cowcamoでは、cowcamoが大切にしている想いや世界観を知っていただくべく、ワークショップやトークライブなど、様々なイベントを開催しています。ここでは、先日開催したイベントの様子をお届け!

cowcamo ClasuRoom(カウカモ暮らすルーム)vol.3 開催!

カウカモが独自の切り口で「暮らし」にまつわるゲストをお招きし、参加者に新たな暮らしとの出会いをお届けする連続シリーズ企画「cowcamo ClasuRoom(カウカモ暮らすルーム)」。

7月11日(水)にYADOKARI プロデューサーの相馬 由季さんをゲストに迎え、「等身大のスモールルームで叶える豊かな暮らし」をテーマにvol.3を開催しました。

■ゲスト 相馬由季(そうまゆき)さんプロフィール
YADOKARIプロデューサー/TINYHOUSE ORCHESTRA事業部部長。早稲田大学文化構想学部卒業後、「BESSの家」を展開する㈱アールシーコアにて法人向け新規事業提案や10㎡のログ小屋「IMAGO」の企画に携わる。現在YADOKARIにてタイニーハウスを使った遊休地活用の企画や、ちいさな暮らしを知る・体験する・実践するためのタイニーハウス専門メディア「TINYHOUSE ORCHESTRA」の運営などを行う。

ファシリテーターは、中古物件と東京の街を愛してやまないカウカモ編集長 伊勢谷亜耶子。伊勢谷自身も渋谷にある自宅(渋谷区・45㎡)で、好きなものに囲まれた “等身大” の暮らしを送っています。

タイニーハウスとは?

まずは相馬さんにタイニーハウスについて伺いました。

タイニーハウスってまだ日本では定義がないんですよね。個人的には広さは10〜20㎡前後、1000万円以内で、ローンを組んだとしても5〜10年程度で返済できる金額で買える家をイメージしていますが、必ずしもこの限りではないと思います。

こちらはアメリカのオレゴン州ポートランドにあるタイニーハウスホテル。全部で6棟あり、すべて違うデザイナーがつくったものなんだそう。

欧米を中心に広まっているタイニーハウスですが、アメリカで関心が寄せられるようになったきっかけはリーマンショックだったそう。それまでは大きな家、庭を持つことがアメリカン・ドリームとして幸せと考えられていたのですが、リーマンショックでサブプライムローン問題が起こり、ローンだけが残って職を失い・・・と、今まで考えられていた幸せに疑問を持つ人が増えました。日本でも同じような出来事として、東日本大震災がありましたよね。

タイニーハウスは「本当に豊かな暮らしとは何か」という問いと向き合い、幸せを考えた結果のひとつの住まい方の選択肢だと思います。みんながタイニーハウスに住めば幸せとは思っていないですが、果たして大きな家に住むことが本当に幸せなのかと立ち止まることで、色んな価値観が生まれると思っています。その結果生き方が自由になればいいなと。

■タイニーハウスのメリット

相馬さんがタイニーハウスのメリットとして挙げたのは4つ。

1.支出が減る
2.本当に大切なものがわかる、向き合う時間を作れる
3.ちいさいからこそ、空間にこだわることができる
4.場所から開放される

私は今シェアハウスに住んでいるのですが、管理を手伝う代わりに賃料が抑えられています。そのおかげで可処分所得を増やすことができていますが、タイニーハウスにも近しいことが言えると思います。
また、部屋に置けるものが限られるので、自分にとって本当に大切なものや豊かさのあり方と向き合えることもメリットのひとつです。

確かに、大きい家だとDIYするのは難しいですが、小さい分しっかりと手を加えることができ、より愛着の湧く家にすることができそうですよね。

あとは、個人的に場所から開放されるというのはとてもいいなあと思いました。いざというときに移動ができるとちょっと身軽になれるような気がします。“今日は海沿い、山、都心でお買い物♪” と、移動しながら暮らせたら・・・とか(笑)。実際はそこまで自由に動けないかもしれませんが、場所に縛られないと気持ち的に楽になれそうですよね。

