中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。

今回は、ツクルバメンバーで、cowcamoのサービスに関わる今村美奈子(30代前半)が、昨年購入した東京都目黒区の住まいを訪ねました。


今村が暮らすのは、中目黒駅から徒歩10分程の距離にある築48年の中古マンション。レトロな建物の最上階の部屋を訪れると、広いカウンターキッチンにヴィンテージ家具とグリーンが溶け合った、大人の女性の空間が広がっています。寝室とLDKという、1LDKのシンプルな間取りです。

玄関を入って右手の扉を開けると・・・。

広いカウンターキッチンが印象的なリビングが広がっている。

■大人の女性として、生活の基盤を整えたい

今村が家探しを始めたのは2017年の春頃。それまで目黒川沿いの賃貸マンションに住み中目黒での生活を謳歌していましたが、自分の家を持ってみたくなったと言います。

以前はワンルームに住んでいたんですが、だんだん手狭になってきて・・・。大人の女性として、生活の基盤をきちんと整えたいと思いました。

cowcamoのサービスに関わっているので、エージェント(仲介担当)とお客様とのストーリーに触れる機会がたくさんありますし、家を購入したメンバーの家に遊びに行かせてもらったりする中で、やっぱり胸を張って友人を招くことができるような、自分の住まいがきちんとあるのって良いなと。自分自身が家を買うという選択肢に、徐々に現実味が湧いてきたんです。

家に人を招くことが大好きな、今村。自宅購入後は、以前にも増して多くの友人や会社の仲間を自宅に招いている。

家を買ってみるのもいいかも! と思った今村は、早速エージェント担当の森に相談。中目黒のほかにも、三軒茶屋、学芸大学、駒沢大学、代々木上原周辺を候補に入れて、物件を探し始めました。6軒ほど「いいな!」と思う物件があったものの、内見ができたのは3軒。気になっているうちに、他の人に成約されてしまう経験もしました。

また、最初は広めにエリアを設定していましたが、物件探しを重ねるうちに “立地” は譲れないということに気づいたそう。

中目黒はお気に入りのお店もたくさんありますし、会社にも歩いて行ける。いろいろな物件を見たことで、これまでの環境がとても便利で魅力的だったことを再確認できたんです。これまでのライフスタイルは変えられないから、やはり中目黒がいいのかなと。

■できる範囲で賢く、楽しくリノベ

おしゃれな家に住みたい気持ちはあるけれど、自分でイチからがっつりリノベーションするのは少し違うかなぁ」と感じていたという今村。ひとりでそこまでやるパワーはないし、こだわればこだわるほど予算が上がるのも仕事柄熟知していたので、cowcamoでもよく紹介している「リノベ済みの再販物件」(不動産仲介会社やリノベーション会社などが中古物件を買い取り、リノベーションをした後に売り出す物件)を中心に探しました。

そして、ようやく見つけたのが現在の住まい。会社まで歩いて20分という立地の良さと、何よりも窓からの眺望が気に入ったといいます。

ここは既存不適格の築48年のマンション。調べてみると、この辺りは現状の法律では高い建物が建てられない場所なので、例えば目の前に同じ高さの建物が建つことはなく、この眺望がずっと変わらず楽しめるということがわかったんです。

今の法律ができる前にだったから、高いマンションを建てることができた。古さが、逆にメリットになったんです。

窓からはこんな眺望を望むことができる。

また、出会った物件が内装工事がまだ行われていなかった点も、結果、惹かれたポイントのひとつになりました。

これから内装工事予定という段階で物件を見せてもらったんです。

確かに、自分でイチからがっつりリノベーションをするのは違うかなと思っていたけれど、下地は完成していて、これから内装工事スタートというタイミングであれば、工事予定のプランをベースに、一部を自分好みのものに変えてもらうことができそうだし、お得なのではと。予算と完成日までのスケジュールから逆算して、どこはこだわって、どこはもともとの完成予定のまま工事してもらうかを考えました。

引き渡し時の様子。間取りはこのままで、どんな雰囲気の部屋にしたいのかを妄想した。

自分の希望を施工業者に相談してみたところ、希望通りに変更できるところとできないところがあって、トイレ・バスルーム・洗面といった水周り、玄関、寝室、建具に関しては、こだわらずに当初の工事予定のまま進めてもらうことになりました。

ただ、人が集まるリビングにはこだわりがあったので、そこは施工しないまま引き渡してもらって、少しイレギュラーではありますが、別の人にお願いして追加リノベをすることにしたんです。

バスルームと洗面室は、当初の工事予定のまま。

玄関やトイレも当初の工事予定のまま。玄関は今後靴箱をDIY予定だそう。

寝室のクロスは、塗りに変更することも検討したが、結果、予算との兼ね合いもあり当初の工事予定のまま進めてもらった。

■皆を巻き込み、こだわりの家づくり

気になる、追加リノベをお願いした相手は、HandiHouse projectの加藤渓一さん。デザインから施工まで施主を巻き込んで手づくりで家をつくり上げるHandiHouse projectのスタイルに以前から共感していた今村は、いつか家をつくることがあったら加藤さんにお願いしたいと考えていたそうです。

