「新築同様」「即入居可」が大きな魅力
『リノベーション済み物件』のメリットは、やっぱり内装、戸建てなら外装までリノベーションされて、新築同様であること。古さや以前の居住者の面影は気になりません。
こだわりの空間に住みたいけれど、いちからのリノベーションにトライするのは大変そう・・・と思っている方は、こうした物件の中から好みのものを探してもいいですね。内覧して気に入れば、すぐに契約して入居できるので、引っ越しまでの時間が限られているときにも向いています。
一方、デメリットは、すでにリノベーション工事が完了しているので、壁の中や床下などがどんな状態にあるのかを確認しにくいこと。壁の中には建物の強度に関わる躯体や、断熱性を左右する断熱材があり、床下や壁の内部には給排水管や電気配線などが通っています。
ひとくちに『リノベーション済み物件』といっても、そうしたインフラ部分のリノベーションの程度はさまざま。それらがどのように変更されたか気になったら、まずは、不動産仲介会社の担当者や、リノベーションを行った施工会社に率直に聞きましょう。
気になる性能に関しての証明や評価を取得していれば、購入判断の目安にしていいでしょう。それぞれの証明や評価を取得するまでの手続きの中で、一定の基準をクリアしているかどうかの検査を、第3者機関が行っているからです。
たとえば、「耐震基準適合証明書」がそう。それがあれば、非耐火構造で築20年、耐火構造で築25年を超えていても、住宅ローン減税などの優遇を受けられます。長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の適合証明も目安にしていいでしょう。住宅の断熱性、耐久性などについて、住宅金融支援機構が技術基準を定め、物件の検査を行った後に発行されています。
そのほか、基本構造部分の瑕疵(かし)が気になる人は、「瑕疵担保責任の期間」や「既存住宅売買瑕疵保険」の付保もチェックしましょう。
瑕疵とは通常の状態ではなかなか発見できないような欠陥。「瑕疵担保責任の期間」とは、瑕疵が売買後に見つかった場合に、売り主がその補修や補修費用を負担する責任を負う期間のこと。また、補修費用を保険金で賄えるようにしたのが「既存住宅売買時瑕疵保険」で、検査と保証がセットになっています。
これからは『リノベーション済み物件+α』が新しい!?
先に、『リノベーション済み物件』のバリエーションが広がっていると書きました。そのひとつに、入居後に買い主が手を加えやすいようにデザインされたものがあります。cowcamoの「case study」で紹介しているこちらのお宅もその一例です。
そんな風に、あらかじめ住まい手が手を加えていくことを想定して企画された物件でなくとも、購入した『リノベーション済み物件』に、住みながら手を加えてブラッシュアップしていく暮らし方も"アリ"。
たとえば、その物件のほとんどを気に入っているのに、「ここだけは、ちょっと・・・」という場合もあるでしょう。そんなときは、購入後に気になったところだけ新たにつくり直したり、DIYするなどして理想のイメージに近づけていけばいいのです。
ドアノブやスイッチプレートの交換などのごく簡単なことはもちろん、床の仕上げを変えたり、壁に色を塗ったり、お気に入りの壁紙を貼るなどといったカスタマイズも可能です。
『未リノベーション物件』と『リノベーション済み物件』。いずれのケースでもしっかりと確認するべきポイントをチェックして、自分や家族が納得のいく機能性と、デザイン性を併せ持った住まいを手に入れましょう。
構成・文:介川亜紀/イラスト:cowcamo