2016/07/18
夫は会社員でアート研究者、妻は美術の先生。まるでお洒落な古民家のような、こだわりのある暮らし
神奈川県川崎市(平野邸)
中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく 「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。
今回は、神奈川県川崎市にお住まいの平野さんご夫婦(ご主人:会社員&独立研究者/30代前半、奥様:中学校教員/30代前半)のご自宅にお邪魔しました。
築21年の庭付きのマンションを購入した平野さんご夫妻。
おふたりが暮らすマンションは、川崎市内の閑静な住宅街の一角にあります。最寄駅からは徒歩約15分と少し距離はありますが、周辺には緑が多く残っていたり、鳥たちのさえずりが聞こえてきたりと、心癒される場所です。
「のんびりとした暮らしができる場所がよかった」と語るおふたりが中古マンションリノベを選んだ経緯、そして、新居での暮らしぶりについて伺いました。
川崎市内で「庭」のある家に住みたかった
ご結婚されてから約3年間、1LDKの賃貸マンションに住んでいたというおふたり。徐々に部屋が手狭になってきたこと、賃貸物件に家賃を払い続けるのがもったいなく感じ始めたことがきっかけになり、マンションの購入を検討し始めたそうです。
妻が川崎市内の中学校で教員として働いているので、川崎市の中でもアクセスのよい場所に家を持ちたいと考えていました。最初から中古マンションと決めていたわけではなく、新築の物件も何軒か見させてもらっていて、最終的に行き着いたのが中古マンションを購入してのリノベーションでした。(ご主人)
新築と中古を合わせてトータルで20軒くらいは見学させてもらったと思います。最初の頃はエリアと金額で物件を絞っていたのですが、いろいろな物件を見ていくうちにふたりの中で譲れない条件、希望みたいなものがはっきりとしてきたんです。
結局、「川崎市内」「3500万円以内」「マンションの1階で庭があること」という条件で物件を探してもらうことになりました。(奥さま)
求めていたのは「古民家のような暮らし方」
こうして出会ったのが現在の住まい。33平米もある大きな「庭」に、ふたりはひと目惚れしてしまったと言います。
2年くらい前にふたりで伊豆の古民家の宿を訪れたことがあったんです。そこでは庭にある畑で育った作物を自分たちで収穫して、それを使って自由に料理して食べてよくて。そこでの過ごし方がとても心地よかったんですよね。自分たちもいつかこんなふうな暮らしができたらいいよねって話をしていました。(奥さま)
そんな古民家での暮らし方を実現するために、僕らには「庭」が必要だった。戸建という選択肢もありましたが、メンテナンスや予算、立地などの面からトータルで判断して「庭付きのマンション」が僕らには合っているのかなと思ったんです。(ご主人)
平野夫妻がこの物件を購入することに決めた理由がもうひとつ。それは、和室に設けられていた「掘りごたつ」でした。
リノベーションをするのなら、できるだけ既存のものを活かしたいと考えていたんです。古民家カフェのようなスタイルにしたかったので「掘りごたつ」があったことも決め手になりましたね。今のリビングがある場所はもともとは和室。窓の部分も障子のままにして、和の雰囲気を残しました。(ご主人)
では、お部屋全体を見せていただきましょう。
空間の間仕切りも兼ねた造作の本棚
玄関を入ってすぐ右手に位置するのは、ご主人の書斎。造作したという本棚が印象的です。アート鑑賞についての研究をしているご主人と中学校で美術を教えている奥さまの本が数多く並びます。
仕事柄、本はどうしても多くなるので、大きな本棚のある家にしたかった。僕が一番、こだわった部分でもあります。仕事で使わせていただいた、co-ba library(※ 渋谷にあるシェアライブラリー)の本棚なども参考にデザインしてもらいました。
