こだわって作り上げた住まいだから、大切に住み継がれていって欲しい。「住み継ぎの先輩に聞く!」では、そんな想いのこもったバトンパスの物語をご紹介。カウカモの「売却サポート」で住まいを売却した方、購入された方の双方にインタビューを行い、新しい住人の元でどのように活かされているかをレポートします。

今回は「大崎」に建つ築41年のあるマンションの一室を取材しました。

【売却時の住まい】
帰ってきたくなる明るい住処

《住まいについて》
前オーナー:Yさん / ひとりから夫婦ふたり暮らしへ(現在はお子さんが生まれ3人家族)
現オーナー:Kさん / ひとり暮らし
場所 :大崎
間取り:1LDK
面積:50.68㎡
築年数:築41年(取材時)
内装:Yさん=未改装状態からフルリノベーション
Kさん=購入後そのまま居住

売却時に撮影した写真

今回ご紹介するのは、サンルームから柔らかな日が差し込む1LDKの物件。まずは2018年に未改装の状態からフルリノベーションでこの住まいを造り上げた、前オーナーのYさんにお話を伺いました。

Yさん(前オーナー):このマンションはとにかく立地が抜群によくて、目黒川が見える眺望だったり、駅から家までの道の感じが好きで購入しました。築年数は古めなんですけど、そんなにオンボロという感じもなくて、私が住み始めてからかなり素敵に改修されたり管理がしっかりしてるんですよ。

当時はリノベ済み物件に追加リノベを施すつもりで家を探していたそうですが、フルリノベーションに至ったのはなぜでしょうか。

Yさん:実はこのマンションの他の部屋がリノベ済み物件として売り出されていて、最初はそっちを買うつもりだったんですよ。でも残念ながらタッチの差で他の方に購入されてしまって……

そのときエージェントの青山さんから未改装なら別の部屋が売りに出ているということで、紹介してもらったのがきっかけですね。

そもそもフルリノベを検討していなかったのは、一から考えなきゃいけないのがあまりに途方もないと思ってたからなので、ここならほとんど同じ間取りのリノベ済み物件を既に見ているからイメージがつきやすかったんです。

未改装なため価格も安く、もともと追加工事用に確保していた予算を勘定に入れれば、狙っていたリノベ済み物件とほとんど同じ値段でフルリノベーションまでできることも、購入を後押ししたと振り返るYさん。

リノベーションのテーマは、“明るくて、帰って来たくなるような家” 。一面の開口を活かして、太陽がさんさんと降り注ぐ住まいを造り出しました。

Yさん:こだわったポイントはいっぱいあるんですけど、一番は明るい部屋にするってことですね。淡い色合いが好きなので壁は白くして、フローリングも白木の明るいものを使ってます。ただ、全部真っ白だと殺風景なので、ところどころアクセントクロスを入れたり、キッチンにはタイルをつけたり、単調にならないような工夫をしました。

右手側の壁にはアクセントクロスが。

Yさん:あとは私、料理が好きだからキッチンにもこだわっていて。

前に住んでいた賃貸のスパイスラックが汚れやすい位置にあったのが結構気になっていたんですよね。だからここでは、壁面にスパイス用のニッチを造ってみたんです。結構使い勝手がよくて、今住んでる家でも同じようなものを採用しています。

壁に向かって料理をしたくなかったから、対面キッチンにしたのもポイントですね。

左上・玄関の壁は石調タイル貼り。『知人の家に遊びに行った際、すごくお洒落で「私もやりたい!」って思ったんです』とYさん。/左下・Yさんお気に入りのキッチン壁のタイル。/右・キッチンのニッチ収納。

Yさん:よくダイニングで飲み物を飲みながら、リビングや外を眺めてボーッとしてました。お気に入りのソファやラグ、窓辺の植物の見える画が好きだったんですよね。

【売却について】
新たな暮らしに向けて

売却のきっかけはご結婚だと話すYさん。実際夫婦ふたりで住んでも広さは十分だったそうですが……

Yさん:すごく気に入っている家でしたけど、1LDKにしてしまったから子どもが生まれたら部屋数が足りないなと。それにワンちゃんが飼いたいって気持ちもあって(笑)、どこかいいところがあったら引っ越そうとペット可の物件をゆるゆる探し始めたんです。

