最近、おしゃれで個性的なお店が増えていることで話題の東京の下町・蔵前。そこに行列ができる文具店があるのをご存知でしょうか?

名前は「カキモリ」。“たのしく、書く人。” をコンセプトにしたお店です。

2010年にオープンし、じわじわと人気を集めています。

開店前から行列ができるほどの、カキモリの魅力はどんなところにあるのでしょう? オーナーの広瀬琢磨さんにお話を伺いました。

都営浅草線・大江戸線が走る蔵前駅から徒歩3分。大通りに面したカキモリは、静かな佇まい。

お話をしてくださったオーナーの広瀬琢磨さん。


蔵前の職人技が光る、対面型ならではのサービス

蔵前駅からほど近い場所にあるビルの1階。大きな窓越しに見えるのは、スタッフの方が何か機械を使って作業をしている様子です。よく見ると・・・それは製本機。

一見何のお店かわからないという方も多いようですが、目を凝らすと店内の奥には万年筆や紙がぎっしりと並んでいるのも見えます。

店内に入ると木を基調にした空間が迎えてくれます。什器には筆記具やレターセット、オリジナルノートの見本紙などが並び、普通の文房具店とは少し異なる品揃えにワクワクしてしまいます。

店内の様子。壁・床に埋め込まれたカラフルな色は、色鉛筆をイメージしているそう。温かみと遊び心も感じられますね。

ーこのユニークな文房具店「カキモリ」をオープンしたきっかけは何だったのでしょうか?

うちは祖父の代から三代に渡って、群馬で企業向けの文房具店を営んでいるのですが、その店は長男が跡を継いだので、私は東京で新しい文房具店をやってみようと考え「カキモリ」をオープンしました。

今は通販で手軽に文房具が買えますが、だからこそ、これからは対面型のお店に価値が出てくると思ったんです。「オーダーノートがその場で作れる」といった、ほかのお店にはないサービスで、お客さまに文房具で自分を表現していただき、書くことの楽しさを知っていただければと考えました。

また、蔵前にお店を構えたのは職人さんが多くいる街だから。地域の技術を取り入れて協業を行うことで、街全体の盛り上がりにも貢献できればと思いました。

店内には、蔵前周辺の美味しいお店や雑貨店などの情報をイラスト付きで紹介した「kakimori MAP」が。カキモリに訪れた際には、kakimori MAPを見ながら蔵前散歩をするのも楽しそう!


目の前で作られるオーダーノートにドキドキ

カキモリの代表的なサービス「オーダーノート」ですが、これは次のような手順で作ってもらえます。

①サイズを選びます(B5サイズのタテ/ヨコ、B6サイズのタテ/ヨコの4種類から)。
   ↓
②表紙、裏表紙を選びます(それぞれ60種類以上から)。
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③中紙を選びます(30種類以上から。※中紙の線や点は目がチカチカしないよう、万年筆でひいたデータを取り込んで印刷されています。)
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④リングの色を選びます(5色から)。
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⑤留め具を選びます(ゴム、封緘、ボタン留め)。
   ↓
⑥製本(スタッフが一冊ずつ手作業で作ります)。
   ↓
⑦完成(世界で一冊、あなただけのノートが完成します)。

この中から、表紙、裏表紙、中紙を選びます。これだけたくさん種類あると選び甲斐がありますね!

リングや留め具などオーダーノートの各パーツももちろん好きなものが選べます。

全部選んだ後はいよいよ製本です。こんな風に、一つひとつの工程が手作業で行われています。こちらは表紙にリング用の穴を開ける時の様子。

表紙、中紙に穴を開けた後は、リングを通して・・・。

最後に留め具を取り付けます。

そして、完成したノートの様子はこちら! 自分だけの一冊は愛着たっぷり。

1冊あたりの価格は、表・裏表紙+中紙+製本200円(+留め具代)=800円〜と意外にもリーズナブル。各パーツは蔵前の職人さんが作っており、完成したノートからはプロの技と温かみが感じられます。箔押しで名入れもでき、さらに使い終わったノートは中紙交換も可能。ノート以外に便箋のオーダーメイドも行っています。

ただ、最近はあまりの人気で混雑しているため、時間に余裕をもって行った方がよいとのこと。

お渡しまで1時間以上かかるケースもあるのでご了承ください。

4月から表参道にオーダーノート中心の期間限定ショップをオープンしましたので、そちらもご利用いただけるとうれしいです。

表参道に今春オープンした「裏参道ガーデン」という施設の中に、4月5日「カキモリPop-up store 表参道」が登場! ラインナップは蔵前と同じだそう。

また、オリジナルインクが作れるインクスタンドという店舗も運営しているのですが、インクの調達が困難となり、ただいま一時休止させていただいています。今年秋ごろ再開予定ですので、お待ちいただけると幸いです。

インクスタンドでは、インクを調合して自分好みの色を作れるんです。ショップの再開が今から楽しみですね。


お気に入りの万年筆を見つけよう!​

カキモリでは、オーダーノート以外にも、初めて万年筆を買う際の相談に乗ってくれる「万年筆よろづ相談」というサービスがあります。

万年筆は日本製のお手頃価格のものが多く揃い、試し書きも自由にできて、試し書き用紙の種類も豊富。ここでお気に入りの一本が見つかることは間違いありません。

店内には多種多様な万年筆が並んでいます。

よく見ると、各万年筆の下に手書きで詳しい説明が。これなら自分にぴったりの万年筆を見つけ出せそう!

また、下町の文具メーカーやデザイナーたちから生まれた、ユニークなセレクト文具が買えるのもカキモリの魅力です。

左上・さまざまなマスキングテープが並びます。/右上・お気に入りの便せん、封筒と出会える喜びも。/左下・万年筆や筆記用具はこちらにも。/左下・木工のアイテムは温かみがあって素敵ですよね。


普通の人が気軽に自己表現できる文房具というツール

オーダーノートの魅力は、自分だけのオリジナルを作ることで、気軽に自己表現できるところにもあります。自分だけのノートは愛着もひとしおですし、お気に入りのノートに書く楽しみが生まれたら、万年筆やボールペンなど書くものへの興味にもつながっていきます。また、心を込めて素材を選ぶオーダーノートを、大切な人へのプレゼントにする人も多いそう。

オーダーノートをはじめとする「書くきっかけ」を作ることで、文房具に興味がない方にも「たのしく、書く人」になっていただきたいという想いがあります。

価格、使い心地、デザインのバランスにこだわり、今後はさらにオリジナルのサービスを増やしていきたいと考えています。

表参道にPop-up storeもオープンしたこのタイミングで、皆さんも「たのしく、書く人」の仲間入り、してみませんか?


■取材協力:カキモリ
http://www.kakimori.com/

カキモリ蔵前
東京都台東区蔵前4-20-12

カキモリPop-up store 表参道
東京都渋谷区神宮前4-15-2 裏参道ガーデン2F

共に営業時間 12時~19時(土日祝は11時~19時)月曜休(祝日はオープン)