また、書斎部分は日当たりがあまり良くなくて・・・。そこで、壁をつくらずに本棚を間仕切り代わりにすることで、日の光の通りも良くなりました。寝室に設けた内窓越しになんとなくお互いの雰囲気を感じながら仕事をしています。(ご主人)
思う存分お菓子づくりができる夢のキッチン
廊下を抜けた先に広がるのがLDK。広々としたオープンキッチンはお菓子づくりが趣味だという奥さまが、最もこだわってつくってもらった場所です。
もともとは庭方向を向いた独立した形のカウンターキッチンでした。せっかくならキッチンが家の顔になるようにしたかったので、向きを変えてオープンなスタイルに。お気に入りのお店でもある自由が丘のBAKE SHOPやTODAY’S SPECIALのような雰囲気を目指しました。(奥さま)
お菓子づくりに使う器具や材料はすぐ取り出せるようにしたかったので、壁掛け収納であえて見せるように。スウェーデンのストリングというブランドの収納システムを使っています。
カウンターはお菓子づくりがしやすいように、かなり広めにつくってもらいました。以前の住まいに比べると使い勝手がよいので、うれしくて仕方がないですね。(奥さま)
憧れていたスローライフが形になりつつある
中古リノベーションで念願の家と広々としたキッチンを手に入れたおふたり。新居ではどのような暮らしを楽しんでいるのでしょうか。
週末は庭の手入れをして、種を蒔いたり、苗を植えたりして、植物の成長を楽しんでいます。まだ引っ越してきて日が浅いので、近所を一緒にあてもなく散歩して、良さそうなお店を見つけたら入るといった感じで、のんびりと過ごしているように思います。(ご主人)
そうですね。大好きなお菓子をつくって、掘りごたつに座って庭を眺めながらゆっくりとお茶を楽しむ。自然と食を大事にするといった、叶えたかった暮らしが少しずつ形になってきているんじゃないかなと思いますね。これからはもっと野菜づくりも勉強して、庭で採れたものを毎日食卓で食べられるようにしたいなって。(奥さま)
中古マンションをリノベーションし、念願の庭と広々としたキッチンを手に入れたおふたり。しかし、まだいくつか計画していることがあるのだと言います。
実はうさぎを飼いたいなと思っているんです。もちろん、普段は家の中で飼うんですけど、うちは大きな庭があるでしょう? だから、たまに庭で自由に遊ばせてあげられたらなって(笑)。早く迎え入れたくて仕方がないので、最近はふたりでペットショップにもよく出かけています。(奥さま)
お庭にうさぎがいる生活なんて、素敵ですね!
ぜいたくな環境ですよね(笑)。そうそう! DIYも頑張りたいんです。トイレなどの水回りは設備が新しかったこともあって基本的にはそのままにしたのですが、その部分をDIYで内装をもう少し工夫していけたらいいなと思っています。(奥さま)
ふたりで少しずつ手を加えながら、自分たちらしい家に育てていきたいですね。(ご主人)
ご自分たちの好きなものや目指しているスタイルが明確なおふたりなので、DIYすることでより素敵なお住まいに変えていけることでしょう。
中古マンションとひと言で言っても、選択肢は無限にあります。どこに住みたいか、どんな暮らし方がしたいかによって、条件や物件はおのずと絞られてくるはず。
暮らし方のイメージさえはっきりしていれば、リノベーションではそれを実現することができます。まずは、憧れの住まい方を具体的にイメージしてみることが、理想の住まいを手に入れる一番の近道かもしれません。
そして後日談・・・
取材から数週間。今では、庭にじゃがいもが育ち、うさぎも飼い始めたそう。次々と理想を形にしていく、これからのお2人の暮らしがとても楽しみです。
ーーーーー物件概要ーーーーー
〈所在地〉神奈川県川崎市
〈居住者構成〉ご夫婦
〈面積〉約60平米+33平米の専用庭
〈築年〉築21年
〈リノベーション/設計〉ニューユニークス
取材・文:福田彩/撮影・編集:國保まなみ