購入を決めたら売主に「購入申込書」を提出
物件が決まったら、買主は「購入申込書」に必要事項を記入し、不動産仲介会社を通じて売主に提出します。この書面には、購入希望価格や契約と物件引き渡しの希望日、ローン利用などのさまざまな条件について明記します。物件が掲載されたウェブサイトや物件資料の書類(通称マイソク)に価格が載っていますが、必ずしもこの通りの金額である必要はなく、買主が妥当と考える金額を購入希望価格として記入して構いません。ただし、購入を積極的に進める場合、売主に提示する金額は、不動産仲介会社と相談したほうが無難でしょう。
購入申込書提出後、買主と売主の合意が成立したら、間もなく売買契約に向かって準備を進めます。中でも重要なのがローンの事前審査。これは契約後にローンが通らず解約になるトラブルを防ぐため、買主が融資を受けられるかどうか確認を取るもので、民間の金融機関では3〜4日かかります。他に返済中のローンがある場合には「返済予定表」の提出を求められたり、審査が長引いたりする場合もあります。審査を申し込むときに他のローンの有無をきちんと申告し、返済予定表も用意しておくとスムーズです。
◇物件が決まったら「購入申込書」に記入し、売主に提出
◇記入する購入希望価格は、買主の判断で決める
◇ローンの事前審査では他の返済中のローンを申告
重要事項説明の際に、取引内容を最終確認
物件の重要事項説明と売買契約は同じタイミングで行われるケースが大半です。契約前に、物件を取り扱った不動産仲介会社などの宅地建物取引主任資格者が、書類を読み上げて重要事項説明を行います。重要事項には物件の詳細情報が含まれているので、買主は不明点を説明時にもれなく同資格者に確認し、納得したうえで契約書に捺印しましょう。
中古マンションの場合、重要事項説明書には、管理費や修繕積立金の金額のほか、売主のそれらの延滞の有無、大規模修繕の実施状況なども含まれています。耐震診断の有無や耐震性の記載がなければ、管理会社に問い合わせてもらうことも可能です。書類は枚数が多く聞き慣れない用語も多いので、事前に重要事項説明書を提出してもらうよう仲介業者にお願いして、あらかじめ内容をじっくり確認してから重要事項説明と売買契約に臨みましょう。
売買契約時には、買主が購入価格の5~10%の手付金を支払うのが通例です。手付金は、現金か預金小切手で用意しておきます。また、すぐにローンの申し込みを行い、本審査に入ります。通常、民間の金融機関では1~2週間程度で承認が下りますが、融資が否認されることも。そのときは、急いで代わりの金融機関を探します。なお、ネットバンクは店舗がないため書類確認が郵送になり、時間が掛かりがち。住宅金融支援機構の「フラット35」も取り扱い金融機関と住宅金融支援機構の双方のチェックが必要なので、手続きに時間が掛かります。引っ越しの兼ね合いなどで手続きを急いでいる時は注意が必要です。
買主に融資が実行されて間もなく、手付金を除いた購入金額の残金を精算します。この後、物件の引き渡しを行って、一連の売買の手続きは終了です。
◇重要事項説明を受ける数日前に関連書類をもらい、 不明点を洗い出しておく
◇売買契約時の手付金は5~10%を現金か預金小切手で用意
◇ローンが下りなかったときを想定し、 次の融資依頼先もあたりをつけておく
中古住宅では、購入申し込みから売買契約までが1週間以内と短く、ローンの承認まで含めても約2週間以内というケースもあります。売買契約を結ぶまでは法的な拘束力はないので、もたもたしていると、他の提示条件の良い買主が先に契約に至ってしまう可能性があるからです。
中古住宅はいわば1点ものなので、良質な物件はライバルも多いと考えたほうがいいでしょう。購入を考え始めたら、早めに住まいや暮らし方に関する家族の希望のほか、資金繰り、ローンの依頼先などを明らかにしておき、これだ!という物件に出会った時に、迅速かつ冷静に手続きを進めたいものですね。
構成・文:介川亜紀/写真・イラスト:cowcamo