■豊かな暮らしのヒントは外国に

相馬さんは今まさにタイニーハウスを作り始めるところとのこと。

作る場所を探すのが大変だったのですが、木材屋さんの倉庫の一部を借りられることになりました。雨がかからず、音を気にしなくていいところってあまりなくて。セルフビルドなので、海外の設計図を参考にしながら自分なりに設計図を書いてみました。

海外ではすでにタイニーハウスの概念が広がっているからこそ、依頼できる先が多く、事例も増えてきています。日本では今までの事例が少ないため、ノウハウなどもすぐに見つけるのは難しい。だからこそ、TINYHOUSE ORCHESTRAでは、見学する・体験する・泊まるといったまず経験してもらうところから、購入する、依頼するなどの情報を発信しています。

伊勢谷が今したい “等身大のスモールルーム暮らし” は東東京に小さな家を持ち、東京2拠点生活を送ること! とのこと。

もちろん今の家も好きなのですが、渋谷は人が多くて疲れることもあり、自然に触れたいと思うことが増えてきたので、清澄白河や浅草の川沿いに小さな家がほしくて。週末はそっちで過ごしたら、精神のリセットができてもっと心にゆとりができそうだなって。

伊勢谷は小さな頃5年間オーストラリアに住んでいたことがあり、オーストラリアに根付いている “キャンプ文化” と呼ばれるような、週末は都市から離れて過ごす文化に憧れがあると話します。まだまだ外国に新しい豊かな暮らしの選択肢のヒントがありそう。

カウカモ編集部が思う「東京スモールルーム暮らし」とは?

■住まいを家だけでなくて “面” で捉える

ここからはカウカモ編集部が考える「東京スモールルーム暮らし」について。

伊勢谷は実際にカウカモに掲載したこちらの物件を紹介。専有面積約38㎡、麻布十番駅から徒歩5分のこちらの住戸、写真の通り内装もオシャレにリノベーションされています。一見好条件が揃っていますが、金額が抑えられています。理由は、洗面脱衣所がなく、洗濯機置き場が外にあるため。

で、ここから発想の転換なんですけど、家のネックなところは街にあるものでカバーできるんじゃないかなと。このマンションは目と鼻の先に「麻布黒美水温泉 竹の湯」があって、そこにコインランドリーもある。そこに行けばゆっくり大きなお風呂に入れて、雨の日はここの洗濯乾燥機を使えばいいですよね。本当に家に必要なものは何か考えて追求したら、都内に小さなお家を持てるのではと。

確かに今のご時世、東京であれば街になんでもありますよね。家に必要な機能を街にあるもので補おうという発想の転換をすれば、手の届く金額で家を買える可能性が高まりそう。
ほかに例として出ていたのは冷蔵庫。コンビニや自販機、スーパーも街中にたくさんあるので、冷蔵すべき食品を保管しておく必要って意外とないのかも?

広さに関しても冷静になって考えたほうがいいですよ!(笑)寝室は6帖ないと嫌ですっていう方もいらっしゃるんですけど、ベッドを置いて余ったスペースって何になっているかというと、通路にしかなってなくて。と考えると、そういう無駄な空間を減らしていけば、平米数って小さくても問題ないんですよね。

■タイニーハウスビレッジで広まっている “人に頼る文化”

タイニーハウスビレッジでは、持てるものが減る分、持っていないものを借りて人に頼る、その代わりに自分ができることをやるという、“人に頼る文化” を大切にしています。

よくよく考えてみると、これはまさに日本にあったご近所付き合いそのもの。お醤油を貸したり、ちょっと子どもを見ていてもらったり・・・。今ではご近所付き合いは希薄になっていますが、“等身大のスモールルーム” 暮らしをするための大きなヒントとなりそうです。

