中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。

今回紹介するのは、我らがcowcamo編集長、伊勢谷亜耶子(32歳)の自宅。東京都渋谷区の中古マンションを昨年末に購入し、リノベーションしました。


カウカモ編集長が、中古マンションをリノベーション。住所は渋谷区円山町。期待を胸に訪ねたドアの向こうには、古いレコードが流れる中でビンテージ家具や旅先で買ったアート、愛読書が詰まった書棚、ステンレスの男らしいキッチンと、住み手を物語るさまざまが居心地よく混じり合う空間がありました。

南側が一面窓の明るい空間。窓際の特等席には「DEMODE FURNITURE」で買ったビンテージの籐の椅子を置いて読書や映画を楽しむスペースに。フローリングは念願のヘリンボーン貼り。

一生に一回ぐらい、都心に住んでみるのも面白い

渋谷と思えない静かさで、来たばかりなのになぜかくつろいでしまう場所。窓の外に目を向ければ、9階から都心の雑多な街並みを見渡せて、そうだここは渋谷だったんだ、と再確認します。

会社が代官山なので、住むなら中目黒や恵比寿あたりが人気なんだろうけど、おしゃれな街が肌に合わなくて(笑)。それにせっかくひとりで自由に暮らすなら、一度ぐらい思いっ切り都心に住んでみよう! と思ったんです。

中古リノベーションマンションの流通プラットフォーム「cowcamo」編集長の伊勢谷。海外生活や旅の経験が豊かで、特に大学時代に初めて行ったニューヨークの雰囲気が好き。「アメリカの古いダイナーのインテリアも参考にしました」。

会社まで徒歩20分、自転車なら10分弱で通勤ラッシュ知らず。渋谷駅まで歩けるから、どこへ行くにも便利です。編集長ゆえの多忙さはもとより、仕事仲間や友達と遊んだり飲みに出かけたりする時間も大切なエネルギー源。都心暮らしを楽しんでいる伊勢谷にとって、ここは理想的な立地だったよう。

とはいえ渋谷の中心から少し離れた神泉エリアなのでにぎやかすぎず、スーパーも徒歩圏内。周辺にはおいしいお店や、純喫茶愛好家(!)の伊勢谷が愛してやまない喫茶店もあり、ミニシアターや「Bunkamura」へふらっと出かけてアートに触れる楽しさも、住み始めてから実感しています。

左上:手書きのナンバーが味わい深い棚は、アメリカの野球チームのロッカーで使われていたビンテージ。村上春樹の小説や、偏愛する純喫茶の本や写真集が並んでいます。/右上:祖父の形見のレコードプレイヤーからグッドミュージックが流れる室内。/左下:ロサンゼルスのフリーマーケットで見つけたアートはラフに床に置いて。/右下:ベッドサイドのブラケットライトは調光機能付き。「夜は薄暗い空間の方が落ち着くから」と、水まわり以外の室内照明は壁付けか間接照明に。

最初は身軽な賃貸暮らしも考えました。でもこの辺りで借りると、30㎡ぐらいでもすごく高い。それなら中古物件を買ってリノベした方が月々の支払いは抑えられるし、何より自分の好きなようにできるから。

大学で建築を学び、マンションデベロッパー、老舗リノベーション会社「ブルースタジオ」の営業を経て、「中古リノベの楽しさや自由度をもっとたくさんの人に伝えたい」と約3年前に「cowcamo」の立ち上げメンバーとして入社した伊勢谷。リノベの楽しさ、それにマンションが将来の資産となることを経験上よく知っていたからこそ、決断はスムーズでした。

「将来、賃貸に出しやすいこと」を重視して物件選び

物件の条件は通勤に便利なこと、今は実家に預けている愛犬と暮らすためペット可物件であること、そして将来的に売却や賃貸に出しやすいこと。このマンションは築46年のいわゆる「旧耐震基準」ですが、決め手は「きちんとメンテナンスされていること」でした。

築年数が古いと敬遠されがちですが、私は管理状態さえ良ければ古いものを選んでもいいと思っています。大切なのは、古さよりもきちんとメンテナンスされてきたか。ここは過去に耐震補強工事がされていたし、今後の修繕計画や管理組合の総会議事録もしっかりしていました。

確かに耐震強度が引き上げられていて、今後もきちんと管理される見込みがあれば売却や賃貸に出す時も安心。こうした情報を読み解く資料は複雑なので、プロに見てもらうのがおすすめです。

共用部分のため個人でリノベーションできない玄関ドアや窓サッシが、購入時に新しく取り換えられていたのもポイント。おかげで室内は渋谷とは思えないほど静かです。

さらに管理人さんの対応の良さにも惹かれたそう。

マンションによっては住人に無関心な管理人さんも多いんですが(笑)、ここの管理人さんは購入前に話を聞きに行った時からとても親切で、いろいろと気にかけてくれて。設備面ではオートロックもポイントでした。仮にも円山町ですから(笑)、セキュリティは重視して。

管理が良くて立地も良ければ、かなり人気物件なのでは?

