気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の違いを「街の先輩」に聞いてみました!「街の先輩に聞く!」、 第44弾は「自由が丘」です。


ヨーロッパを思わせる石畳の小径に並ぶ、カフェ、美容院、ヨガスタジオ、雑貨屋、ブティック、スイーツショップ・・・女性が好きな街として、必ず名前が挙がる「自由が丘」。歩いてみれば、確かにスタイリッシュでナチュラルで、さりげないけどかわいくて、美や健康への意識が高い・・・総じて、“モテる女子” の印象に重なるこの街。そんな自由が丘に、「憧れる」人と「ちょっと苦手意識を持ってしまう」人とが居るのだとどこかで聞いたことがありますが、果たしてその実態やいかに?

カジュアルレディースブランド「earth music&ecology」で多くの女性に支持され、今、急成長中のアパレル会社「ストライプインターナショナル」が展開するグローバル戦略ブランド「koe(コエ)」。その新業態のライフスタイルショップ「koe house」がここ自由が丘にオープンしたのは2016年の11月。ブランドの声を発信してきたkoeプレスの澤路史さんはこの街に何を感じているのでしょうか、お話をうかがいました。

■ライフスタイルにもファッション性がある街

koe houseは自由が丘の学園通りでひときわ目を引く存在感。設計したのは、「代官山T-SITE」も手がけた「クライン ダイサム アーキテクツ」でした。

実はこの建物はもともと、アストリッド・クラインさんが、「自由が丘ならば家のようにくつろげる場所を」と、構想を練って作った場所なんです。そして偶然にも、我々もアパレルブランドから次のステップアップとして、ライフスタイルを表現する新業態を立ち上げるにあたり、「家」をコンセプトに考えていたんです。

ライフスタイルを提案するkoe houseのコンセプトにぴったりの場所が見つかったことに「本当に好運でした!」と笑う澤路さんですが、それは全くの偶然ではなく、自由が丘という街の素養が影響しているのかもしれません。

お話を聞かせてくださった、koeプレス澤路史さん。可愛らしい笑顔がとても印象的な、koeの雰囲気にぴったりの女性です。

自由が丘というエリア自体が、アパレルだけでなく、インテリアや雑貨屋、食べるところも豊富で、ライフスタイルにファッション性を求めるエリアだと考え、koe houseが目指したいものにマッチしているのではと思っていたのです。

実際に街を歩いても、調味料やレトルト食品のみを扱う専門店など、一店一店はあまり大きくないんですけど、こだわりのあるお店が多くて面白いですね。

自由が丘の街並み。飲食店やアパレルショップがいたるところに。左上は、お馴染みのSoup Stock Tokyoですが、こちらは自由が丘だけにある、スープの鍋とワインのお店「also.Soup Stock Tokyo」。エシカルファッションとフェアトレード商品専門店「people tree」も自由が丘が日本のフラッグシップ・ショップ。

そして、イデーの世界観をトータルに表現する旗艦店「IDEE SHOP Jiyugaoka」に、「TODAY'S SPECIAL Jiyugaoka」、「ACME Furniture 自由が丘店」・・・とインテリアショップや雑貨屋さんの多さにも気付くはず。まさに自由が丘は “ライフスタイルにファッション性を求めるエリア”。

■内なる声、世界の声に耳を澄まし、応えるkoe

koeは、「New Basic For New Culture」をコンセプトとした、新しいライフスタイルブランドです。 あらゆるものの「声」を傾聴し、エシカルアプローチを尊重しながら、 常に変化し続ける「New Basic」としてのファッション、アイテム、食、体験を生み出し、「New Culture」を創り上げていくそう。

決して難しいことではなくて、例えば30代のニューファミリーを想定すると、流行に敏感で、もともと自分の身の回りにお金を使っていたパパとママも、子供ができると自由になるお金や時間が少なくなって・・・なんてことありますよね。それでも、妥協するというよりは、無理せずに、ファッションを楽しんで欲しいという想いがあります。

上:店員さんも一押しのテックスーツはジャージー素材で着やすく、家庭の洗濯もOK、セット価格は¥19,990(税別)。/左下:サイズ展開が豊富なメンズフロア。/右下:お絵描きコーナーのお陰でママもお買物しやすそうなキッズフロア。

「おしゃれをしたい!」、「季節感や流行を装いに取り入れると心が弾む」、そんな内なる声に対して、程よくトレンドを意識した着回しのしやすい服をリーズナブルに提案するのが、koeの回答です。

ではもうひとつ、koeが大切にする世界の声とはなんでしょうか?

