気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の暮らしぶりを「街の先輩」に聞いてみました! 「街の先輩に聞く!」、 第7弾は「渋谷と代官山の間」のエリアをpick upします。


世界を代表するスポット・スクランブル交差点に代表されるように、人と情報で溢れかえる眠らない街・渋谷。その渋谷駅から南西へ、代官山駅方面に5分ほど歩くと、大使館や豪邸が立ち並ぶ、静かでゆったりとした空間や生活が広がっているのをご存知でしたか? 

桜丘町、南平台町、鉢山町、鶯谷町、猿楽町の5つの町から構成されるこのエリアは、2000年代に入り、「代官山アドレス」や「代官山T−SITE」といった施設ができたことで、落ち着きを保ちながら、エネルギーの交差する街に変化しているようです。その変化しつつある街を象徴するようなカフェに、この街の特徴を聞きました。

■螺旋階段のように、上へ上へ続くカフェ・ギャラリー

渋谷と代官山の間のこのエリアは、一歩足を踏み入れてみると、大使館やお屋敷が立ち並ぶ住宅街が広がっています。

その中でも猿楽町に、螺旋階段のような造りをしたひときわ目立つ不思議な建物があります。その建物の中に、2014年、「MONKEY CAFE D.K.Y」はオープンしました。ギャラリーとカフェが併設された珍しい空間です。

この建物の1階に「MONKEY CAFE D.K.Y」と「MONKEY GALLERY」は入っています。

店内に入ると、上へ上へと上昇していく不思議な建物の作りに目を奪われます。

店内は螺旋階段状の不思議な造り。

螺旋には力とかエネルギーを増やすという意味が込められていて。ここで出会った人や、このギャラリーで作品展をした方が上に向かってスパイラルで上がっていく、ここを起点として活躍していくエネルギーを生み出す構造であるようにという思いが込められています。建物全体がだんだん大きくなっていくような形になっているのもそのためです。

そう語るのは、「MONKEY CAFE D.K.Y」と「MONKEY GALLERY」を企画運営する、株式会社スーパープランニングのディレクター西尾直樹さん。

お話を聞かせていただいた、西尾直樹さん。

業態は違うけど、20年前からここでお店をやっていました。この街との付き合いは、「同潤会代官山アパートメント」があった頃からです。

■新旧の住民が「混じり合う街」に

当時は何もない住宅街で、桜丘町にも何もなかった。2000年に代官山駅近くに「代官山アドレス」、そして「ラフェンテ代官山」ができて、変わりました。マイナーだった街が、一気にメジャー化しました。

「代官山アドレス」や「ラフェンテ代官山」の登場で、街は大きく変わった。

代官山アドレスができ、新しい住民が多くなった一方、このエリアには昔からの住民も多く住んでいると言います。

街自体は変わったけれど、新しいものや感性の高いものを発信する街であることは変わらずに、昔からの住人と新しい住人が混在しています。

左上:このエリアの内側から渋谷側を見た時のシンボルはセルリアンタワー。手前に見える球体は、渋谷区文化総合センター大和田12階に入る、「コスモプラネタリウム渋谷」。/右上:静かな住宅地。大きな一軒家や低層マンションが並びます。/左下:鶯谷町にある、とあるマンション。ゆとりある造りがこの街らしさを象徴しているかのよう。/右下:そこここに大使館も。実はこの周辺には7つもの大使館があるそうです。

また、このエリアには、代官山駅と渋谷駅の間を周回する東急トランセと、恵比寿方面と渋谷区役所を結ぶハチ公バスが通り、暮らしを便利にしてくれています。

■「新たな出会い」が生まれ「発展していく」場所としてのカフェ・ギャラリー

西尾さんは、ゆったりとした空気の流れるこの街で、ギャラリーとカフェが併設された空間のディレクションを行っています。

サロンのような意味を込めて、カフェとギャラリーを併設して展開していくことを考えました。ギャラリーに来た人がカフェで話ができたり、そこの出会いが、新たなビジネスに発展したりしていくような場所です。