ここで暮らして「大崎」の街が気に入ったYさん夫婦は、近隣に再びリノベーションで理想の住まいを手に入れたそうだ。

 あいにくこちらのマンションはペット不可。『もしワンちゃんが飼えるなら、このマンション内で引っ越したいくらいでした』とYさん。

売却にあたって、カウカモで物件記事を公開したところ、オープンルームには30~40名ほどの応募があったそう。

Yさん:カウカモさんに売却を任せたのは、ここを購入したときにお世話になったってこともありますが、それ以上にリノベ物件をきちんと評価して売却してくれるのはここしかないと思ったからです。

おかげで内覧には結構な人数の方に来ていただけました。リノベーションの内容には自信があったので、どこをどうこだわって、私たちがどれだけ楽しく暮らせたかをそのままお話しするだけで、みなさんに興味を持っていただけてよかったです。

とはいえ、それは嬉しい反面大変で……週末は恥ずかしくない程度に毎回掃除をして、初対面の方々に自分たちの家について半日アピールし続けるっていうのは結構体力を使いました。途中疲れちゃって、一週間休んだことも……

Yさん夫婦の場合、引越しとの兼ね合いでこの物件の引き渡しが数ヶ月先になってしまうため、スケジュールの条件まで合致する方と出会う必要がありました。そのため内覧者をできるだけ多く招いたそうです。

目黒川を望むサンルーム。『内覧は秋頃だったので、川沿いの桜が綺麗な時期の写真をみなさんに見せました(笑)』と話すYさん。

Yさん:ここに来られた方が『盛ってない、記事の写真そのまんまだ!』とおっしゃっていたのが印象的でした(笑)。

物件記事の取材を受ける時にも言えますが、まずはエージェントさんに自分たちの部屋の魅力をストレートにお伝えして、共感してもらうことが大事ですよね。

そうすればきっと、部屋を気に入ってくれる方々がたくさん集まってくれると思います!

広めのWICもこだわりのひとつ。『内覧でも気に入ってくださる方が多くて』と振り返るYさん。

【現在の住まい】
暮らしを受け継いで

かつては暖色系のインテリアでまとめられていたこの部屋は、今ではブルーを基調としたクールな印象に様変わり。続いては新しい住まい手であるKさんにお話を伺います。

家探しのきっかけは、コロナ禍で在宅勤務が増えて以前の住まいが手狭になったことだと話すKさん。

Kさん(現オーナー)この先どれくらい在宅勤務が続くかわからないし、早いうちにしっかり生活環境を整えようと思ったんです。

会社の上司や同僚に相談したところ「大崎」が住みやすくていいところだって聞いたので、この辺りで家を探し始めました。

『実際、近くにスーパーが2件あって買い物に困らず暮らしやすいです』とKさん。

新築物件であればもう少し郊外を選ばなければならない、賃貸は家賃を払い続けるのがもったいない、という理由で自然と中古リノベーションマンションの購入が選択肢に入ってきたそう。

Kさん:フルリノベもちょっと頭をよぎったんですけど、自分でオーダーするのはなかなか大変だと感じましたし、センスのいい方が造った家を受け継ぐのもいいかなと。

ここは日当たりがとてもいい上、何より前オーナーのYさんのリノベーションが素敵で気に入りました。キッチンが広くて使いやすいですし、ニッチ収納もかわいいですよね。

かつてのダイニングはワークスペースに。もともとの家具レイアウトを踏襲しながら、Kさんのライフスタイルに合わせて空間が再編集されています。

Kさん内見の時に前の方の暮らしぶりを見られたのは、ここでの生活のイメージが浮かびやすくなってよかったです。結局ほとんど前と同じように家具を置いてて、最適化するとこうなるんだなと実感してます(笑)。

最後にこの家でのお気に入りを伺ってみると、LDKで過ごす時間だと話されていました。

Kさん:どこも気に入っているんですけど、朝日のたっぷり入るこのリビングが一番ですね。

それにしっかりしたキッチンがあると綺麗に使いこなしたくなって、簡単なものですけど料理を楽しむようになりました。もっと調味料なんかをいっぱい集めて、ニッチにかっこよくディスプレイしたいと思っています。

あとはYさんから桜が綺麗だと伺っているので、春を迎えるのが今から楽しみですね。

「住み継ぎ」というものは、家という “箱” だけではなく、そこでの快適な過ごし方から最適な家具のレイアウトまで、前住人が編み出した “暮らし方そのもの” を受け継ぐことを指すのかもしれない。そんなことを実感した取材でした。