環境や生産者への配慮です。私たちは素材にリアルファーとリアルレザーは使いません。また、作業環境に危険がないか? 児童労働や強制労働が行われてないか? と適切な環境でつくられ、どこにも「歪み」を生まないフェアなサプライチェーンを当社は目指しています。

サラダは大ぶりの木のボウルにたっぷりと。季節ごとのスペシャルメニューにも期待大!

消費者と生産者、そして、環境の声に耳を傾ける姿勢は、衣食住に一貫しています。カフェ・サラダショップ「koe green」のサラダは、有機野菜を取り入れ身体を整える一食を提供します。生活雑貨は、間伐材や再生陶器を使用した環境に優しいものを、子供の玩具はフェアトレードのものも展開しているそうです。

お財布にも無理がなく、おしゃれで、素敵だなと思えるものが、実はエコフレンドリーなアイテムだったんだ! というような発見に繋がると嬉しいです。

そう、言いながらディスプレイを整える澤路さん、店内はすっかり秋の装いです。

■買い物のスタンスが、ライフスタイルを物語る

駅前こそ交通量が多く賑わっているものの、緩やかな坂道を登れば住宅街が広がる自由が丘。昔から住んでいる人も多いからか、親子3世代でショッピングをする一行も見かけます。

年齢に関わらず新しくものを買う際に、しっかり吟味する方が多いかもしれません。

地元のお客さんの印象をこう話す澤路さん。自由が丘では、価格が安いことが購買意欲に直接つながるという実感が少ないと分析します。

ヒノキの間伐材で作られた、地球環境に配慮した手彫りのサラダボウルは¥8,700(税別)。

そして、最近好評のアイテムからも、自由が丘の生活が垣間見れると、澤路さんが手に取ったのは、お誕生日会や季節のイベントに華を添えるパーティーグッズ。

お子様のお誕生日、仲間や家族と集う時間、人とのつながりをもっと楽しむお手伝いになるかなと、パーティーグッズが一通り揃うようになりました!

パーティーのスタイリングサービスを行う「Tokyo Flamingo」と共同開発した、オリジナルのペーパーアイテムは、ゴールドやシルバー、ブラックで統一され、ハロウィンならオレンジやパープルといったイベントカラーとミックスしやすく、インスタ映えしそうな予感!

自分の目で見て確かめ、季節や雰囲気に合わないものはお買い得であっても時には購入を見送る一方、多少値段が張るものでもしっくりくるもの、気分を盛り上げるものは、欲しい時に家に持ち帰る、そんな買い物のスタンスが自由が丘らしいスタイルの基盤にあるのでしょう。

◼︎自分と対話する街、自由が丘の2020年

岡山県の一号店から始まったkoeは、2020年に向けてグローバルブランドとして、更に勢いを加速中。最近、新たに産声をあげた取り組みは、なんと2018年2月に渋谷にオープンするホテルとイベントスペースを併設した “hotel koe”。ここでも、新しいkoeの衣食住の表現に期待ができそうです。

オリンピックでますますインバウンドが見込まれる中、自由が丘のこれからを澤路さんはこう語ります。

海外の方が注目する東京の定番スポットと言えば、銀座、渋谷、表参道、原宿、秋葉原などですが、そのスポットに行き尽くした海外の方は、下北沢や自由が丘などに足を運んでいるのではと感じています。日本の見所や東京の生活をより感じられる場所だと思いますから。

左上:和風の甘味とゆったり流れる景色を堪能できる、茶房ギャラリー「古桑庵(こそうあん)」。/右上:は、水の都と呼ばれるイタリアのベニスをイメージして作られた商業施設「ラ・ヴィータ」。/左下:自由が丘といえば、やはり石畳の路地。/右下:シンガポールの紅茶ブランドTWGの日本進出一号店はここ、ティーサロンも併設。

自由が丘についてわかってきたのは、トレンドや時代に流されないけど乗り遅れない、出過ぎないけど地味じゃない、そんな絶妙なバランスを街全体が保っていること。そして、落ち着いた古民家カフェや、駅の隣の本格的なティーサロン、マリクレール通りの木陰のベンチ・・・と、日常の中でも一息ついて心の声と対話できるスポットが多く、くつろげる雰囲気が、街全体に漂っているということ。それはまるで、合わせ上手だけど芯の強い、ソツのない癒し系女子のよう。

勿論、それぞれ好みはありますが、そんな街、やはりモテないわけがない。まずはちょっと自由が丘で自分の心の声、聞いてはみませんか?

koe house 自由が丘
住所:目黒区自由が丘2-9-19
電話番号:03-5726-9117
営業時間:平日11:00-20:00、土日祝10:00-20:00、1Fのみ22:00まで
ウェブサイト:https://www.koe.com/

>自由が丘エリアに住んでみたい方はこちらをcheck!

>自由が丘についてはこちらも参考に。
【住むカモ!? 自由が丘】夏も楽しいふれあいの街

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