場所柄、企業の方がお客さんには多く、ビジネスミーティングや商談で来られる方も多いといいます。この「MONKEY CAFE D.K.Y」は、そんな「新たな出会いが生まれ、発展していく場所になれば」という願いが込められているそうです。

また、「カフェ」と「ギャラリー」が同一空間にあるのが、最大の特徴だそうです。

入って右手はカフェスペース。

左側にはギャラリーが広がります。

ひとつのお店にしてしまうと、入ってくる人を入り口からセグメントしてしまうというか、そういうものが好きな人しか入ってこないのですが、カフェとギャラリーだと、色んな人が入ってくるので、お客様の間口、年齢層、クラスタがすごく広がりました。

例えば、アパレル企業の方や、モデルさんにカメラマンさん、建築関係の方。また、(普段カフェに来る)ご自分で絵を書いている高齢の方が、ギャラリーで個展を開いたということもありました。これからは、この場所をもっと街に開かれたものにするために、店の前でアウトドア系のイベントも企画しています。従来なかったものを、今後ここで生み出していきたいですね。

隣の公園との間のスペースで、アウトドアイベントを企画しているそう。

■「ママさんの社交場・サロン」から新たなものが生まれる

「新たな出会い」は、ビジネスマンに限りません。近くに住んで生活している方も来店するそうです。

家族連れでいらっしゃる方も多いです。近くに幼稚園もあるので、ママさんの社交場みたいな、サロン的な形で、いろんな方が集まってお話されて、新たなものが生まれているような印象があります。

近くにある幼稚園。前を通ると、元気な子供たちの声が聞こえてきます。

■「代官山T-SITE」の誕生で、街の文化的な要素が強まる

この街は、2010年代もうひとつの大きな変化が起きました。2011年の「代官山T−SITE」の誕生です。大きな蔦屋書店が入る、代官山T−SITEができたことで、この街がもともと持っていた文化的な側面が強まったと西尾さんは言います。

この街のアイコン、代官山T-SITE。

住んでいらっしゃる方は文化芸術関係のお仕事されている方が多いのかなと。アート関係や、文化的なことされてる方が多いですね。文化の中心地だからでしょうか。やっぱりセンスがいいというか、品のある方が多いというのは印象としてはありますね。

T-SITEの中にある、穏やかな雰囲気のIVY PLACE。

蔦屋ができたことで、文化的要素がより強くなったと思いますね。情報だとか、アート系の本に力を入れている本屋なので、アート系の人が来やすくなったり、住みやすくなったりというのもあるのかなと。

巨大な図書館のような存在ができて、そういうところから持って来た本や雑誌をここで読んだりミーティングしたりして、(代官山T−SITEを中心に)街が一体化していくというか、個々にあったものが繋がっていって、全体としてひとつになっていくのかなという感じがします。

■「海外に向けて発信していく街に」

この街は、2020年にかけて、劇的に変わるだろうと西尾さんは予想します。

今まで以上に、いろんな国の方がいらっしゃるエリアになるのかなと感じます。日本のカルチャーってアニメだけじゃなくて、ファッションも強い。表参道に外資の会社が集まって、海外のものが来ているのとは逆に、日本発のものが中目黒や代官山から、世界に向けて発信しているものも多いので、そういう意味で海外のクリエイターの方もこれから増えていくのかなと。

そんな街の持つエネルギーや、アートの空気に惹かれてか、昨今ではIT系の若い富裕層が、住む街としてこのエリアを選ぶことが多くなっています。昔から大使館や豪邸が立ち並び、センスの良い人が集まる街でしたが、街の変化で新旧のものが「混じり合い」、「新しいもの」が生まれる街になっているのかもしれませんね。

MONKEY CAFE D.K.Y
猿楽古代住居跡公園に面した、緑の中の12角形の建物SOHO CORNER に誕生した「モンキーカフェ」。 
ハンドドリップで一杯ずつ丁寧にいれたコーヒーと、 併設するモンキーギャラリーでのさまざまなワークショップやアートイベントがお楽しみいただける空間です。

住所:渋谷区猿楽町12-8
営業時間:10:00〜19:00
ウェブサイト:http://monkeycafe.jp/

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