自分にとっての本当に大切なものを書き出してみよう

参加者のみなさんに、「タイニーハウスに暮らすとしたら何を持ち込むか」「人生において優先順位が高いもの」を書き出していただき、グループに分かれてシェアをしました。

家族、友だち、音楽、自転車、身体を鍛えられる道具、横たわれる場所、スマホ、食べ物、
自分の命、トイレ、お水、音楽、本、パソコン、少しおしゃれな洋服と、室内着、動ける寝袋、といった暮らしに関するもの、
自分のやりたいことを実現するために必要なパソコンやお金といった仕事に関するもの、
コーヒーの美味しいところ、パンの美味しいところ、富士山の見えるところという環境を挙げる人、
と、みなさんさまざま。

相馬さんに聞く! 物を減らす断捨離のコツ

最後に質問として出たのが、断捨離のコツ。今ではタイニーハウスに住めるくらい物が少ない相馬さんですが、なんともともと “物持ち” だったんだそう。

私が断捨離をしたときは近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの方法」を参考にしました。その本に書いてあったのは、触ってみてときめきを感じるかどうかで、残すものと捨てるものを分けるというやり方です。もともと私は物をたくさん持つ人間だったのですが、それで約7割減らしました。そのときに気づいたのは、生きていくために本当に必要なもの以外にもなくても生きているけどあると心が落ち着くものが存在するっていうことです。

壊れたものでもとっておきたいものはどうするかという質問に対しては、相馬さんは「今までありがとう」と感謝をして捨てる、伊勢谷は写真を撮って捨てると答えていました。

最後におふたりの「本当に大切なもの」とパシャリ。

最後に

私も今シェアハウスに住んでいます。学芸大学から徒歩10分、新築、共益費込みで67,000円。トイレやキッチン、シャワー、洗面台は共用で、冷蔵庫とテレビは各個室に備わっています。人によって感覚は異なるかと思いますが、これを話すと多くの人に安いと言われることが多いです。その理由は、1階、広さは約4帖、お隣が線路だということ。

選ぶときに一番大切にしたのはオフィスからの距離。オフィスから家までは自転車で約20分です。大学時代から社会人1年目まで、ずっと約1時間半電車に乗って通学・通勤をしていたのですが、本当に電車がつらく(苦笑)、だけど通勤時間を短くするために都内に住むと高い・・・そこでシェアハウスにしぼり物件を探しました。

実際に探してみると、閑静な住宅街にあるけど古いところ、駅からも近いけどドミトリー、広いけど冷蔵庫が個室に備わっていない、など、それぞれ一長一短、条件は異なります。私は綺麗で個室というところをマストにし、今の家に住み始めました。

今まで住んでいた部屋の約半分の広さになったので物で溢れないかな・・・とか、シャワーや洗濯機を使いたいときに使えないと不便だな・・・など不安は色々ありましたが、今ではそこそこ快適に暮らしています。

狭いことに関しては、探し物をしてもすぐに見つかるので結構便利です(笑)あとは、自然と断捨離をすることができました。また、住人の方の中には、40代や50代、NPOで働いている方など、普段なかなか知り合う機会のない方がいらっしゃり、新しい出会いがありました。隣の住人の方のWifiがつながらない問題を解決したときは(飛行機モードになっていただけでした)お礼にお菓子をもらったり、朝は「いってらっしゃい」「いってきます」という挨拶を交わしたり・・・小さなご近所付き合いのようなものが生まれています。

豊かな暮らしを始める一歩は、今なんとなく持っているものや選んでいる場所、自分が大切にしたいものを見極めること。それらを考えた結果『広い部屋がいい!』という人もいると思います。ですが、視点を変えて住まいを “面” で捉えたり本当に必要な広さを考えたら、持ち物が減り、必要な平米数が減り、もしかしたら手が届く金額で家を買えるかもしれません。

まずは、ひとりでも、ご友人、ご家族とでも「自分にとっての本当に大切なもの」を書き出してみるのはいかがでしょうか。そして、「等身大の自分らしい豊かな暮らし」を考えてみてくださいね。

イベントでお会いできるのを楽しみにしております。次回も乞うご期待ください!

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