり続けるのだと感じさせてくれる取材でした。

さて、あなたの家はこれからどんなふうに育っていくでしょうか。カウカモはこれからも、そんな未来の暮らしを描けるような “一点もの” との出会いをお届けしていきます。


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