気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の違いを「街の先輩」に聞いてみました!「街の先輩に聞く!」、 第41弾は「仙川」です。


新宿から京王新線区間急行を使えば18分でたどり着ける仙川。2001年に快速が、2015年には区間急行が止まるようになったということは、乗降客数も年々増えているはず。その理由を尋ねに、仙川で40年間喫茶店・彼留哩(ペルリ)を経営している亀井義明さんにお話を伺いました。

仙川駅前の様子。

■お客さんが帰ってくる喫茶店

仙川は、桐朋学園大学や、安藤忠雄の建築物が並ぶ「安藤ストリート」など芸術的な側面を感じさせる街ですが、駅を降りると駅前広場の周辺には入ってみたくなるお店がたくさんあります。その先にも昔ながらの商店街や、すっきりと都会的なデザインのお店が並ぶ通り、大型のスーパーやホームセンターなどが軒を連ね、何を買うにも困らないほどの充実した街です。

快速、区間急行と止まる電車が増えて便利になったけど、もともと仙川駅の乗降客数は京王沿線の五指に入っていると言われていたんだよ。だから電車が増えて栄えてきたというよりは、もともと栄えた街だったから止まる電車が増えたんだろうね。

そう話してくれたのが喫茶店・彼留哩の店主・亀井義明さん。商店街の2階にお店をオープンしてから40年、仙川の街の移り変わりを見守ってきました。

店主の亀井義明さん。3人のお子さんを育てるため、開店から30年、休みをほとんど取らずに働いたそう。

店内には通行手形をはじめ、お客さんが旅のお土産に持ってきてくれたものがたくさん。

お客さんも高齢化したから少なくなってはいるけど、いまだに電動自転車に乗ってやってくる元気な90代の人とかもいるよ。それに近頃は若い人が珍しいと寄ってくれるようになって。お客さんを見てると、ほんとに仙川はいろんな人がいる、ミニ社会だよね。どこどこの社長をやっていたという人もいれば俳優さんも来るし、近くの学生さんも来る。桐朋(学園大学)や白百合(女子大学)の生徒さんが昔から来ているんだけど、卒業して地方に行っても、夏休みとか正月とかに寄ってくれたりして。そういうのが嬉しいね。

■エリアによって様々な顔を持つ街

仙川の街を歩いてみると、駅を背にして右のエリア、正面のエリア、左のエリア、それぞれに全く異なる街の風景が広がっているのが印象的です。

まず右側、つつじヶ丘寄りのエリア。ここは商店街となっており、古着屋さん、飲食店、スーパーなどが並びます。人通りも多く活気あふれた印象を受けました。

今回取材させていただいた彼留哩もこの通りにあります。

この看板が目印!

そして正面のエリア。ここはクイーンズ伊勢丹ができたことがきっかけに猿田彦コーヒーなど話題のお店が集まるエリアになりました。

街の大きな変化のきっかけのひとつが、このクイーンズ伊勢丹が出来たこと。

猿田彦コーヒーがオープンした時は、地元民も驚きだったとか。

猿田彦コーヒーの左横、伊勢丹へと向かう通り。

外観もスッキリしていておしゃれ。ウィンドーショッピングするだけでも楽しそうです。

そしてその先には島忠・ホームズと桐朋学園大学が。子連れの方や学生の姿が目立ちます。 

中には、テナントも多く入っており、休日は特にファミリーで賑わう。

そのすぐ右横は、桐朋学園が。

左側、千歳烏山寄りのエリアには、安藤ストリートと呼ばれる、安藤忠雄の建築が並ぶ通りがあります。

先ほど紹介した2つの通りとは、また雰囲気がガラッと変わる。

中に入っているのは調布市せんがわ劇場や東京アートミュージアム、仙川保育園などの施設や飲食店など。緑も多く、都会的な雰囲気が漂います。

周辺の街から仙川に買い物に来る人も多いみたいだね。昔に比べてお店の数は2倍以上になったと思うよ。売っているもののレベルも上がったし。クイーンズ伊勢丹とか島忠とか大きな店舗ができるにつれて、街の雰囲気も歩いている人の顔ぶれもなんとなく変わってきたような気がするね。

■古き良きを残しつつ、進化し続ける街

どんどん開発され、新しくなっていった仙川を見守り続けた亀井さんに、街の変化の中で印象に残っていることを伺いました。

僕はどっちかというと古い人間だから。本当を言えば昔の仙川が一番好きだったんだよね。でもだからってまったく変わらないでいると、シャッター商店街になっちゃうかもしれないからね。

亀井さんは少し寂しそうにそうおっしゃりながら、こう続けてくれました。

仙川の駅を出たところに2本の大きな木があるのを見ましたか? あれは桜の木なんです。もともと仙川駅は他の場所にあって、今の場所に移転してきたんだけど、そのとき本当はその桜の木も切り倒す予定だったのね。でも大きな反対運動があったんだ。劇作家の人が朝日新聞の支所に「桜の木を伐採することに反対している人がいることを記事にしてくれ」って乗り込んだりして。そういう街の人の想いで今あの木は残っている。思い出の桜だね。

変化を恐れない柔軟さと大切なものを守り続けていく信念、両方を併せ持つからこそ、仙川は栄え続けていく街なのだと感じました。

彼留哩 (ペルリ)
住所:東京都調布市仙川町 1-16-11 2F
電話番号:03-3308-9497
営業時間:10:00~20:00
定休日:第1・3水曜
ウェブサイト:http://www.sengawa.com/peruri/

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