中古物件の購入をお考えの方に、リノベーションされていない物件と、リノベーション済物件のメリット・デメリットをご紹介します。例えばリノベーションされていない物件のメリットは、好みに合わせた空間づくりにトライできること。一方リノベーション済みの物件のメリットは、そこに暮らすイメージを思い描きながら購入の検討ができること。さらには、『リノベーション済み物件』に、住みながら手を加えてブラッシュアップしていく暮らし方も一つの選択。確認するべき注意点やそれぞれの特徴を把握し、ご自身のライフプランと照らし合わせて購入しましょう。


「価格が手頃で、好みの間取りの物件が希望の場所に見つかりやすい。しかもカッコイイ物件も増えているらしい・・・。じゃあ、中古にしようかな」。

ちょっと待ってください。

すべての中古住宅がリノベーション済みで販売されるわけではありません。

大きく分けると、ひとつはリノベーションされていない物件、もうひとつはリノベーション済の物件です。どちらを選ぶかは、自分や家族が「どんな家に暮らしたいのか」「入居までの期間や住宅取得に費やせる時間」などの希望によって変わってきます。

やみくもに中古物件を探すのではなく、まずはそれぞれの種類の特徴を把握して、自分や家族のスケジュールや住まいづくりへの姿勢などと照らし合わせてから探し始めたほうが効率的。

そこで、「中古住宅の賢い買い方」第2回では、2種類の中古住宅について、そのメリット・デメリットなどを分かりやすく紹介していきます。

自分でリノベーションするなら『未リノベーション物件』

「リビングはこんな風にして、キッチンはこうで・・・」。好みに合わせた空間づくりにトライしたいなら『未リノベーション物件』。

不動産仲介会社で最も多く扱われているのが、リノベーションされていない中古住宅です。売り主が住んでいた時の間取りや内装などをほとんど変えず、クリーニングをした程度で売り出されます。水まわりの設備だけ新しくなっていることもあります。

その状態で気に入れば、購入してそのまま入居できます。築浅であったり、築年がある程度経っていても、それまでの売り主が丁寧に手入れをしていたものなら、快適に住める可能性は高まります。

また、「自分たちの暮らしに合わせたデザインの空間に住みたい!」という人には、心おきなくリノベーションできることがメリット。

古い内装のままで売り出す分、価格が手頃なことが多く、リノベーションの費用を考えるとお得感があります。建築家やデザイナーなどにリノベーションを依頼する予定の人はこちらがおすすめ。不動産仲介会社に物件探しを依頼する時には、リノベーションされていない物件を希望していると伝えましょう。

リノベーションを希望している人は、プロのアドバイスを受けながら物件選びを!

リノベーションを予定している場合は、物件選びの段階から建築家やデザイナーに加わってもらうのがおすすめです。候補物件の内覧の際に同行をお願いし、希望している間取りへの変更や機能性の向上などが可能かどうか、その場で一緒に確認しましょう。

たとえば、マンションでも戸建てでも、建物の強度を保つために壊せない壁があったり、水まわりの位置変更の範囲が限られているケースもあります。同行してもらうことで、「好みの物件を購入したけれど、思うようにリノベーションができなかった・・・」という失敗が防げます。

『未リノベーション物件』の内覧は、売り主の居住中に行うことも少なくありません。そうすると、どうしても置いてある家具や、掃除が行き届いているかどうかといったことで、物件の印象が左右されがち。建築家やデザイナーであれば、そうした表面的な印象に惑わされることなく、物件そのもののポテンシャルを見定めてくれるでしょう。

『リノベーション済み物件』はバリエーションが拡大中

もともとの空間から間取りも内装も一新し、まったく違う住まいに甦って売り出される『リノベーション済み物件』。

『リノベーション済み物件』とは、不動産仲介会社やリノベーション会社などが中古物件を買い取り、リノベーションをした後に売り出す物件のこと。買い取り再販物件ともいいます。

マンション、戸建てなどのいち住戸を販売するケースと、社宅などの集合住宅を1棟丸ごと、または複数住戸をリノベーションし、各住戸を一斉に販売するケースがあります。

近年、『リノベーション済み物件』はバリエーションが豊富になりました。

間取りはそのままで、壁紙や床材などの内装と設備機器を変更したものから、もともとの内装をすべて撤去してスケルトンにして、間取りからインテリアまで全面的に変更したものなどがあります。大手の不動産仲介会社が著名建築家やデザイナーにディレクションを依頼するといった、デザイン性に注力した物件も見られます。

集合住宅1棟を丸ごとリノベーションした物件では、マンションの躯体や共用部の給排水管などの検査を行うほか、共用部であるエントランスや階段などのデザインも刷新されます。さらに、玄関をオートロックに変更するなど防犯面を配慮したり、住民同士がコミュニケーションを図れるようなミーティングルームを設ける例もあらわれました。

このように、望む暮らし方に合わせた住まい選びがますますしやすくなってきています。