プライベートでも親交のあるふたり。共通の仲間を交えて飲みに行くことも。

加藤さんにお願いしたのは、リビング全般。特にキッチンと床です。料理が得意で人を招くことが好きな今村は、カウンターのある大きなキッチンを作りたいという思いを早速加藤さんに相談。結果、カウンターキッチンを主役にし、ダイニングテーブルは置かずにカウンターでダイニングの役目をまかなうことに決めました。また、床は無垢材を使用、温かみのある空間にすることに。

家で過ごす時間の中でどんな時間を大事にしたいだろう? とイメージを膨らませてみると、やはり大好きな「」を中心にした時間かなと。自分の家は「キッチンが中心の家」にしたいんだなぁという思いに、エージェントの森が気付かせてくれたので、加藤さんに大胆なオーダーをすることができました。

イメージはバーカウンター。料理とお酒でおもてなしして、ゲストに楽しんでもらえるような空間を目指しました。

ステンレスと木材を使って造作したキッチン。注目すべきは、キッチン自体が「浮いた」造りをしていること! これにより、大きさがあるにも関わらず、存在感や圧迫感を出さず、軽やかに見せることができるし、リビング側との空間の隔たりもなくすことができる。そして、掃除しやすいことも大事なポイント。

時には仲間に料理を作ってもらってゲスト側に回ったり。キッチンを中心にさまざまなコミュニケーションが生まれている。

また、壁の塗装はDIYですることに。これも、今村が家づくりでどうしてもやってみたかったことのひとつだったそうです。

加藤さんに教えてもらいながら、友人や仲間と一緒にペイントしました。思い出に残ることがしたかったし、自分以外の人にも家づくりやDIYの醍醐味を知ってもらいたかったんです。真夏の暑い時期だったけど、本当に楽しかった!!

子どもたちも一緒にペンキ塗り!

会社のメンバーもたくさん巻き込んで、一緒にたくさんの思い出作り。

一度経験したことで壁の塗装のノウハウがわかったため、補修や塗り替えも「自分でやれる!」という自信もついたとか。加藤さんも任せっきりは良くないといいます。

家づくりにおいて、素人が手を出せる部分は実はたくさんある。今はネットなどで調べるだけでもDIYの方法を知る手段はたくさんあるので、果敢にチャレンジしてみてほしいですね。主体性を持って家づくりに関われるかどうかで、家への愛着や暮らし方は大きく変わってくるはずです。

HandiHouse projectを主宰する加藤渓一さん。加藤さんも自宅を自らの手でリノベしました

■不動産を持つことは怖いことじゃない

都心に建つ中古マンションをひとりで購入した今村。不安や葛藤はなかったのでしょうか?

不安、めっちゃありましたよ。地方で暮らす両親にも「築40年の物件なんて、本当に大丈夫なのー?」って何回も言われました(笑)。それにやっぱり女性がひとりでローンを背負っていくってかなり勇気がいることですし・・・。でも、編集長の伊勢谷が渋谷にマンションを買ってリノベしたことにも影響を受けました。「売れる」「貸せる」物件を選べば、女性でも独身でも、不動産を持つことは怖いことじゃないんだって。

賃貸で暮らしていたときと比べると、月々に支払う金額は1万円ほどアップしたそう。でも、それ以上の価値があると今村はいいます。

寝室を別にできたことでリビングが広くなったから、気軽に人を招きやすくなりました。キッチンも快適なので、料理をするのが楽しくて仕方ないんです。月に数回はホームパーティーを開いていて、色んな人が遊びに来てくれています。住まいが人とつながるきっかけになってくれているし、明らかに暮らしの質が向上したと感じています。

一生住むかどうかなんてわからないけど、今を全力で楽しむことを考えれば、少しくらいの家賃アップや諸費用は惜しくないと思います。

家がパーティーやイベントの会場になったりも。

あと、家具や雑貨を買う時は、家の写真を見せながらお店の人にアイテムを紹介してもらって購入してるんです。お店の人におすすめしてもらった、こだわりのアイテムがちょっとずつ増えていくのってなんだか嬉しいですよね。住まいを持つことで、いろんなつながりができていって、どんどん住まいに愛着が湧いていくんだなと。

一つひとつのアイテムに思い入れがたくさん。

お気に入りのヴィンテージ家具とグリーンをあしらったナチュラルな雰囲気の今村邸。たくさんの思いが重なって、住まいが色んな人とつながるきっかけになってくれているようです。

「ムリのない範囲で、今を楽しむ」ことを実現した、都心で働く30代女性の等身大の住まいは、確かにそんな選択肢もいいかも! と女性に勇気を与えてくれますね。

ーーーーー物件概要ーーーーー 

〈所在地〉東京都目黒区
〈居住者構成〉本人
〈面積〉44.27㎡ 
〈築年〉築48年
〈設計〉studioPEACEsign / HandiHouse project