確かに、ほとんど売りに出ないみたいです。賃貸比率も重要なので事前に聞いたら、ここは立地がいいから7割ぐらい賃貸に出されていて、『空室が出てもすぐに埋まります』と。それなら自分も将来賃貸に出して損することはないだろうと確信が持てて、購入を決めました。

専門的な話になりますが、このマンションは土地部分を建物とは別の土地所有者に借りる「借地権付きマンション」なので、比較的安く購入できました。実際住む上で支障はないし、将来の借主も気にしないことだから問題ない。おかげで、毎月の住宅ローン支払額の倍以上の金額で賃貸に出せそうです。

イメージソースは純喫茶。くつろげるポイントをちりばめて

リノベーションはブルースタジオ時代の仲間、笹本直裕さんに依頼。プランや素材選びには、伊勢谷の明確なイメージがありました。中でも目を引くのは、ワンルームを緩やかに区切るアイアンのフレーム。壁のような圧迫感を感じさせず、45㎡とコンパクトな空間の中でリビングとダイニング、寝室のゾーンを分けてメリハリを作っています。

アイアンのフレームは工場で製作。サイズが大きいので、一部現場で溶接工事を行いました。

光が通るから朝日を感じて目覚められるし、空気もこもらないから気に入っています。もともとビンテージ家具だとか古いものが好きで、このアイアンはだんだん錆びるようにあえて錆止め加工をしていません。本当は、最初から錆びさせたり燃やしたりしたかったぐらい(笑)。

「もうひとついい所は、ベッドに寝ながら映画を見られること!」と伊勢谷。寝転んでも画面が見やすいよう、フレームの割りつけもテレビの高さで抜いています。

自由にデザインを楽しんでいると思いきや、聞けば将来の貸しやすさ・売りやすさも意識しているそう。

ワンルームより1LDKに近いプランの方が人気なので、間仕切りがあるといいだろうなって。この部屋は45㎡なので、シングルだけでなくふたり暮らしも考えられるから、ベッドルームはダブルサイズが入る幅にしました。アイアンのフレームは取り外せるので、将来プラン変更も可能です。

フレーム越しに見ることで奥行きが生まれて、印象的な眺めに。「リビングにいて眠くなると、この隙間からベッドにダイブすることもあるんですよ(笑)」。

実は10年ほど前に一度リノベーションされていたこの物件。状態の良かったバスルームとトイレは既存のものを生かしつつ、脱衣室にあった洗面カウンターは使いやすいよう玄関脇に移設。横長のミラーは、長野県諏訪市にある「ReBuilding Center JAPAN」まで出かけて手に入れた古道具です。ドライヤーや傘を掛けられる玄関脇のアイアンフレームは「水はねで錆びてきて、良い表情になってきました」。

そして何より伊勢谷らしさを感じるのが、大好きな純喫茶をヒントにしたインテリア。いかにもそれらしく仕上げるのではなく、空間作りのヒントにしているのはさすがです。

純喫茶のどこか物哀しい、危うい感じが好きなんです。内装の参考にしたのは純喫茶の写真集(笑)。『こういう雰囲気がいい!』と、笹本さんにたくさん写真を見せました。

例えばダイニングは、喫茶店のボックス席のようなこもる雰囲気をイメージしています。天井を欄間のようなアイアンのフレームで囲んで、壁の色も一面だけ変えて。家で仕事したり書きものをすることが多いので、集中するためにも空間をなんとなく分けたかったんです。

どこか懐かしい合板の質感も、純喫茶を思わせます。とはいえ作り込み過ぎていないので、ビンテージ家具や海外で買った雑貨などジャンルレスなものが違和感なく溶け込んでいます。

ベッド奥の壁も合板を貼り、ベッドヘッドのように。「ベッドが低いとすぐ寝ちゃうので(笑)」と、マットレスの下に積む輸送用パレットを自らネットで発注。高さが変わることで空間が自然に分かれます。人が大勢来た時には、ダイニング側がベンチ代わりにも。

人が自然に集まる、引力のある家

思いが詰まった伊勢谷邸のリノベ。中でも思い出深いのが、同僚や友人と壁の塗装をDIYで仕上げたこと。

合わせて15人くらい手伝いに来てくれたんです。天井など難しい部分は職人さんにお願いして、壁と建具をみんなで塗装しました。節約が目的だったんですが、終わってみればみんなとの思い出はまさにプライスレス。さらに家に対する愛着が湧きました! 寂しくなると、にぎやかに塗装したことを思い出して「私はひとりじゃない」って思います(笑)。

大きな空間よりも、少し囲まれている方が心地よい。決して広くはない空間ながら、そんな快適な居場所がそこここにある伊勢谷邸には、いつも人が集まってくるそう。

引っ越してから、とにかくよく友達が遊びに来ます。それを見越して、キッチンもちょっと無理してL字型にしました。スペース的に効率は悪いけど、ダイニングの会話に参加しながら料理したいから。そんなこんなで家に集まってばかりで、まわりのお店が全然開拓できていないのが悩みですね(笑)。

スペース的には壁付けのI型キッチンが効率的でしたが、コミュニケーションを重視してL字型に。ステンレスのシンプルな造作キッチンでコストダウン。「スペースの使い方は工夫が必要です(笑)」。

cowcamoメンバーでにぎやかにパーティー。多い時は10人ほど集まってにぎやかに!

将来を見すえつつも、「好きなものをあきらめず、今を楽しく暮らすこと」を大切にリノベーション。都会の真ん中で叶えた、自分らしい住まいです。

ーーーーー物件概要ーーーーー 

〈所在地〉東京都渋谷区
〈居住者構成〉本人
〈面積〉約45㎡ 
〈築年〉築46年
〈仲介〉cowcamo
〈設計〉笹本直裕/studio niko

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9/16(土)〜18(月・祝)開催、リノベーションEXPO2017にcowcamoも出展!
[ 9/17 (日) 17:15〜17:55 ]は、トークショーにカウカモ編集長・伊勢谷が登壇します。
「こんなのあったのか!様々なリノベーション企業による、⾯⽩物件&リノベーション実例紹介!」

ぜひ、表参道スパイラルホールにお越しください。
詳細はこちらから→https://cowcamo.jp/magazine/column/リノベEXPO2017