気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の違いを「街の先輩」に聞いてみました!「街の先輩に聞く!」、 第50弾は「三田」です。


三田、といえば慶應義塾大学。田町のときも「田町といえば」で触れましたが、慶應義塾大学があるのは正確には港区三田、キャンパス名も三田キャンパスなので、慶應義塾大学といえば(本当は)三田となります。

田町駅前から続く慶応仲通り商店街を通り、桜田通りが折れ曲がる三田二丁目信号を渡ると、慶應義塾大学三田キャンパスの正門が見えてきます。三田二丁目信号を境に、東側が芝、西側が三田。住所とともに街の雰囲気もガラリと変わります。

庶民的な芝側の慶応仲通り商店街を抜け、坂を登って三田の高台に上がっていくと厳かで落ち着いた雰囲気になるのです。

今回はそんな坂の中腹にひっそりとあるお蕎麦屋さん「蕎麦切 砥喜和(ときわ)」でお話をうかがいました。

■江戸を感じる厳かな街

大通り(桜田通り)のあっちとこっちで全く雰囲気が違いますね。田町側は新橋みたいな感じがありますが、こちら側にはない。まわりに居酒屋などの賑わいはありませんが、ヒッソリとしているので落ち着いて食事ができるんだと思います。

と、料理長の角田誠司さん。

「蕎麦切 砥喜和」は「蕎麦切宮下 三田綱町」として2012年にオープン。母体は麻布にある「暗闇坂宮下」で、両店を運営する「僖成(きなり)」は、青山神楽坂向島などにも店舗を構えています。砥喜和があるのは、イタリア大使館に隣接するマンションの1階。巨大な石垣がとても印象的です。

この石垣に囲まれた1階部分に、「蕎麦切 砥喜和」はある。

石垣がすごいですよね。それで社長が一目惚れしたんだと思います。だいたいうちのお店は分かりづらいところにあるのが多いんですが、ここも分かりづらいかもしれません。でも、もともと武家屋敷の街で静かで雰囲気もいいので、お客さんも楽しみつつお店を探していただけてると思います。

三田は江戸時代は武家屋敷と寺が並ぶ街で、明治以降、その土地がそのまま大学や大使館等になりました。慶應義塾大学は島原藩の屋敷でしたし、同店とイタリア大使館は伊予松山藩の屋敷、その隣の綱町三井倶楽部オーストラリア大使館は佐土原藩の屋敷だったそう。

厳かな雰囲気のあるこちらが「綱町三井倶楽部」。三井グループの会員制倶楽部で一般の人は立ち入ることができない。

そして、多くの建物が敷地の大部分を庭園としているために緑も豊富で、たくさんの巨木が細い坂道に影を落とし夏場でも涼しい日陰を作っています。江戸時代から比べれば大きく風景は変わっていますが、周辺には石垣門柱など江戸時代の遺構と思われるものも所々に残っていて、歩いているだけで人間の長い営みを自然と感じることが出来るのです。

オーストラリア大使館の門柱も歴史を感じるもののひとつ。

■余裕のあるお客さんがふらりと立ち寄る

最初ここを始める時は、お客さんが来るのか心配のほうが大きかったんです。大通りからも離れていて、坂もすごいし、昼間に外を見てると人も歩いていないので。でも、ちゃんとお客さんが来てくれて、いまもどこから来るのか不思議に思うこともありますけど、受け入れられてきたということは、街に合ってたんだなと思います。

と、角田さん。落ち着いた街の一角にひっそりと佇むお蕎麦屋さんには、一体どんなお客さんが来るのでしょうか。

平日はサラリーマンが、週末は近所の方が多いですね。大使館も多いので外国の方もちらほら来られます。最初は本当にちょっとしたお蕎麦屋さんのつもりだったんですけど、お酒を楽しんで最後に締めでそばを食べて帰るような人が多かったので、おつまみメニューが増えちゃって、3人4人で来る方は結構しっかり飲んで帰られます。それでも皆さんそばは食べていただけるのでそれでいいのかなとも思います。

サラリーマンも大勢でわーっと来るというよりは、比較的年配の方が1人や2人で来ることが多いそう。他には慶應義塾大学の先生が学生さんを連れて来たり近所の方が三世代で来たりと比較的余裕のある方が普段使いをする、そんなお店のようです。

イタリア大使館のレセプションに使ってもらうこともあったり。私は身内が蕎麦屋なんですが、もともと赤坂や神楽坂で日本料理をやっていて、本格的な懐石料理も提供できますので大使館の方には喜ばれますね。あとは、個室があるので、小さいお子さんがいるご家族なんかも使いやすいんじゃないでしょうか。

地元の人たちに受け入れられてきた様子をそう話す角田さん。経験してきた系列店舗は、赤坂なら業界の人達が隠れ家的に使ったり、神楽坂は何十人という宴会が中心だったりと、それぞれの店に個性があった中で、三田の砥喜和は落ち着いた雰囲気が地域に馴染んで普段使いの店として定着してきたとのこと。

■厳かな雰囲気のすぐ側に街のにぎわい

東京タワーまでも歩いて15分くらいなので、観光客の方が来られることもあります。

と、角田さん。確かに、三田の高台のてっぺん、綱町三井倶楽部とオーストラリア大使館の間に立って北側を見下ろしてみると、北東には東京タワーが見え、その間に赤羽橋の駅があり、済生会中央病院などもご近所さんです。北西に見えるのは六本木ヒルズ。その間に麻布十番があり、麻布十番の記事で取り上げた「日進ワールドデリカテッセン」も三田から歩いて10分ほど。

三田の高台のてっぺんから見た、六本木ヒルズ方面を臨んだ様子。

緑が豊かで厳かな雰囲気が漂う三田ですが、すぐそばに賑やかな商店街観光客の集まる東京のランドマークがあって、他の街では感じることの出来ない独特の雰囲気を感じることができます。賑やかな街と厳かな三田とを行き来して、「こういう東京もあるんだ」と、ぜひ感じてみてください。

蕎麦切 砥喜和
住所:港区三田2-6-13 コート三田
電話番号:03-6435-2178
営業時間:11:30~L.O.14:00、17:00~L.O.22:00 /【土・日・祝】11:30~21:00
ウェブサイト:http://www.ds-miyashita.jp/tokiwa.html

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